北上「来月、前線に行ってくるねー」 ショタ「お土産は?」   作:くれ

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ショタ「そういえば、ウチの金剛って強いの?」北上「んー?」

―ヒトゴーマルマル 演習場―

 

北上「あ、そっか」

 

北上「ショタっちは金剛の戦ってるとこ、見たことないんだっけ」

 

ショタ「うん」

 

ショタ「昔強かったって聞いたことはあるけど」

 

ショタ「今はお父さんの秘書艦ってことしか分からない」

 

ショタ「あと、おやつに用意してくれるジュースがおいしい」

 

北上「つまり、今の金剛のイメージを一言であらわすと?」

 

ショタ「おいしいジュースをくれる紅茶オバケ」

 

北上(子供は素直だなぁ)

 

香取「金剛さん」

 

香取「もしかして、あの時雨さんと対抗演習するおつもりですか?」

 

金剛「Of course」

 

香取「・・・・・・」

 

香取「許可出来ません」

 

金剛「Oh、香取」

 

金剛「ここはみんなの演習場、そんなAuthorityは貴方にはありませんヨ?」ノンノン

 

香取「・・・・・・貴方が前線から外された理由、お忘れではないですよね?」

 

香取「先代の、そして現提督のお心遣いを、無下にするおつもりですか?」

 

金剛「!」

 

金剛「そ、それは・・・・・・」

 

時雨「そんなに責めないであげてよ、香取」

 

時雨「僕がバカにした提督の名誉のために、金剛は戦おうとしてるんだ」チャプ

 

時雨「艦娘としては、至極当然のことだと僕は思うけど?」

 

香取「・・・・・」ギリッ

 

香取「それでも私は」

 

香取「金剛さんに、戦って欲しくありません」

 

金剛「・・・・・・大丈夫、ネ」

 

金剛「すぐ決着するヨ」

 

金剛「だから、お願いネ」

 

香取「・・・・・・」

 

香取「・・・・・・分かりました」チャプ

 

香取「それでは練習巡洋艦 香取、この対抗演習にご一緒させていただきます」

 

金剛「!?」

 

時雨「・・・・・・へぇ」メヲホソメ

 

時雨「僕は別にいいけど?」

 

時雨「そうだ」

 

時雨「ついでにそこの重雷装巡洋艦さんもどうだい?」

 

北上「あー、うんとね」

 

北上「あたしは遠慮しておこうかな」

 

北上「おふたりさん、参加してきたら」

 

北上「あのメンツなら、負けても練度はかなり上がると思うよー」

 

摩耶「・・・・・・馬鹿言うなよ、北上」

 

鳥海「私も止めておきます。ペイント弾で轟沈はしたくないので」

 

