青年放浪記   作:mZu

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第167話

「次のニュースです。昨夜未明、一家殺人事件が某所で発生しました。遺体は玄関に男性が一人、二階の物置に女性が一人、部屋の状況から子供が行方不明であると推測されます。警察は殺人事件と誘拐事件の両方で調査を進めているとの事です。」

都内某所、ある犬の石像のある公園で行方不明とされている男の子はベンチに座っていた。しかし誰も話しかけようとはしなかった。

 

あの夜、自分で首を絞めよう男の子は数時間後に犯人の元に辿り着いた。警察よりも早く犯人と顔を合わせたがその時の言葉によって今の状況に至る。

 

「間違いではないよね?」

昨日のおじさんは不審そうに聞いている。男の子はまず会ってなんと言ったか?それはまだ食べ足りない、と言うことだった。おじさんはその時に嫌な奴に捕まってしまった、と。しかし、数時間で見つけて来たその勘の鋭さには感服するところがあるので何も返すような事はしなかったと言うことである。

 

「はい。」

男の子はまだ幼かった。おじさんの言葉は読み取れないが帰るような場所もない。そして味を知った男の子が引き返す理由もない。それこそ警察の世話にはなりたくないと感じている。

 

「うん、なら移動しよう。」

おじさんは男の子の手を掴んで何処かへと連れて行こうとしていた。その力は優しいものであるが男の子は拒否した。

 

「辞めて。そこまではしたくない。」

 

「偽造の為だ。我慢してくれ。」

おじさんは言い聞かせるように男の子に話すが本人が拒否しているので両方とも困ったことになっている。そんな訳で移動を始めたが不審な二人を誰も話をしたり連絡をしたりなどしなかった。都内の人間の中に溶け込んだ二人を見つける事も探すことも困難になっていた。そして冷淡な人間性がそれを加速させる。

 

 

あの公園からは離れた場所にあるホームレスの住み着いている公園へとたどり着いた。

 

おじさんは此処の住人とは顔見知りのようで基本的に誰とも話していた。男の子は会う度に挨拶を交わすがその無機質な挨拶には子供らしさというものはなかった。

 

それこそ何かに取り憑かれているかのようなそんな雰囲気を醸し出している。何がしたいのかそれもよく分からなかった。

 

「此処の住人とは仲良くしておいた方がいい。何かと援助が貰える。」

公園内のホームレスには概ね挨拶をし終えた。おじさんは無機質な挨拶をする男の子の目を見て諭したが何も反応は見せなかった。昨日の件がある、それを全てなかったことにするのは良くないだろう。男の子はそれでも反応はしているがなにぶん小さいので何かと不便ではありそうだ。

 

「そうか。」

男の子は何処か寂しそうな表情をして怒った口調で話していた。おじさんとしてはその状況はとても困ったものである。言うことを聞かないのだから普通ならそうなるが一つ捻りを入れようとしてみた。

 

「そのうち貴方が自分で取りに行くための技術を教えてやろう。」

おじさんは右手の小指を出して約束と言いながら指切りをした。微笑ましい空気が流れているがその契約内容は恐ろしいものである事は語らずとも察してほしい。

 

「なら、何かやり方はあるの?」

男の子は一旦座り込んでから話を進める。此処はおじさんの居住区であるらしくベンチとその近くの場所がそうであるらしい。男の子は木製の新しいベンチに座ってからおじさんが横に座るまでは待っていた。

 

「どのやり方があるかそれを言ってごらん。」

おじさんは何かを教えるらしく男の子の体を触りながらゆっくりと伝えていた。

 

「まずは此処をこうする。」

おじさんはそれにうんうん、と首を縦に振って相槌を打った。男の子は嬉しそうにして更に続ける。

 

「それから足に何かを刺す。」

男の子は昨日のことを思い出していた。その傷はあるのだがもう気分や感情というのはぐにゃぐにゃにされているので平然と話していた。ある意味では狂気に満ちた子供であるのだがその事はおじさんは気にしていなかった。そう率直に話す子供も頭はオカシイのだがそれを淡々と聞き続けているおじさんもそもそもというところだった。

 

「最後に腕を締める。」

結局最後まで昨日のことを忠実に話していた男の子なのだがおじさんはその天性の才能が羨ましいというドロドロした感情が芽生えていた。ある意味では芽生えさせてはいけない才能なのだがおじさんはその力を欲した。

 

「そうだ、早速今日試してみるとしよう。」

おじさんはそう言うと邪魔しない程度に見ている、と男の子は答えた。

 

その晩、ある家へと忍び込んだ二人は素早く一家を仕留めた。

 

二日連続で起こったので警察を刺激することになるかもしれないがその事は何もおじさんも男の子も気にしてなどいなかった。おじさんはいきなり首筋を斬りつけると静かに玄関のドアを閉めた。その間に男の子はすぐに中へと入った。その音は何もなく存在を消し去っていたのかいつのまにかと言う状況である。

 

「さて、最初に何をするのか覚えているかな?」

 

「足に刺す。」

男の子は素早くこの家に住んでいた女性の右足の付け根を狙って思い切りナイフを刺した。その隙に匍匐して頑張って移動しようとするがそれはおじさんが馬乗りになることで出来なかった。

 

その隙に男の子は左足の付け根を狙ってナイフを刺す。これはおじさんから借りているものだがポケットに入るようなサイズなのでこれからも男の子は使うつもりなのだろう。

 

痛がる女性だがその声は枯れていて何を話しているのかは読み取れなかった。それからおじさんは腕を結束バンドで締めて血流を悪くさせると指の切断をした。その断面からは人の肉とにじみ出ている赤い液体が周りに広がるが男の子は雑巾で拭き取った後で絞って容器の中に入れていた。

 

これが鉄の味がする飲料となるので貴重なものなのだ。スーパーなんかで窃盗するよりも楽しく、とても栄養分のあると言うおじさんの言い付けらしく素早い行動で床に広がっていたものを全て拭き取った。

 

「さて、調理を始める。付いて来なさい。」

おじさんはそう言ってからテクテクと付いてくる男の子を台所へと連れて来た。そこで先ほど切断した指の骨を抜き取り調理の仕方を教えていた。男の子は興味があるようで大体の事は一人でできるようになっていたのは一年も経つような事はなかった。

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