気がついた、どうやら意識が途切れていたらしい。しっかりと覚醒させて状況を確認する。
たしか、いつもの嫌がらせで回ってきた書類の確認作業中だったっけ?少しずつ意識を失う前のことを思い出してきた。そこでようやく机の上の惨状を認識した。やってしまった……今となってはどのような人の書類かはわからない、むしろこの失敗で嫌がらせが増えることのほうが辛い。とにかくなるべくはやく謝罪しなきゃ。
「ご、ごめんなさい!」
若干失礼なことをまともに回っていない頭で考えながら、久しぶりに出したにしてはまともな声で伝えた謝罪に、相手は驚いた様子で振り向いた。今更だが、謝るのなら相手の正面に立つのが普通なような……。
「どうしたの?」
そうたずねる彼の声は、どこか優しく私を包み込んでくれて、気がつけば泣きながらこの場所についてや自分のこと、こういう状況になった時の説明事項などを話していた。話し終わった後、何か言われるかもしれないと少し身構えていたのだけれど、何も言われなくて少し安心していたらまた意識が途切れるような感覚に襲われた。今の状況を考えると彼に倒れこむことになって……。
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「う、うーん、あれ?」
気がつくと優しい暖かさを感じるベッドの中にいた。
「大丈夫?」
「ふえっ? えーと、あなたはあのときの……」
不意に聞こえた声に少し驚いてしまい、おかしな声が出てしまった。この人は確か私のせいで転生することになってしまった……
「起きてすぐだけど、おなかすいてない? おかゆ作っているけど食べる?」
くきゅるる~
次いでかけられた声に対して私の身体はとても正直に反応した。……私の意思を無視して。
「い、いただきます//」
「どうぞ、めしあがれ。」
とても恥ずかしい、顔が赤くなっていないだろうか。……多分赤くなっているんだろうな……と思いつつ、彼がつくってくれたであろうおかゆを食べ続ける。
「ごちそうさまでした//」
カラッ
気がつけば手渡された器は空になり、私の目には彼の微笑む顔がうつる。
「お粗末様でした。おいしそうに食べてくれてうれしいよ。」
「あううぅ//」
多分今の私の顔は真っ赤に染まっているだろう、おもわず照れ隠しに彼のことを叩いてしまったが、それすらも微笑ましいものでも見るような顔で受け止められる。
しばらくして、落ち着いてきた私は普段仕事で使っていた机に目を向けた。
「……あれっ?」
机の上に載ってあったはずの仕事は、きれいに片付けられていた。
「今まで大変だったでしょ?」
彼がそうたずねる。
「ありがとうございます。」
自分がやらなくてはいけない仕事をさせてしまったことに、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「気にしないで、だいじょうぶだよ。」
彼はそう言って、私になぜこうなったのかたずねてきた。
自分でもよくわからないが、私の心はすでに限界を迎えていたのかもしれない。気がつけばただひたすらに何があったのか彼に話していた。
話し終わってしばらくすると、彼は
「心配しないで、僕が君を守るから。」
そう言って、一つの箱を取り出した。
「ふぇっ?//」
全く、驚いてまたおかしな声が出てしまった。これでも神として日々活動していたのに、なんたる不覚……。
「貴女のことが好きです。年齢的にまだ早いけれど、これを受け取ってもらえますか?」
そんなことを考えている間に、彼が開きながら差し出した箱の中には、キラリと小さな輝きが一つ。
これは……つまり、そういう、こと、でいいのかな?
突然のことに戸惑う頭を置いて、私の口は勝手に言葉を発していた。
「はい、喜んでお受けします//」
……確かに彼のことは嫌いではないし、むしろ好き、かもしれないけど、突然のことにまだ状況を完全に飲み込めてはいない。けれども、これだけはわかる。
私と彼の甘く、幸せな日々は、まだ始まったばかりだということは……