ACE TEITOKU THE INFINITY SKYS 鬼神、亡霊、そして死神   作:オメガ11

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久々に戦闘以外をやります。
タイトルは魂のルフランの歌詞から


ACT.18 記憶を辿り

一面のダークブルーだ。

 

これは空か?

 

いや違う。

 

そんな高高度にいた記憶は無い。

 

ならば答えは1つ。

 

ここは海中だ。

 

何かの音が聞こえる。

 

所謂死神の足音なのか?

 

違う、これは探信音(ピン)だ。

 

つまりアクティブソナーを使う何かが近くにいるという事だ。

 

敵か味方か、それは分からない。

 

いよいよ探信音がすぐそばに来た所で土屋は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蝉の鳴く真夏の日、懐かしい家が見える。

 

家から誰かが出てきた。

 

中2の時に亡くなったひいばあちゃんだ。

 

━おかえり、まったく暑いねぇ━

 

ガチガチに硬いアイスを渡してくれる。

 

そのまま庭でメダカを見ながらアイスをかじる。

 

懐かしい

 

あの頃が1番幸せだったのかもしれない

 

その後も記憶を辿るように色々な景色が見える。

 

初めての戦場、

 

黒金の巨鳥

 

初めて見た核爆発

 

かつての僚機から放たれるレーザー

 

空が砕けたあの日の夜空

 

そしてそれを迎え撃つ大砲

 

南国の島の上での大空戦

 

自分達を隕石のように攻撃する大砲

 

市街地上空の死闘

 

どこから撃たれたのか分からないミサイルで轟沈する味方艦隊

 

混合神経ガスが立ち上る街

 

砂漠の大規模戦闘

 

レーダー無しで逃げる練習機

 

岩盤を攻撃する戦闘機

 

混迷を極めた海

 

仲間達と飛び抜けたトンネル

 

落下する人工衛星

 

そして海面に落下したユリシーズから生まれた生物が人類を攻撃しているというニュースの画面

 

その専門対策部隊に配属された日

 

これが走馬燈か、やっとこれで休めるのか…

 

気付けば自分は何も無い闇に突っ立っていた。遠くに白い光が見える。あそこが出口なのか。戻ってもここに居てもしょうがないと思い、ゆっくりと光の方へ歩く。

その時、何かが背中に張り付いた。

だが不思議と驚かなかった。

むしろ何故か安心出来た。

それが何なのか誰なのか分からないが、引き戻そうとしてくる。

向きを変え、光とは反対側に歩いてみる。20歩程進んだ所で足場が無くなり落下し、そのまま再び意識が無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッ!!!」

 

 

あれは一体何だったのだろうか

窓の外からF-4のJ79ターボジェットエンジンの爆音が聞こえる辺り、どうやら夢から覚めたようだ。鎮守府のようだが、この部屋は見覚えが無い。

 

「知らない天井だ…」

 

そう呟いた瞬間、何かが胸に飛び込んできた。

 

「ひでぶぅっ!?!?」

「司令!!」

 

突然の事でモヒカンでヒャッハーな世紀末雑魚の断末魔ような声を出してしまう。

最初は誰か一瞬分からなかったが、声と胸に擦り付けられている頭ですぐに分かった。綺麗な黒髪とポニーテール、その結び目で揺れる高射装置…

 

「……秋月…」

 

両手にはギプスがされているので抱きしめたいのを我慢しつつ名前を呼んだ。

だが秋月は答えずにそのまま顔を胸に埋めたまま泣いていた。しばらくそっとしておこうと思った時、部屋のドアが開き、瑞鶴が入ってきた。

 

「あ、提督さん気がついたの!?おーいみんなー!」

 

他の艦娘達を召喚し始めた。

 

「提督さん、大丈夫?」

「今はな…まぁ怪我の程度が分からんから何とも言えんが…所で部屋が新しく出来てるように見えるが俺はどれくらい寝てたんだ?」

「えーと、一昨日でちょうど2ヶ月だね」

「ウッソだろマジで?」

 

サイドテーブルに置かれた腕時計を見てみる。この前の戦闘のせいだろうか、盤面にヒビが入っていたがデジタル表示は問題なく読めた。

 