北上「さいで」

 

~~~

 

時雨艦隊

旗艦 時雨「じゃあ、北上。号令は任せたよ」(ストレッチ中)グイグイッ

 

金剛艦隊

旗艦 金剛「・・・・・・」

   香取「金剛さん、最初は私が前に出ます。見ていてください」

 

北上「それではこれより」

 

北上「時雨艦隊対金剛艦隊で、対抗演習を行います」

 

北上「始めっ」パン

 

《戦闘開始!》

 

香取「練習巡洋艦、香取。参ります」ズサー

 

香取(多少の被弾は覚悟の上)

 

香取(全速前進、刺し違える覚悟で正面から突撃いたします!)

 

ショタ「あ、香取おねーさんが前に出たよ」

 

北上「そだね」

 

北上(香取は、金剛が戦闘に参加する前に決着をつけてしまおうという腹づもりみたいだけど・・・・・・)

 

摩耶「鳥海、どう思う?」

 

鳥海「どうって・・・・・・」

 

摩耶「確かに、あの香取は強いけどさ」

 

摩耶「あの時雨に勝てるとはとても・・・・・・」

 

鳥海「・・・・・・そうね」

 

鳥海「香取さんは戦闘経験を積んでいるとはいえ、そのほとんどが対抗演習でしょうね」

 

鳥海「一方時雨さんは、前線での実践経験が豊富。毎日のように命のやりとりしている」

 

鳥海「そもそも前提として、ケッコン艦である時雨さんに、香取さんが勝てるとはとても・・・・・・」

 

北上「あれ、ひょっとして気がついてなかった?」

 

北上「香取もケッコン艦だよ」

 

鳥海「ええっ!?」

 

鳥海「そんな・・・・・・私の推測が、瓦解した!?」

 

摩耶「いや、驚くところそこじゃねーだろ」

 

摩耶「で、練度は?」

 

北上「摩耶の改造出来るレベルに+100したよりも、あるかなー」

 

摩耶「なんつー、遠回しな説明だよ」

 

摩耶(でも、そうか。ケッコン艦っていうならあの演習での強さも納得できる。それに)

 

摩耶「なら、ちょっとは勝ち目もあるんじゃねえか?」

 

北上「・・・・・・そうねー」

 

北上「どうかねー」

 

時雨「・・・・・・」

 

香取(敵艦に動きはなし・・・・・・)

 

香取(罠でもあるの?)

 

香取(いえ、それでももうこの距離なら)チャキ

 

香取(確実に当てられる)キッ

 

時雨「・・・・・・」ニヤッ サッ

 

水しぶき「」パシャ

 

香取「!?」

 

香取(水面を薙いで、水飛沫をっ)

 

香取(けれどこの程度、振り払えるっ)ブンッ

 

香取「舐めてもらっては困ります。この程度目眩ましにもならn」

 

時雨「当然、目眩ましになるなんて思ってないさ。いや」

 

時雨「香取、君には目眩ましすら不要だよ」スッ

 

香取「なっ」

 

香取(いつの間に側面にっ!?)

 

時雨「ただ一瞬、気をそらせれば十分だ」

 

香取「まz」

 

ドカ―ンッ

 

香取「・・・・・・いっ」タイハッ 

 

香取「金剛、さ、ん」フラッ

 

香取「だ、め」バシャンッ

 

ショタ「香取おねーさんっ」ダッ

 

北上「はーいショタっち、危ないから近づいちゃだめよー」ガシッ

 

ショタ「で、でもっ。香取おねーさんが倒れちゃったんだよ!?」

 

摩耶「・・・・・・小口径主砲で中身がペイント弾だとはいえ、土手っ腹にゼロ距離だからな」

 

鳥海「私たちの大破のように、被弾しても動けるレベルのダメージではないでしょうね」

 

ショタ「だったら、なおさら助けないと!」

 

ショタ「このままじゃ、香取おねーさんが溺れちゃうよ」

 

北上「大丈夫」

 

北上「信じなさいってば」

 

時雨「まあ、色々言いたいことはあるけどさ」

 

時雨「駆逐艦相手に、低速艦の君が開幕突撃は悪手に過ぎるね」クスッ

 

時雨「頭の良い君らしくもない」

 

時雨「そんなに冷静さを欠くほど、僕と金剛を戦わせたくなかったのかい?」

 

時雨「まあ、コンディションが最高だったとしても、君は僕に勝てなかっただろうけどね」

 

時雨「ケッコン艦?」

 

時雨「だったら練度100以上ってことだよね?」

 

