冬の幻想郷である間欠泉には人々が驚きと共に温かい温泉に入れると皆が集まって体を癒すようになった。しかしそう易々といかないと博麗の巫女は感じていた。
その予感は的中した。そういう訳で間欠泉の起こった割れ目へと向かってきていた。下を覗き込む黒髪で赤い巫女服を纏った博麗 霊夢はここからどのように行こうか迷っていた。
底の見えないこの穴をどのように攻略するべきなのか霊夢は迷っていた。このまま突っ込んでしまっても良さそうに思える、そう思えるのは自分の直感が泣きわめくように訴えているわけだが全てが上手くいくのかと言われるとそうでもない。
その事は流石に分からない巫女というわけでもない。霊夢はその先も見据えていないわけではない。目が効かないなら使わなければいい話だがそれが淡々と行けるような問題ならまだ良いのだろう。
「霊夢、ここで何しているんだ?」
黒いとんがり帽子、黒っぽい服装で箒に跨っている魔法使いの霧雨 魔理沙。霊夢にとってはほとんど毎日来る厄介な人なのだが居ないと寂しかったりする霊夢とは不思議な関係である。
「異変解決よ。」
少し不機嫌になっている霊夢なのだが魔理沙はその事は気にしていない。自分の気に入らないことになっている時だけこのように表情を変える。青年と同じく興味のある事にはとことんつぎ込むその姿は霊夢には全くないものである。二極している二人だが仲が悪いわけではないので大丈夫だろう。
「異変か?先日のやつか。八雲家が何か知らせていた気がするがそれか。」
「ええ。紫が広めているらしいわね。」
先日、間欠泉から出てきたのはそれ相応の妖力を持っている霊、地霊がその場所から放出された。危険であるため退治に協力して欲しいと八雲 紫は広く幻想郷に知らせたという事である。
後で合流するという話だがいつ来るのかは関係性の深い霊夢でもよく分からない。胡散臭いと皆からは言われるが本当にそうだと霊夢は思っている。
「そうらしいな。妖力を感知できるからまだ良いが他の奴らはどうしているんだろうな?」
「知らないわ。」
霊夢は短絡的に伝える。魔理沙は一瞬呆気にとられていたがすぐにいつも通りになった。常人には予想もつかないような高所で話をしている二人だがそれでも把握できるほどの大きさの亀裂が地面には入っている。それだけ威力が大きかった事を示しているわけだがここからでは点のようなものである。
「それで、霊夢はどうして此処で止まっているんだぜ?」
「行っても無駄だからよ。何があるのかもよく分からないのに。」
霊夢は変に心配そうにしているお節介焼きの婆さんのような表情をし始めた。感情の起伏が激しいのだが流石に旗から見ていたら面白いぐらいで終わるらしい。
「ならよ、私と一緒に行くしかないぜ。ほらよ。」
魔理沙は何処からか小さい八卦炉を取り出した。その道具は魔理沙の愛用のもので何もないように見えるが中には魔法鋼が使われている。
其処には魔法陣が刻まれているが青年のオールマイティーなものではなく強力な炎が放てるようにしてある。だからこそ光をつけるようなことも容易い。魔理沙は得意げな表情をしているが霊夢はまた嫌そうな感じをしている。だが文句は付けられないので今は泣き付くしかない。
「明るい光ね。これならいけるわね。」
霊夢はコロッ、と表情を変えて嬉しそうにしていた。そもそも単純なのかもしれないが問題が一つ解決したのでそれで良いのだろう。魔理沙はそんな事を思いながら箒の柄の先を下に向けていた。もう、行こうという合図である。霊夢は一応の準備をしてその場所から下を向いた。そして体を向ける。
「よっしゃ、行くぜ!」
魔理沙はその場所から一気に飛び降りるような気分で箒を操作していた。その後ろには赤い札を四枚か五枚持っている霊夢が付いていく。普通に考えるなら怖くて仕方がないがそれでも関係ないと思える。それだけの場数を踏んでいる二人にはそのような事で何か気にするような事はない。無駄な心配というものである。