喋る刀と大海賊時代を生き抜く   作:オハギ

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7話です!


7話 小動物は癒しです。

 

 

「⋯⋯え、本当にやるの?」

 

「ああ、本番前の肩慣らしに付き合ってくれ」

 

 

 ふむ、何故こうなったのかね。

 

 

 海に揺られる帆船の甲板上で俺は、腰に三本の刀を引っ提げた緑髪の剣士⋯⋯ロロノア・ゾロと向かい合っていた。

 

 ゾロはゆっくりと、しかし手慣れた動作で三本のうち二本の刀を両手で引き抜く。

 その間も彼は俺への視線は逸らさない。

 

 何と鋭い目だろうか。

 まるで獲物を噛み殺さんとする野獣だよ。

 

 ⋯⋯いかん、チビりそう。

 

 俺は内心で涙目になりつつ、同様に氷姫を抜いて構える。

 しかし、そんな俺とは対照的にゾロは口角をあげ、獰猛な笑みを浮かべていた。

 

「それに⋯⋯あんな好戦的な目をされちゃ、同じ剣士として受けないわけにいかねェだろ?」

 

 ゾロの言葉に俺は首を傾げた。

 

 んん⋯⋯?

 好戦的な目⋯⋯え、何時してましたっけ?

 まったく身に覚えのない事に、俺はますます首を傾げていると━━━

 

『あー、私⋯⋯心当たりあるわ』

 

 うっそ!教えて氷姫さん!?

 

『ほら、少し前を思い出しなさい』

 

 手合わせが始まるまでの少ない時間の中で、俺は高速で過去を思い出すのだった。

 

 

 

 

 ▽■▽

 

 

 

 

 〜〜〜〜数十分前〜〜〜〜

 

 

 

 突如飛来してきた麦わら帽子の少年━━━モンキー・D・ルフィは、どうやら海賊の頭を務めているらしい。

 俺がプレゼントした海王類の残りを幸せそうに食べながら彼が教えてくれた。

 

 ほぇ、人は見かけによらないんだなぁ。

 こんな元気そうな人が海賊で、しかも船長とは⋯⋯。

 

『でも彼、結構強いと思うわよ?』

 

 氷姫の言葉に俺も心の中で頷く。

 うん、俺もそんな感じするわ。⋯⋯根拠はないけど、勘で。

 

 その後、彼の仲間達を乗せた船が俺達の元に追いつき、“アラバスタまで船に乗れよ!”とルフィから誘いがあったので御言葉に甘えることにした。

 

 甲板に上がる際、ルフィに掴まれて運ばれたときは心底驚いたよ。

 何せ、腕が伸びたんだもの。ビヨーンって。

 心臓止まるかと思ったわ。

 

『ほぎゃあぁぁぁっ、て叫んでたものね』

 

 う、ううううるさいよっ!

 それなら氷姫だって一瞬“⋯⋯きゃっ”って言ったの聞いたんだからな!

 

『⋯⋯そ、そんなの覚えてないわよ。そんな事よりも!キースも彼らに自己紹介くらいしたらどうなの?』

 

 ちっ、誤魔化しやがって。

 まあ⋯⋯氷姫の言うとおりでもあるな。

 

 俺は甲板上にいる8人⋯⋯いや、6人と2匹の海賊たちに挨拶がてら自己紹介する。

 

「どうも、キースだ!船長さんからのご厚意でアラバスタまで乗せて貰うことになった。短い間だけどよろしく!」

 

「おう、よろしく!」

 

 ししししっ!と笑うルフィ。

 

 俺はその笑顔を見て、改めて不思議に思った。

 世の中には色んな海賊がいるもんだ。⋯⋯いや、この笑顔の裏には残虐性が隠れてるのかも。

 

 むむむっ、と考えていると、他の二人から声をかけられる。

 

「しっかしお前ェ⋯⋯海の上を歩いてたよな?」

 

「正確には海に出来た氷の道⋯⋯よね。あなた一体何者?能力者?」

 

 話し掛けてきたのは長鼻が特徴的なウソップと、肩口まであるオレンジ色の髪をしたナイスプロポーションな美女のナミだった。

 

 一瞬、ウソップが知り合いに似てたもんで驚いたぜ⋯⋯特に鼻が。

 

「俺は悪魔の実を食べてなんかないよ。海を凍らせたのコイツの力さ」

 

 俺は腰から鞘ごと氷姫を引き抜き、二人に見せる。

 信じられないのか、刀をジロジロと見渡す二人に氷姫は少し不満を溢す。

 

『あまり、見られ過ぎるのは好きではないのだけど⋯⋯』

 

 まあまあ、我慢してくれ。

 

 因みに、氷姫の声は適合者である俺にしか聞こえてない。だから、俺が声に出して氷姫と会話しても一人言にしかならないらしいんだ。

 

 危ない危ない。

 知らずに声に出してたら完璧に変人扱いされてた。

 

 俺は冷や汗を流しつつ、氷姫を腰に差し直す。

 あ、ごめんね二人とも。

 氷姫さんが見られるのあんまり嬉しくなさそうだから⋯⋯。

 

 ウソップとナミに一言謝ると、次は青い長髪を一纏めに結った女性⋯⋯これまた美女のビビが質問してくる。

 

「アラバスタにはどんな用事があるの?」

 

「えっ⋯⋯ええっと〜。⋯⋯観光、的な?」

 

「何でそんな悩む必要があるんだよ⋯⋯変な奴だな」

 

 金髪でぐるぐる眉毛のサンジが、俺の返答に眉を潜める。

 

 うぐっ⋯⋯!

