ACE TEITOKU THE INFINITY SKYS 鬼神、亡霊、そして死神 作:オメガ11
大淀と通信室に来た。
「それで、何があったんだ?」
「それが……深海棲艦から通信が…しかも暗号化されてません」
「……は?」
以前から一部の強力な個体が言葉を使うという情報はあった。しかし直接こちらに話し掛けて来るとは想定外だ。
「で、その内容は?」
「それが……」
メモを渡してきた。通信の内容が書かれている。
『一昨日、我々が開発した新型艦が実戦試験中に命令系統を外れ、突如制御不能になった。直ぐに破壊作戦を展開したが、新開発の強力な装備を持つため破壊出来なかった。制御を受け付けないため、このままだと民間含めた無差別攻撃が発生する。その為、貴官らの力を貸して頂きたい。条件付きでも構わない。早めの返信を乞う。』
「提督、どうされますか?」
うーん、としばらく考える。
「よし、こう打電してくれ。『了解した、そちらの要請に応じる。しかし条件がある。それはそちらが欧州と台湾で実行している上陸作戦の即時中止・投降とその新型艦についての全てのデータ等の開示、全軍の武装解除が条件だ。これはこちらがこの作戦に集中する為にどうしても必要な事だ。それが確認され次第すぐさま作戦行動を開始する』とな」
「まさか応じるんですか!?」
「アイツらの言う新型艦と俺は交戦した。あの厄介さを知ってる。さっきの作戦の途中の衛星画像を見てみろ。護衛艦隊の旗艦なのに上陸船団を護衛してない。あの新型艦は何らかの方法で味方の護衛艦隊から離脱したのだろう。」
「ですがその証拠は……」
「さっきの俺の機体の無線のデータを聞き返してみろ、俺もびっくりの音声が記録されてる」
土屋はF-2の無線記録が入ったUSBを手渡した。帰投中に気になり聞き返していたが、余りに強烈な内容だったのでコピーしたのだ。大淀はそれをPCで再生する。
《本艦は現時刻をもって、護衛艦隊より離脱する!》
«何を言ってる!?»
《分からんか》
「………提督、コレは…」
「あぁ、つまりアレは第3勢力、共通の敵だ」
「では……共同戦線を張るんですね…」
「そうなるな」
大淀は先程の通信を送る。すぐに返答があった。
《了解した、すぐに投降と地球上で活動する全部隊の武装解除、並びにデータ提供を行う。我々を助けて欲しい》
「めっちゃ反応早いな……ツイ廃かよ……」
「提督、武装解除させたなら上手くやれば終戦に持ち込めるのでは?少なくとも休戦協定締結のチャンスかもしれません」
「それはまぁ後だ、向こうはこっちの頼みを聞き入れた。敵とは言えこの反応は賞賛するべきだ。なら今度はこちらが応える番だ」
衛星画像を確認する。既に動いてるようだ。国連軍からも続々と投降したと連絡が入る。
「よし大淀、向こうがこっちの要求に対応してる間にこっちも作戦を考えるぞ」
全員をブリーフィングルームに集める。
「よーし、全員集合したな?まず、普段のブリーフィングであれば俺から作戦を伝えるのだが今回は違う。恐らく通常攻撃では破壊不能な目標だ。その為まずは、全員の意見を聞きながら作戦立案から始める。そうすれば全員納得して作戦に参加出来るしな」
UAVが撮影した敵艦の画像をモニターに出す。
「コイツが件の目標だ。見ての通りヲ級をベースに大幅な設計変更を加えたものと思われる。もうじき開発データが届くが、それまでに現時点で分かってる事を伝える。」
頭の艤装を指し棒で指示する。
「通常のヲ級であれば、ここに製造番号が12桁で記入されている。だがこの個体は見た限りそういった表示が無い。よって今作戦では当該目標を、
無号機の顔面を拡大する。目の部分が六角形を組み合わせた形になっている。隙間なども見当たらず装甲板のような素材に見える為、恐らく視界は無いだろう。
