ふくめんにっき!   作:無完の書く芸迷人

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前回のあらすじ

もとい、「逝 カ れ た メ ン バ ー 紹 介 す る ぜ !」

1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2018/11/25(日) 14:27:00.18 ID:harapan
包刑の常寺!




2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2018/11/25(日) 14:27:18.40 ID:go!
以上だ!




閑話 そしてヤツが動き出す

神代の鐵遺跡。

風化によって廃れたかつての文明の名残。ファンタジー世界でありながらSFを思わせる……遺跡というにはあまりにも「先」を想起させるエリアだ。

人の住めなくなった遺跡の所々には、遺跡の新しい住人として植物群が生い茂っている。

 

現在、常寺は先日一緒に集団戦を行ったライブラリの所属の忍者プレイヤーに誘われ、この隠しステージ「涙光の地底湖」へと訪れていた。

目的はここで釣れる角の生えた鰻。平均レベル45の経験値タンクである。

せっかくなので先日共闘した初心者で集まってレベリングしよう。という話になった常寺達は、各町でスキルの書を買い込み、攻略サイトのまとめた基本スキルのおすすめ習得方法を参考に、スキルの習得に必要な動作をリスト化。

8人の集団で隠しエリアに訪れた彼らは、朝からスキル練習班と釣り班に分かれて雑談しながら遊んでいた。

 

今日はセントワイズがいない。リアルで「午前は地域の溝掃除がどうこう」と言っていたので、少なくともインできるのは午後からだろう。

つまり、今日の午前、今この時はオススメ死する心配もない。

無茶ぶりのリスクを事前に回避。安心してブートキャンプに励むことができる、というわけだ。

 

安心してレベリングとスキル練習を続ける常寺達。

スキル練習班は反復横跳びや走り幅跳び、ボール投げを繰り返し……掲示板を見ながら水面に糸を垂らす釣り班は、ひたすら鮭を釣りながら鰻を狙うチャレンジを繰り返していた。なんとなく後に引けない感が漂うスキル班と、のんびりとした時間を味わう釣り班。割と温度差のある割り振りである。

 

 

そんな中、他の面子と交代で釣り班に入った常寺は釣れた銀の鮭を見ながらその説明文に首をかしげていた。

 

・ライブスタイドサーモン

生命の潮流に住まう鮭。その身は食した者の体力を回復させ、その卵は優れた魔法触媒となる。

大いなる大地にも命があり、血と命が巡る。

 

「……この鮭、ラストの一文だけ思わせぶりな感じだな」

血が巡る、というのは何かの比喩だろうか。

誘ってくれたライブラリの忍者に聞けば考察が効けるのかもしれないが、彼は先日「忍者の奥義ガチャ」で見事ハズレ枠の刃隠心得奥義「水滑り」を引いて傷心中である。

今も「使い所の少ない奥義の使用感を確かめてやるよぉー!」と叫びながらMPをゴリゴリ使い、MPポーションを飲みながら水の上を走り回っていた。その姿はどう見てもヤケクソのそれであり、結論から言うと会話は不可能だ。

 

……仕方ない。掲示板見ながら釣りを続行するか。

そう切り替えた常寺は近くのつりメンバーと面白い話題が無いか探し、見つけたら報告し合うやり取りを繰り返す。

 

・リアルで役者のプレイヤーがシャンフロ内で人を集めて自主製作の特撮ドラマを作るらしい。

・ヴォーパルバニーをテイムした刺青半裸のプレイヤーが現れた?

・PKKクランの「in虎団」、最初の頃インドラをインコ読みしてたのは俺だけじゃないはず。

・魔法少女コスのティーアスちゃんが尊い。

・「去栄の残骸遺跡」のエリアボス。検証の結果「脳天鉄槌」ルートが最高効率と確定。

・イムロンさんの「猫じゃらし」がヤバイ。そもそも何故あの見た目の剣を作ろうと思ったんだ。

 

などなど、シャンフロの話題が尽きることは無く、割と楽しい時間が続いていた。

しかし、そんな所にプレイヤー間のメッセージの運び手。

一匹の鷹が舞い降りる。

 

足にくくられたメッセージを見れば、ヴォーパルバニーをテイムしたプレイヤーのスカウトについて、「できれば声かけといて」という指示。

おそらくサードレマ近辺にいる自分達が行くのが一番早いという理由だろう。

その場にいた他のプレイヤーにも、似たようなメッセージが次々と届く。

「残念だけど、ここまでかあ」

できれば、という前置きがあるとはいえ、「ヴォーパルバニーをテイムする方法」というユニーク感のある要素は1プレイヤーとして気にしざるを得ない。

 

出来ればあと一戦、鰻と戦いたかったな。

と思いつつも、その場にいた面々は引き上げ準備を始めていく。

 

……ところで、水面を走っていた忍者があわててこっちに走って来るのが見えるが、何かあったのだろうか。

気のせいか忍者の後ろの水面が大きく波打っているように見える。

ソレを見た周囲のプレイヤーは「鰻を釣ったんじゃね?」と予測を立てていた。

 

ソレを聞いて常寺も納得の頷きを作る。

なるほど。水面を歩りまくった事で水中のモンスターを刺激したのだろう。

色々リアルなシャンフロの事だ。割と生餌だと思われた可能性も高い。

常寺は釣り竿をしまうと、周りのメンバーと無言で頷き合った。

せっかく経験値タンクを引いたのだ。

どうせサードレマに戻るとしても、もう一戦くらいは良いだろう。

彼らの心は、「せっかく鰻が来たのならレベリングしたい」という意思の元、一つ。

こうして常寺たちはバフスキルを使いながら、臨戦態勢を取るのだった。

 

 

「しかしあの鰻、水中だからよく見えないけど妙なシルエットをしているな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……常寺は死んだ。

「ライブスタイド・レイクサーペント」と戦うつもりだった常寺達……しかし、逃げて来た忍者が連れて来たのはレベル80のレアモンスター、「ライブスタイド・デストロブスター」だったのだ。

 

未だレベル40前後の常寺達にとって、80レベルオーバーの敵はまさにステータスの暴力。

攻撃がほとんど通らないけど、向こうの攻撃は効きまくる戦闘は完全に負けイベのソレだったのだ。

最終的に最短効率でサードレマにリスポンした彼らは、気を取り直して「例のあの人」……ヴォーパルバニーをテイムしたという半裸の覆面を探し始める。

 

 

 

 

彼らは、自分達が探しに行く男が、後に「ツチノコ」と呼ばれるほど行方知れずなことをまだ知らない。

 

そう、「まだ」知らないのだった。

 

 




オマケ
掲示板の話題について。

シャンフロみたいに自由度高いゲームはGTA5みたく自主製作でドラマ作るヤツとか出るだろうなー、と考えぶっこみました。
実際、色の派手なバフをかける→跳躍+加速スキル→メテオフォールの流れを創ればライダーキック感が出ると思う。

あと忍術奥義ガチャでハズレ枠の「水滑り」は、某海賊漫画のコックみたく、水中歩行みたいに使えるならワンチャン名誉挽回のチャンスはあると思う。
でもMP消費デカイらしいから挽回できても微妙そう……。
水面にしか使えなかったらもう知らん。



次回は皆大好きヤツラの出番。
今回割と短いのは許してクレメンス。
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