仮面ライダーアマゾンズ pain is an CRoss-Z 作:血祭り
ラストの方、アマゾンズの主題歌(どちらでも)聴きながら見てもらえるとそれっぽくなる気がします
「アマゾンッ!」
瑠璃色の炎を纏い、千翼は己が最も嫌うモノへと戻った。
大切なともだちに、良く似た彼を守る為に。
変身のエネルギーに吹き飛ばされたシグマF達は、その巨体をゆっくりと起こすと、再び千翼──アマゾン・ネオの方へと向かって行った。
「はあ…千翼君。君は子どもっぽい所があるが頭の悪い子ではないと思ってたんだがね。」
橘は、しかし自分を落ち着かせるようにそう言った。
「折角アマゾンで無くなったというのに…いや、正確にはアマゾンではあるのだがね」
千翼にシグマF達がじりじりと迫ってくる。
千翼は身体の低く落とし、相手を臨戦態勢を取りつつ、近づいてくる二体を見据える。
万丈は拘束をされたままであり、彼を今巻き込むわけにはいかない。
千翼もまた、ゆっくりと後退して二体と万丈の距離を離そうとする。
3歩程後ろに下がった時、ふと器械台の上に置かれたモノが目に入った。
(これは…!)
千翼の頭の中で、ある作戦が浮かんだ。
しかし、気を逸らしたその隙を、二体は見逃さなかった。
鈍重な動きから一転、強靭な脚力で千翼めがけ飛びかかって行った。
左右から同時の奇襲。千翼は間一髪でしゃがみ、コレを回避した。
一体は壁へ突っ込んだが、もう一体は空中で身体を捻り、その回転の勢いで下段蹴りを放つ。
背後の攻撃に気付いた千翼だったが、防御は間に合わず顔に攻撃は入り、部屋の壁へ吹き飛ばされてしまう。
頭に食らった蹴りにより少し脳震盪を起こしたが、すぐに体勢を整え、千翼はドライバーのインジェクターを押し込む。
腕にアマゾンズクローを生成した千翼は、武装のワイヤーを飛ばし、先ほど攻撃をしてきた個体を拘束した。
だが、壁へ突っ込んだ個体がワイヤーを力任せに引きよせ、今度は反対側の壁へと千翼を吹っ飛ばした。
「千翼、諦めたまえ。確かにシグマFは少々
橘は、取り戻した普段の調子で千翼を嘲る。
「今からでも遅くはない。彼の血を入れればまた無害なアマゾンに戻れる。さあ」
片膝を付き、肩で息をしていた千翼は、ゆっくりと橘の方へと顔を向けた。
「それは…本当か…?」
「ああ、本当だとも。比率さえ元に調整出来ればね。本当にこの細胞は凄いよ」
「──ああ良かった」
千翼はゆっくりと立ち上がり、橘のある方へと向き。
「なら、気にせず助けられる」
そう言い、千翼は橘──ではなく、万丈の方へと真っ直ぐ突っ込んでいった。
その手に、ビルドドライバーをしっかりと握りながら。
「ッ!やつを止めろ!」
しかし、ドライバーには既にボトルとマグマナックルが装填されており、ドライバーを万丈の腰にあて、千翼はドライバーのハンドルを思いきり回した。
<Are you ready?>
「お前、どうして逃げなかったんだ」
万丈は少し突き放した様な言い方をしたが、千翼は
「ともだち、おいてはいけないよ」
そう返した。
「ふっ…そうかよ。おし、じゃあ離れろ千翼」
そういう万丈の頭上には、巨大な溶鉱炉の様なものがいつの間にか鎮座していた。
「そこにいるお前らもだッ!熱いぞぉ!」
万丈は部屋の隅や外に離れていた4Cの職員たちにもいう。
突如現れた異様な光景は、非戦闘員である彼らを逃走させるには十分なものだったのだろう。
職員等は次々に部屋の外へ退避、そのままフロアからも逃げていった。
「変身ッ!」
万丈が叫ぶと、釜の中の煮えたぎった液体──マグマが万丈の頭上めがけ一気に注がれた。
「万丈ッ!」
まさかの光景に千翼は思わず叫んだ。
幻覚か何かだと思っていたそのマグマは確かに熱く、近づく事すら出来ない。
直後にマグマは7体の龍の姿となりそれが冷えて固まったのち、マグマを流し込んだ溶鉱炉が、拳に似た装置となり固まったマグマを粉砕した。
