青年放浪記   作:mZu

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第201話

神々しい白い光がゆっくりと肌を温めるように優しく刺していた。その光を目を閉じずにまじまじと見ていた青年はその中から出てくるシルエットを見ていた。

 

そのシルエットは長身であるのはよくわかるがそれ以外の情報は何もないので憶測で話すしかなさそうだ。何秒か過ぎたのだろうか。青年は煙草を下へと向けて少しだけ後ろからの痛みと前からのその威光に酔いしれる事にした。

 

「皆様、久しいですね。」

金色の髪をしていて紫のグラデーションの入った癖のある髪をしていて優しそうな表情を浮かべていた。白の下地に前の空いた黒の衣服を羽織っている丈の長い服装をしていて裏地が赤いマントを羽織っていた。そして黒いブーツのようなものを履いている。その姿は放っていた光同様に神々しいものであるが少しその威厳は堅いものではなく包み込むような柔らかいものだった。

 

「聖様。私は今貴方様の姿をご覧に出来ることを光栄に思います。」

寅丸は急に縮こまった姿を見せているのだがそれだけの人格は有しているように思える。青年はそんな事を思いながら左手で顎を触って少し考えているようなそぶりを見せていた。

 

その事を気づいたらしいその聖様と寅丸から呼ばれていた人は青年の方へとゆったりと歩いてきた。その姿はまるで神の降臨に等しいものを感じるのだろうが青年にそのようなものは効かなさそうだ。

 

「私は聖 白蓮という僧侶であります。どうやら私の復活の手助けをしていたように思えるのですがどのような目的なのでしょうか?」

聖は少し背の小さい青年と視線を合わせるように腰を折り曲げてしっかりと目を見て対話をしていた。青年は少々困った表情を浮かべているのが印象的に感じるが聖はそれを全て認めてくれるらしい。

 

「探し物をしている人を助けた。それだけだ。」

すぱっ、と答えた青年に首を何回も噛みしめるように振った聖はやはり何処か違うように思えた。

 

「そうですか。それで後ろの方はどのような目的なのでしょうか?」

聖は困り果てた顔をしているがその後ろでは二人は暴れているがもう一人はもう静かにその場に立っていた。

 

「この二人は知らないがもう一人は何か邪念はないのだろう。」

 

「アンタは誰なのよ?」

 

「そうだぜ。なんか怪しいぜ。」

青年が一瞬だけ緩んだ手を振り切ってから前へと出てくるので青年はまた一つ悩みのタネを持ってしまう事になってしまった。青年は何となく忠告するだけはしておいた。

 

「よせ。勝てん。」

 

「何よ?私が負けるところなんて見た事はあるの?やってみないと分からないじゃない。」

赤い服装をして頭に赤いリボンをしている黒髪の巫女、博麗 霊夢は後ろを不意に向いてから激昂しているような表情をしている。

 

其処に合わせるように黒いとんがり帽子をかぶっている全体的に黒い服装をしていて金色のカールのかかった髪をしている魔法使い、霧雨 魔理沙がさらに文句を言ってくる。

 

「そうだぜ。私と二人で百人力だぜ。」

何か楽しんでいるようにしているがそれを聖はどのように見ているのかと思えば微笑ましそうな光景らしく穏やかににっこり、と笑っていた。この時点でもう敵う気がしないのである。

 

「皆さん、お元気なんですね。」

 

「もう少し怒ってもいいんじゃないか?」

 

「いえいえ、私は元気な方は好きなのですよ。」

ニッコリとしている聖に果たして何人霊夢のような人をぶつければ良いのかそれはよく分からなかった。十人やそこらでは敵わない、二十か、三十か、そのくらいだろう。

 

「そうか。それなら相手をしてやってくれないだろうか。」

青年は無理難題そうな頼みをしてみる事にした。それでもニッコリと優しい笑みをこぼしているので聖人として青年の中では位置付けられたように思える。聖は何か嬉しそうにしていた。

 

「はい。分かりました。」

聖はパン、と一回手を叩いてから拳を握ると急に雰囲気を変えてきた。その姿には青年を踵を返してからその後ろにいた人と一緒にその場から離れようとしていた。

 

