青年放浪記   作:mZu

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春雪異変
第22話


その後、博麗神社に新聞のの取材が殺到した。

 

誰もがこの事を記事にしたいらしく霊夢は困り果てるような顔をしていた。その様子を見ていた縁側でお茶を飲んでいる魔理沙は立ち上がって霊夢の元へと向かう。

 

霊夢は沢山の参拝客に感謝しつつも度重なる質問の連続に霊夢は疲労困憊だった。其処で助け舟を出したのは魔理沙である。

 

「代わりに私が話ししてやるぜ。」

取材してきた人たちは突然現れた魔理沙を追い出すような素振りを見せた。しかし霊夢も魔理沙に任せてしまった。それによって魔理沙の話を聞くことになった記者たちはその自慢話にも聞こえる話を延々と聞かされていた。

 

何も書く気さえ起こさない程の弁達ぶりに話を聞き終わった記者が質問もなしに続々と帰った。

 

「どうだ、霊夢。私の話は。」

霊夢は呆れているようで少しだけ馬鹿にしたような言い方をした。

 

「誇張が多いわよ。少しは簡潔に話しなさい。」

霊夢は魔理沙の口達者ぶりを知っていた。そしてそれはこのような結果になることも予想してしていなかった。

 

「話は変わるが、あの青年がどこにいる分からなくてな。」

魔理沙はあの青年、幻霊の事を聞いていた。

 

「さあ、よく知らないわ。」

霊夢は興味がないかのように話していたが、賽銭箱が今潤っているのはその青年のおかげである。霊夢も少しは博麗の巫女としてのプライドが無ければ素直にお礼を言いたい。

 

「アリスの家には顔を見せなかったらしい。それで香霖に聞いてみると煙草を一箱買っていったらしい。」

魔理沙は淡々と今知っている情報を話していた。アリスの家と香霖もとい、森近霖之助が営んでいる雑貨屋の香霖堂は前にも訪れた事があった。

 

なので現れるかと思ったが、半分は正解で半分は間違っていた。

 

「それで他にも人里にも聞いてみたんだがそんな男は見た事がないと答えた。」

魔理沙は更に続けていた。多く区分したが人里というこの幻想郷の中心とも言える場所に姿は見せていないらしい。まるで逃亡しているかのような振る舞いに二人は残念な気持ちになっていた。

 

「ふーん、一回はお礼を言いたいわね。」

霊夢はアリスから借りてきたという本を触っていた。魔理沙が帰ってから霊夢は青年が前に借りたきりそのままにしている。魔理沙に渡すのも良いが、一回くらいは顔を見たいという願いがそれを阻んだ。

 

 

その青年だが、一回しか紅魔館から出てはいなかった。いや、正確には一度霊夢と魔理沙と三人で異変解決を知らせてから忽然と姿を消して香霖堂へと向かった。魔理沙の話している通り煙草を貰ってからフラフラとしていた。

 

「へぇー。」

何となくの気分で青年は歩いていた。

 

息を漏らした時に出た余力のない抑揚もない声を出していた。疲れているところで魔理沙に連れ出されてからのあの連戦。青年の体には重労働であるらしく背中を曲げて歩いていた。

 

咥え煙草はしていない。何処か休めるところを探しながら青年は西側へと進んだ。

 

「あの、すいません。」

フヨフヨと浮きながら顔の知っている人が来た。緑色のチャイナドレスのようで綺麗なまっすぐの赤色の髪を腰まで伸ばしていた。紅美鈴である。青年は疲れたながらも一礼した。

 

「何だ?」

青年はぎこちなくなっていた。昨日のあの戦闘である。嫌な気分になるのは青年からすると仕方がない事かもしれない。

 

「良ければですが、手を貸しては貰えませんか。」

紅美鈴としては主人、メイド長を失った紅魔館は手に余るほどであった。もう誰でも良いから手伝って欲しい気持ちでたくさんだった。だからと言って青年に話しかけたのは愚策かもしれない。

 

「俺が?」

いきなり話しかけられて手伝えと言われてもこういう反応をするしかなかった。状況が飲み込めないというのが一番の原因である。

 

「寝るところや食事は保証します。メイド長が復帰するまでお願いします。」

紅美鈴は頼みの綱とばかりに頭を下げてお願いした。青年はやはり困惑している。いや、逆に困惑しないでいられるのが幻想郷の住民なのかもしれない。

 

「メイド長?あのメイドか。行かない訳はない。」

青年は紅美鈴の願いを聞く事にした。メイド長、もとい十六夜昨夜は自分が傷をつけた。なら、紅美鈴に頼まれたなら罪滅ぼしにはなるだろうと考えた。冬が近くにある事を知らせるような風が辺りに吹いていた。その中で嬉しそうにしている人と渋い顔をして立ち尽くしている青年がいた。

 

「では、歩きながら説明します。」

辺りは霧に囲まれていた。湖のほとりを歩く二人は何やら不穏な空気の漂う会話をしていた。楽しそうにはしていなかった。美鈴はそこで更に話を進めていた。

 

「では、紅魔館での貴方の仕事内容をお伝えします。」

門番は真剣な眼差しで青年を見ていた。青年はそれを見て同じようにしていた。根は真面目らしく断りにくい性があるらしい。

 

「貴方は妖精とともに部屋の掃除をお願いします。いたずら好きで手を焼くかもしれませんがよろしくお願いします。」

紅美鈴は少し考えながら青年に仕事を与えた。それなりの理由はあるらしいが、敢えて青年は詳細を聞こうとしなかった。

 

「分かった。最初はかなり荒いだろうがそのうち覚える。」

青年は何処か上の空で紅美鈴の話を聞いていた。掃除をするのは覚えている。そもそも妖精というのも知らない為、其処から始まりそうである。

 

「お願いしますね。では向かいましょう。」

紅美鈴が空を滑空するために体を浮かせる。

 

青年は顔色を変えずにその様子を見ていた。まるで必然かのように佇んでいた。

 

「そう言えば普通は飛べないんですよね。」

青年の行動が微妙に伝わったらしく、紅美鈴はすぐに地面に降りてきた。紅美鈴が門番を務めているのは周りを湖に囲まれた人を寄せ付けないような孤島に建っている。

 

「いきなり手数をかけて済まなかった。」

青年は怒っているような、そうでもないような視線を送っていた。悲しい、とそんな気があると美鈴は思っていた。

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