第2話です!
「どないしましょ⋯⋯」
『自業自得よ』
氷のように冷たい返事をするパーフェクト刀(自称)の氷姫さん。
まあ、絶賛地面とキス中の俺にはお似合いの言葉ですとも、ええ。
「ぐすん⋯⋯っ、体が動きませぇぇん⋯⋯」
今の俺の状態を一言で表すと“うつ伏せ”である。
『そりゃ、私の力を連続で使えばそうなるわよ。⋯⋯何度も何度も注意はしたんだけどねぇ?』
くっ、自業自得なだけに反論できない!
そうさ!俺は氷姫の力に興奮して周囲に生えてる木を片っ端から凍らせまくったよ!
でも仕方ないじゃん⋯⋯カッコいいんだもの!!
『あなたがバカなのはよく分かったわ。⋯⋯でも、これで理解したでしょう?私の力を扱うにはそれなりにリスクがいるのよ』
うん、すっごい脱力感に襲われてるよ。
口を動かすのも一苦労だから心の中で会話よろしく。
『はいはい。でも、私に慣れれば多少の無茶は出来るようになるからそこは努力次第ね。後は根本的にキースが貧弱』
ねえ、最後の辺りが辛辣じゃね?
確かに、俺は賞金稼ぎと名乗りつつも一度も賞金首を捕らえたことないけど。
『えっ、つまり自称ってこと?自分で恥ずかしい事言ってる自覚あるのかしら?』
うるさいよ自称パーフェクト刀。
そ、そんなことより⋯⋯俺はいつまでこの状態が続くんだ?
もうすぐ日が暮れちまうよ⋯⋯。
俺は何とか頭だけを動かして周囲が暗くなっていくのを確認する。
『それはキースの回復力次第よ』
氷姫の言葉で不安感が一気に増す。
そんなバカな⋯⋯!?
この島には獰猛そうな獣がたくさんいるんですけど!獣からしたら生肉が放置されてる格好の餌だよ!?
お得意の不思議な力で助けてください氷姫さん!
俺は頼みの綱である宝刀“氷姫”さんに懇願するが━━━
『神にでも祈りましょうよ』
なんと無慈悲なお言葉なのか。
俺は心ながらに涙しつつ、静かに神様へ祈るのであった⋯⋯。
▽■▽
「神様、ありがとう⋯⋯ッ!!」
『私のアドバイスのお陰ね!』
「てめぇは見捨てただけだろうが」
という訳で、無事に夜を越すことが出来た。
いやぁ、真っ暗闇の中で獣の唸り声とか、草木の動く音とか、鳥の鳴き声とか色々あったけど⋯⋯奇跡だわこれ。
神様って本当にいたんだな⋯⋯。
俺は海の向こうで輝く朝日を眺めながら、しみじみそう思う。
「よし!体力も回復したし、戻って酒場のおっちゃんに自慢してやろう!」
『洞窟の中から出るのは何十年ぶりかしらね〜』
「あんな所に何十年もいるなんて俺には無理だな、バカになっちまうよ」
『あなたは既にバカだと思うけど』
「海に投げ捨てるぞテメェ」
氷姫と和気藹々と会話しながら海辺を歩く。
確かこの先に俺の小舟が停めている筈だ。
他の奴等が見れば鼻で笑うような小舟だが、俺にとっては相棒に等しい。
この島に来るときだって、海王類と生死を賭けた鬼ごっこ(ずっと海王類が鬼)したしな。
正直なところ、帰りも鬼ごっこになったら沈む自信がある。見つからないことを願おう。
『結構歩くけどまだなの?』
「んー、もう少しだと思うんだが」
氷姫が飽き始めてきている。
ふむ、確かにおかしい。
かれこれ一時間は歩いてる気がするぞ。
この島はそこまで大きくないから、四時間もあれば一周出来るんだが⋯⋯あれぇ?
「も、もう少し進んでみよう」
俺は疑問に思いながらも足を進める。
嫌な予感がしなくもないけど、俺は信じない。
だって神様が付いてるんだからね!
〜〜〜三時間後〜〜〜
「うっそぉ⋯⋯」
『あら、ここは最初にいた場所じゃない?』
とても見覚えのある場所に辿り着いた。
所々木々が斬られたり、凍らされたりと酷く荒らされているから印象深い。
━━━まあ、荒らしたのは俺だけども。
そう、ここは船を探し出すスタート地点だ。
小舟相棒が見つからないまま一周しちゃったよ。
『つまり?』
「船が無くなったんだよ!」
『もしかして海に流されたのかしら』
「そ、そんな⋯⋯!流されないようにロープで結んでおいたのに⋯⋯」
俺は絶望に包まれ、その場に膝をついてしまう。
相棒がいなかったらどうやって帰ればいいんだよ⋯⋯!泳げと?海王類に襲われながら泳げと?
『げ、元気出しなさいよ⋯⋯』
わりぃな、氷姫。
かなり精神的ダメージが大きい⋯⋯。
『何とかなるわよ、きっと!船が無くなったなら作ればいいじゃない!』
「俺にそんな技術力は⋯⋯⋯⋯ん?作る?」
虚ろな目で海の波を見ていると、氷姫の言葉に引っ掛かった。
その瞬間、俺の頭の中でピン!とくる。
「そ、そうだ⋯⋯無ければ作ればいいんだよ⋯⋯道を!!」
俺には造船技術なんてないし、下手に造って海のど真ん中で沈没じゃ笑い話にもならない。
なら、見方を変えよう。
海に沈まないようにするにはどうすればいいか━━━
凍らせちまいましょう!
世の中に絶対はないからね。
ロープで縛ってても流されちゃうことだってあるさ!