「この形状からして、目標は盲目の可能性がある。しかし、ASM-3をシールドを展開して受け止めた。レーダー等の機材が優れているか何か別の方法で周辺の状況を把握してるのだろう」
そこまで説明した所で、データがヘリで届けられた。
土屋がそれを一通り読んだ所で、その資料をモニターに表示する。
「まず、1番の問題であるシールドの展開場所を先に伝える。この肩の部分の装甲板、コレが発生装置らしい。それから状況把握能力だが、光学・音響・電波・赤外線を全身を駆使して計測する、つまり全身がセンサーらしい。よって先にセンサーを潰すのは不可能だ。先に肩のシールド発生装置を破壊する方が好ましいだろう。問題はその方法で、何か意見はあるか?」
手が幾つか上がる。
「はい飛龍!」
「えーと、ステルス攻撃機で誘導爆弾とかどう?」
「ダメだな、回避されやすい上に音でバレるな。それにステルス性だって絶対ではない」
「はいっ」
「お、古鷹か」
「はい、長距離からの砲撃はどうでしょう?」
「悪くは無いが…」
別の画面を見せる。UAV等を使って威力偵察を試みた時の記録だ。
「このデータからわかるように、一定範囲内の敵を問答無用で排除するようになっている。通常砲撃では射程圏内には入れない。先の航空攻撃では、ポリ窒素式の空中炸裂弾頭による範囲攻撃と熱線による射撃でこちらの航空機を迎撃していた。観測機も接近不能、視程距離での直接照準では熱線を受け、レーダー射撃は感知される。砲撃は困難だ」
「テートクー!」
「金剛、何か思い付いたか?」
「潜水艦による狙撃か
「魚雷のキャビテーションノイズと雷速から難しいだろなぁ」
「あの、提督…」
「ん?涼月か」
「弾道弾は…どうでしょうか?」
「弾道弾……いや、それはアリかもな……問題はどうやって奴に察知されないかだが……」
「司令官!」
「朝潮か、妙案があるのか?」
「砲撃や弾道弾以外の攻撃に釘付けにするのはいかがでしょうか?」
「ふむ……」
ホワイトボードにTGTと書かれたマグネットを貼る。そのマグネットを中心に放射状に矢印を引いて囲む。
「このぐらいの距離から完全に包囲した状態でトマホークを乱射して飽和攻撃すれば……更にミサイルの誘導装置からのデータをデータリンクして共有すれば……いや待てよ、弾道ミサイルの発射準備、今からで間に合うか……?」
「はーい!」
「何だ、夕張?」
「それなら、こんなものはどうでしょうか?」
書類を渡してきた。
「なになに…?『戦艦用主砲の電磁投射方式の採用とそれに伴う新型弾薬について』何これ、俺知らないんだけど?」
「無断でやっちゃいました!」
「お前はよォ……まぁいいや」
ペラペラと書類を見ていく。火薬と電磁石を組み合わせて初速の圧倒的な高速化とそれによる射撃精度と射程距離の向上が謳われている。また新型弾薬については戦車砲で用いられる120mmのAPFSDS弾を薬莢と装弾筒を換装して使用する事で弾体の共通化と射程延長を実現したと書かれている。
コレに賭ける価値はありそうだ。
「夕張、コレを大和と武蔵の分だけ用意する事は出来るか?」
「もちろんです!」
自信があるのか即答だった。
更にその後も議論に議論を重ね、最終的にこのような作戦となった。
輪形で大規模な包囲陣形をとり、航空機・通常艦艇による遠距離からのミサイル飽和攻撃で目標を迎撃に集中させる。
↓
更にその外側から大和と武蔵で超長距離レールガン砲撃を行い、シールド発生装置を破壊
↓
唯一用意出来た弾道ミサイルに気化爆弾を改造した特殊弾頭を搭載して高高度から攻撃、熱線の発射装置とポリ窒素弾の砲身を破壊
↓
近距離攻撃で止め
すぐさま準備に取り掛かる。国連軍以外にもインドやオーストラリア等の軍にも協力を要請し、最初の飽和攻撃をより濃密な弾幕に出来るようにする。
