ACE TEITOKU THE INFINITY SKYS 鬼神、亡霊、そして死神 作:オメガ11
村雨の病室に着いた土屋が目にしたのは、ロケットの破片で片目と左手と右脚を失った村雨の姿だった。流石の土屋も言葉を失った。
「提督、お疲れ様です♪」
いつもの調子で村雨に話しかけられ、我に返る。
「そ、その……謝って済む話じゃないが……済まなかった!俺がもっと早くアレを片付けていれば……」
上司と部下という立場がまるで逆転したかのように深々と頭を下げる土屋に村雨は驚いた。
「いいんですよ……ただ不運だっただけですから…」
残った右手で土屋の頭を撫でる。こんな小さな少女に気を使われて平然としてられるワケも無い。
「とにかく、こんな仲間1人護れない俺に何か罰を……もちろん死ねと言うならココで死ぬのも辞さない…いっそ直接殺ってくれ」
マテバを差し出すと、村雨はそれを受け取りテレビの横に置いた。
「そんな事……出来るワケ無いじゃないですか……村雨にとって大事な……たった1人の提督なのに……」
「でも………」
「さっき青葉さんに聞きましたよ?発射される直前、提督がジャミングしてロックオンを外してくれたって……もしそれが無かったら、今頃村雨は粉々になって海を漂ってますよ………」
右手で土屋を抱きしめる。土屋も段々と落ち着いてきた。
「でも何も無しっていうのは流石に納得出来ないから、何か頼み事とか聞いてあげたいんだけど…何かあるかな?」
「じゃあ1つだけ」
「何だ?」
「ここの皆は1人部屋じゃない?」
「そうだね」
「村雨、部屋に戻ったらこのままだと不便だし、手伝って貰うにも白露型の皆は忙しいし、だからね……」
「?」
「提督の部屋で……暮らしたいなぁ、なんて///」
「良いよ」
「……へ?」
「こうなったのは俺のせいでもあるしいいよ。あんまりオシャレな部屋じゃないけど…」
「ありがとう提督♪」
こう言ってはいるが本人もカラ元気に近いのだと土屋は感じた。
「だが2・3日待ってくれ、部屋の準備が要るんだ」
「もちろん大丈夫よ♪」
自室に帰ると、まずは家具の調達と配置を考える事から始めた。すると7人が続けて入ってくる。秋月と涼月と瑞鶴と大鳳と吹雪と二航戦の2人だ。この7人の共通点を思い出す。そして思い出した。それぞれ対空射撃の撃墜数(2人が同率1位)、空対地射爆撃、飛行隊毎の撃墜数、対潜戦、前線までの往復の航路の制空というジャンル別MVPだ。賞品は何か1つお願いを聞くというものだ。
土屋「皆揃ってどうした?」
吹雪「司令官、お願い決まりました!」
大鳳「私も決まったわ」
秋月「司令、秋月も大丈夫です!あと涼月と同じお願いでした!」
瑞鶴「私も!」
蒼龍「私達もだけど、正直全員同じお願いなんだよねぇ…」
土屋「全員同じ?何だ?」
涼月「実は……かくかくしかじか」
土屋「は?」
とんでもないお願いが来た。さっき村雨が来る事になったのにさらに俺と同棲の申し込みだ……まだ増えるのか………
いや、それよりもこの男女比!
某ラノベかよ!
あと部屋のスペースが……()
しかし断ると可哀想なので、何とかすると引き受けてしまった。大急ぎで妖精さんに家具を発注し、寝床テトリスを始める。1つしか無いベッドは村雨に当て、それ以外の全員は床に布団敷いて寝る事にした。何とか同じ部屋で寝れるが、窮屈なのに変わりは無い。また隣の使ってない部屋と繋げ、より広くする工事も妖精さんに頼んでおいた。それでも1週間は現状で生活する事になる。
「仕方ないかぁ……」ハァ
年頃の女の子の欲しいものがわからず、とりあえず「何でもいい」と言った事をちょっとだけ後悔しつつも、自分と同じ部屋に居たいと言われるのは結構嬉しかったりしている。
〜数日後〜
全員が部屋に来た。とりあえず荷解きをして、ホームセンターで買った棚に服等を仕分ける。
瑞鶴「さて提督さん!今日は何月何日?」
土屋「ん?12月の23日だが?天皇誕生日以外に何かあったか?」
瑞鶴「じゃあ買い物行こっ!」
土屋「何だ?何かあるのか?」
土屋以外全員「……」(°д°)ポカーン
蒼龍「いや提督、流石に嘘でしょ?」
飛龍「ここまで鈍いとは……」
吹雪「し、司令官!あ、明日が何の日かは分かりますよね?」
土屋「明日?24日だろ?一体何が………あっ、クリスマスか!」
涼月「今更………」
土屋「いや、すまんすまん……昔から1年の中で一番縁のないイベントだったから………」
秋月「じゃあ司令の初めてのクリスマスパーティーしましょう!」
瑞鶴「そうしよーっ!」
