青年放浪記   作:mZu

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第122話

鮮やかな朱色で塗られた立派な鳥居をくぐるとその先には大きな木造の建物がある。

 

それこそがこの山にある守矢神社という幻想郷に新しく出来たと思われる神社であった。元々妖怪の山というのは人々は入るような事がなかったので誰も知らなかったという事である。それに今の代の博麗神社に行こうとする命知らずは人里のどこにも居なかったので神社に興味を無くしている人が多かった。

 

博麗の巫女とその関係する人たちはきっと慌てふためいているのだろうが少なくとも本人が慌てている節がないので誰も何もしないのだと思われる。それに比べて守矢神社の巫女である緑色の髪をした女性がわざわざ人里で紙を配っていた事や道を整備して誰でも行きやすいようにしてあること、そしてその認知度の中でご利益があったなどの話をすれば爆発的な人気を産むのは間違いなかった。

 

その内参拝する事がないと言う人の方が少なくなるともう一度参拝に向かう人も増えてきて毎日盛況している。それが博麗神社との大きな違いがある部分であるがそれに博麗の巫女が気付くのは後々の事である。

 

「アンタが守矢神社の人なのね。」

常に喧嘩腰でここまできた黒い髪をした赤と白の巫女服を着ている博麗 霊夢は目の前にいる青紫色の左右がボリュームのあるセミロングの髪型で後ろには注連縄を輪の形にしたものをしているがもしかすると祀られている髪なのかもしれない出で立ちをしている。

 

白いゆったりとした長袖の物に赤い色をした半袖を着ている。臙脂色のスカートを着用していて首元や腰回りに足元や上着のところに小さな注連縄が結ばれている独特な格好をしていた。

 

「そうだね。私が守矢神社に祀られている神の八坂 神奈子という名だ。崇めるというならここまでの無礼を許さん事もない。」

神奈子は本物であるらしくその威厳のある雰囲気と声音をしていた。そして何処か面倒臭そうなところもある。霊夢もその事は感じているようで苛立っている節があるのかお祓い棒を構え始めた。その棒はまさしく神の関する道具である為神奈子はその行動には驚きを隠すことはできないらしい。

 

「私は幻想郷を守る義務があるのよ。だから此処で倒されてちょうだい。」

霊夢はそう言うやすぐに札を三枚投げていた。その札は青色であるが何も書かれていない一見不思議な札だった。神奈子は余裕そうにしていたがその札が神奈子の体に当たると確かな痛みがあり流石の神でもその珍しい事には驚いた。それはきっと今までなかった事なのかもしれない。

 

「その札は一体どういうものなのだ。」

神奈子は神であり実体を持たないので如何なる攻撃も普通なら聞くことはなかった。呪術は効くこともあるがそれが使えるということの証拠でもあった。此処で神は慢心するのをやめた。目の前にいる少女は只者ではないのは確かでありいくら神だからといって何も気にしないその太々しさは逆の違う意味で感心するものだった。

 

「それは教えるつもりはないわ。これは先代から受け継がれている伝説の物だもの。部外者に早々教えられるようなものではないわよ。」

霊夢は更なる一撃を与えようと追加で四枚の青い札と一本の針を持っていた。流石の神奈子でもこの状況は非常に不味かった。

 

「早苗、参拝客を一旦境内から出してくれ。怪我人は出てはいけない。」

霊夢と同じ巫女服を着ているが青色の縁取りをした上に水玉の模様の入った水色のスカートも着用していて霊夢と同じくらいの長さをしていた。その人は神奈子の言う事を忠実に守ろうとして霊夢の横を通り抜けて参拝客に大きな声で境内から出るように伝えていた。その人たちは早苗の事を知っているのですんなりと言葉を信じて素早く移動していた。その間に喧騒があるわけでもなく静かで迅速な行動が早苗の一言によって作られていた。それだけでもかなり素晴らしい事であるが早苗は参拝客を追いかけて一礼して謝罪をしていた。

 

「さて、人も居なくなったことだし勝負と行きましょう。」

霊夢は本気になったのか目を鋭くして博麗の巫女となった。そのような変化を見せた目の前にいる邪魔者に神奈子はそれなりの力を見せる必要があると考えて御柱を一本だけ出しておいた。何処から出したのかは原理は理解できないがそれこそ神力とでも言うしかないような状況だった。

 

早苗が戻ってきたが直ぐに近くにある母屋に向かうとその場所で雨宿りをするかのように待機していた。博麗 霊夢と一緒に来ていた黒い帽子の魔法使いは鳥居の近くで霊夢と神奈子の勝負が終わるまで待つ事にした。実際は言いがかりを突きつけてここまで持ってきた霊夢の行動には呆れているがそれでも帰れない理由があった。

 

「勝負になればそれでも良いだろう。」

神奈子は頭上の用意しておいた御柱を投げつける様にして霊夢に攻撃を加えた。霊夢はさらりとした身のこなしで御柱を避けると青い札を投げると最後に針を一本だけ投げた。青い札は膨らんで弧を描いて神奈子の今いる場所で一点で交わる、その事を瞬時に理解した神奈子は後ろに下がり様子を見る事にした。その時には遅かった、腹部に刺さる針に気付くには。

 

激痛の走る一本の針だが涼しい表情をして神奈子はその場を耐える事にした。針の先には陰陽を描いた勾玉が重なって丸くなっているものとなっていた。それが何を意味するのかは簡単に理解出来る。神奈子はかなり厳しくなったのか素早く激痛の走る箇所から針を引き抜いた。そしてその場に投げ捨てる。神奈子もそろそろ本気になり始めたのかようやく目つきが変わったと思われる。

 

「何が目的なの。こんな所に神社を建てるなんて。幻想郷には博麗神社があれば十分なのよ。」

霊夢は強い気迫でそう言った。確かにその神社があれば幻想郷に嫌なものが入る事もないだろうがそれがどれだけ信用のないものであるのかは鳥居の近くにいる魔理沙には分かっていた。それは先ほどの参拝客の動きを見ていればよくわかる。霊夢と同じ服の着ている人の言葉で素早く移動したのでどれだけ信仰があるのかはよく分かる。

 

それに比べて人を寄せ付けない博麗神社の巫女は誰からも認知されるようなことはなかった。それが大きさな違いである事を気づいた魔理沙は深く帽子を被るだけだけだった。

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