アズールレーン二次創作 ~ 今日もあの娘は元気です ~   作:ながやん

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 ジャン・バールは1940年3月6日、未完成のまま進水。ナチスドイツの接収を避けるためフランスを出港する。その後はカサブランカにて残りの艤装を取り付けたものの、本来予定された姿にはならなかった。その後、1942年11月8日、トーチ作戦による連合軍上陸部隊を阻止するため出撃、カサブランカ沖海戦にてマサチューセッツの砲撃と航空戦力の爆撃によって着底、無力化された。そのまま戦中を海底で過ごし、1945年8月25日に浮揚。その後再工事にて近代改修され、フランス海軍に籍をおいた。1969年にスクラップとして売却され、1970年解体されている。

 マサチューセッツはサウスダコタ級の三番艦として、1941年9月23日に進水。カサブランカ沖海戦にてジャン・バールの砲撃に対し反撃、枢軸国に対して始めて砲撃したアメリカ軍艦艇となる。その後は対日戦へと回され、数々の海戦を戦い抜いてゆく。日本本土に対しても、浜松や釜石に対して艦砲射撃を実施、特に1945年8月9日の釜石への再砲撃は、アメリカ海軍の第二次大戦での最後の16インチ砲の砲撃となった。ビッグ・マミーの愛称で親しまれた本艦は、今もマサチューセッツ州フォール・リバーにあるバトルシップ・コーヴに係留され、一般に公開されている。


SUMMER BEACH TAG MATCH

 ビーチにさざななみが、寄せては返す。

 少し早めの海開きを祝福するように、天には燦々と太陽が輝いていた。

 気温32度、夏日。

 指揮官はたまには息抜きをと、KAN-SENたちでごった返す砂浜に来ていた。見渡せば、今日も母港に一時の平和が満ちている。

 ビーチチェアに身を沈めて、彼は眼前の光景に目を細めていた。

 だが、突然隣から双眼鏡が渡される。

 首を巡らせれば、水着のアークロイヤルが同志を見る目を輝かせていた。

 

「閣下もきっと、駆逐艦の子たちを……そうです! 違いありません。さあ、私の予備の双眼鏡を」

 

 なんの話だと思ったが、つい受け取ってしまった。

 アークロイヤルは時々、妙だ。いつもは毅然として凛々しいのに、駆逐艦の前ではまるでだらしない。駆逐艦の少女たちは幼い容姿の者が多く、彼女にはそれが憧れと慈しみを注ぐに足る対象となるようだ。

 ともあれ、しょうがないので一緒に双眼鏡を覗き込んでみる。

 すると、波打ち際にネットが張られてるのが見えた。

 どうやら、これからビーチバレーの試合があるらしい。

 

「閣下、二時の方向、艦影! ……あれは重桜の文月、三日月、水無月、そして卯月! はあ、かわいい……尊い!」

 

 隣のアークロイヤルを放置し、指揮官は今正に始まらんとする一戦に注視した。どうやら2on2で試合が行われようとしていた。

 コートの手前側には、見慣れた水着姿が二人。

 勿論、今年の新しいおろしたての水着を着ている。

 視線に気付いたのか、秘書官にして妻のレキシントンが振り返った。こちらに微笑み手を振っている。空母は本当に目がいい。

 その隣は、シュルクーフだ。

 

「むむ! 閣下、続いて八時の方向、艦影多数! クッ、水着が七分で裸が三分だ……は、裸っ!? ル・トリオファン、それはいけない! それ以上いけない! は、鼻血が」

 

 どうやらアークロイヤルは、見てはいけない方向を見てしまったようだ。

 そっと彼女の傍らに双眼鏡を返して、指揮官は立ち上がる。

 自分の第一夫人と第二夫人が、そろってビーチバレーでコンビを組んでいるのだ。間近で応援してあげようと思えば、焼けた砂の上で足取りが軽い。

 今日は指揮官も、ハーフパンツにアロハシャツと砕けた格好だった。

 そして、ネット際では既に舌戦が始まっていた。

 

「……何故、私が貴様と組まねばならんのだ」

「同感だね。ぼく、この暑い中で運動なんか……まして、あなたがパートナーだなんて」

 

 レキシントンとシュルクーフの相手は、どうやら揉めているようだ。

 ふと見れば、見事な肉体美の美女が二人。際どい水着の大胆さも、二人の起伏と曲線を飾るアクセサリーに過ぎない。そして、裸である以上の美しさはまるで渚のヴィーナスだ。

 ジャン・バールとマサチューセッツは、互いに胸の膨らみを突きつけ合うように睨み合っている。険悪な雰囲気だが、構わず試合が開始された。

 あの二人が珍しいなとは思うが、いい傾向だと思う。

 砲火を交えて戦った仲だけに、互いを認めあっている二人だから。

 

「レキねーさんっ! いっくよー!」

「はいはい、シュルクーフちゃん。お手柔らかにねえ」

 

 ボールが真夏の空に舞う。

 ネットを挟んで対決するは、大海原の女神たち……空母と潜水艦のコンビが勝つのか、戦艦タッグの巨砲が勝負を制するのか。

 気付けば周囲にも、沢山のKAN-SENが集まり出していた。

 だが、実力が拮抗しているように見えて、徐々にリズムが狂い出す。

 ジャン・バールが苦し紛れにボールを拾えば、その行く先にマサチューセッツがいない。逆に、マサチューセッツは少し寝ぼけているのか、長身を活かしたブロックで飛んでも、その手をボールがすり抜ける。

