赤と白の巫女と黒と白の魔法使いは大いなる空にある雲の上へと上り詰めていた。
悠然とした景色が広がるのだが真っ平で何もないというのが二人から見た感想である。別に船のようなものはない、赤と白の巫女、博麗霊夢はそのように感じた。
しかし一瞬の頭によぎった言葉にも感情にも心を揺り動かすようなものでもなかったものを頼ることにした。逆にそれ以外は何かあるようにも思えなかった。
「なぁ、霊夢。何か感じることでもあるのか?」
霊夢の後ろでゆったりと構えていた黒と白の魔法使い、霧雨 魔理沙は退屈そうにしていた。どれぐらいの時間は想像する必要はなくても魔理沙を飽きさせるのには十分なものだったらしい。
霊夢はゆっくりと目を開けて自身の心に訴えていたようにも見える行動をしてから魔理沙の方へと向いた。
「何となくだけど気になるものがありそうね。早速行きましょう。」
霊夢はゆっくりとその先へと向かっていた。魔理沙のその後ろをついていきながら目を細めていた。あまり気持ちがこもっていないのを見るときっと何も感じないようにしていると思われる。
興味がなくどうでも良いようなものではなくて霊夢のこれからの行動を見守るつもりらしい、そんな優しい目をしていた。それからは何かあるのかといえば何もなかった。だが一つ気になるものが現れていた。
「何なのかしらね。」
霊夢は遠くを見るために細目にして睨みつけるかのような感じになっていた。その先には底に小さな三つの半球がついていて帽子のつばののようなものがあり、大きめな半球が乗っている。いわゆるUFOと呼ばれるものが浮遊していた。
「近づきにくそうな気はするが気になるから行ってみようか。」
魔理沙は箒にまたがりふわふわとしたその速度のままにその方へと向かっていた。魔理沙でも見たのは初めてらしく霊夢がその後ろへとついていくこととした。何があるのか、それが気になるらしい魔理沙とは裏腹に明らかにつまらなさそうにしている霊夢が対照的に映る。どちらが動けばどちらかが止まる。少しでも可笑しいことがないのか、それを探るのは相手を思っての行動なのだろう。
「怪しいわね。」
「やっぱりか。何か変だと思っている。」
魔理沙はそれでも進む事をやめないので危険よりも好奇心の方が優っている、いや、恐怖の中に好奇心があるのか。霊夢は魔理沙とは対照的に強引にでも止めようとしていた。
「なら下がりなさいよ。痛い目見るわよ。」
「大丈夫だぜ。その時はその時でなんとかしてくれる奴がいるからな。」
魔理沙は満面の笑みで後ろを見るとそのまま霊夢の横へと向かっていた。並行する形となっている二人なのだが長い付き合いだからこその信頼関係があるように思えた。
何がなんだか分からない、それが周りから見た関係とも言える。
「あ、そう。それは好きにしなさい。」
霊夢はそんな風に厳しく当たり散らすような口調で話しているがその真意はまた別のところにあるようだった。
「で、これがその謎の物体なのね。」
そのUFOのような物体の目の前にしてものようにすれば分からない二人は何となく辺りを見回してからその周りを回り始めた。人並みの高さで見るからに何か小型の生物がいると思われるのだが別にそのような入り口というものがあるというわけでもないので一体どのようなものなのか分からなかった。
それこそ何があるのかはさておき霊夢は取り敢えず一枚だけ札を投げてみることにした。かするような様子はなくさらりと通り抜けた後に中から木片のようなものが現れていた。
どのようなものであるのかは分からないが魔理沙は兎に角手で持ってみることにした。別に特に何が起こるというわけではないが何かあると思っていた割には何もなかったので期待はずれなことに魔理沙は不満そうにしていた。
「何なんだろうな。とにかくここから落とすのも悪いから持っておくつもりだぜ。」
「そう。もしかしたら交渉の道具に扱えるかもしれないわね。」
「何か感じるのか?」
「ええ。どのようなものであるかは判別は付かないけどある意味ではとても強力な力を持っているのは確かよ。」
「へぇ。そうなら持っておいて損はなさそうだな。」
「本当にそうだと良いのだけれど。」
霊夢は最後に魔理沙には聞こえないように小言を言うだけで別に行動には起こさなかった。満足そうにしている魔理沙を裏切る形になるのか、霊夢はなんとなくその様に思えた。
「霊夢、それで船はどこにあると思う。」
「まっすぐいってみてちょうだい。何かあるわよ。」
霊夢は魔理沙の質問に即座に答えた。もちろん周りには何かある様には思えなかったのだが霊夢は確かにそのように言った。魔理沙はその言葉を信じて箒をその方向へと向かわせていた。
とても楽しそうな表情をしているのだが霊夢は何か疑いが晴れない様な好かない顔をしていた。
「魔理沙、今回は想像以上に何かありそうね。」
「ん?急にどうしたんだ。」
霊夢の不安そうなその言葉に反応した魔理沙は急に速度を落としていた。とても気になるらしいが何がその様に感じさせるのかはよく分からないので敢えて何も言わないようにしていた。お互いを気遣うあまりにぎこちない空気を作ってしまったらしい。
「いえ、気にしないでちょうだい。」
「そうか。なら良いぜ。」
また笑顔に戻って楽しそうにしているのだが霊夢は相変わらずに詰まらなさそうな顔をしているが魔理沙の横にはいて左側を重点的に見ていた。それからはそのまま真っ直ぐに進んだ。その先で待ち構えていたものは船ではなかった。何か大きな雲の様なものがあったのだが淡いピンク色で頑固オヤジの様な見た目をしているいかつい男性がその場には居た。魔理沙は急に止まってその現れた入道の方に指を指していた。
「何か急に現れなかったか?」
「ええ。何かあるようね。」
魔理沙は満面の笑みをもみ消して真面目そうな表情を浮かべていた。それ以外には何かあるわけではないので更に目立つものに二人は視点が向いていた。霊夢の予想は別に外れてはいなさそうだ。