仮面ライダーアマゾンズ pain is an CRoss-Z   作:血祭り

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6話

「千翼、迎えに来たぞ」

 

「あんた…」

万丈は、眼前の赤いアマゾン──アマゾンアルファにそう呟くと、再びドライバーを腰にあて臨戦態勢をとった。

千翼は、意を決し声の主を方へと振り返る。

そこには白い目をした赤いアマゾンが、見えぬはずの目で、こちらをじっと見つめて立っていた。

「じゃあ今度こそ一緒に、あの世へ行こう」

 

そう言うと、千翼へ向かって弾丸の様に飛びかかった。

 

直後万丈はクローズへと変身、間一髪で敵の鋭い突きを千翼からそらした。

攻撃を阻止されたアルファはクローズへ膝蹴りをして怯ませる。

間髪入れずミドル、ハイキックでクローズを攻める。

クローズは頭めがけて放たれた脚を捕まえ、アルファの空いたボディにストレートパンチを放つ。

強烈な一撃は、アルファを数メートル先へ吹き飛ばした。

アルファはそれでも即座に立ち上がり、再度飛びかかってくる。

「くそ、やっぱやたらつえーぞコイツ!」

基礎スペックは恐らくクローズの方が上、しかしそれでも、アルファの猛攻に徐々に防戦になっていく。

以前千翼を助けた際もこの赤いアマゾンとは少々やり辛さを感じていた万丈だったが、先程まで血を抜かれていたせいか、足元も少しおぼつかなくなっている。この状態では尚のこと苦戦は必至だった。

「お前の匂いは何かが混ざった感じで独特だからな、分かりやすくて助かる」

嗅ぐ様な仕草でアルファは言う。

 

「…ッ!万丈っ!」

千翼もまたアマゾン・ネオへと変身、クローズへ加勢する。

しかしアルファは近づいてきたネオへと即座にターゲットを変更、クローズを蹴り倒す。

不意を突かれ入った一撃は万丈を変身解除へと追い込む。そしてネオへと先程と同じかそれ以上の猛攻を繰り出した。

「くっ…!ああっ…!」

あまりの攻撃の嵐に、ついに膝をつくネオ。

アルファは、トドメと言わんばかりに雄叫びを上げ大口を開くと、ネオへと首元へと噛みつこうとした。

「千翼ッ!」

万丈は力のない足取りで、それでも走りネオを押し倒し守った。

そして

「ッ!?がああああああッ!!」

アルファの牙は、万丈の肩に深々と刺さった。

興奮状態で噛み付いた相手が分かっていないのか、アルファは奇声を上げながら肉をえぐろうと尚も噛み続ける。

「やめろぉ!」

ネオはブレードを展開、アルファの胴体を切り上げて吹き飛ばした。

切られた腹は右半分がぱっくりと開き、アルファは人の姿へと戻った。

息を切らしながら、千翼もまた変身を解く。

「万丈っ!大丈夫か!?」

肩からは多量の出血と、深い噛み跡が痛々しく付いている。

「さ、流石に…やべぇかも…」

「何か、傷を塞げるものが…」

そういうと自分のマフラーが使えるのではと思い、それを傷に当て包帯のように万丈へと巻き付けた。

「お前、いいのかコレ…」

万丈は少し弱々しい声でお礼を言う。

「いいんだ、おまえが守ってくれなかったおれは今頃…それに、今はおまえに持っててほしい」

「あ、ありがとよ」

しかし、二人の会話を裂くように仁は再び叫びながら今度は地面をのたうち回り出した。

「な、なんだ!」

驚く二人をよそに尚も叫び続ける仁。

しかし、絶叫をし続ける彼の身体に、二人はさらに驚愕する事となる。

「なぁ、アイツ確かさっき…」

千翼の一撃で開いたはずの腹の傷。

衣服の上からでも分かる程の大きな傷だった。

「傷が…塞がってる!?」

 

