青年放浪記   作:mZu

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第10話

それからと言うもの青年はアリスの元で魔道書を解読し、三日目には一人で解読を始めた。それ以降は博麗神社で掃除をする代わりに居候をしながら四日を過ごした。そして香霖の元へと向かう。

 

「行こうか。」」

霊夢は我関せずと言った調子で茶を啜る。青年はもう見慣れた様子なので何とも感じなくなり始めた。

 

「よし、行こう。」

青年は慣れた足取りで箒にまたがる。魔理沙は箒を浮かせる。

 

「霊夢、少し出かけてくる。」

「はい、はい。行ってらっしゃい。」

霊夢は相変わらず関係ないと言う態度をとり続けた。その事は百も承知である二人は気にする様子もなかった。

 

「俺もその内こう飛べるようになるのか?」

青年は俯きながら言葉を連ねる。口に咥えている煙草が風にあおられて横に移動し続ける。青年は噛んで吹き飛ぶのを防いでいた。

 

「さぁな。その素質があればそのうちいけるぜ。」

魔理沙は肯定とも否定とも取れるそんな言い方をした。確かに素質がなければ願っても何も変わらない。誰からも認めてもらえない。そんな事はよくしっている。

 

「そうだと良いな。」

青年はやんわりと自嘲した。無いとかあるとかではなく、自然魔法を覚えるのにあれだけかかった事がどうにも気になるらしい。

 

「好きな事なら没頭できるだろ?研究すれば案外簡単に飛べるかもしれないぞ?」

魔理沙は軽快に笑い飛ばす。青年も同じく気にしていなさそうだった。魔理沙はフラフラと箒を動かして、青年の体は同じく揺れた。

 

「器用な事が出来るかは自分次第という事か。」

青年は魔理沙の発言は真に受けていなそうだが何らかの効果はあると思っているらしい。その後もたわいもない会話が続いた。自然魔法についてだったり、使い方だったり、最低限知っておくべき事を魔理沙から教わった青年は香霖の元へと向かった。

 

「やぁ、いらっしゃい。品物は出来るから取ってくるよ。」

いつも通りの会話から始まる。この寂れたお店の常連に等しいくらいの青年は香霖が裏から取ってくる剣を心待ちにしていた。やはり早く試したくてうずうずしているのか落ち着きが珍しいく無かった。

 

「これが君の魔法道具だよ。是非抜いてみてほしい。」

青年は香霖に言われる通りに刀を抜いてみる。鍔から見て取れるが綺麗な円盤型をしており、刀身が湾曲していない直刀型になっていた。

 

「鍔の部分が魔力と反応するようにしてある。そこから狙いを定めやすいように切っ先から射出されるようにしてある。球状にする事も可能だからそのうち試すといい。」

香霖は一通り説明してから外に出て試すように促した。青年は素早く反応して付いていく。魔理沙はやれやれと保護者のつもりで付いて行った。

 

「それで、念じれば何でも出来るのか?」

青年は試してみる前に香霖に聞いた。出来ない事をするとどうなるかよく知らないため、念のためと言うものである。

 

「念じる物によるね。風とか水とかなら良いと思うよ。」

香霖は確かにそう言った。青年は早速巻き起こる風を念じた。それぐらいが良いだろうか、肌を撫でるそよ風ぐらいの方がいいか、全てを吹き飛ばす突風が良いか。今日は風があるのでそよ風よりは少し強いくらいの風をイメージした。剣を両手に持って上斜めに向ける。青年は強く念じてみた。するとどうだろうか?

 

軽々しく今吹いている風よりも強い突風が刀の周りから吹き始めた。

 

「うん、大分良い調子だね。このまま自然魔法を極めると良いよ。」

香霖はうんうん、と首で頷きながら自分の作品に満足気にしていた。或いは青年の魔力に魅了されているのか。

 

「慢心するなよ。道具に頼った魔法は見せかけでしかない。」

魔理沙は香霖とは違い、厳しいコメントを送る。青年は嬉しくもあり、戒めとして覚えておこうとする気持ちのまま風を吹かすのをやめた。

 

「それでお代なのだが。」

青年は刀を納めてから話を始める。その自信のない言い方に香霖は嬉しいところもありながら、不安そうにしていた。

 

「何か持ってきたり、店の手伝いで良いか?」

青年は本当に申し訳なさそうに話していた。しかし、香霖は何とも思っていないような顔をしていた。

 

「お代は元々なくても良いって言ったからね。無理に貰おうとはしないよ。」

香霖は優しく言ってくれた。商人としてちゃんと務まっている気はしなかったが、良心を受け取らない訳にはいかないので、青年は致し方なく貰い受けることにした。

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