時雨「140?150? それとも」

 

 

時雨「僕と同じ、165だったりするのかな?」

 

 

摩耶「なっ!?」

 

摩耶「練度165っ!?」

 

鳥海「嘘ッ、そんなのって」クチモトオサエ

 

ショタ「北上おねーちゃん」グイグイッ

 

ショタ「それって、凄いの?」

 

北上「・・・・・・練度99を迎えた艦娘」

 

北上「本来最上限が99の練度を、引き上げることが出来るシステム」

 

北上「それがケッコンカッコカリなのは知ってるよね? ショタっち」

 

ショタ「う、うん」

 

北上「ケッコンカッコカリが発明された当時」

 

北上「カッコカリの指輪を身に着けることで、艦娘の練度の上限は150まで引き上げることができた」

 

北上「そのカッコカリのシステムは進化を重ね」

 

北上「15年前に上限155」

 

北上「3年前に上限160」

 

北上「去年に上限165」

 

北上「そしてつい最近、大本営の研究チームが、カッコカリシステムにおける練度の上限を、175へと引き上げることに成功したんだ」

 

北上「ショタっち、これがどういう意味か分かる?」

 

ショタ「そ、それって・・・・・・」

 

北上「そう、最近になって上限を引き上げなければいけない理由が出来たんだよ」

 

北上「カッコカリの指輪はただひとりのためだけに、改良されたんだ」

 

 

北上「既存の指輪の限界値(最高練度165)に達してしまった艦娘のためだけにね」

 

 

時雨「・・・・・・」

 

時雨「そういうことさ」

 

時雨「まあ、仮に同じ練度だったとして」

 

時雨「練巡と駆逐艦、対等な勝負になったかな?」ニヤ

 

摩耶「・・・・・・っ」ギリッ

 

摩耶「鳥海、アタシ今さ」

 

摩耶「今日イチで悔しいわ」グッ

 

鳥海「・・・・・・奇遇ね」

 

鳥海「私も同じ気持ちよ」ツー

 

ショタ(鳥海おねーちゃん、下唇から血が出てる)

 

 

金剛「Loserになった時の言い訳作りにしては、少々演出がflashy過ぎデース。時雨」

 

 

時雨「っ(背後から声)」バッ

 

海面「」シーン

 

時雨(一瞬香取を囮に背後を取る作戦だと思ったけど)

 

時雨(誰もいなくてよかt)

 

時雨「!?」(水面を蹴り、その場から緊急待避)バシャ

 

時雨(浮かんでいた香取は一体どこにっ!?)

 

時雨(それに、金剛はっ)

 

時雨(彼女の声は確実に近くから聞こえた)

 

時雨(だとしたら、今はどこにいるんだっ)キョロキョロ

 

金剛「慌てなくても大丈夫ネ。時雨」

 

金剛「私は不意打ちなんてしませんカラ」

 

時雨「っ」バッ

 

金剛「きっちり正面から戦って教えてあげるヨ」

 

金剛「駆逐艦風情が戦艦にpick a fightするとどうなるかネ」スッ

 

香取「・・・・・・」スースー

 

ショタ「香取おねーさんっ」

 

金剛「Never mind」

 

金剛「気絶して、眠ってるだねデス。後で入渠させてあげてくだサイ」

 

金剛「それにしても」

 

金剛「いつもはお姉さんぶってる香取ですが」フフッ

 

金剛「寝てる顔はとってもprettyネ」ツンツンッ

 

時雨(馬鹿、な)

 

時雨(僕の目を盗んで、この演習場の真ん中から)

 

時雨(隅の陸地まで、香取を回収して移動したっていうのか)

 

時雨(あり得るのか、そんなこと)

 

時雨(・・・・・・けれど。そうだとして。なら、金剛のスピードは)

 

時雨(この僕と同程度ってことだ)ギリッ

 

時雨「すまなかったね、金剛」

 

時雨「僕もやられまいと必死だったんだ」シレッ

 

金剛「時雨」

 

金剛「別に私は、怒ってるわけではありまセン」

 

金剛「これは対抗演習」

 

金剛「練習とはいえ、砲雷撃戦なのですかラ」

 

金剛「怪我をするのは、仕方のないコト」

 

金剛「それでも、もし謝るべきPersonがいるなら」

 