そこへ、一台のバイクがこちらへと向かってきた。

「悠っ!」

赤いバイクから降りると、悠は千翼達と仁の間ほどに駆け寄った。

「仁さん…遅かったか」

悠は、手負いの万丈を確認した後、地面をはいずる男を悲しそうな目で見つめた。

「万丈、君の細胞をあの後さらに調べさせて貰った。そしたらとんでもないことがわかった。」

悠は千翼達へと近付きながらその結果を伝えた。

「溶原性細胞についてはこの間話した通り、そして溶原性細胞由来でないアマゾン細胞がこの細胞と融合した時──」

悠は少し詰まらせ続きを伝えようとしたその時、仁が叫ぶ事をやめた。突然の静寂に一同は仁の方へと目をやる。じっと地面に大の字になっていた鷹山仁がそこにいた。

そして、ゆっくりと起き上がる彼の目は。

先ほどまで白く濁っていたその目は、しっかりと千翼達を見つめていた。

それは、彼の視力が戻ったことを示していた。

「やっと、お前の顔を見れた」

彼は嬉しそうに言う。

そして、少し嗚咽混じりな喋り方になり

「…ほんと、七羽さんによぉく似てるよ」

少し俯いて、目頭を抑える様なポーズを取ったのちひと呼吸置き

「だめだなぁ‥‥。やっぱ、見なきゃ良かったなぁ!」

歯を食いしばったようなその笑顔を、涙や鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、彼は再びドライバーのハンドルを握った。

 

「仁さんっ!もうアマゾンを狩らなくてもいいんです!」

悠は仁へと叫ぶ。

「・・・あ?」

張りついた笑顔のまま、仁は疑問の声でそう返す。

「アマゾン細胞の脅威性は、彼の細胞を使えば抑制できる。培養方法も、まだ試行段階だけど必ず見つかる!」

悠もまた僅かに涙を浮かべながら続ける。

「もう良いんだ。もう、アマゾンは…もう…」

 

「知るか」

尚も笑顔のまま、仁は悠の言葉をばっさりと切った。

「えっ?」

その返事に、悠は困惑を隠さずにいた。

 

「だからなんだ、アマゾンはアマゾンのままなんだろ。俺は狩り続ける。全てのアマゾンを駆除するまで」「仁さん」「話は済んだか?なら引っ込んでてくれ、親子水入らずなんだ」「仁さん貴方は」

言い合い、今にも飛びかからんとする2人だったが。

4Cビルのエントランス方から、断末魔のような悲鳴が上がりその場にいた全員がビルの方へ顔を向けた。

そして何かと戦闘するような、ライフルの発砲音に、また悲鳴とが繰り返し外の広場にまで聞こえてくる。

そして銃撃戦の音も、悲鳴も聞こえなくなり僅かな静寂ののち、コツ、コツ、と広間に近づいてくる足音。そこにいたのは。

 

スーツを真っ赤に染め上げ、左腕を異様な上げ方をしながらこちらへ来る橘の姿が、そこにあった。

その目はすわっており、いつものナルシズムで傲慢な雰囲気は一切なく、悠を始め彼を知るものは皆一瞬誰か分からなかった。それどもまでに別人だった。

 

「ええ、その反応は正しい。私は橘という男ではありませんから。いや正確には、この身体は彼のものですが」

淡々とそう語る男は続けて

「E細胞、でしたかね。確かに素晴らしい。全てを貪欲に喰らおうとする。貯蔵庫の中のアマゾンを全て平らげ、あの場にいた人を全てを食い尽くし尚も貪欲に欲す。素晴らしく、そして危険だ」

アマゾンは自分の変わった姿を見ながら続ける。

「些か美しさに欠けますが。しかしコレもまた、良き終末をもたらすものではある」

 

 

橘と思しき男はそういうと、左手を右手の二の腕へと持っていく。

 

「レジスター!」

悠が叫ぶ。見るとそこにはアマゾンズレジスターが装着されていた。

男はレジスターを起動させると、その周囲に凄まじい熱波を放った。

その場にいた皆が顔を覆い、そして風が収まり再び男の方を見ると

「なんだありゃ…」

万丈がそう漏らす。

そこに立っていたのは、異様な様な姿をしたアマゾンだった。

全高3メートル程、大きな翼とツノそして顎を持ち、人の姿をしているが今まで出たどのアマゾンとも似つかず、しかし様々な動植物の特徴を有していた。

その中には、仁や悠がコレまで出会ったアマゾンの特徴もあった。

そしてそのアマゾンの集合体、その見た目を敢えて呼称するのであれば、恐竜といった風貌であった。

 

「万丈龍我君、でしたね。君の持つその細胞、終末の為に是非欲しい」

そういった次の瞬間には、橘の変身したアマゾン体、恐竜アマゾンは万丈の方へと飛びかかった。

巨体に似つかわしくないスピードだったか、千翼はその奇襲を察知に万丈を突き飛ばした。

万丈を掴もうとした怪物の腕は、千翼を鷲掴みにしそのまま握り潰す。装甲も骨もミシミシと音を立て一瞬で崩壊寸前となった千翼はそのまま万丈を突き飛ばした方向へと投げ飛ばされた。

