よろしくお願いします。
※まだ狩りには行きません
あの日、いつものように俺は家に向かっていた。
学校終わって部活終わって、解放された気分になってたのもわかる。
でもだからって…歩きながらモンハンすんなよ。
交通事故って、ねぇ。完全に自分の不注意じゃん。
ナイワー、ナイワー、って思ってた。でもそんなことすぐにどうでもよくなった。だって、気づいたら異世界にいんだから…
「・・・ん?」
あれ、俺何やってたんだっけ…。確か帰りにモンハンしてて…
あ!車に引かれたんだ!じゃあここ病院のベットか?にしてはなんか古臭いなぁ。
そう思って手足を確認する。するとおかしなことに、身体には傷一つ付いていなかった。とりあえずベットから降りてみる。
…いやちょっと待て。なんで傷ひとつないんだ?相手は鉄の塊だぞ?
だがもっとおかしなことに気づく。
「あれ?この部屋見たことある…気がする」
ベットの右には二枚の座布団。その奥には囲炉裏。囲炉裏の右には猫の看板が付いているボードが、左には大きな開閉式の箱。あれ中に入ってんのリオレウスの装備一式じゃね?
モンスターハンターp3rd出身の人なら誰もがお世話になったであろう、ユクモ村の自室に俺はいた。
ますます訳がわからん。なんでユクモ村に?まるでゲームの中にいるような…ゲームの中!?why!?なんで!?
「あれ?」
「うわぁ!?」
いきなり人入ってきたわー!びっくりして変な声出たわ。
入ってきたのは真っ赤な髪をサイドテールでまとめた少女だった。
「ああ、ごめんね。脅かすつもりはなかったんでけど…君、ユクモ村近くの森で倒れてたんだよ?覚えてる?」
いえ全く。これっぽっちも
なんていえないのでとりあえずそれっぽく対応する。
「え、ええ、はい。覚えてます。助けてくれてありがとうございました。」
「ううん。お礼なんていいよ。倒れてる人を放っておけないしね」
なんて心優しい…なんか涙出てきた。
「…泣いてるの?何があったか聞かせてくれる?」
本当に涙出てた。てそうじゃなくて。
どうしよう。いきなり車に引かれて…なんていえないし。そもそもこの世界に車とかないよなぁ。
「ええっと、それが覚えてなくて。どうしてそこにいたかが思い出せないんです。」
「記憶喪失?じゃあ名前も思い出せないの?」
「いやいや、それほどではないですよ。俺の名前は楓カヅキです」
よかったー思い出せたー。
「フウマ?カヅキ?聞いたことない名前だなぁ。その服装も見たことないし」
言われて気づいた。今の俺の格好は上が長袖に紺色に柄の入ったパーカー、したがジーパンという、この世界では違和感バリバリの服装だった。
なんもいえねえ。
「覚えてないなら仕方ないよね。私の名前はモミジ。まだ休んでていいよ。村長には私から伝えておくから。」
村長…ああ、あの竜人族の。
「大丈夫です。もうだいぶ治りましたから。」
女の子一人に仕事を任せるわけには行かぬ。俺の全細胞がそう言っている。
「ほんと?無理しないでね。」
かわええ…は!いかんいかん。
「はい」
そんなこんなで村長に挨拶しに行った。ちなみに自室の下は倉庫になっていた。
「本当に何も思い出せないんですか?」
「は、はい。何も…」
いきなり村長に疑われた。
でも普通に考えればいきなりよくわかんない人がよくわかんない服装で村入ってきて、何もわからない 、の一点張りじゃ疑うよね普通。
どうやらこの村に住むには職を持つ必要があるらしい。ユクモ村で働くとなると…。ユクモ村…ユクモの木…
「きこり、と言う職はありますか?」
頼むあってくれ
「…なるほど」
どうやらちゃんとあったらしい。
「ですが、森に一人で向かわせるのはちょっと…」
多分村長の頭の中には青い熊や大猪が浮かんでいるんだろう。
「それなら、私が護衛をするよ」
その声はモミジのものだった。
「最近の森は比較的平和だから、大丈夫だって」
なんと護衛してくれるらしい。護衛?
「待って。モミジってひょっとして…ハンター?」
「うん、そだよ」
当たり。ってことはハンターって職もあるってこった。
…ちょっと賭けに出るか。
「ハンターというのは自分にもできるものでしょうか」
結論から言おう。ダメだった。
二人とも鳩が豆鉄砲食ったような顔してたわ。
でも訓練積めばできないこともないと言われた。というのも、基本ハンターになるには、筆記試験、体力試験、実戦の三つをクリアしなきゃならなかった。
まず筆記試験。
「すごい…調合リスト全部覚えてるの?」
そりゃ長いことやってますからね。
俺にとっちゃ簡単そのものだった。だが問題はここからだった。
「…ダメだね」
そう、体力だ。
元運動部とはいえ、そんなものはこの世界に通用しない。
「そもそもハンター向きの体じゃないよ」
もう根本から無理って言われた。でもそりゃそうだ。
俺はこの世界の人間じゃないからな。…厨二くさ。
「それでも…ハンターになる?」
そうだ、だって(多分)二度目の人生だ。自分がやりたいようにやろう。
「うん、なるよ」
そうして俺の記念日すべき狩猟生活が始まった。
…訳ではなかった。
ま筋トレだよね。でもやるって決めたんだ。
とにかく強くなろう。
「お疲れ様」
筋トレ終わってへばってる俺にモミジさんが飲み物持ってきてくれた。
「ありがとうございます、モミジさん」
「…敬語とっていいよ?」
いや出会ってすぐの女の子にタメ口ってねぇ。
「いいから」
「…じゃあ、よろしく、モミジ」
「うん!」
…眩しい笑顔。
あそうだ。
「モミジはハンターやってどれくらいなの?」
「私?だいたい2年くらいかな?」
へえ。もっと長いもんかと思った。
歳も聞こうかと思ったけど、さすがにデリカシーないなと思ってやめといた。
「ハンターってどんなものなの?」
「難しい事聞くね」
んー、とモミジは首を傾げた
「自然との調和を保つもの…かな」
調和か。
「ほんとは人それぞれ、なんだけどね。
ハンターって、自然の循環そのものを守ってるんだと思う。
だから余計な殺傷はしない。私利私欲でモンスターを買ってはいけないものだと思う」
「…すごいね、モミジは」
「ええ!?そんな事ないよ!私なんてまだまだ…」
「…」
周りから見たそうかもしれない。でも少なくとも俺はモミジを立派なハンターだと思った。
「カヅキって思ってたよりも色々考えてるんだね」
おいそれどういう意味だ
筋トレ続けて早2ヶ月…
「そろそろいいかな」
突如モミジがそんなことを言い出したかと思うと、一本の剣を持ってきた。それはハンターナイフといわれる片手剣で、初期装備のうちの一つだった。
「ちょっと振ってみて?」
いわれたままに振ってみる。
思ったより軽い。これ確か鉄鉱石でできてるよな?