金剛「それは私たちのFightに首を突っ込んだ」

 

金剛「そこで気持ちよくのびている、香取のほうデース」

 

時雨「へえ」

 

時雨「流石、鬼神の金剛」

 

時雨「戦闘については、仲間に対してもストイックなんだね」

 

金剛「ノー、ノー、ノー」チッチッチッ

 

金剛「私はこう見えて子供っぽいんデス」

 

金剛「つまりね、時雨。こういうことデス」

 

金剛「Youが私の砲撃でとおっても痛い思いをしても」チャキ

 

時雨「」グッ

 

金剛「私は絶対、謝りませんカラッ!」ドドドドーン!!!

 

時雨「」ビュン

 

無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!

 

摩耶「っち、金剛の奴いきなりブッ放ちやがった!」ミミオサエ

 

鳥海(けど、時雨さんはそれを先読みして)

 

鳥海(着弾予想地点から一息に離脱したわ)

 

時雨「」ザッ

 

キラッ

 

時雨「!」バッ

 

無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!

 

大量の水飛沫「」パラパラパラパラッ

 

時雨「・・・・・・」ボロ

 

金剛「・・・・・・それで避けたつもりになってもらっては困りマース」

 

金剛「威勢の分くらいは、頑張ってくださいよネ!」ズサー

 

時雨(防御は間に合った)

 

時雨(ダメージは爆風をもらっただけ)

 

時雨(小破すらしてない)

 

時雨(まだ)グッ

 

時雨(やれるっ)クワッ

 

時雨「」ビュンッ

 

バシュッバシュッ ドドドドーン!!! ドンッ! ドンッ! ババババーン! ドーンッ!

 

鳥海「・・・・・・」ゴクッ

 

鳥海(・・・・・・早い)

 

鳥海(目で追うのがやっとだわ)

 

鳥海(いえ、もしかしたら第三者視点の今でさえ)

 

鳥海(彼女達ふたりの攻防全てを把握できていないかもしれない)

 

鳥海(これが歴戦の艦娘の戦い)

 

摩耶(おいおい、コレが戦艦と駆逐艦の戦いかよっ)

 

摩耶(実はどっちも島風だって言われても、アタシは信じちまうかもな)

 

摩耶(だいだい、駆逐艦の時雨はともかくとして)

 

摩耶(高速艦とはいえ、金剛のは、戦艦のしていい動きじゃねぇぞ)

 

ショタ「ほえー」

 

ショタ「どっちも早いねぇ」

 

ショタ「艦娘ってみんな海の上をあんなに早く動けるの?」

 

北上「全員ってわけじゃないけどね」

 

北上「鍛えれば、アレに近い動きは出来るかもね」

 

北上(血反吐を吐くくらいじゃ、無理だろうけど)

 

ショタ「あれ」

 

ショタ「でも、時雨おねーちゃんは今1番どの艦娘よりも練度が高いんだよね?」

 

ショタ「なのにどうして、ケッコンカッコカリもしてない金剛が、そのスピードについていけてるの?」

 

摩耶 鳥海「「!」」

 

摩耶「金剛のやつは、ケッコンカッコカリしてなかったのかよっ」

 

ショタ「?」

 

ショタ「さっきもだけど、なんで今更驚いてるの?」キョトン

 

摩耶「あ」

 

摩耶「ああ! いや!」

 

摩耶「そういえばそうだったなって」

 

摩耶「ちょっと忘れててな」ナハハハハ

 

摩耶(そうだ、確かに金剛は提督とカッコカリをしてなかった)

 

摩耶(なら、最高でもあいつの練度は99ってことだ)

 

鳥海(少なくとも、60以上の練度の差)

 

鳥海(果たしてそれは、艦種の差だけで埋められるものなの?)

 

北上「・・・・・・」

 

北上「まあ、いろいろ理由はあるんだけどね」

 

北上「ねえ、ショタっち。知ってる?」

 

北上「高速艦と一概に言っても、実はその中でも早さにばらつきがあるんだよ」

 

北上「一般に、時雨改二の推定速力は36ktって言われてる。一方で金剛改二の推定速力は」

 

 

北上「30kt」

 

 

北上「時雨改二の実に5/6のスピードしか出せないんだよ」

 

北上「本来ならね」

 