「わーお……」

「あとね、秋月は毎日ここで提督さんを待ってたんだよ?何か言ってあげたら?ギプスももう外す予定だったし…」

 

瑞鶴がギプスを外した事で、両手の自由が戻った。

多少ぎこちない動きだが、両手で秋月を抱きしめる。

秋月はようやく顔を上げた。

 

「おかえりなさい、司令…」

「おぅ、ただいま…遅くなってごめんよ…」

「ホントです、遅過ぎます…もう帰ってこないのかと…」

「新婚なのに…辛い思いさせたな……」

「いえ…秋月の方こそ、ご迷惑をおかけしてしまって…あの時、秋月が勝手に動かなければ……」

「気にすんなよ、大丈夫だったか?」

「はい、入渠で治りました…」

「そっか、そら良かった…」

 

病室のドアが開き、他の艦娘達がなだれ込んで来た。そのままベッドを取り囲むように集まってくる。

 

 

「あー、えっと…長い間寝てて申し訳なかった。皆には迷惑かけた。すぐに挽回出来るように全力を尽くしたい。それと、寝てる間にあった事を教えてくれないか?」

 

大淀が1歩前に出てくる。

 

「その、簡潔に言いますと…我々の勝利で戦争は終わりました。」

「……は?何それそこんとこ詳しく」

「はい、深海棲艦陣営は前回の無号機の騒動で大打撃を受けた上に我々が救援を出す条件として提示した作戦の中止等が合わさった結果、このまま戦争を継続した所で勝ち目が無いと判断し降伏しました。現在は国連軍監視の元で太平洋上の人工島に収容しています。」

「マジか……」

「ただ、1つ新たな問題が発生しました。これは、緊急の内容でもないので明日お伝えします。今日はゆっくりなさって下さい。」

「そうか…」

 

一通り話した所で、集合した艦娘達を見る。

1人、見慣れない顔を見つけた。大淀に聞いてみる。

 

「俺の記憶違いなら済まん、そこのピンクの髪の子は新人か?」

「あ、そうです。すいません、提督に自己紹介をお願いします」

「あたし、Atlanta級軽巡、その一番艦、Atlanta。防空巡洋艦Atlantaのほうが通りがいいかなあ。よろしくね。」

「アトランタか、名前からするとアメリカの艦娘だな。防空巡洋艦か中々頼れそうだ…」

「でもま、戦争終わったならあたしの出番ももう…」

「まぁ…それを言うなよ…烈風が可哀想だろ」

 

そんな話をしていると、鈴谷がある提案をした。

 

「提督も時間は掛かったけど無事戻ってきたし、せっかくだしお疲れ様&提督おかえりパーティーしようよ!提督、見た感じ動けるでしょ?」

 

四肢と首を動かしてみる。多少関節が軋むがほぼいつも通りだ。

 

「あぁ、多分大丈夫」

「夕立も賛成っぽい!」

 

その他にも賛同の声が多く、結局今夜開催される事になった。

 

「では秋月も準備してきますね!楽しみにしてて下さい♪」

 

ぞろぞろと皆が出て行く。

だがアトランタだけはそこに居た。

 

「あれ、アトランタは行かないのか?」

「あたし…まだあんまりココに馴染めてなくて…あと、長いだろうからランタでいいよ」

「そうか……よし、ちょっと外歩くか」

「え?」

「俺と居れば皆話せるだろ?だから鎮守府の中をブラブラしてみないかって事だ」

「なるほど…ありがと」

 

 

静かな所の方が誰かと会った時に話しやすいと思い、とりあえず港に向かった。国連軍の艦艇が数隻停泊しているが、それ以外の船はなくとても静かだ。

岸壁に腰掛けて、ボーッと遠くを眺めてみる。

 

 

「何か見えるの?」

「いや、何も…ただ風に当たってるだけさ」

 

アトランタが隣に座った。

何となく鼻歌を口ずさむ。環太平洋戦争の頃にチョッパーから教わって気に入った「Blurry」だ。

 

「提督さん、その曲…」

「あー、そういやランタはアメリカ出身だったな」

「うん。久しぶりに聞いたからちょっとびっくりしたんだよね…」

「ほーう、俺は空軍時代の同僚に教わったんだ…と、そういや久々に飛びたいな」

 