 

悠、そう仁が言う。2人はドライバーに手を当てる。

「あのヤバそうなのから片付けるぞ、話はその後だ」

「‥‥そうですね」

 

「「アマゾン!」」

 

緑と赤の炎が炸裂し2人は変身、恐竜アマゾンへ飛びかかった。

しかしそれに対し丸太のような尻尾を一振りしアルファとネオ・オメガの攻撃は敢えなく一蹴されてしまう。

なおも果敢に攻める仁と悠だったが、まともなダメージは入っていない。

再度吹き飛ばされ片膝をつきながら

「図体でかくてタフで俊敏おまけに攻撃が全部痛ぇ、反則だろ」

仁はそう愚痴をこぼす。

「少し、昔に戻ったみたいですね」

悠は少し息を上げながら言う。

「そういう感傷に浸ってると後でやり辛くなるぞ」

フッと鼻で笑う仁。

「ええ…でも正気でいてくれる方が、何かあってもきっと、あとぐされがない」

短いやり取りを終え、2人はそれぞれの武器を展開し再び怪物へと立ち向かっていく。

 

その様子を、万丈は朦朧とする意識の中見ていた。

貧血と痛みで上手く立ち上がれなかったが、ようやく這いつくばってでも進めるまでに回復した。

このままでは恐らく、あの2人は勝てない。

自分も加勢しなければ。

 

少し先には投げ飛ばされた千翼がいた。既に変身は解けており、死んだかと心配していたが胸や鼻が僅かに動いているので息はある様子だった。

万丈はそんな千翼へと体を引きずりながら近付く。

今の千翼はアマゾン細胞に比重が偏っている。アマゾン細胞は驚異的だがそれまでの万丈の中の、新たに創造されたエボルトの遺伝子、それと融合したものに比べれば再生力は格段に低い。

 

「死ぬなよ‥‥!千翼ォ‥‥!」

 

ようやく千翼のそばにきた万丈だったが、しかし何が出来るわけでもない。ただ、弱っていく千翼を見ることしか出来なかった。

「なんだよ‥‥約束したのによ、コイツとよ‥‥!」

無力さへの怒りから両手を地面に何度も叩き付ける

、その時フルボトルが一つ地面に転がった。

それを見た万丈は、ある事を思いつく。

(待てよ。アイツがやったのと同じような事を、オレもできれば‥‥!)

その転がったボトル、グレートドラゴンを握り万丈はがむしゃらに念じた。

方法はわからない、だが必死にそうしたいと願った。出来るかはわからない、たがそれに賭けるしかなかった。

万丈の身体が光出す。『この身体』と結びつく以前の、曖昧な存在が周囲を覆った。

それをボトルに移し、キャップを千翼の方へ指した。ボトルはエンプティボトルへと姿を変え、光体は千翼の中へと吸い込まれていった。

 

そしてゆっくりと、千翼は瞼を開いた。

「良かった‥‥!」

安堵する万丈、千翼は何が起こったのかが分からなかった。まだ全身はボロボロで戦えるまではいかないものの、一瞬で意識が戻るまでに回復した事への戸惑いがあった。

「昔な、エボルトって人の身体取っ替え引っ替えするやつがいてさ。理屈はわかんねぇけど、アイツと似たような事出来れば、こうやって力を分けられるじゃないかって思って」

「よく、分かんないけどその、ありがとう」

弱々しくも礼を言う千翼のそのした笑顔に、万丈はどこか友の笑顔と言葉を思い出しその姿を重ねた。

 

「‥‥さ、て」

まだおぼつかない体を起こしベルトにガジェットとボトルを装填する。

「変身すりゃ、多少は楽になるか」

万丈はクローズマグマへと変身、アーマーが身体を支えることでようやく立ち上がれるようになった。

しかし度重なる負傷で既に満身創痍、立ち上がるだけで精一杯だった。

それでも進もうとする万丈に千翼は

「‥‥なんで、そこまでしてくれるんだよ」

万丈へ聞く。

「言ったろ、愛と平和のため──そう、仮面ライダーだからな」

「かめん、ライダー?」

「そう。んで、俺も仮面ライダーだから、な」

じゃ、行ってくるわ。万丈はそう言い、眼前の敵へ立ち向かって行った。

 




絶対に近いうちに次を投稿します。本当にすみません。
長い間何もしてなかったせいか、文字書き下手くそが更に悪化してますがどうか多めに見てください。
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