北上「それに加えて、今回は練度の差が大きい」

 

北上「普通に考えれば、時雨がスピードと数の暴力で圧倒して」

 

北上「時間いっぱいまで袋叩きにされるか、その前に大破して演習終了だ」

 

北上「けど、そうはなってない」

 

北上「その理由のひとつはね、ふたりの装備だよ」

 

鳥海(装備?)

 

ショタ「装備がどうしたの?」

 

北上「まずは、時雨の装備に注目してごらんよ」

 

北上「主砲1、副砲1、魚雷1」

 

北上「3つある装備スロット全て使って、攻撃力をバランスよく上げている」

 

ショタ「・・・・・・?」

 

北上「これだけじゃ、まだ分かんないか」

 

北上「それじゃ、金剛の装備を見てみな」

 

ショタ「金剛の・・・・・・・」

 

ショタ「?」

 

ショタ「!」

 

ショタ「金剛、大砲いっこしか装備してない」

 

摩耶 鳥海「「!?」」

 

北上「そっ」

 

北上「金剛は、装備スロットが4つあるにもかかわらず」

 

北上「装備しているのは大口径主砲ひとつのみ」

 

北上「しかも比較的、精度のつけやすい30.5cm三連装砲をね」

 

北上「推定速度っていうのは、その艦娘に初期装備を持たせた時の速度なわけ」

 

北上「時雨は初期装備より、ひとつ装備が多くて」

 

北上「金剛は初期装備より、ふたつも装備が少ない」

 

北上「なんていったって馬力は高速戦艦が勝ってるからね」

 

北上「それだけでも、差が埋まる気がするでしょ?」

 

摩耶「なら、時雨も装備を外して身軽になれば・・・・・・」

 

北上「速度の優位はある程度取り戻せるだろうね、けど」

 

鳥海「ただでさえ戦艦を相手にするには物足りない火力を、更に落とすことになってしまう」

 

鳥海「決定打を与えられなければ、勝てないし」

 

鳥海「時間いっぱい使って粘り勝ちを狙おうにも、万が一、その間に大きなダメージを受

けてしまえば」

 

鳥海「形勢を覆すことは致命的、ということですね」

 

北上「そーいうことだねー」

 

北上「そして、もうひとつ」

 

北上「ふたりの戦力差を埋めている要因は」

 

 

北上「経験の差だよ」

 

 

ショタ「え」

 

ショタ「でも時雨おねーちゃんのが練度は高いんでしょ?」

 

ショタ「それって、経験値が金剛よりいっぱいってことでしょ?」

 

摩耶「アタシも、ショタと同じ意見だ」

 

摩耶「いくら金剛が実戦経験を積んでいるっていっても」

 

摩耶「それはケッコンカリ制度が出来る以前の話だ」

 

摩耶「それに、練度165の時雨が」

 

摩耶「金剛に経験の差で押されてるってのは、どうも納得できねぇ」

 

北上「・・・・・・鳥海もそう思う?」

 

鳥海「私は・・・・・・」

 

鳥海「北上さんの説には一理あると思います」

 

摩耶「あん? なんでだよ、鳥海」

 

鳥海「北上さんがおっしゃっているのはきっと、“量”の話ではなく」

 

鳥海「“質”の話だよ思うわ」

 

ショタ 摩耶「「量? 質? 何のこと(だ)?」」

 

北上 鳥海((脳みその中身が同レベル・・・・・・))

 

鳥海「こほん」

 

鳥海「つまり、“どれだけ経験しているか”ではなく」

 

鳥海「“1度でも経験したことがあるか”ってことよ」

 

鳥海「そうですよね、北上さん?」

 

北上「ご名答―」

 

北上「いやー、流石鳥海。高雄型の頭脳ポジションなことはあるね」パチパチパチパチ

 

鳥海「ふふ、一応褒め言葉として受け取っておきますよ」

 

北上「じゃあ、ショタっちと高雄型のポンコツ担当にも分かるようにこのハイパー北上様が説明してあげるとだね」

 

ショタ「うんうん」

 

摩耶「誰がポンコツ担当だよ」

 

北上「金剛は“自分と同じか少し素早くて、火力が自分より劣っている相手”、つまりあの時雨と同じような相手と何度も戦ったことがあるんだよ。けど」

 

北上「“自分と同じか少し素早さが劣っているけれど、火力が自分より遥かに上回っている相手”、まさしく今対峙している金剛のような相手と、戦ったことはあるのかって話だ」

 

