北上「来月、前線に行ってくるねー」 ショタ「お土産は?」 作:くれ
―ヒトロクマルマル 司令室―
提督「すまない、聞き間違いをしてしまったかもしれない」
提督「もう一度言ってくれないか?」
北上「いんや、たぶん聞き間違いじゃないよ」
北上「指輪ちょーだい」スッ
提督「・・・・・・」
提督(いつもの様に金剛たちとお茶会をした直後)
提督(私は北上から、ふたりで話があると切り出された)
提督(それだけでも滅多にないことなので、驚いていたのだが・・・・・・)
提督(まさか、その話題を北上の方からふれてくるとはな)
北上「ダメー?」クビカシゲ
提督「・・・・・・駄目も何も」
北上「イイじゃん、イイじゃん。いっぱい持ってるんでしょー?カッコカリの指輪」
北上「腐らせとくくらいなら、あたしにちょーだよー」
北上「練度99なの、今はこの鎮守府にあたしだけなんだしさー」
北上「あ、でももうひとりいるか」
北上(まあ、でもあの子は提督とはカッコカリできないからなー)
北上「とにかく、ほらほら」
提督「・・・・・・分かった」ゴソゴソ
提督「受け取れ、北上」スッ
北上「おお、ありがとー」
北上「じゃあ、はめてよ提督」
提督「ああ」
提督(私は小箱から指輪を取り出し、北上の薬指にはめた)
提督「北上」
北上「ああ、うん。ええっと」
北上「『まぁ、なんてーの?そうねぇ・・・・・・いい感じじゃん? 最近。まあ、なんかそう思うんだよね。うん。・・・・・・まあ、そんな感じ?』、だったっけ?」
提督(北上がその台詞を口にすると、薬指におさまった指輪は一瞬柔らかく光り、そしてまた、鈍い輝きを取り戻した)
提督(提督の私が練度99に達した艦娘に指輪をはめ)
提督(艦娘が、それぞれに定められた台詞を口にする)
提督(それで、ケッコンカッコカリの儀式は終わりだ)
提督「どうだ?」
北上「うーん、別に身体に変わったとこはないかなー」
北上「まあでも、隠れてた自分の伸びしろが見つかったみたいな」
北上「頑張れば、もうちょっと強くなれる気がしてきたような」
北上「そうでないような?」スッ
提督「もう外すのか? 指輪」
北上「まあね、指にはめてなくても身に着けとけば効果はあるし」ジャラジャラ
提督「・・・・・・ネックレスか?」
北上「そっ、こうやって指輪に通して、首からかけておけば」
北上「服の中に入れられて、目につかないでしょ?」スッ
北上「ねっ」
提督「・・・・・・」
北上「じゃー、練度の最大値も伸びたことだし」クルッ
北上「ちょいと、帰国子女の高速戦艦様にでも演習を申し込んで来るとしますかねー」トコトコ
提督「まて、北上」
北上「んー」ピタッ
北上「なに、提督」
提督「どうして今さら、そんなものを欲しがった?」
北上「どうしてってさー、朴念仁にもほどがあるよ? 提督―」
北上「もちろん提督のことを愛してるからデース(金剛のモノマネ)」
北上「女の子に言わせんなよ、このこのー」
提督「北上」
提督「私がケッコンカッコカリの制度を、ただの戦力増強の手段としているのを、君が知らないわけがないだろう」
提督「練度が上限に達した者には、即座にその指輪を渡してきた」
提督「私に好意がないものでも、鎮守府の戦力アップに繋がるならと受け取ってくれた」
提督「私がこの鎮守府に着任してから、やむを得ない理由なしに、カッコカリを受け入れなかったのは」
提督「君だけだ、北上」
提督「なのに、どうして」
北上「・・・・・・これでもあたしは、さ」
北上「気を遣ってあげてたわけさ」
北上「あたしが指輪をしてたら、嫌でも考えちゃうと思って」
提督「誰のことをだ?」
北上「ほーら、そういう返しをしてる時点で、察しがついてるくせに」
北上「まあ、それでもあたしの口からどうしても聞きたいっていうなら、そうするけど?」
提督「・・・・・・もういい、さがれ」
北上「はーい」ガチャ
北上「・・・・・・」
北上「・・・・・・提督」
北上「こんなこと言うと不謹慎かもしれないけどさ」
北上「正直あたしは人間側が勝とうが、深海棲艦側が勝とうが」
北上「どっちでもいいのさ」
北上「どちらにせよ、決着がつく頃には」
北上「あたしはきっと、いないだろうから」
北上「でもさ」
北上「こんなんでもさ、守りたいと思えるくらいには、大切にしてるものもあるわけさ」
北上「・・・・・・摩耶や鳥海、先に前線に行ったみんなからも頼まれたしね」ボソッ
北上「だからさ、あと1ヶ月、悪あがきしてみようかなって」
北上「まあ、戦いの中で死にたくないってのが一番なんだけどねー。痛いのはヤだし」
北上「回避値あげようにも、上限にはとっくに到達してたからねー」
北上「死ぬなら寿命でポックリ死にたいよねー」ケラケラ
北上「んじゃ、ありがとね。提督」キィー
北上「・・・・・・愛してるよ」パタン
提督「・・・・・・」
提督「・・・・・・・・・・・・」