作戦開始は明朝の正午となった。夜には艦娘を乗せたC-2やUS-2、航空部隊への空中給油の為のタンカーが離陸した。
土屋も僚機と共に最終段階での攻撃部隊としてA-10Sで出撃した。
このA-10Sは、明石が開発したA-10Cの改良発展型である。主翼を交換する際に、主翼の素材と内部構造を見直して軽量化と強化を行い、エンジンは基本設計はそのままにアフターバーナーを追加している。また電子機器の近代化とレーダーが追加された他、防弾構造の強化も施された。そして最大の特徴は、胴体下に装備された電磁投射砲だ。アークライトと名付けられたそれは、X-02Sで採用されたものを改良して搭載している。砲身温度が一定以下、かつスーパーキャパシタの充電量が十分であれば最大で4連射も可能な仕様になっている。固定式のため対地対空問わず使用でき、また艦艇をも撃ち抜く強力な貫通能力を持つが、効果範囲はほぼ点になるので命中させるには熟練の技が必要となる。物理的にはほぼ全ての装甲を無力化すると言われている。
徹夜で移動し、何とか作戦開始時刻には間に合った。
目標は深海棲艦部隊が引き付けているが、ほぼ壊滅状態にあるようだ。
しかしそのおかげで我々は安全に包囲出来たワケだ、その事に心の中で感謝する。
囮部隊を退かせ、艦艇や航空機から大量のミサイルが撃ち込まれる。あらゆる手段でそれを迎撃する無号機。それが数分続いた所で、遥か彼方から大和達の砲弾が降り注いだ。数発が迎撃されるものの、その巨大な速度エネルギーでシールドを貫通し、両肩の発生装置を破壊した。
間髪を入れず、気化弾頭の弾道ミサイルが飛び込んできた。見ると熱線の照射装置等の兵装が大きく破損していた。行けると確信した土屋は、専用の照準器でアークライトを撃ち込む。
4発の弾薬は初弾で無号機の耳から上を吹っ飛ばし、次弾で顎から上を弾き飛ばし、3発目で首から上を完全に消し飛ばした。最終弾で片足を膝上で切断した。
「こぉれで行くかぁ?!」
しかし、目標は片足でも平然としている。
残された対空火器で濃密な弾幕を張る無号機。
それらをギリギリで回避していく。完全にかわせなくても弾薬は機体の塗装にキズを入れる程度で掠めていく。
翼下のAGM-65を2発撃ち込む。対空火器がそちらに張り付いた瞬間に針路を変え、バレルロールアタックで機首のGAU-8を200発程射撃する。さらに機体を立て直すと上空を飛び抜ける瞬間にCBU-71ナパーム弾を2つ投下する。目標は爆炎に包まれるが、この程度の火力ではと言わんばかりに片足で立っている。ECMポッドを作動させつつ急上昇し、太陽を背にして急降下する。そのまま2.75インチロケットを一斉射した。片腕をもいだが、やはり致命傷にはならない。空のランチャーを投棄し、頭の無い首の断面に向けて再び機関砲を150発程度射撃して一度距離を取った。
-同時刻 土屋の交戦海域の東10km-
艦娘部隊は無号機の戦闘能力の喪失をもって止めの総攻撃を行う予定になっている。秋月型姉妹もその中にいた。
秋月「あの、青葉さん…本当に司令1人で大丈夫なんでしょうか……」
青葉「大丈夫です!一緒に飛んだ事があるので保証します!」
秋月「うーん……(嫌な予感がします…)」
土屋は考えていた。残された弾薬で如何にこの強敵を倒すかを。
無誘導爆弾、ナパーム弾、AGM、FFAR、GUN、EMLと試したが効果はイマイチ。燃料も帰投用を入れると残弾に対してかなりギリギリ、かと言って補給に戻る訳にも行かない。どうするか…
「悩んでもしょーがねーか…」
弾幕を躱しつつ接近すると、翼下の弾薬を全て撃ち込んだ。四肢を失った無号機は艤装の一部を残したまま海面に座り込んだ。爆煙が晴れ、その様子を確認した瞬間だった。
艤装の側面が開くと、何か擲弾のような物を打ち出した。グレネードだ。それと同時に無線が入る。
«秋月です!司令、援護します!»