全員乗れるクルマが無かったのでマイクロバスで買い物に出掛けた。いつものイ〇ンモールだ。買う物別で別れ、手分けして買いに行く事になった。俺は秋月型の3人を連れて百均でクラッカーやその他もろもろのパーティーグッズを買い揃えた。
鎮守府に戻り準備をしていると、大淀が小包を持って来た。
「提督、防衛装備庁からお荷物が届いております」
「すまんな、ありがとう……なんだこれ?」
大淀が小包と封筒を渡してきた。小包の中身は小さい箱のようだ。
まずは封筒から開けた。
「コレは………」
それは何と村雨の改二の素案だった。むらさめ型護衛艦の装備とこれまでの戦闘記録を元に性能のバランスに優れた艤装にするらしい。何より改二改装で欠損した四肢も元に戻るそうだ。
すぐ判子を押して明石に作業を命じた。
「次はこっちか…」
中にはどう見ても結婚指輪の箱と書類が入っている。
「説明書付いてるな……どれどれ?『この指輪は艦娘に装備することで練度を大幅に向上させ、さらに燃費の改善や一部スペックも上昇する。ただし装備すると外せず、また提督も同じ指輪を着用する必要がある。そのため使えるのは1人だけとなる。相手は慎重に選んで欲しい』か………ってコレ完全に結婚じゃん……」
そう呟いた瞬間、その場に居た艦娘達が一斉にこちらを向いた。
瑞鶴「てーとくさん!だだ、誰に渡すの……?」
土屋「お前……落ち着け、目が怖いぞ…そうだなぁ、まだ決めてないな」
蒼龍「じゃあさ提督、どんな娘に渡したいの?」
土屋「そうだなぁ……やっぱり俺の事を一番思ってくれる娘かな…」
飛龍「なるほどねぇ……提督、私達用事出来たからパーティーはやめとくね?」
土屋「お、そうか…」
その後、その場に居たメンバーが次々と参加を取りやめた結果中止になってしまった。
〜24日〜
今日はせっかくなので全員休みにした。俺は書類を片付けるために執務室に籠ってるが。
「すまんな秋月、手伝わせて…」
「いえ、大丈夫です!シュッと終わらせましょう!」
「そういえば他の皆はどうしたんだ?」
「そ、それが……司令の御相手には誰が相応しいか会議をしてるみたいで……」
「秋月はいいのか?」
「はい!秋月、司令と一緒に居る方が楽しいです!」
「……」
「司令?」
「あぁいや、何でもないよ」
「そうですか♪」
〜夕方〜
「終わった〜!」
「お疲れ様です、司令♪」
「秋月もありがとな〜!どうだ、一緒に飯でも…」
「え、いいんですか?!」パアァ
「おう!」
ケータイで予約出来る店を探す。
「うーむ………」
「どうですか?」
「焼肉屋なら取れる」
「じゃあそこにしましょう!」
「秋月が良いならココで!」
予約し、クルマで15分ほどかけて向かう。
2人とも朝から仕事があったので空腹の極地に達しており、食べ放題の焼肉屋は非常にありがたい。
「さて、着いたし食うぞ〜!」
「ですね!」
座敷席に通され、端末で注文して来た順に焼いていく。
たまにはこんな贅沢も良いだろう。
秋月の食べっぷりが中々良い。駆逐艦とは思えないぐらいだが、年頃の女の子が美味しそうに頬張る姿は見ていても飽きない。
「決めた……」
「…?司令、何か仰いましたか?」
「いや何も?」
「そうですか♪」モグモグ
「秋月、タンにねぎ塩乗せてみな!旨いぞ!」
「分かりました♪パクッ…あ、とっても美味しいです!」
〜その日の晩〜
「司令、秋月をお呼びですか?」
「あぁ、えっとだな…」
「あの、対空戦に不備が……」
「いや違う違う!昨日してた話、覚えてる?」
「あの指輪ですか?あ、もしかして翔鶴さんに?呼んできます!」
「い、いやそうじゃなくて……」
ポケットから指輪の入った箱を取り出す。
「ストレートに言おう。俺と結婚……してくれ」
「…………???」
「秋月?」
「もしかして…これ…ありがとうございます…!」
断わられなくて良かった……
「司令、改めてよろしくお願いします♪」ダキッ
「あぁ、こちらこそ!(かわいい…///)」ギュウッ
我ながらチョロい男だと思いながらも無事結婚出来た。
スピード婚だが、精一杯彼女に尽くしていこうと心に誓った。
はい、安定の滅茶苦茶ストーリーですね()
文才のNASAが光っております
まぁそれは自分が1番よく分かってるので
書く時間と気力体力の少なさに苦労しております
今回は秋月との結婚という事ですが、当初の予定では別の話にするつもりだったんですよね
ただ自分がクリスマスイブに単婚で秋月と結婚したのでどうしてもそのネタを使いたくなりまして…
次回はまぁ、なるべく砂糖吐くような話に出来るよう頑張りたいです()
希望が余りにも多ければ夜戦(意味深)版もやるかも?()
ではまた次回お会いしましょ〜