もう少し重いと思ってたけど。
「それだけ力がついたってこと!にしてもすごいね。たった二ヶ月でここまで力がつくなんて」
「そ、そう?」
朝ジョギング、昼運動、夕方筋トレを自分でもありえないペースでやっていた。恥ずいからいわんけど。
「これなら、そろそろ武器に触れていってもいいかも」
マジで!?やった!どうしようかなー。
大剣もいいなー。ハンマーも。あ、双剣もいいかも。
「とりあえず並べといたから、好きなの持ってみていいよ!」
いつも以上に準備いいっすねモミジさん。
じゃあ手越な双剣から。
「思ってたよりもずっと軽いね」
「うん。それは軽さが売りのボーンシックルっていう双剣だからね。
重い方もちゃんとあるよ」
そういった彼女が出したのはツインダガー。
ハンターナイフと同じ鉄鉱石で作られた双剣だ。
持ってみるとさっきよりも重みを感じた。
「とりあえず骨系の武器だけ持ってみたら?」
それもそうっすね。
んじゃ次、大剣。
「…おっも」
「そりゃ大剣だもの」
これ振り回すのでも精一杯じゃん。ちょっとパス。
次、ハンマー。
「お、ちょうどいいね」
少し重いくらいだ。ハンマーだったらこれくらいがちょうどいいかも。
「じゃあ決まったらいってね。免許取らなきゃいけないから」
なんだって?
「ふぅ…」
なんだかんだ悩んで結局双剣にした。ゲーム的にいって相手の動きを読めるなら、大剣やハンマーの方が強かったかもしれないけどここはロマンが勝った。
モミジさん曰く、免許とるのにまた試験受けなきゃいけないらしい。
しかも実戦試験前に。また練習だ…
試験内容は素振りと木切り、鬼人化、そして実戦の四つ。実戦ってこっちの試験だったのか。
鬼人化というのは双剣を上で交差させ、身体能力を上げる技のことだ。仕組みは知らぬ。
武器を決めてモミジに連れていかれたのは、訓練所の裏。
練習場があり、数人の見習いハンターが練習していた。
「とりあえず薪、割ってみようか」
そう言われて薪を割ってみる、だが真っ直ぐ割ることがなかなかできない。
「最初はそんなもんだよ」
そうかなあ。
「そうだよ」
…心を読むな。
しばらく練習してやっと形になってきた。
「大丈夫?飲み物持ってきたよー」
あの人すごい気がきくなー。彼氏とかいるんじゃなかろうか。
いないか。ハンターだし。
「なんか失礼なこと考えてない?」
おっと心読んでくるんだった。あぶねあぶね。
「…まあいいや、じゃ、鬼人化やってみる?」
いいね鬼人化。やりたかった。
「自分の中の力を剣に集めて掲げる感じで!」
んー、とりあえずゲームの動きを真似てみるか。
力が動くイメージをして…
「ハァ!」
…あれ。
「できないんですが…」
「あ、あれっ?おかしいな。できない事ないと思うけど…」
…なんか周りの数人に笑われたんだけど。
「ねえ新入り君、鬼人化もできないの?」
「基本中の基本だよねー」
うっせ。生まれつきそんな体してねーよ。
「おーいお前ら、そろそろ片付けろよー」
向こうから訓練所の教官の声が聞こえてきて、練習は終わりとなった。
「くそっ」
めちゃくちゃ悔しい。なんなんだあいつら。
できないんだからしゃーねーじゃん。
でもこのままだと実戦試験すらうけられない。
俺はモミジがハンターについて話していた姿を思い出した。
凛々しい瞳、しっかりとした背筋。
それに比べて今の俺ときたら。
猫背気味の姿勢、淀んだ瞳。
みっともない。同じくらいの年なのにこんなにも違う。
決めた。いつか彼女に追いついて、同じラインに立ってみたい。
いや、やってやる。一度やるって決めたし。
「よっしゃ」
なんかやる気出てきたわ、ゼッテー見返してやるあいつら。
そう言って俺は家の裏の空き地に向かった。
「…カヅキ?」
赤髪の少女は一人、見ていた。
いかがでしたでしょうか。不定期ですが、頑張っていきます。
どうかよろしくお願いします。