青年放浪記   作:mZu

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第119話

白いもふもふとはかけ離れた服装をしていて逆さまの紅葉の模様のあるように見える赤と黒のクラーデーションが見える。

 

山伏のような赤い小さな帽子を被ってある巫女のような袖をしているが黒い紐で結んであるので落ちるようなことはないだろう。

 

そして左手には赤い紅葉のが描かれた盾を持っている。その姿は狼のようであるのは警戒心をあらわにしているからなのか元々そのような顔立ちなのかも知れない。青年は確実に倒しにきているのはよく分かるがそれ以上は手を出さないらしく一定の間合いを詰める気はどちらにもなかった。

 

青年は紫煙を口から吐き出しながら息を吸わずにその人が何か動きを見せるまで何も動かなかった。そこでその人は何かくぐもった目で口を動かし始めた。

 

「貴方達は怪しいです。」

その人は口を開けた瞬間にそのように告げた。警戒をする役目のあるのであろうが口は悪いので青年はピクリと眉を動かしてみる。青年はそう言われて反論する気は無いのか黙って聞いている事にした。

 

その人は本当に怪しいとしか思っていなさそうな疑いの目を青年に向ける。何が起こるのかはさておき穏やかな空気ではないのは言わずとも理解出来る。

 

「それは言いがかりじゃない。」

咲夜は何やら気に入らないらしくその人に突っかかるがそうしたくなるのも分からないわけでもないと青年は思った。

 

いきなり剣を振られて良い気分にはなれない。ましてや言いがかりが追い打ちをかけるが此処は向こうの領地であるためそのように言われるのも仕方がないとも言える。

 

咲夜は流石で口だけで止めるのだろうと青年は思っていたが下手に挑発して乗ってきたりすると後々面倒な事になると思うのでやめさせる。

 

「待て、咲夜。向こうのほうが正しい。ここはおとなしくするべきだ。」

青年は右手を出して今にも向かいそうな咲夜を止める。主人の従者と言うのか切り込み役なのか出がかなり早く感じる。

 

青年はそんな事をふと思いながら目の前にいる人の気迫を感じていた。ただならぬ強者であるのは確かなのだがそれ以上は感じることは出来なかった。金属のような人物なのだと思われる。

 

「よくお分かりですね。何か目的などはありますか。そのような事も仕事の内なので。」

きっと道案内なのだろう。青年はなんとなく一つだけ適当な予想を立てておいてから話をしてみる事にした。咲夜は一旦ナイフをしまってから落ち着いて話に加わる。後ろで少し嫌な音がしたので多分そうなのだろう。

 

「ある神社に参拝しようと思っている。が当たり前の道は行きたくないので変な道に入ったら出れなくなった。」

青年は申し訳ないと言うような気持ちは特になくそれどころか開き直っているかのように堂々としていた。後ろにいる咲夜からすれば対抗する気があるように見えて少しだけイライラしているのは言うまでもない。

 

自分は止められているのに止めた本人が行こうとしているので当然と言えば当然である。

 

「そうですか。方向音痴にも程があると思いますが川の辺りから登って来ていますよね。」

その人は洞察力があるのかそれとも山の土地を知り尽くしているからこそ出来る芸当であるのかはさておきご名答であるその人に青年は拍手をしかけた。

 

途中ではっ、と気付いて場面が悪い事を感じてすぐに辞めた。その人はその不審な手の動きを見逃す訳もなく更に警戒が強くなるばかりである。

 

「土地勘には自信がなくてな。その辺りは許してほしい。」

色々と言いたい事はあるのだろうか一つ大きなため息をついたその人は剣を腰についているのであろう鞘のような部分に納めた。

 

腰の辺りにあるのだがまるでしまう気がないのかそれともいつでも抜けるようにしてあるのか露骨に刀身を見せているその姿には流石の青年も驚いた。

 

「よくここまで来ましたよね。途中では誰と会いましたか。」

その人は一応聞いておきたいのか青年に高圧的に話しかけてくる。青年はその気に押されつつも落ち着いて話していた。

 

「河城 にとりと鍵山 雛に出会った。」

 

「そうですか。分かりました。特に危険性はなさそうですね。私は下っ端の哨戒天狗の犬走 椛と言います。一応お聞きしますが名前を教えていただけますか。」

 

「山川だ。後ろにいる人は俺が連れているだけだから別に話は聞かなくても良い。」

青年は後ろの咲夜は紹介しようとはしなかった。理由は本人にしか分からないがそこは口の勝負でもしているかのようである。椛は軽く乗るつもりなのかふーん、と唸ってから少し考えに耽るらしい。青年は待つ事にした。

 

「貴方が何もしなければ同類だからいらないと言う事ですね。良いでしょう。では私が守矢神社まで送ってあげます。」

椛は踵を返して青年と咲夜を頂上にあるのであろう守矢神社と呼ばれるところへと連れて行こうとしている。

 

が、青年はまるで一歩も動かないので椛はピタリと足を止めた。何か不穏な空気でも受け取ったように思えるがそれがどの様に感じたのかは良い意味には捉えていざそうだが椛にしか分からない。

 

「どうしました。休憩中に話しかけてしまいましたか。」

椛は背面で青年と対話した。青年も肯定も否定もしなかった。咲夜も流石に何をするのかは予想は立てられなかった。

 

「一戦交えてくれないか?」

青年は頼み事をしただけである。その頼み事はあまりにも無駄な事なのだがこの時の青年は止まらないので咲夜も何も止める様な方法はなかった。

 

好奇心に駆られた子供が直向きにそれを追うのと原理は似ている。

 

それで危ない目に遭ってもめげずにし続ける手の焼ける子供がいる様な咲夜を見ていた椛は同じくその様に感じているのだろうか困り果てた表情をしていた。

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