提督「・・・・・・・・・・・・北上、私は」
提督「俺は、お前にそんな言葉をかけてもらえる権利なんてない」
提督(あの人の面影を重ねるばかりで)
提督(彼女自身を見ようとしなかった俺には)カチャ
ロケットペンダント「」キラッ
―ヒトロクマルゴー 鎮守府廊下―
ショタ「北上おねーちゃん、お父さんとのお話終わったー?」
北上「おー、ショタっち」
北上「うんうん、終わったよー」
ショタ「じゃー、何して遊ぶ-?」
北上「おいおい、ショタっち」
北上「一応これでもね、勤務中なんだよあたし」ハァー
北上「色々しなきゃいけないことがあるわけですよ」
北上「いつまでもお子ちゃまと遊んでるヒマはないの」
北上「飴ちゃんあげるから、お勉強でもしておきなさい」ヒョイ
ショタ「飴はもらう」パクッ
ショタ「で、北上おねーちゃんとも遊ぶー」ギュッ
北上(強欲だねぇ)
ショタ「ねーねー、いいでしょー」
ショタ「遊んでよー。北上おねーちゃん」グイグイ
北上「他の艦娘に遊んでもらいなよ、駆逐艦とか」
ショタ「全員遠征とか行ってるから、いないんだもんっ」
北上「金剛は?」
ショタ「金剛は『今から遠征艦隊が帰港するのデ、出迎えに行ってきマース。みんなSexyな姿になってるから、提督ジュニア
は着いてきちゃノーなんだからネ!』って、どこかにいっちゃった」
北上「ああ、そうねー」
北上(そういえば、そろそろ前線への物資輸送を終えた艦隊が戻ってくる頃ねー)
北上(確かにショタっちには、見せられないわ)
北上(“色々と”刺激が強すぎて)
ショタ「遊んで、遊んで、遊んでよー」
北上「ああ、もう分かったよ。ウザいなぁ」
北上(本当は今日から演習とか組みたかったけど、明日からにしますかねー)
北上(あーホント、あたしって甘いなー)
北上(子供にも、自分にも)
北上「そんからわり今日だけよ? 明日からはちゃんと勉強だからね」
北上「お父さんみたいな提督になりたいんでしょ?」
ショタ「うんっ」
ショタ「お父さんみたいな、凄くて優しい提督になるっ」
北上(凄くて優しい、か)
北上(提督が聞いたらどんな顔するんだろ)
北上「で、どうするー? なにする-?」
ショタ「んーとね」
ショタ「オママゴト!」
北上「うーんそれは、なんていうか」
北上「そのチョイスは男の子としてどうなの?」
北上(それに、ちょっと意味ありげよねー)
ショタ「え、でも暁型とか、睦月型のおねーちゃんたちとは、よくオママゴトするよ?」クビカシゲ
北上「あー、なる」
北上(まあ、周りに女の子しかいなかったら、そうなるわよねー)
北上「おっけー、オママゴトね」
北上「じゃあ、あたしは何役をやればいいー?」
ショタ「じゃあ、僕は息子役やるから」
ショタ「おねーちゃんは、お義母さん役をお願い」
北上「ほいほーい、お義母さん役ねー、了解」
北上「・・・・・・ん?」
ショタ「じゃあ、いくよー・・・・・・『ねえ、お義母さん。僕ね、変なんだ。お義母さんが、僕の新しいお母さんになってから、なんだかムズムズすr北上「はい、アウトー」」
北上「ショタっち、これから艦娘とオママゴトするの禁止ね」
ショタ「ええっ!? なんで!」
北上「情操教育上、悪影響しかないから」
ショタ「じょーそーきょーいく?」
北上(誰かな、こんな昼ドラみたいな設定をオママゴトに盛り込んだエロスの申し子は? 秋雲大先生かな?)
北上「・・・・・・コホン」
北上「とにかく、オママゴト以外のでよろしくー」
ショタ「うーん、オママゴト以外かぁ~」ムムム
北上(悩んでる悩んでる)
北上(難しい顔してるショタっちも、なかなかオツだねー)ウンウン
北上「あ、そだ。ショタっち」
ショタ「うん?」
北上「午前中話したお土産の件なんだけどさぁ」
北上「やっぱりあたしは、帰ってきてから渡すね」
北上「そん代わり、お土産の中身には期待してていいよー」
北上「このハイパー北上様が、持ってきてあげるから」
北上「その時ショタっちの一番望んでるものをさ」
ショタ「・・・・・・・」
ショタ「分かったっ」ニカッ
北上「ありがとよー、ショタっち」ダキッ
北上(一瞬悩んで、すぐに笑顔をあたしに向けてくれたショタっち)
北上(小さいのに気を遣える、とってもいい子に育っただねー)
ショタ「決めた!」
ショタ「一緒にお昼寝しよっ、北上おねーちゃん」
北上「およ? お昼寝?」
北上「遊ばなくていいのー?」
ショタ「うん、なんか眠くなっちゃった・・・・・・」メヲコスリ
北上「おっけー、じゃあ仮眠室でお布団敷いて、一緒にお昼寝しよっか」ギュッ
ショタ「うんっ!」ギュッ
北上(掌から伝わる、小さくて暖かな手の形)
北上(それを守るため、忘れないためにあたしは・・・・・・)
―球磨型 3番艦 重雷装巡洋艦 北上 抜錨まであと30日―
北上「たぶんあたしは、2人目だから」ショタ「えっ」 につづく