竹林の奥にはそれは立派な屋敷がある。その高めの壁の前で上を見ながらポケットから煙草を取り出していた。それから青年は剣を取り出して煙草の先を触れない程度に近づけてから燻らせるように火を付けてからゆっくりと唇の上に乗せた。此処には誰も来ない。
そして永遠亭内ではあまり吸おうとは思わないと青年が考えていた。だからこそ此処で適当に時間を潰すかのようにしていた。青年は心を無にしていたのだがある人が永遠亭から現れた。青年は片目だけを開けて横を見ていた。
「どうしたのよ。」
少々驚いた様子の少女は長い綺麗な黒髪で美しい見た目をしている。上が淡いピンク色でスカートが赤色をした地面に擦るような裾のスカートをしている蓬莱山 輝夜だった。赤いジャージを着用している小汚い青年とは対照的である。
「いや、気にするな。」
永遠亭の外壁にもたれかかっていた青年は紫煙を口から吐きながらまるで住人かのように悠々としていた。それこそある意味では青年らしいといえばそれで終わるような気もする。
「気になるわよ。それにしても貴方を見るのはいつぶりかしらね。」
「それは日にちも数えられないほど頭が悪いからか?」
青年は何となく言ってみる。其処に悪意や善意などなく単に言ってみた、いくら問いただされてもそれしか答えないのだろう。輝夜は頭を下げてフリフリとしてから馬鹿らしくなったのか笑っていた。不老不死にとって何でも笑っていないと過ごしていけないところもある。その辺りは青年だから許せるのだろう。
「面白いわ。ありがとう。」
「その心意気、痛み入る。」
青年はそれだけを答えた。輝夜は満足そうにしていたがそれで良いのか、とふと感じたりするようなことはないらしい。暫く青年は口を開かなかった。
「して、何処に行こうとしている。」
青年が口を開くまで待っていた輝夜はその場で目を輝かせていた。子供かのような雰囲気なので何となく青年が感じることもないというわけでもない。輝夜は別にそのような他人のことは気にしていなかった。ある意味では気楽な方だと思われる。
「妹紅のところよ。とても楽しいわ。」
輝夜はさらりと答える。青年は殺しか?と聞くだけ、輝夜はそれに首を縦に振るだけでその場は終わらせていた。
「怪我はするな。」
「すると思うの?」
輝夜はとてもいい表情をしていた。輝夜はテクテクとこの情景に似合うような不穏機を醸し出しながら青年から離れていた。その背中が見えなくなるまで青年は永遠亭には入らなかった。