拝啓、ご先祖様。人類はハエに侵略されました。   作:翠晶 秋

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実戦投入

 

ブロロロロ…と車が走る。

ハエの出現した場所に向かうため。

アシアちゃんは危ないからお留守番、この車に乗っているのはアシア以外のメンバーだ。

 

「そろそろだぜ」

「やっとかね!待ちわびたよゴブさん!」

「ゴブじゃねぇ、コブだ」

 

ヒバリ(新立)さんが元気そうに声をあげ、コブ(古部)さんがそれに反応する。

じいさん(樫牙さん)は目を閉じて集中し、マスター(小鳥遊さん)はなにやら瓶を磨いていた。

 

「いよいよ、ですか」

「…はい。まさかチームに入って初日で実戦とは、私も思いませんでした」

「変に考えるな。目の前のハエを殺す、それだけだ」

「おいっ、ついたぞ」

 

キャルルル、と音がし、車体が急停止する。

ついたのは広い平野。

こんなところがあったとは。

しかし、外に出てもハエの姿は見当たらない。

 

「いないんてすけど」

「アイツらは潜伏する。そこで、囮を出すんだが…」

「いっつも私もなんだよねー。女だから仕方ないとは思うけど…」

 

一人、ヒバリさんは俺達から離れる。

そして、両手を広げて大声で叫んだ。

 

「ハエさぁぁぁぁん!!どこぉぉぉぉぉ!」

 

平野に響くヒバリさんの声。

しばらく待つと…

 

「ピチッ。ギチチッ」

「うっわ何あれ気持ち悪ッ!!」

 

いつもの数倍の大きさのハエが出てきた。

口と思われる部分からは白い粘液(よだれ)が垂れている。

もう一度言おう。

 

「うっわ何あれ気持ち悪ッ!!」

「ヒバリ!戻ってこい!」

「合点承知!」

 

ヒバリさんが全速力で戻ってくる。

それを追うように、ハエが羽を羽ばたかせてこちらへやって来た。

と、後ろのコブさんがどこからかサブマシンガンを取りだし、ハエに照準を定めた。

ヒバリさんが速度はそのままに、横になってごろごろと転がる。

そしてその上を…

 

ズダダダダダダダダダッ!!

 

弾丸の線が通過した。

ハエの頭が撃ち抜かれ、緑の液体が飛び散る。

もう一度だけ、もう一度だけ言わせてくれ。

 

「うっわ何あれ気持ち悪ッ!!」

「お前それしか言ってねえな!?正気に戻れ!アイツらの血の臭いは近くの同族(ハエ)を寄せ集める!」

「えっ、あっ、ハイ!」

 

慌ててホルスターからマグナムの【フェザー】を取りだし、警戒体勢。

コブさんたちは、ヒバリさんを守るように並んでいる。

一拍。

ブブ、とどこかで音がした。

 

「そこだッ!!」

 

草むらに弾丸を打ち込むと、『ビチャアっ』という音と共に緑の液体が飛び散った。

 

「おっ、やるじゃねえか」

「すげぇ!やっるー!」

「は、はい…」

 

銃を持つ手が震えている。

ハンマーをなんとか引き、弾のセット。

マグナムは最大で六発しか撃てず、さらに【フェザー】は自動装填されないタイプだ。

 

「さてファーストキルは上げたことだし、私たちの番だね!」

「さあ、ド派手に行こうぜ!」

 

そこからは、蹂躙が始まった。

 

「今日の天気!晴れときどき銃弾!」

 

コブさんが両手にサブマシンガンを持ち、数々のハエを撃ち抜いた。

 

「…消え失せろ」

 

じいさんが刀を抜けば、一直線上のハエは次々にカットされていった。

 

「…私たちの世界を返しなさい」

 

マスターは両手の指の間に火炎瓶を持ち、ハエを燃やしていった。

 

「ぶちかませマイ相棒(バディ)フライ(ハエ)ハァァァァァイ!!」

 

ヒバリさんは腰に展開式の箱を装備し、打ち上げられるホーミングロケットミサイルでハエを爆散させた。

 

「す、すごい…」 

 

みんなのやり方はとても美しかった。

効率的に、それでも自らの思念を込めてハエを殺している。

蹂躙が終わった頃には、おびただしい数の死体が出来上がった。

その死体もマスターが焼き払い、結局俺の成果は一匹だけ。

 

「よし、帰るか」

「ふーっ、楽しかったぁ!」

「……」

「まだまだ、動けるのぅ」

 

 

すっきりした顔で笑うみんなの顔は狂気を感じた。

 

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