青年放浪記   作:mZu

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第175話

一つの砲塔が火を噴こうとカタカタと揺れている。

 

プラズマを纏い周りへと伝達していく。その威力、力、その全てはある人に委ねられている。

 

「どうしてここまでやるの?」

大きな白い翼を持った背の高いお空は守るべき存在である巫女に歯向かおうとしていた。何かそれに意味があると言うわけでもないのだが理由は簡単だ。

 

「アンタを倒す邪魔をしたからよ。」

霊夢は次はお前とばかりに前へとお祓い棒を突き出した。

 

そして名指しで指されて気分がいいものではなかったはずだ。それでもお空は制御しきれないところまではいかないように力を抑えていた。横になっている青年もそれは感じているが面倒なことになっているのは紛れも無い事実である。

 

「それは違うよ。貴方の暴挙を止めるためにしていたのに。どうしてわからないの?」

一瞬だけ棘のあるように感じたそのお空の一言が青年をこの場所から離れる動機としては十分なものだった。青年はその場から離れる。

 

そしてプラズマが走り、砲塔が火を噴いた。大きな白い球だ。人くらいの大きさでスピードはとても遅かった。霊夢はゆっくりと離れたがその後ろから猫のように引っ張り出されて何処かへと消えてしまったわけだがその手には見覚えのあるものだった。

 

「して、これからどうするんだ?」

お空は青年の言葉に振り向いたが完全に振り向いているわけではなくて木筒のようなものは青年の方を向いていなかった。頑張って出ないようにしているのはよく分かるがそれでも間に合うような事はないのだろう。

 

「もう少し付き合ってくれないかな?」

お空としては助けて欲しいのだろう。青年はそう感じた。止まるような気配のないその砲塔を青年は危惧した。何が起こるのかはお空の制御と青年の行動次第、そして向こうにいる人の誘導の仕方による。

 

「力を使い果たすまではどうにか付き合ってみよう。それからどのように使えるかは考えてみる必要がある。」

青年は先ほどの威力を見ていても何も言わなかった。それだけの眠っている力がある。そしてまだ想像できないほどの莫大なエネルギーがその中には眠っていると感じた。何を起こせるのか、青年はまた違う事で色々と考えていた。

 

「ありがとう。頑張るよ。」

そう言ってくれたお空の言葉をかき消すようにある轟音が鳴り響いた。その音の原因は霊夢に撃った白い球、人並みの大きさのものだが岩を一部だけでも破壊するのにはとても有効だった。

 

青年はまた興味が湧いたがそれを許してくれるかは上の奴らに聞く必要がある。放り出されるように四人が来た。その出方は見覚えのあるスキマからのもので上にいたはずのあの四人が投げ出された言葉そのままになっていた。

 

「どうした?」

青年はその非常時にも冷静だった。それよりかは興味や関心がないと言うべきなのか。

 

「お空を倒すように言われたんだぜ。」

 

「そう言うことよ。アンタはどうするの?」

青年はこの時は何も言わなかった。あまりにも頭の考えもしていないので青年としては失望したのかもしれない。それこそ何か嫌な事でもあったかのようになっていた。

 

そしてお祓い棒と札を構える霊夢。いつでも良いぜ、と言わんばかりの魔理沙。取材する気満々の射命丸。一番冷静でいなくてならないはずの火焔猫。青年はその四人にため息というもので対話を試みた。

 

「ねぇ、待って。どう言う事なの?どっか行ってよ!」

お空は突然の事に気が動転していた。それこそ青年の危惧していたような事は起きてしまった。お空の砲塔からは赤い球が浮かび上がる。後ろにいた青年には当たる事はないのだろうがその場で止まっていると言うことも自分の中では許せなかった。

 

「お空、辞めておけ。今は使うべきではない。」

青年はそれだけを伝えてお空の目の前に立った。その先はお空に任せるしかない。

 

「もう遅いよ。こうなったらもう止められないんだ!」

正気に戻ったお空でもそれだけの事は言っていた。それは今まで使ってきていた証拠であると言うことも言える。青年にはその気持ちはよく分かっていた。魔理沙にも良くわかるのだろう。

 

「何か方法はないのか?」

 

「分かんない。」

 

「一回落ち着くために深呼吸して。」

青年はお空に対して手本を見せていた。それを真似て一緒にやってみるが速度を抑えられるだけで抑制や静止とはまでは行かなかった。

 

やがて、赤い球は暴発と言う名のもとで大きな爆発を起こす。大きく拡散されたその球たちもお空の尽力によってそらされて青年に当たるような事はなかった。

 

肝を冷やしていた青年もそれだけは褒めていた。だが、これだけでうまくいく事はなかった。後ろのある二人はその隙とばかりに攻撃を仕掛けていた。青年ははっ、と振り向いて後ろの二人を見ていたが案の定と言うのか、それとももうどうでも良い、と投げ出すような事なのか。

 

「これで参ったか。」

 

「倒すわよ。」

 

「妨害は自粛しろ。お空の頑張りを無駄にするな。」

青年は深く冷たい海のような声は二人の元には届かなかった。気づいている一人と気付かずに上からの命令に従事する人。相反する立場からの物言いなのでそれは簡単に対立関係へと発展した。

 

何もしていないはずのお空はその仕打ちに激怒した。

 

「もう、良いよ。知らない。」

お空の右腕にある砲塔から火が噴いた。激昂の中で制御することを忘れたその砲塔を二人と青年と他の人たちに向けてうち放とうとしている。

 

もうこうなれば手の施しようがなかった。それだけで面倒なものであると青年は感じたがもう諦める事にした。

 

「好きにしろ。」

青年はお空の目の前でズボンのポケットから小刀を取り出した。もう戦闘にはいつでも入れるようになっているのでいつきても良いようになっていた。

 

お空の右手を弾くほどの威力の攻撃を一発だけ見舞った。その破壊力はさることながらその先にいる青年も対処は早かった。

 

小刀で魔法を使って日の元素によって引き剥がし威力を軽減したところで両手で持って上へと弾いた。しかしその威力は並大抵のものではなかった。

 

反転した青年は十尺ほど離れた霊夢の近くまで転がり込んだ。咄嗟のこととはいえ、その対応力には感服するところがある。

 

「止めるしかない。」

青年の小さな一言は目の前の力の強さを示していた。

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