青年放浪記   作:mZu

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第124話

緑色の髪をしてカエルの形をした髪留めをしている守矢神社の巫女である東風谷 早苗は話ができて嬉しいのかそのような表情をしていた。青年は何となく微笑ましく感じたのだが一つだけ気になることがあった。

 

「此処に来る必要があったのか。」

つまりはそういう事である。早苗がここに追い出されるような形で来る理由は何となく良く分からなかった。青年は聞いてみてもいいのだろうかと思って話したくないなら忘れて話題をすり替えてくれ、と告げた。早苗は精神面はとても強いらしくきっとトラウマなのだろうが話してくれた。

 

「神奈子様は事実として私を守る為に幻想郷というこの土地で住もうと話してくれました。私は前はこんなに人と話せるようなことは無かったんです。それで精神科に通っていたのですがお金は軽々しく消えていきます。それで誰も保証人のいないまままるで奴隷のように里親のところをたらい回しにされました。私はその頃両親を失ってしまったんです。母親は両腕を切り落とされていました。発見したその時には死後一時間ほど経っていました。丁度私がお風呂に入った時と少年とご飯を食べていた時間と一致するんです。もう私は生きる活力を失っていましたがどうしてもまだ帰る場所はあったのでそこに行きたかったんです。病院も転々として何とか日常生活を送れるようになったのですがそれでも生活をするのは一苦労でした。そんな私を可哀想に感じて神奈子様は私をここまで連れてきてくれたのですが実際のところはどうなんでしょうね。」

早苗は何か悲しそうにしているのを青年はどうしてあげる事も出来ないのでそれは悲しいな、とだけ言っておいた。どうしてもそのような経験はないので早苗の気持ちを理解することはできないのだが青年は出来るだけ寄り添う事にしていた。早苗は泣きそうな感じになっているのだが何とかこらえているので泣きたかったら泣いてもいいと青年は強い口調で言っておいた。

 

そして早苗の頭を撫でて落ち着かせてあげると早苗は体を擦り寄せていた。それがどのように傾くのかはさておき青年は空を見ておく事にした。如何しても早苗を見ていることはできなかった、貰い泣きしそうだ。早苗は大きな声を出して泣き始めるが青年はジャージでその全てを受け止めていた。

 

「私、実は今もとても不安なんです!このように上手くいっているんですけどそれがいつ崩れるのかどうしても心が締め付けられるのです。」

早苗は泣きながらも上手く言葉をつないで話していた。青年はその声を聞いて流石にこのままでは良くないと思ったがこのままにしておく事にした。近くには咲夜がいる、もしもの時は助けてくれるだろうと青年は安易に考えていた。しかし咲夜はその二人の光景を見ていて恨めしく感じていたのだがそれを表に出す事なくその場に凛として立っていた。其処はやはり紅魔館のメイド長だからか昔その様にしていたのか感情の表に出さない完璧なメイドの姿である。

 

「そういう事は神奈子さんと話すと良い。だが落ち着くまでは此処で泣き続けろ、昔の嫌な事を洗い落とせ。」

青年は何かを念じるように早苗の耳元で呟く小さな声で話していた。気合いがこもって喉から出てこれなくなったのかもしれない。早苗は嬉しそうにすると更に腕を絡ませて強く抱きしめた。

 

青年は逆に早苗のしたいようにする事にした。急に空の音が無くなり辺りには不穏な空気が流れる。そして青年はなにやら飛んでくるのを感じて早苗を守るように体を動かした。その後ろで何かに何かが刺さる音がした。その音は木の棒に金属物が当たるような物だった。それが青年のスイッチを入れたらしい。青年は早苗をすまなさそうに引き剥がすと後ろを向いてその先にいる姿を見ていた。

 

相手は空の上にいた。地理的に後光はさしていないがその存在感はまさしく神の怒りに触れたかのようだった。背中にある大きな注連縄が青年の目には止まった。そして青紫色の髪をしていて先ほど霊夢と戦闘をしていた早苗が言う八坂 神奈子である。青年は柄に手を触れながら一歩前にへと出た。

 

「何か用か?」

青年は大きな声で話していた。青年は急に何が起こったのかは知らないが尊敬の眼差しをしている早苗を蹴かまさせようとしているのが何故か気に食わなかった。本当は関係ないはずなのだが何かの情生まれたらしく青年は落ち着いている状態で何故か憤慨していた。近くには見たことのあるナイフが数十本刺さった大きな木の柱がある。それが俗にいう御柱と言うものなのだろうがそれを投げつけてくる時点で相手が話に応じることはなさそうだと思えた。

 

「早苗をよくも泣かせてくれたな。」

神奈子は高圧的な言い方で青年を威嚇するがもう言葉では臆することは無かった。もう御柱が飛ばれているので青年は一歩前に出て剣を抜いた。ほんの少しだけ右腕には力が入らないと感じたが青年はこの際気にしない事にした。そのような事をしていても時間の無駄であり神奈子からの御柱が飛んでこない可能性もない。

 

「咲夜、早苗を安全な場所へ行かせてくれ。」

青年は一言だけ伝えてこの小屋と本殿に挟まれた場所では不利だと感じて前へと突き進んだ。その軌道の先に神奈子は御柱を地面に激突させる。折角綺麗にされていた砂利からは砂埃が舞い、その辺りの視界が青年にとってはとても悪くなってしまった。仕方がないので体を縮こませて本殿の下へと向かった。ここなら御柱は入ってくることはない。

 

それ以上に上からの視界をあやふやにさせるのでそれなりに効果的である。青年は本殿の下から出て来ようとしていた。しかしそれは叶う事はなかった。その先に御柱が空から降り注いできたのだ。やれるだけやって滅茶苦茶にしていく神奈子だがそれだけ早苗を愛しているのが理解出来るのでそれはそれで良いだろうと思ってしまった。しかし青年は予想だにしなかったことなのだろうが神と戦闘を繰り広げる事になるとは思わなかった。満を持して青年は本殿から隙間を縫って飛び出てきた。そして上を見る。

 

「神への冒涜、汝に罰を与えん。」

神奈子は上から言い放つ。

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