こじんまりとした小さな敷地の中には収まる程度の青い屋根のある屋敷に着いた。その屋敷の庭とされているところには大きな穴が空いているのだが青年には心当たりがあるので何もいうような事はなかった。
「大きい穴ね。」
そこから覗けば下にはきっと赤い色をしている地面が見えていると思う。青年はその下は見るような事はなくのそのそと歩いていた。その後ろを少しは興味があるように覗いていた勇儀だが適当に覗いてから付いていく。
「しかし此処に居る奴だとは気付かなかった。」
「仕方がないだろう。もしかしたら妖獣の類かもしれない。」
青年はとても冷静だった。勇儀はそうなのか、と深くは聞かなかったがどういう意味であるのかはよく分かっていない。お燐と同じく元々ペットだったものが成長した姿だとしたらお空も同じくそういうことになるのだろう。
「待て。私を置いていくな。」
置いていかれていたことに気づいたパルスィがその後をついていく。首だけを振り向いて待っていた青年は十分に近づいた事を確認してから足を進めてその先へと進んだ。
そして青年はその先にある扉を開けると少しだけ狭い廊下を歩くとその先には此処の主人とされている小さな少女が階段のところで立って待っていた。心を読む能力のある少女はすでに客人の事などお見通しであり何も驚くような姿はせずに平然と立っていた。
「こんにちは。」
「そういう挨拶は良い。さとり、二人の容態はどうなんだ?」
「それは口で話すよりも会いに行く方がいいでしょう。貴方のいた部屋で待機させています。後の二人は私が対応させていただきます。」
「だそうだ、少しだけ話していてくれ。」
青年は親指を立てて少しふざけた口調でさとりと交代するように階段を音を立てて上る。何も響いてこないさとりは勇儀とパルスィの前に立って一礼してからゆっくりと頭を上げた。
「アンタが此処の主人という事か?宜しくな。」
「はい、勇儀さん。パルスィさんもそこまで妬まずにそこにあるソファーに腰掛けて少しお待ちください。」
さとりは右手を使って寒色のソファーと透明なテーブルのある場所を指していた。
もう少し真ん中に置いていた方がいいのではないかと二人は考えたがそれはさとりには読まれていた。
「私一人では移動させる事もままならないのです。それに広く見せるためにこのようにしているんですよ。」
「それは確かにそうだな。」
少し引き気味な声を出している勇儀を初めて見たのかなんとも反応しづらそうな表情をしているパルスィもさとりは既に読んでいた。
「やはり鬼ですもの。そのような反応になるのも仕方がない事ですよ。」
さとりは無表情で二人に話しかけてその場から離れたが気味が悪いというのは事実であるので大人しく座っていることにした。