しかし二人の心に火がついたらしくその場からは離れる気など毛頭なさそうなのでその人たちには言葉もかけなかった。それだけではないがその場から離れて見ている事にした。

 

「随分と余裕みたいだぜ。行くぜ、霊夢。」

魔理沙は軽快に身を動かすとその場で魔法道具である缶を取り出すとその中からは流星群のようになって甲板へと降り注いでいる弾幕が現れた。

 

それをシャワーのようにして身一つ動かそうとはしないのでその事を不審に感じた魔理沙は苦虫を噛んでしまったような嫌な表情を浮かべる。其処に畳み掛けるように霊夢は青色の札を投げつける。その札は上に投げていたが丁度間合いの半分ぐらいで急降下していた。

 

その二つの弾幕を目の当たりにしても聖は眉ひとつ動かさなかった。軽々しく弾かれていく二人の弾幕は聖に触れるようなこともできなかった。聖は瞬時に判断して絵巻を展開したらしいが其処から発せられる結界のようなものは通り抜ける事はできないらしい。

 

「若い方のエネルギーは凄まじいものですね。暴れ馬みたいです。」

微笑ましく笑っている聖だが何か別の意味も含んでいるように思えるほどにずっと微笑んでいる。あの笑みが消えた時にその真価が発揮されるのだろうがその力を見てみたいと思えた青年は危険とは分かっていながらも観察していたいように思えた。

 

「寅丸、逃げた方が身の為だ。」

 

「そうしてもらいます。」

寅丸はその場から船長やナズーリンのいる方へと逃げてくると青年は少し後ろを向いていた。

 

「早苗、今日のなんのために来た?」

 

「神奈子様と諏訪子様が幻想郷に慣れるために行ってきなさいと言われました。」

 

「なら、見ておく方がいいだろう。」

青年は一歩ずつ一歩ずつ下がりながら聖と霊夢、魔理沙の戦闘に巻き込まれないようにしていた。その後ろを緑色の髪をして落ち着いて状況を判断している白色の上に水玉模様のある青い布を着込んでいる東風谷 早苗は一緒にそして青年に近づくようにしていた。

 

「はい、有難うございます。」

早苗はそれだけを言ってから軽く一礼をしたが後ろでしているだけに何も見えていないように感じる。】

 

その現場には巫女と魔法使いは唖然としていた。微笑んでいる聖に一切触れることが許されなかった。それどころか敵として見られていないように思えるのだが攻撃している方からすると大きく印象に残るのかもしれない。

 

善良な市民を襲う気持ちが分からんでもないと思えた青年だが聖はまた違うものであると思えたので二人には同感はしなかった。

 

「何だぜ、一切受け付けないなんてそんな事があるのか。」

 

「必ず穴があるはずよ。」

半ば諦めている魔法使いだが更に炎を燃えたぎらせている巫女は更に札を投げてみる事にした。それこそ魔法と物理の融合体。

 

札を投げた後ろに太極図の描かれた球のある針を投げつける。本来は封印のために使われるものなのだがそれは本来の意味では今は使えないと悟ったらしく素早い判断から巫女はその手法を取っていた。

 

聖はそれに対して手を一回鳴らすだけで針を撃ち落とした。人力で投げた針などはその拍手一回で沈めた後、当然かのように当たりもしなかった札がハラハラと甲板へと落ちて霊夢の足元へと戻ってきていた時には気付くのは遅かった。遠距離の攻撃を一切受け付けていないと言う事に。

 

魔法使いとしての全てを否定されたがそれでも諦めないらしいので小さな八卦炉を取り出していた。其処に自分の遅れるだけの念を送っていた魔法使いは最大出力とも言える魔法を放つ。

 

「ファイナルスパーク!!」

魔法使いをそう叫んで八卦炉からは見たこともないような熱光線を放つ。その光は白く燃焼しきった物体のようなのが流れているかのようだがそれ以上にその威力も凄まじかった。

 