 い、言えない⋯⋯、永久指針を買い間違えたからなんて事は言えない⋯⋯!

 言った瞬間に俺へのイメージはポンコツ剣士になってしまう!!

 

 そんな俺に、角の生えた二足歩行の小動物⋯⋯チョッパー君が“なあなあ!”とキラキラした目で見上げてくる。

 

「その刀って氷出せるのか!?」

 

「う、うん。出せるけど」

 

「すげェな!ちょっと見せてくれよ!」

 

 うん、可愛い。

 何この子⋯⋯超可愛いんだけど。

 角の生えたタヌキが喋ってるのは不思議だけど、そんなの気にならないくらい可愛いなぁ。

 

 実際に、チョッパー君の掌に氷を創り出してあげると凄く喜んでた。

 

 うむ、癒しである。

 

 そして、目の前で氷を出したことで他の船員も少しは信じてくれた様子。

 ルフィも凄く目を輝かせて氷姫を見ている。

 

 いやぁ、人と話すのってこんなに楽しかったかな。

 もうね、俺満足!

 賞金稼ぎ(自称)が海賊と仲良くしてどうすんだ、って氷姫から言われたけど⋯⋯。

 

 そもそも、彼らは賞金首なのか?

 まあ、偉大なる航路にいるってことはたぶんそうだろうけど⋯⋯。

 分かんないから取り敢えずスルーってことでいいでしょう。

 

 それよりも、俺はマストに体を預けて胡座をかいている緑髪の男に近づき、話しかける。

 

「えっと、ゾロ⋯⋯だっけ。刀3本ってことは三刀流なのか?」

 

「ああ?」

 

 ひえっ。

 話しかけたら凄い睨まれた。

 し、しかし俺はめげない!同じ剣士として話してみたい事が沢山あるのだ!

 

「お、俺⋯⋯二刀流までしか見たことないからさ。⋯⋯い、良い刀達だねっ!はははっ⋯⋯ははっ」

 

 やっぱり駄目でした。

 めげそうです。

 

 しかし、刀を褒められて嬉しかったのかゾロは満更でもない様子だった。

 

「へぇ⋯⋯見る目あるな。お前の刀も相当の業物だろ?」

 

「お、おう!かなり癖のある刀だけどね」

 

「氷の力を持った刀にも驚いたが━━━それ抜きでも強ェだろ⋯⋯お前?」

 

「そういうゾロこそ、強いでしょ」

 

 ゾロから感じる雰囲気は⋯⋯ピリッとしたものだった。

 

 というか、三刀流⋯⋯?

 二刀流は両手で刀を振るうから二刀流だけど、三刀流はどうするんだろ。

 

 俺はゾロと3本の刀を交互にじっと見つめる。

 

 足で掴む?いやいやそれは流石に無いよな。

 ふーむ、まさか⋯⋯口で?

 

 それこそあり得ないか。

 もし俺だったら刀をくわえて斬り合ったら、その瞬間に歯を全部持ってかれるわ。

 

 ━━━と、失礼ながらまじまじと見ていた所⋯⋯。

 

「面白ェ⋯⋯っ」

 

「ん?」

 

「キースっつったか。ちょっと相手して貰うぜ!」

 

 

 え、なんで⋯⋯?

 

 

 

 

 〜〜〜〜現在〜〜〜〜

 

 

 

 

 ふむふむ⋯⋯成る程ね。

 そして今に至ると━━━つまりこれはあれか?

 

 誤解、というものではないのかね⋯⋯氷姫よ?

 

『ピンポーン、たぶん正解!』

 

 ええぇ⋯⋯。

 ここまで嬉しくない正解を貰ったの初めてなんだけど。

 

 俺はガクッと肩を落とすが、ここまで来てしまった以上手合わせは避けては通れないだろう。

 しかも━━━

 

「ゾロ、怪我させんなよー」

 

「ちゃんと加減してやれよ、マリモ」

 

「しししっ!おもしれー事になってんなー!」

 

「ふ、二人とも頑張れ!怪我したら俺が治してやるからな!」

 

「船を壊さないようにね〜」

 

「はぁ、Mr.ブシドー⋯⋯あなたって人は」

 

「クエッ!」

 

 

 ギャラリーが一杯だぁ⋯⋯。

 






チョッパーかわえぇぇよ〜
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