青年は路頭に迷っていた。
そもそもこの館の見取り図はまだ頭の中には入っていない。だからこそお燐とお空のいるとされている部屋の位置は全く覚えていなかった。
手当たり次第に扉を開けるが基本的にベットと机と椅子があるだけの部屋でどこも同じような配置をしていた。それが余計に青年を迷わせる事になった。どの部屋を見ていてどの部屋を見ていないのかが覚えていないのでそれは仕方がない事だと思われる。
「此処か。」
やけくそになりかけている青年は少々乱暴に開けて見みる。何となくストレスを感じていたと言えばそれらしい理由にはなるのだと思われる。
「久しぶりだね。元気そうで何よりだよ。」
「お燐、体の調子は大丈夫そうだな。」
赤い髪をして三つ編みをしている猫耳のついたゴスロリ調の赤と緑のドレスを着ているお燐と呼ばれているが青年が覚えたのはここ最近である。
しかもふと思いついたのが青年らしいと思える。
「そうだね、肋骨が折れたくらいしか問題はないよ。」
「よく俺だけの衝撃でその程度で済んだものだ。貴方の健闘はお空を止めるために大きく貢献していた。」
青年はそれから、という言いそうな感じでゆっくりと辺りを見回すがカーテンだと思っていたのは大きな翼にかけられているマントだと気づいた時にそれがお空であると感じた。
「あの時のことは覚えているだろうか?」
黒髪で白い服装と緑色のスカートを履いているその少女は初めて会った時よりもすっきりとした見た目をしていた。制御棒はお燐によって壊されて自然と右足についていた金属は外れてきたらしいのか膝下までありそうな黒い靴下が両足とも見えていた。
それくらいしか変化している点はなさそうに思える。
「何も覚えていないんだ。いつの間にかここの部屋で寝ていたんだよね。」
お空は不思議そうな表情しているのだが青年はやりきれない気持ちのやりどころを探していた。
それだけ青年には腑に落ちない点があるらしいので解決するまではそのままになりそうだ。
「それなら別に良さそうだな。」
「いい風にまとまったと思うよ。やったね。」
「本当に二人には迷惑をかけてしまった。申し訳ない。」
「良いさ。友達を救ってくれたのに何か文句を言うところがあるのかね。」
「何のことだか分からない。」
「有難いな。」
青年はそれだけを呟いて何かを考えていたようだった。その場にいた二人は何が始まるのかワクワクとしていた。その辺りの脳は動物らしい直線的な発想なのだろう。
「そう言えば温泉は作らないの。」
「作ってみようと思っているのだが何分出来るかは不安だ。」
「どうしてだい?」
「まずお空のその莫大なエネルギーを使う必要がある。それを俺が包み込んで扱いやすくしてから小さな間欠泉を起こして地底へと湧き上がらせる訳だがそこがどこに出るのかは分かっていない。不確定要素が多すぎるんだ。」
青年は一人でに悩んでいた。それを馬鹿馬鹿しく思えたのかお空は平然と言ってのけた。
「やってみようよ。楽しそうじゃん。」
「本当なのか?そうなればまずに許可を取るべき人がいるはずだ。」
「さとり様と話すんだね。」
「あたいも付いていくよ。」
三人は軽快に扉から外に出るとそこから一階へと向かうために歩いていた。その足音は決して暗いものではない、だがひっそりと忍び込むものもある。