ふくめんにっき!   作:無完の書く芸迷人

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前回のあらすじ。


常寺は死んでしまった……!



※1話のパンチラシーンについて
インナーの上に見せパンというシチュエーションに違和感を覚える方もあられたかもしれません。
しかし着せ替え隊が一生懸命デザイン考えて作った女の子用のミニスカサンタパンツを、マッチョの男が直履きするなど、あまりにも無慈悲。メンタルと性癖の処刑シーンにしかならないため。流石にこれは非道すぎるとインナーの上にパンツというクッション案を採用しました。


というか拙者、ミニスカサンタ大好き侍。書いてる最中は「ナイスなギャグシーンを思いついたぜ!」とかほざいてニヤついていたけど、読み返したらマッチョの無慈悲にアテられて軽く致命傷を受けたので御座る。



第二話 安心店売り装備

常寺がフルフェイスヘルマーに入団した翌日。

初回こそ最初のエリアボスに大敗を喫した常寺だが、その次の戦闘で見事勝利。

今は二番目の町セカンディルへと辿り着き、装備の更新を行っていた。

このまますぐに次の街に進む手もあるが、常寺はしばらくこの街で受けられるクエを消化するつもりらしい。

 

このシャングリラ・フロンティア・オンラインは神ゲーと呼ばれるだけあって各町で受けられるクエは多種多様。軍事用AIを使っているのではないか? と噂されるだけあって、NPCとのたわいない会話からクエが派生する事すらある。

一つの町を舞台に延々と遊べそうなルートの多さは、プレイヤー達を怖いくらいにゲーム世界へと引きづり込んでくる懐の深さがあった。

 

セントワイズはこの機会を利用。セカンディルで受けれる涙腺崩壊系のクエストを常寺にすすめ、尊さの沼に引きずり込んでやろうと計画を練りつつ、装備の更新を終えた常寺が店から出てくるのを待っていた。

 

昨日までいたもう一人。異端審問会を開きそうなヘルマーは、別ゲーで急な約束が出来たらしく今日は不参加らしい。送られてきたメッセージには「戦争屋のせいでガトリングでハチの巣にされかけた挙句グレネイドに爆殺された」と書かれていたのでFPSでも遊ぶのだろう。

約束の相手は多分「昨日の自分」とかそういう系のヤツだ。

 

そうこう考えているうちに装備の更新が終わったらしい。

店から出てくる相方に気づいたセントワイズはリニューアルされた常寺の姿を一瞥。思わず脳内のオススメチャートを変更して声をかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ハアイ常寺ぃ……アクセサリーアイテムって知ってる?」

 

……いきなりどうしたんだ、この人。

装備を更新したばかりの常寺は、店を出た当初、初期増備からの脱却にプレイヤーとして一歩進んだ感を味わっていた。

そんな時にかけられたピエロマスクの質問である。戸惑うのも無理はないだろう。

質問の意味が分からなかった常寺はとりあえず首を振った。

その反応にセントワイズは大げさなアクションを取る。

「オー……初心者でも装備できるお手軽バフ要素なのに……良ければ1個あげるよ?」

 

なるほど、アクセサリーアイテムとはそういうものか。他のゲームでもよく見るやつやな。

と常寺は内心で納得すると、相手の手の内を読んだ気分で断言した。

「そう言って、実はネタに走ったヤツなんやろ? 騙されんぞ」

ネタアクセはどんなゲームにも見られる、開発陣の遊び心だ。

しかし常寺はお年頃。性能より見た目に気を遣う、ファッション勢的な感覚が強い。

思わず猛虎弁になった常寺は、この流れは切っておいたほうが良いと……というかその提案の仕方、胡散臭すぎるんや。と微妙な気分になりながら、セントワイズの提案をはねつけた。

 

しかしセントワイズも食い下がる。

「いや、このアクセサリー単品を見て『ネタ装備だ』と思うヤツはまずいない。なにせリアルでもファッションアイテムとして受け入れられているくらいだ。見た目を気にする人でもコレなら割とありなんじゃないかな。……どうよ?」

常寺は微笑んだ。

 

「面白そう! 露店のプレイヤーメイド買うわ」「待てや!」

 

会話すら放棄し目の前から立ち去ろうとした常寺。セントワイズは引き留めるべく食い気味に声を上げ、言い聞かせるように問いかけた。

 

「いいのかい……? このスクショを見ても、同じことが言えるかい……?」

そう言ったセントワイズが指さしたのは今の常寺を映したスクショだ。

そして問われた常寺は、一拍遅れて声を上げる。

 