 

今度は格納庫へ向かう。7番格納庫に入ると、そこはT-4V練習機が並んでいた。

このT-4VはT-4練習機の大規模改修型で、アフターバーナーの追加に始まり、HMDやグラスコクピット等のアビオニクスの近代化、射爆訓練が可能になるよう各種兵装の搭載能力の付与とそれに合わせた機体構造の強化等の改修が施されている。練習機ならではの軽くコンパクトな機体による高い機動性も残されている。つまり実戦にも耐えうる性能を有しており、その能力は4.5世代機とは行かなくとも4.2世代機とは十分呼べるものだった。

 

「提督さん、どうしたの?」

「ん?機体を引き出す準備をしてるだけだが?」

 

トーイングカーで1機をエプロンに引き出すと、隣接する更衣室で着替えて機体に乗り込む。

 

「ちょっと、飛んで大丈夫なの?」

「まぁ派手な飛び方しなければ大丈夫だろ」

「えぇ…」

 

タキシングした機体がA/B全開で離陸して行く。

滑走路端で急上昇し、そのままハーフループして急降下する。滑走路の路面スレスレで引き起こすと一気に加速して鎮守府施設の真上に向けて旋回しそのまま近くの山の上を飛び抜け、再び旋回して滑走路周辺に戻って来た。ベイパーを曳きながら急旋回を繰り返す。

 

「派手な飛び方って……」

 

練習機とは思えない機動を見たアトランタは困惑した。目の前のそれが機体の性能なのか、はたまたパイロットの技量によるものなのかは分からなかったが。

だがあの自由で楽しそうに飛び回っているのを見る限り、彼にとっては陸や海ではなく大空こそが帰るべき場所であり彼だけの王国のようなものなのではないかと思った。

 

10分程しただろうか、秋月がエプロンに出てきた。

 

「アトランタさん、さっきから飛行機の音が……あれ、あの機体飛ばしてるのってまさか…司令ですか!?」

「あ、うん…そうだよ、あんまり無理しないって言ってたけど…あ、下りてきたよ」

 

燃料が減ったのか着陸してきた。土屋が降りるとすぐに秋月が直行した。

 

「お、秋月どうしt…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチイィィィンッッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋月が土屋の頬を思いっ切り平手打ちした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令の馬鹿!何ですぐに無茶するんですか!そんなに空が好きなんですか!?秋月の気持ちも知らないで…」

 

今度は抱きついて泣き始めた。

 

「司令にとっては、空って何なんですか…?」

 

「それは、その…何だろうな。1番の居場所というか、本来の家というか…帰るべき場所というか…」

 

アトランタの読み通りだった。地上と空中でのテンションのギャップを見て予想しただけだったが当たっていた。

 

「……空には、誰も待ってないのにですか?」

「……」

「……秋月はずっと待っていたんですよ?誰も待ってくれてない所に帰るのが良いんですか?」

「うぐっ…」

「秋月は、司令の帰るべき場所にはなれませんか?」

「そんな事は無い」

「では、これからは空ではなく秋月の所に帰って来てください。秋月も「鎮守府」ではなく「司令」の元に帰りますから」

「分かった…ただいま、秋月」

 

フライトスーツからハンカチを取り出して秋月の涙を拭き、機体を格納庫に入れて鎮守府に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティーが始まった。鎮守府の皆でビュッフェスタイルのパーティーだ。いざ皿を取りに行くとメニューを見て目が点になった。

 

自然薯に鰻、エスカルゴにスッポン…

 

伊良湖が近くに居たので質問してみた。

 

「なぁなぁ、このメニューって何か意味あるの?」

「提督の回復のため、というのが私達からのメッセージですね…あとは秋月さんの意見で…」

「あー、だから精がつくメニューに…」

「つまり、恐らく夜は…///」

「あーうん、大体察してる…ソッチの準備をしとけばいいんだな?」

 

久しぶりに俺が居るのが嬉しいのだろう。そうなるのも仕方ないと思った。

 

パーティーの後はやはり夜戦となった。




お久しぶりです、何とか生きてました()
途中で渋用で別作書いてて半年も放置してました
次は何とかもう少し早く書きたい(書くとは言ってない)
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