<極熱筋肉!クローズマグマ!アーチャチャチャチャチャチャチャチャチャアチャー!>
ドライバーの音声と共に、変身した万丈が姿を表した。
マグマと溶岩を纏ったその姿は、あの時助けてくれたあの赤い龍だった。
あまりの事に言葉を失っていた橘だったが我に帰り
「何をしている!その二人を捕えろ!」
そうシグマF達に指示を出す。
本能的に危険だと判断したのだろうか、静観していた2体は橘の指示で再び動き出し、万丈達へ攻撃を仕掛ける。
千翼は再び戦闘体勢を取った。
だが次の瞬間、凄まじい火柱が千翼の横を過ぎ、眼前にいた2体は大きな風穴を開けて動きを止めてしまった。
千翼はその熱波の方向へ振り向くと、万丈が拳の形をした武器を突き出すように構えていた。
「よし、逃げるぞ千翼」
そういい万丈はいつかの様に千翼を小脇に抱え、天井を破壊した、だが。
「うっそマジかよ…」
天井は完全に破壊されず、欠けた破片が落ちてくるだけだった。
「仮にもバケモノを取り扱ってる訳だからね。万が一に備えて大枚はたいて採用した成果だな。」
橘がそう言うと、先ほど職員達が降りていった階段から、今度は無数の足音がこちらへとかってくるのが聞こえてきた。
「今の4Cでは戦力不足が否めなかったのでね、『おともだち』を呼んでおいたのさ」
がらんとしたフロアは一変、武装した集団で溢れかえった。
「どうする?」
千翼が聞くと
「上がダメなら、前に進むだけだ!」
万丈はそう言い、千翼を抱えたまま真正面へ翔んだ。
それと同時に一斉に発砲を開始、無数と言っていい数の弾丸が二人目掛けて放たれる。
万丈は千翼を抱き抱え、敵に背を向ける形でその頭上を翔び超える。
弾は全て命中しているが、しかしクローズのボディには傷一つ付かなかった。
そして二人は部屋の正面エレベーターを破壊し、そのまま真下へ急降下した。
「あそこまで強力とはな……あの兵装の出所も是非押さえておきたいものだ。」
追え、そう橘は兵へと指示を出すと彼らは一斉にまたビルを降り二人を追い始める。
再びがらんと人が居なくなったフロア、橘はただ一人になった。
「……ッ!?」
突如として身体の自由が効かず、姿勢を大きく崩す。
「待った、何故そうなる……!約束と違うではないか……!……契約違反はこちら!?いや、まだそうと決まった訳ではなかろ──」
そう言いかける橘、身体は何かに抵抗するようにぎこちなく動き出す。
己の意思とは関係なく、ソレは橘を強引に研究施設の中へ入れ、そして
「……ッ!?待った、何を考えてる君は!?そんな事をすれば私は……!い、いやだ、それだけはやめろ、やめてくれ!」
ソレは、橘の腕を使い、液体の入った注射器を掴むと、橘の身体にあてがい
「わ、私は、私はアマゾンになんかなりたく──」
「なんとか一難は去ったな」
4Cビルの正面玄関、その広い空間に万丈は抱えていた千翼を降ろした。
「アレが言ってたアマゾンか」
「……うん」
千翼はそういう万丈に、浮かない様子で返す。
「あ……ごめんな。俺の為になりたくないもんにさせちまって」
「いいんだ。──また、万丈の力は借りることになるかもだけど」
「俺の血なんざ1万でも10万でもやるよ!」
万丈はそう言い袖をまくり上げガッツポーズを取る。
千翼はそんな万丈に、苦笑いしつつ嬉しく思った。
「血ぃなんて1万抜いたら死ぬぞ」
何処からか、嘲笑する様にそう万丈へ指摘する声が聞こえた。
千翼はその声を聞いた瞬間、表情を硬らせた。
声のする方へと顔を向ける万丈と、向けたくても見られない、見たくないといった千翼。
「あ、あんた確か──」
千翼はそれでも万丈の方を向いたまま彼に目を合わせようとしない。
(そうだ、悠が復活してたんだから、してない訳がなかったんだ)
彼が本当に避けなければならなかった人。
出会ってはならなかった人。
「よお千翼、迎えに来た」
<alpha>
「──アマゾン」
男はそう呟くと、ベルトのハンドルを回す。
「一緒に地獄へ行こうぜ」