異世界はメアリー・スーとともに。   作:九空揺愛

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ぶっちゃけやりたかっただけです。


死んだら終わりだよコノヤロー

「というわけで、お前さん達は死んでしまった。本当に申し訳ない」

「はあ」

 

深々と頭を下げるご老人。その背後に広がるは輝く雲海。どこまでも雲の絨毯が広がり、果てが見えない。でも、自分たちが座っているのは畳の上。質素な四畳半の部屋が(部屋と言っても壁も天井もないが)雲の上に浮いている。ちゃぶ台に茶箪笥、レトロ調なテレビに黒電話。古めかしいが味のある家具類が並ぶ────

 

じゃねぇだろ。何状況説明してんだ。違うだろ。何だよここ!そして何で突然、死んでしまっただよ!ふざけんな!

俺はジト目で自称神って言ってる爺さんを見る。

 

「いやはやほとほと申し訳ない。だからそんなに睨み付けんでくれんかのぉ……えーっと…な…なぐも…」

「……南雲春輝っす」

「そうそう南雲春輝君」

 

自称神の爺さんはぺこぺこ頭を下げている。俺は少し視線をソッポに向けて頭を上げるように手で払う。ポケットからスマホをだして見てみると、圏外になっている。

 

「雷を落とした先に人がいるか確認を怠った。本当に申し訳ない。落雷で死ぬ人間もけっこういるが、今回のケースは予定外じゃった」

「雷が直撃して僕は死んだわけですか…。なるほど。するとここは天国?」

「いや、天国よりさらに上、神様たちのいる世界……そうじゃな、神界とでも言うかな。人間が来ることは本当は出来ん。君達は特別にワシが呼んだんじゃよ、南雲君じゃない君は…えーっと……も…もちづき…」

「とうや。望月冬夜です」

「そうそう望月冬夜君」

 

爺さんはそう言いながら傍のヤカンから急須にお湯を注ぎ、二つの湯呑みにお茶をいれる。

 

「しかし、君達は少し落ち着き過ぎやせんかね?自分達が死んだんじゃ、もっとこう慌てたりするもんだと思っていたが」

「あまり現実感が無いからですかね? どこか夢の中のような感じですし。起こってしまったことをどうこう言っても仕方ないですよ」

「別に、アンタの力で生き返らせてくれるとかって展開なら大歓迎なんだが?」

「う、うーむ……。君達はワシの落ち度から死んでしまったのじゃから、すぐ生き返らせることができる。ただのう……」

 

あー、お決まりの元の世界に戻れないタイプのアレね。

 

「君の元いた世界に生き返らせるわけにはいかんのじゃよ。すまんがそういうルールでな。こちらの都合で本当に申し訳ない」

 

うん、知ってた()

 

「……で、じゃ」

「はい」

「……」

 

俺は何となくこの後に続く言葉を溜息交じりに聞く。

まぁここまで来てこのテンプレルートに乗ってんだし…そりゃあ……ね?

ここで「異世界に転生するんじゃなくて素直に天国か地獄に行ってくんない?」って言われたらそれはそれでなかなか面白い話が出来るかもしれない。

 

「お前さん達には別の世界で蘇ってもらいたい。そこで第二の人生をスタート、というわけじゃ。納得出来ない気持ちもわかる、だが」

「いいですよ」

「……いいのか?」

 

うん、知って(ry

 

「そちらの事情は分かりましたし、無理強いをする気もありません。生き返るだけでありがたいですし。それでけっこうです。春輝もそれでいいよね?」

 

いや、何で気安く俺の苗字じゃなくて名前を呼び捨てで呼んでんの?つーか俺達初対面だからね?

生前?ぼっち決めてた訳じゃないけど、流石に距離の詰め方がエゲツないぞ。

まぁでも、

 

「生き返れるならそれでもいいっすよ。15で天国だか地獄だかに行くつもりはないんで」

「…本当にお前さん達は人格が出来とるのう。あの世界で生きていれは大人物になれたろうに…本当に申し訳ない」

 

しょんぼりとする爺さん。俺は別におじいちゃん子ではなかったので何とも思わないが、隣の望月?はニコニコ笑ってやがる。

 

「罪ほろぼしにせめて何かさせてくれんか。ある程度のことなら叶えてやれるぞ?」

「うーん、そう言われましても…」

 

ん?今何でも……って言ってなかったわ。そうか、ここの場面で歴代の異世界転生系主人公達(一部を除く)はチート能力を得ていた訳だ。

 

「これから僕が行く世界って、どんなところですか?」

「君が元いた世界と比べると、まだまだ発展途上の世界じゃな。ほれ、君の世界でいうところの中世時代、半分くらいはあれに近い。まあ、全部が全部あのレベルではないが」

 

うん、どうやら異世界転生する場所もテンプレに漏れないらしい。

それじゃあ決まりだな。

 

「それじゃあ全知全能の力をくれださ────」

「それは無理じゃが、近しい事ならできるぞ?」

 

爺さんは指をちゃぶ台の上に置いておいた俺のスマホに触れる。

 

「これで、君はスマホを操作する事であらゆる事か出来るようになったぞ。君が望む物がスマホのアプリとなって現れる。アプリを起動させるとその力が使える様になるという仕組みじゃ。では次、望月冬夜君はあるかの?」

「あの、ひとつお願いが」

「お、なんじゃなんじゃ。なんでも叶えてやるぞ?」

「僕は春輝程じゃなくていいので、普通にこれ、向こうの世界でも使えるようにできませんかね?」

「まあ可能じゃが……。いくつか制限されるぞ。それでもいいなら……」

「例えば?」

「君からの直接干渉はほぼ出来ん。通話やメール、サイトへの書き込み等じゃな。見るだけ読むだけなら問題ない。そうじゃな……ワシに電話くらいはできるようにしとこう。あと、南雲春輝君とならメールや電話は可能にしておいた方が良かろう」

「お、おい!何を勝っ────」

「充分ですよ」

 

俺のセリフを遮って話を進めて行く二人。いや、爺さんが神なら一人と一柱か?

とりあえず勝手に話進めんな。後、望月。早速メール送ってくんな。まだ現段階では赤の他人だからな?

 

「バッテリーは君達の各々の魔力で充電できるようにしとこうかの。これで電池切れは心配あるまい」

「魔力? 向こうの世界にはそんな力があるんですか? じゃあ魔法とかも?」

「あるよ。なに、君達ならすぐに使えるようになる」

 

科学がまだ発展してない所の様だし、あるだろうな。

 

「さて、そろそろ蘇ってもらうとするか」

「いろいろお世話になりました」

「いや、元はといえば悪いのはこっちじゃから。おっと最後にひとつ」

 

爺さんは俺達に手をかざす。

 

「蘇ってまたすぐ死んでしまっては意味ないからのう。基礎能力、身体能力、その他諸々底上げしとこう。これでよほどのことがなければ死ぬことはない。間抜けな神様が雷でも落とさん限りはな。一度送り出してしまうと、もうワシは干渉できんのでな。最後のプレゼントじゃ」

「ありがとうございます」

「手出しはできんが、相談に乗るぐらいはできる。困ったらいつでもそれで連絡しなさい。ではまたな」

 

そういうと、俺達の意識は途切れた。

こうして俺は異世界スマホの世界にレッツパーリィーする事になった()




次回は長くする予定です。
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