摩耶「“速度が駆逐並みの戦艦”と“速度が戦艦並みの駆逐艦”」

 

摩耶「遭遇したくねえのは、どっちかって話か」ナルホド

 

北上「んー、ちょっと違う気がするけど大体そんな感じ-」

 

鳥海(戦い方を熟知しているタイプの戦闘と)

 

鳥海(初めて戦うようなタイプの戦闘)

 

鳥海(その違いもまた、あのふたりの拮抗を演出している)

 

鳥海(それは、確かに分かるのだけれど)チラッ

 

北上「・・・・・・」

 

鳥海(本当に、要因はそのふたつだけなのかしら)

 

時雨「」シューーーーーーー(艤装で水面をすべる音)

 

金剛「Hi、Kitty!」クルッ

 

金剛「私の周りをぐるぐるしてるだけでは、私には勝てませんヨー」ドドドーン

 

時雨「・・・・っ・・」シュン シュン

 

無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!

 

金剛(身体を翻しての、動きを最低限にした紙一重の回避)

 

金剛(よほど自分に自身を持ってなきゃImpossibleな動きネ)

 

金剛(これでは、バランスを崩させて隙を作るのは無理そうですネー)ドンッドンッドンッ

 

時雨「・・・・・・つぅ」ヒュン ヒュン

 

無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!

 

時雨「・・・・・・はっ」バシュッ ドンッドンッ

 

金剛「・・・・・・」クルッ

 

金剛「・・・・・・Very easy」スッ スッ

 

水柱「」バンッバンッ

 

時雨「・・・・・・」チッ

 

時雨(いくら背後に回っても、僕の砲雷撃に対応してくる)

 

時雨(なるほど)

 

時雨(僕程度のスピードの敵とは、目が慣れるほど交戦したことがあるってわけか)

 

時雨(互いの戦闘でのダメージは、最初に僕が受けたものだけ)

 

時雨(このまま逃げていても、僕の負け。だね)

 

時雨(・・・・・・そろそろかな)ズサァーーー

 

時雨「・・・・・・」ピタッ

 

金剛「・・・・・・」ピクッ

 

金剛(・・・・・・動きを止めた。Give upですカ? 時雨)ピタリ

 

金剛(いえ、アレは・・・・・・)

 

時雨「」ギロッ

 

金剛(なるほど)ニヤッ

 

 

金剛「決着をつける気ですネ、時雨」スチャッ

 

 

ショタ「ふたりとも、止まったよ」

 

北上「そろそろ時間だからね」チラッ

 

北上「これが最後の駆け引きになるよ」

 

時雨「・・・・・・っ」ハァハァハァ

 

時雨「・・・・・・世界は、広いね」ハァハァハァ

 

時雨「そして、狭くもある」フゥ

 

時雨「どの鎮守府の島風にも追いつかれない自信があったのに」

 

時雨「まさか僕のスピードに着いてこれる戦艦と、こんなところであうだなんてさ」

 

時雨「・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・行くよ、金剛」チャキッ

 

金剛「・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・」

 

時雨「行ってっ!」バシュ

 

金剛(魚雷、正面から一発)

 

金剛(しかも弾道が透けるほど、浅い)

 

時雨「」サーッ

 

金剛(そして自分は魚雷を追うようにして、主砲を構えたまま距離をつめる)

 

金剛(・・・・・・)

 

金剛(魚雷は明らかなブラフ)

 

金剛(回避行動をとろうとした瞬間に、威嚇砲撃をして)

 

金剛(怯んだところに全弾を叩き込む)

 

金剛(そう言う腹づもりデスか)

 

金剛(なら)

 

金剛(この魚雷を受けてる!)スチャ

 

時雨「っ」

 

時雨(退避しない!?)

 

時雨(そうかっ)

 

金剛(貴方の貧弱な砲撃ごと、粉砕してあげマース!)

 

金剛「コレでFinish!」

 