 

「……! ボンテージスーーツ!」

 

そう、今の常寺の格好は、まさにボンテージスーツだったのだ。

破損した工クス力リバーン(こうくすりきりばーん)の値が張った事もあり、お財布の体力的に……そしてクランの掟である『フルフェイス縛り』により、常寺が選べた防具は「隔て刃の皮服装備一式」と呼ばれるものだった。

後にあるプレイヤーに「厚手のダイバースーツ、もしくは分厚い全身タイツを服の形に分解したような服」と評される、頭部分が風船に目鼻口用の穴を開けただけの覆面というヤバい装備である。

しかし防具屋にいた常寺は「人待たせとるし、はよ装備しよ」と、買った物の見た目を確認しないまま装備。

結果、セカンディルの街角に無自覚の変態が発生することとなったのだ。

 

混乱する常寺にセントワイズは畳みかける。

「そう。その装備のフルセットはアレなお店のお客様にしか見えないのさ。その変態性を何とかしたいなら……このアクセを付けろ。 さあ!」

「……」

常寺は苦い顔をして沈黙した。

傍から見れば風船に穴をあけただけの覆面を付けたボンテージ姿の男が静かに佇んでいるだけの光景だ。

だが、それでもどんな顔をしているかがセントワイズには予想がついた。

「オー……そんな恥ずかしそうな顔するなよ。さっきも言った通り、このアクセなら違和感なくその変態性を誤魔化せる。まだリカバリは効くぞ?」

 

 

「この見た目マシになる?」

「えっ うん」

 

そう言ったピエロの顔は、表情の変わらないフルフェイス装備なのに何故か引きつって見えた。

とはいえ、常寺に金の余裕はない。新しく装備を買うのは無理だ。

元々もっていた馬面も論外。装備を変えても変態なのは変わらないだろう。

ボンテージスーツに馬面。客から店員にクラスチェンジである。

「選択肢はないか……」

と、アクセの装備を了承したジョージは、アイテム譲渡を行うピエロからアクセを受け取った。

 

そしてアイテムを譲渡したセントワイズは嬉しそうに、そして朗らかに笑いだす。

「アクセサリー装備はいいぞジョージ 深いぞ。君も絶対ハマるから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前もベストなアクセを探すんだよおぉぉぉぉ!」

「キャアアアアアアアーーーー!」

 

 

……常寺は死んだ。

無茶な金策をしようと鉱石の採掘に出向き、その隙をモンスターに突かれたのだ。

 

セントワイズから渡されたアクセの見た目が「ニット帽」だったのも悪かった。

確かに単品ならネタにはならないし、今の見た目を違和感なく誤魔化すことはできた。だが逆に違和感がないことが問題だったのだ。

 

覆面にニット帽装備……完全に手練れの強盗である。

変態性は減ったが、その分犯罪性が増していた。

 

こうして新しい防具を欲し、恥ずかしの修羅と化した常寺は「沼棺の化石」なる金の匂いのするアイテムを求め、空から襲撃した「バンディットバルチャー」を無視してツルハシを振るった。

……ギリギリのところで薬草食べればセーフ。雑魚は無視して採掘や! などと考えダメージの回復より採掘を優先したのだ。

だが追加でポップした「マッドフロッグ」との挟撃には耐えられなかった。

 

ぶっちゃけ修行僧の素手縛りも足を引っ張ってたと思う。

 

 

なおその際、普通に生き残ったセントワイズから見た常寺は『地下からトンネルを掘って金庫に侵入しようとする強盗』そのものだった事をここに記しておきたい。

 

 

 

 

アーメン。

 

 

 

 




なお金策したからといって防具の更新をするかというと微妙な模様。
買いなおすくらいならサードレマ行ってより良い物をそろえた方が金銭的な効率は良さそうなのがまたね……。

とりあえず常寺はこのままセカンディルでクエストを受けつつ、クエ報酬の防具を使って胴やら腰やらをマイナーチェンジ。
首から下の格好を変えつつもフルフェイス防具のクエ報酬が無い(セントワイズが意図的に外す)。という理由でサードレマまでこの頭装備で行く予定。

つまり強盗ファッションのヘルマーがセカンディルの家々をお宅訪問するのだ……! 人助けのためにな……!


というか例のあの人が普通の町クエを全無視して野生に生きてるせいで忘れがちだけど、シャンフロって普通にプレイしてたら街1コでもかなり遊べると思う。
各街、各フィールドに結構な率で隠しエリアとかありそうだし。
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