青年放浪記   作:mZu

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第159話

時は少し戻る。淡い青色の服装で胸元と肩にポケットのある上で下はキュロットスカートのような同じような色合いである。ハーフパンツのようなものだが河童からの貰い物だ。同じ色合いの帽子も貰い物であるが髪型は変えていないようだ。

 

「此処が問題となっているところですね。」

ふむふむ、と唸りながらメモ帳にペンで何か書いているわけだが青年は特に何も気にしているわけではなかった。青年はゆっくりと地面へと降りて行くので赤い山伏の被っている帽子で黒い短めの髪をしている。白のシャツに黒のスカートで紅葉のような模様があるが丈は短いくらいだ。メモ帳に書きながら青年に付いていく。

 

「今は間欠泉は出ていないようだな。」

青年は腰に携えている剣の柄を触りながらその亀裂を見ていた。その後ろでは射命丸 文は少し前に調査した事を話していた。

 

「此処には多くの穴がありますが基本的にまっすぐに降りていけば底まで着きます。なので他のところは何も見ていません。誰かいるようなのでお気をつけて行って欲しいです。」

何処か他人行儀なところはあるが射命丸は案外丁寧に教えてくれた。やはり新聞を書いていることだけあってその口調はにじみ出ていると思われる。

 

「その事は何も気にしていないが何が居るんだろうな。」

青年もまた一人で居るかのような雰囲気を出しているがそう感じているのはいない。射命丸も一度だけ会っていて面識はある。それに少々前から雑談しながら此処まできているので青年の性格は理解している。射命丸も小馬鹿にした言い方をしてみてもちっとも反応を見せないのでそれはそれで良い、という風なのか、単純に寛大なのかそれは知り得なかった。

 

「興味ありますか。確か桶に入っている妖怪と蜘蛛のような妖怪でしたね。」

 

「取り敢えず行こうか。」

青年は話を聞いているのか聞いていないのかどちらかは分からないがその場から身を投げ捨てるように中へと入り込んだ。射命丸はそれを追いかけるように中へと入っていく。飛行の得意な烏天狗なので自由落下している青年には簡単に追いついた。

 

「行動が素早いですね。あなたのような方には多くの面白い話がありそうです。」

射命丸は風を切る青年にも聞こえるように大きな声を出して話した。青年は反応したが首を振ることもしなかった。まるで何かを警戒しているように思えるが射命丸には真相はよく分からなかった。それとも青年があまり認めたくないのか。

 

「兎に角早く行きましょう。」

記者として面白い話題には目のない射命丸なので大きな表情をして笑っていたが青年は別に返そうともしなかったし、そもそも見ているような気もしなかった。それこそ射命丸は存在していない、かのような態度には見ている人も苛立ちは隠せない。

 

「わぉ。」

射命丸はそんな風に急に起きたことに対してそんな声を上げた。近くには青年がいるわけだがその人が何かしたとしか言えない。射命丸は近くまで来ていた刀身の黒さをよく観察しながら青年の功績を讃えようとしていた。目の前には蜘蛛の巣がヒラヒラな状態になっていた。

 

そのおかげで道が開通した。何をしたのかと言えば風を送ったということである。そして糸を切ったということである。

 

「言うのを忘れていた。俺はよくこのように剣を抜く。貴方はたやすく避けられるだろうから別に言わなくてもいいだろうと思っていたがやはり驚かせてしまったのか。」

青年はそこで立ち止まっていた。飛行というのか単純にふわふわとしているだけで止まっているというわけではないが話を聞けば立派なものだと思われる。

 

「いえ、別に。気にしなくても良いですよ。貴方の噂はよく聞きます。最近は妖怪の山に滞在しているのも知っていますよ。」

 

「何処で聞いたんだ。」

 

「いろんな噂ですよ。ある白狼天狗からも聞きました。」

 

「そうか。そういう話になるのなら別に良いだろう。」

青年はそのような事を聞いていても気にしてはいなかった。ただし、誰かの目があるというのはよく分かったのでそれ以上は何も聞こうとはしなかった。だから余計に面白そうにしているのもよく分かる。

 

「先を急ぎましょう。早めに行った方が記事が書けそうな話題があると思いますよ。」

 

「そうだな、早めに行こう。」

青年はそこからまた自由落下をしていた。力を抜いて自分の時間に浸る青年だがいつまでもそうしているわけには行かなかった。しかし、こうしないと使うことが出来ないので仕方がない事だと思える。下に行くまではあれ以降は何もなかった。青年が落下している横でもしもの時は助けようと射命丸は身構えていたがそれに値するような事は起こらなかった。そして地底に着く。青年は何か剣に込めていたのか爆発に近いような威力の風を起こして身の安全を守っていた。そして青年は落下してくる音に合わせてカツン、と剣を合わせていた。そして身を引く。

 

「桶の中にある妖怪か。」

青年は素早く身構えていたが相手はフラフラとしている紐のついた桶の中に入っているあ小さい少女がいた。緑色で短めな髪の子供のような妖怪でどうして桶の中にいるのかはよく分からなかった。

 

「ほう、これは青年に付いて来た甲斐がありますね。」

射命丸はそう言いながらメモ帳に目の前の人を観察しているようだが青年はその人に視線を合わせているようにしてなんとなく話を聞いてみることにした。

 

「俺は堀田と言うのだが貴方の名前はなんだ?」

 

「キスメだよ。」

小さな声で話すので青年はゆっくりと耳を傾けていた。キスメという少女には何か理由があるようで桶から出るような素振りがないので青年は気にしていたが聞くほど興味があるというわけでもないらしい。

 

「そうか。誰か此処の場所の話を知っている代表者のような人は居ないか?」

青年は聞いてみることにした。

 

「それなら地霊殿に行くと良いよ。彼処が地底の中でも一番大きなところだよ。」

キスメがそう言うので青年はその言葉を信じてみることにした。青年はキスメにサヨナラをして歩き始めた。その横を射命丸が付いていく。

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