金剛「Burning ラ・・」

 

 

時雨「やっぱりそう来ると思ってたよ、金剛っ!」ドンッ

 

 

金剛「What!?」

 

金剛(まだ私は時雨の主砲の射程にはギリギリ入っていないハズ)

 

金剛(では、彼女は何を・・・・・・)ハッ

 

金剛(まさかっ!)

 

巨大な水柱「」バ―――ンッ!!!!

 

金剛(I can’t believe it!)

 

金剛(”自分の放った魚雷を撃ち抜いての目眩まし”デースっ!?)

 

金剛(そんなの初めて聞きましたヨ!)

 

金剛(時雨は・・・・・・right?)チラッ

 

金剛(それとも、Left?)チラッ

 

金剛(・・・・・・)

 

金剛(いえ、どちらもNo!)フッ

 

金剛「答えはBackネ!」

 

金剛(ギリギリまで距離を詰めず)

 

金剛(早い段階で魚雷を爆発させたのは)

 

金剛(爆発に注意を惹きつけ)

 

金剛(自分から視線途切れさせるためデス!)

 

金剛(加えて、それなら姿を左右どちらかから現すのに)

 

金剛(時間が掛かると思わせるコトも出来る)

 

金剛「最後まで私の背後を取ろうとするStrategyを変えなかった時雨、貴方の」クルッ

 

時雨「そう」

 

 

時雨「僕の勝ちだっ!」バシャンッ

 

 

金剛「Front!?」

 

金剛(最後の最後で、水柱の中を突っ切っての正面突破デスカっ!?)

 

時雨(そう、最初から僕の作戦は変わってない)

 

時雨(この正面からの突撃を成功させるための)

 

時雨(あの執拗な背後からの攻撃だったのさっ)

 

時雨(頼むよ)スチャ

 

金剛(まずいっ。懐に入られマシタっ)

 

金剛(主砲の照準はもう間に合わない)

 

金剛(かくなる上は・・・・・・)グググッ

 

北上「金剛っ!!!!」

 

金剛「っ」トスッ

 

 

時雨「全弾、発射」カチッ

 

 

ババババババ―――――ンッ!!!!!!!

 

 

摩耶「どうなったんだっ!?」

 

水蒸気「」ブシャァー

 

摩耶「くそっ、巻き上がった水飛沫でよく見えねぇ」

 

鳥海「今の攻防で制限時間よ」

 

鳥海「最後攻撃を回避出来ていれば、金剛の勝ち」

 

鳥海「逆に、小破以上のダメージを負っていれば時雨さんの・・・・・・ですけれど」

鳥海(この勝負はきっと・・・・・・)

 

サーッ

 

ショタ(水蒸気が引いて)

 

ショタ(視界が回復していく)

 

金剛「・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・」

 

金剛「・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・」

 

金剛「・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・くっ」フラッ 

 

時雨「」カタヒザツキ

 

金剛「・・・・・・やりましたネ」

 

金剛「Winnerは」フッ

 

 

金剛「貴方です、時雨」ツーッ

 

 

北上「・・・・・・」

 

北上「戦闘終了、だよ」

 

《戦闘終了!》

 

時雨艦隊 A勝利

旗艦 時雨「・・・・・・」被害軽微 MVP

 

金剛艦隊 

旗艦 金剛「・・・・・・Lose」ボロボロ 中破

香取「」ボロボロ 大破

 

金剛「負けてしまったんでデスね私は」

 

摩耶「金剛!」ダッ

 

鳥海「金剛さんっ!」ダッ

 

ショタ「金剛」

 

ショタ(口許から血が垂れてる)

 

ショタ(それに、服も、偽装も)

 

ショタ(ボロボロだ)

 

金剛「ごふっ」ゲホゲホッ

 

金剛「」バシャンッ

 

金剛(本気でやりあって負けるのなんていつ以来でショウ)

 

金剛(しかも相手は駆逐艦)

 

金剛(・・・・・・)

 

金剛(悔しい)

 

金剛(悔しい、ハズなんですケド・・・・・・)

 

夕日「」キラキラ

 

金剛「Oh、雲ひとつない、真っ青なSkyデース」

 