打ち出された弾は接近する秋月に向かっていた。
《おい、避けろ!》
直後、秋月が轟音と共に爆発に巻き込まれた。
《コロス……てめーだけはぜってー殺してやる!》
擲弾筒に向けて機関砲を撃ち込む。同時に対空機関砲に右主翼の外側半分を吹き飛ばされる。上空を通過すると残った右主翼のフラップを下げ、BLC(境界層制御)を作動させると共にエルロントリムを素早く調整してバランスを整える。残った燃料を全て使い切るつもりでA/Bを使って急上昇し、スロットルを絞らずにインメルマンターンで突入する。そのまま急降下しながら機関砲とEMLの残弾を全て叩き込み、両足の間のレバーを引いた。
ベイルアウトだ。
機体は無号機に吸い込まれるように墜落し、座席と分離した土屋はパラシュートが作動した。
空中でパラシュートを切り離すと、艤装が全壊した無号機の真上に落下した。着地と同時にサバイバルキットのナイフを無号機の胸に突き立て、心臓の辺りを抉り取った。ホルスターから拳銃を抜くとその傷口に銃口を捩じ込み、心臓に向けて全弾射撃した。撃ち尽くすと拳銃を投げ捨て、ナイフと手で臓器を掻き出してバラバラに海に撒き散らした。最後に心臓を取り出すとそれを引き裂きいた。
「てめーに脊髄なんざ必要ねぇ…」
ナイフで脊髄を引き抜くとそれをへし折った。
すると残骸の中に灰色の箱を見つけた。液晶が付いており、何かのカウントダウンが進んでいる。カウントゼロまで残り2秒弱だった。
「し、司令が………そんな……」
ダメコンで救われ、海上にへたりこんだ秋月が見たものは、土屋が無号機をバラバラにした直後に残骸が大爆発した光景だった。遠くからでも分かる程の爆発で、どう見ても土屋は巻き込まれていた。
そこへ照月と涼月が合流した。
「秋月姉!大丈夫!?」
「司令が…そんな………嘘…秋月もすぐ行きます…」
「ダメーッ!!」
錯乱し魚雷の信管を叩いて自決しようとした秋月を2人が止めた。
「秋月姉、早くドックに…!」
「それよりも司令を!」
「涼月、提督を探してきて!これなら良い?秋月姉…」
「司令……」
涼月は現場に向かい、秋月は照月と共にUS-2で先に帰投したのだった。それからも秋月は鎮守府まで泣き続けていた。
さて、長らくお待たせ致しました。
皆様、コロナが流行しておりますが体調は大丈夫でしょうか? 自分はコロナではなく睡眠時無呼吸症候群の症状に悩まされておりますが何とか生きてます()
イベント海域が始まりましたね。自分は攻略は最初から諦めていて、掘りメインで進めております。秋月型コンプリートも涼月と初月が合流したため達成しました。これを書いた時点ではタシュケントも入手しました。ここからはガングードとサラトガを掘っていく予定です。
深海棲艦からの要請で出撃しましたが、次回からは話を大きく動かしていきたいと思います。
もちろんその前に日常回も入れますが()
ちなみに脊髄を剥がす描写はドルフロのM4A1のセリフが元ネタです。ストーリー的には意味は無いです←
今日の格言
「予定は未定にしてしばしば変更される」