 

「やたっ、サービスエースッ! レキねーさん、いい調子っ!」

「ふふ、弟くんも見てるから、これくらいはね」

 

 レキシントンがなんでもそつなくこなす才女だとは知っていたが、運動に汗を流す姿はどこか新鮮だ。そして、彼女とハイタッチを交わすシュルクーフは、いつも以上に眩しい笑みを咲かせている。

 一方で、ジャン・バールとマサチューセッツはどうにもギクシャクしていた。

 

「シュルクーフッ! 貴様、裏切ったな! ぐぬぬ」

「いやいや、あなたはヴィシアで彼女はアイリスだろう」

「マサチューセッツ、貴様も貴様だ! もっと本気を出せ!」

「……あなたはどうなのさ。戦う相手、間違えてない?」

 

 二人の間を、気まずい沈黙が横たわった。

 ネットを挟んで、天国と地獄だ。

 だが、それだけで終わらないのが真夏の二大戦艦だった。瞬時に二人の張り詰めた空気が、心地よい緊張感へと変換されてゆく。

 大量の点差を背負った今になって、どうやらジャン・バールは本気になったようだ。

 その気迫に呼応するように、マサチューセッツも眠たげな表情を引っ込める。

 そして、運命の一球がレキシントンから放たれた。

 

「クッ、マサチューセッツ!」

「わかってる! ぼくは結構、対空もっ! 得意、だからっ!」

 

 ラインギリギリの鋭いサーブが、砂の上に突き刺さる。

 かに見えたが、マサチューセッツの筋肉美が躍動した。彼女はギリギリのレシーブでボールを拾うと、そのまま前転で一回転して立ち上がる。

 その時にはもう、宙へと放られたボールの下にジャン・バールが身構えていた。

 

「ジャン・バール、上げて!」

「わかっている、私に命令するな!」

 

 全身を使って、ジャン・バールがいいトスを上げた。

 だが、あまりにも安定し過ぎていて、スピードがない。既にレキシントンは、コートに戻ったシュルクーフとスパイクに備えている。

 ジャン・バールは高く上げすぎた……そう思ったのも、一瞬だった。

 砂を蹴り上げ、マサチューセッツが空へ翔ぶ。

 

「レキねーさんっ、来るよ!」

「ええ、任せて!」

「ぼくと高さで勝負? 自慢のエレクトリックディーゼルじゃ、ちょっと無理、かな?」

 

 全身を伸ばして、レキシントンとシュルクーフがジャンプした。

 ブロックするには十分な高さだ。

 だが、マサチューセッツのスパイクが炸裂することはなかった。

 そして、彼女の背後からジャン・バールが低く鋭く跳躍する。

 

「あっ、フェイント! ずるいっ!」

「あらあら、まあまあ」

「戦艦を、大戦艦を舐めるなよっ! このっ、一撃で……決めるっ!」

 

 砲弾のようなスパイクが、ライン際に突き刺さった。

 そのまま半分砂に埋まって、まだスピンしたボールが止まらない。

 そして、四人がそれぞれ着地して明暗が別れた。

 ボールを振り返るレキシントンとシュルクーフが、驚きに目を丸くしている。

 一方で――

 

「やはりあなたはやればできるんだな! 今のタイミング、バッチリだったよ!」

「貴様こそ、どうして……ははっ、やはり私が見込んだ戦艦だけはあるな!」

「それはぼくの台詞だよ! さあ、反撃といこう!」

「よし、この調子で敵を粉砕してくれる! 私たちなら、できる!」

 

 たった一点。

 僅かに一点返しただけなのに。

 まるで子供のように歓喜を爆発させ、ジャン・バールとマサチューセッツは抱き合って飛び跳ねた。客たちも思わず呆れるほどに、無邪気で、眩しくて、美しい笑顔だった。

 だが、二人は周囲の視線に気付いて、弾かれるように離れる。

 

「ちょっ、調子に乗るなよ! いまだ点差は歴然だ」

「そうだね……まあ、あなたも今後は気を抜かないでほしいな」

「私がいつ、気を抜いた! 貴様こそ、今の力を最初から出してれば」

「はいはい、ほら、プレーが再開されるから」

「ぐぬぬっ! 貴様はいつもそうだ! いつもいつも、いつも!」

「それこそ、こっちの台詞。最近、いつも一緒だし」

 

 こうして試合が再開される。

 とりあえず指揮官は、他のKAN-SENたちが心配していた二人の仲を、あまり構わなくてもいいんじゃないかと思い始めていた。日常生活でもなにかと張り合い、いがみ合い……どちらかというと、ジャン・バールが一方的に絡んでるようで、マサチューセッツも譲ろうとしない。そんな仲を心配する声は多かったのだ。

 だが、それが杞憂だったと、吹き渡る海風が指揮官に教えてくれるのだった。




 はい、ジャン・バールちゃんとマサチューセッツちゃんです!去年は、ガチャを回せどずっとジャン・バールちゃんだけが出続け、ついぞ最後までマサチューセッツちゃんを引けませんでした。悔しい…もう、ジャン・バールちゃん見たくない…(笑)でも、普段はいがみ合ってる(片方が一方的に突っかかって、もう片方がややスルー気味な)女の子コンビっていいですよね!仲が悪いのに、ここぞって時には抜群のコンビネーションを見せたり、息ぴったりだったり。そういうの、ちょっと憧れちゃいますね~

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