金剛(久しぶりにまじまじと見た空)

 

金剛(・・・・・・綺麗すぎて、眩しすぎて)メモトオサエ

 

金剛「直視、出来ナイネー。ハハッ」グスッ

 

時雨「・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・」クルッ

 

時雨「・・・・・・すまなかったね、金剛」

 

時雨「戦って欲しかったとはいえ、君の上官を辱めるようなことを言ってしまった」

 

時雨「今更かもしれないけれど、訂正するよ」

 

時雨「こんなに素晴らしい艦娘に慕われ、尊敬されている君の提督は」

 

時雨「とても、偉大な人間だとね」スッ

 

\コンゴーッ コンゴウサンッ シッカリシテクダサイ オイッ コンゴウッテバ/

 

時雨「・・・・・・」パシャ パシャ

 

時雨「・・・・・・」ポタポタ

 

時雨「・・・・・・」テクテク

 

北上「お疲れ」

 

北上「時雨」

 

時雨「・・・・・・」ピタッ

 

時雨「・・・・・・君も金剛のところに行ってあげるといい」

 

時雨「練度が遥かの相手に」

 

時雨「久々の実践で、あれだけの勝負をしたんだから」

 

北上「そりゃ、金剛も凄かったけどね」

 

北上「あんたも凄いよ」

 

北上「さっきも、今も」

 

時雨「・・・・・・素直に受け取っておくよ」フッ

 

時雨「じゃあ、僕は失礼するね」

 

北上「時雨」

 

北上「お風呂(入渠ドック)、準備出来てるから」

 

北上「落ち着いたら、入りにいきなー」

 

北上「じゃあ、また後でー」ヒラヒラ

 

時雨「・・・・・・ありがとう、恩に着るよ」

 

時雨「さっきも、今もね」テクテク

 

ショタ「ねえ、北上」テトテト

 

ショタ「今、時雨になんて耳打ちしてたの?」

 

北上「んー? 別にー」

 

北上「くだらないコトについてだよ」

 

ショタ「くだらいこと?」

 

北上「そっ」

 

北上(女のプライドっていう、くだらなくて、ちっぽけなモノの話よ)

 

―ヒトゴーサンマル 工廠裏―

 

時雨「・・・・・・・」

 

時雨「このあたりで、大丈夫かな」

 

時雨「うっ」カベニヨリカカリ

 

オェェェェーーーーェッ ビチャビチャ

 

時雨「」ハァハァ

 

時雨(・・・・・・あの時)

 

『北上「金剛っ!!!!」

 

金剛「っ」トスッ』

 

時雨(最後に腹部に触れた、金剛の拳)

 

時雨(北上の声がなければ僕は・・・・・・)サスッ

 

時雨「うっ、つぅ」ズキッ

 

時雨(寸前で威力を抑えてこのダメージ)

 

時雨(“外側”は無事でも,“内側”はぐちゃぐちゃだ)

 

時雨(しかも、僕のゼロ距離の砲雷撃を受けて中破)

 

時雨(ケッコン艦の武蔵すら大破にしたっていうのにさ・・・・・・)シャガミ

 

時雨「ほんと、・・・・・・この世界は、イヤになる、よ」カクッ

 

時雨「」

 

時雨「」スゥスゥ

 

ザッ

 

大佐「・・・・・・」

 

大佐「・・・・・・ご苦労だったな、時雨」ダキアゲ

 

大佐「それでこそ、私の秘書艦であり初期艦だ」

 

大佐「練度も、ひとつ上がったか」

 

大佐(最近は練度をひとつ上げるのにも、数ヶ月は掛かっていたのだがな)

 

大佐(それにしても、あの金剛)

 

大佐(本当に、“艤装がない方が強い”とは)フッ

 

大佐「・・・・・・だからこそ。惜しいな、実に」

 

ザッザッザッ

 

《対抗演習 成果》

摩耶 練度5→練度17

鳥海 練度5→練度18

北上 練度117→練度120

香取 練度140→練度141

金剛 練度上昇なし

 

時雨 練度165→練度166

 

 

提督「フタフタマルマル、君達が司令室に呼ばれた理由は分かるか?」 につづく

 

 

 

《おまけ挿絵 時雨と大佐の11月11日》

 

【挿絵表示】

 

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