青年放浪記   作:mZu

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第180話

間近で見ていた射命丸にとって今回の異変はただならぬものを見ていたようだ。

 

写真を撮ることさえ忘れる。

 

それだけの破壊力に記者としての行動力を剥ぎ取られてしまったようで何もするような事はしなかった。射命丸による「霊出異変」と名付けられた訳だが今回は文章だけでその内容もあまり身のあるようなものではなかった。

 

本来は書いていいようなものではなかったそれでも記者として今回の異変を書かないという選択肢はあったとしてもないに等しい。

 

何が行われていたのかは射命丸に忠実に描かれているがそれよりも間欠泉の噴出の方が周りの人間には大きいらしく地底のでの出来事は想像以上の範囲での話であり何があったのかはよく分からなかった。

 

「はぁー、どうすれば良いんでしょうね。」

妖怪の山と呼ばれる今では守矢神社で盛り上がっているが来る前は閑静な所であった。しかしここではそのような音はしないように配慮されている場所で参拝のための道とは正反対である所だ。この場所では木とある家以外は何もない場所で味気ない場所である。

 

「知らないわよ。たるいわねー。」

携帯のような道具を使ってボタンをぽちぽちしている天狗は言葉通りに怠そうにしていた。

 

茶髪で紫色のリボンでツインテールにした長めの髪で紫色の帽子で茶色の瞳をしている。帽子は射命丸のものとは色だけが違う。襟に紫色のフリルをつけたブラウスで黒いネクタイをしている。黒と紫の市松模様をしたミニスカートで黒いハイソックスを履いている。

 

「読者の人気を他の記事に持っていかれてしまったようです。」

射命丸の落ち込みようは見るまでもなく声でわかるほどだった。お気楽で元気な射命丸には珍しいのでその人はなんとも居づらい空間になったのを仕方がなさそうにしていた。

 

「写真のないものじゃー、人気も出ないわよ。どうしちゃったのよー?」

 

「はたてさん、何も撮れなかったんですよ。」

射命丸はこの小さな小屋の中にある丸机の上でぐでー、とし始めたがそれをはたてと呼ばれた人は仕方がなさそうにしていた。

 

「確かにそうかもしれないわねー。ほら。」

はたてこと姫海棠 はたてに念写する能力がある。その能力で射命丸の記憶の中を念写してみた写真のうちの一つを携帯のような道具から見せていた。

 

その画面には射命丸の中から見た白い翼の人から放たれている弾幕を見せていた。白と赤というめでたい色なのだがその威力を映し出した念写を見ているはたてには同情の目であった。

 

「えぇ、分かってくれるだけ嬉しいです。」

射命丸の口からそのようだがやや蹴落とすつもりであるはたては思惑通りにはいかない事には不満そうである。同業者として少しでも業績を落としたくなるのはもう性なのかもしれない。

 

「にしてもー、何か変なものがあるのよねー。」

 

「何がですか?」

射命丸は念写をして様子を見ているはたてを見ながら灰のような体をして気の抜けた返事をしていた。何が念写されていているかについては心あたりがないのではたてがどのような物を見ているかは気になるらしい。はたてはほら、と射命丸に再度に見せていた。

 

「この男の人ですか。この人は特別視していても良いと思うんですよね。」

射命丸は何か記者としての目があるのか軽々しく答えていた。はたてはそのようなことを聞きたいと言うわけではないらしいのでその回答には首を傾げているだけだった。何が特別視をしているのか、その点は何があるのかは分からなかった。

 

「いやー、そこじゃなくてさー、なんかずっと見てない?」

はたては能力を使って念写した少しぼやけた写真をページをめくるようにぺらぺらをさせているがその写真はどれも射命丸が特別視しているというその青年が写り込んでいるのがきっと不思議だったのだろう。射命丸はふと感じたのかヘラヘラとし始めた。

 

「そのようですね。これは記者として惹きつけられるものがあるのでしょう。」

 

「好きー、とか?」

 

「いーや、ないですね。興味なさそうですもん。」

 

「そー、なのね。ならー、良いか。」

 

「何か含んでいるようですね。何か気になる点でもあるんですか?」

射命丸としても何か引っかかる点があったのだろう。記者として聞かないわけにはいかない。そう思った射命丸ははたてに身を食いだすように出していた。すっかり元気な感じに戻っていたがそれもそれで問題があるとはたては感じていた。

 

「妖怪の山でも見たことがあるように思うのよ。」

 

「それはそうですよ。夏の頃から今まで河童のいるところで過ごしていたんですから。そして守矢神社では現人神と仲が良かったり神奈子さんと戦闘を二回していたりするんですよ。見たことが無いなんてそんな事は同業者としてあり得ないでしょう。」

急な早口でまくし立てるかのような口調にはたては圧倒されていた。それこそ何があったのかと思うほどだった。

 

「よく見てるわねー。如何してなのよ?」

 

「紅霧異変の時はレミリアさんにとどめを刺したり、春雪異変の際はうまく戦力を分断して時間を稼いでいたり、幽香さんと一戦交えたり、裁判長と顔見知りだったりするんですから記者としてこれほど面白い人材はいないんですよ。」

まだまだありますよ、と更に話そうとしている射命丸をはたては急いで止めた。それこそ何があったのだと言いたくなるようなほど白熱とした話をしようとしているのが鬱陶しくなったのか気分が冷めたのかのどちらかだろう。

 

「待ちなさい。あなたの話はよーくわかったわ。でも、流石に気持ち悪いわよ。」

 

「そうですかね。同業者としてこれほど記事にしやすい人はいないでしょう。」

それでも止まない雨のような射命丸の会話にはたてはゆっくりを身を引いていた。それこそもう収拾がつかなくなったのだろう、とはたては感じながら射命丸お得意のマシンガントークが始まろうとしていた。答えさせるつもりのない質問の量と早口が噛み合わさってただの脅威であると呼ばれるものだ。本当に射命丸が白熱するといつも早口なのにも関わらずそれよりも酷くなるというものだ。それにははたてにもうんざりとしている。

 

「咲花異変の時のあの判断はとても賢明でした。本当に巫女は何をしているんでしょうね。間接的に殺人犯なんですよ。」

そんな事も言っていたような気がすると新聞のネタにするらしい。同業者同士何か噛み合うところはあるかもしれない。

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