魔法使いの両腕は折れそうなほどに震えていた。やめておいた方がいい、と途中で手を出すだろうと思っていたが隣の巫女は其処に無駄なのかもしれないが自分も弾幕を出して援護という形で聖に攻撃を加えていた。聖はその灰になるような程熱量を正面から食らったわけだが何か影響があるのかといえば転ばせる事に成功した。

 

船頭へと追いやられた聖は珍しく右腕で柵を持って立ち上がると大きなため息をひとつ付いてから平然と歩み寄ってきていた。其処で早苗は青年に話しかけてきた。

 

「何が起こっているのでしょうか?」

 

「RPGで言う防御力が高すぎて攻撃が通らないと言う事だ。」

 

「それはつまり魔理沙さんのあの攻撃は何とか通ったと言う事になるのでしょうか?」

 

「そう言う理屈であっていると思う。だが何枚か魔法に対する防御結界が張られているように思える。物理で殴れば少しは期待があるかもしれない。」

青年はそれだけを答えると早苗は黙ってしまった。青年は外から来ているのを知っているのでそのような例えをしているが合っているのかどうかは保障できないのでやってみるしかないと思う。向こうの方では説法のようなものが始まっていた。

 

「なぜ其処まで暴力に訴えかけるのでしょう。」

聖は一つ疑問を投げかける。何も何も聞かないと思えた魔法使いは既に戦意喪失としていたが実際何もされていない。全てを抱擁する聖の慈愛によって此処まで追い込まれていた。

 

「それは私が怪しいと思ったからよ。」

 

「では、この船に何の前触れもなく現れた三人に私が同じような扱いをしてもよろしいのでしょうか?」

 

「それは通らない理屈よ。」

 

「それはどうしてなのでしょうか?」

 

「この船が飛行していたからこっちは大迷惑していたのよ。」

 

「そうなのですか。それは申し訳ない事をしました。」

 

「分かっていると思うけど此処で退治されなさい。」

 

「それはなりません。人も妖怪も等しく救われるべきなのです。その為には暴力で訴えるより言葉で訴えましょう。」

 

「知らないわ。とっとと財宝を出しなさい。」

巫女はお祓い棒を持って聖に近づくが本人は何も抵抗はしなかった。それこそ言葉ではなくて行動で自分の意思を伝えているように思える。青年はその姿勢に感心しながらその戦闘の続きを見ている事にした。

 

「此処に来た目的は財宝を奪う為だと言うのですか。」

 

「そうよ。アンタを倒して財宝を売り払って悠々自適に暮らすつもりよ。」

聖の表情が一気に暗くなっていた。

 

「世の中は私が寺に居た時から何も変わっていないようですね。」

その言葉を皮切りに聖の動きが大きく変化したのは言うまでもない。それからの聖は何か魔人と化したようになっていた。封印されていたと思われるのでこうなるのは仕方がないと思うが昔から人間の本質は全く変わっていないらしい。

 

「何よ?アンタも今から暴力で訴えようとしているのね。」

 

「いいえ、これは説法として身体に染み込ませる為に行うものです。」

聖は後ろに構えていた右腕を霊夢の前で止めていた。その風圧で巫女の左肩を射抜くと打たれた方は後ろへとよろめいていた。多分睨みつけていると思われるがそれをものともしない聖の慈愛の心に脱帽する。

 

そしてその一連の流れから青年はなんとなく憶測を立ててから走り出していた。それを早苗は追いかけようとしていたがそれは間に合わないほどだった。

 

どれほどの強化をすればその力へと目覚めることが出来るのかそれを知れれば早苗も足首くらいはさわれたかもしれない。

 

「やるじゃない。」

霊夢は簡単に賞賛の言葉を送るとその場から逃げるように札をばら撒いていた。当たらないのはもう分かっているがそれ以上に此処から逃げないといけないと野生の勘が察知したのだろう。それだけに次の一撃はもう当たる事はできないと感じた。

 

「どうですか、私の寺で修行に励んでみませんか?」

 

「私には私の生き方がある。押し付けないでちょうだい。」

さらりと流れていく札は霊力を失いその場でハラハラと舞い落ちると船の走行によって起こっている風によって青年の方へと流れていた。

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