青年放浪記   作:mZu

221 / 257
第221話

白い布を羽織っておて黒色の上着を着込んでいる青年はこの大きな仏門に通じていそうな建物の中へと入っていく。廊下などは綺麗に磨かれていて隙間からは黄金色をした像が見えていた。

 

どうやら仏像であるようだがその光り輝く神々しさはまさしく信徒の熱心さが伝わってくる。あるいは熱狂していると言うことだろう。

 

青色の髪をした全体的にその色をしている多々良 小傘はそう思ってしまった。対して青年は何も感じていないようで何か気にしているようなところはなかった。いつも通りなのでそのことを気にしているような様子はなかった。

 

「昼過ぎと言えこうも静かだとここも相当な場所と思える、聖。」

青年は縁側で半分だけを目を開けていた此処の住職である人に話しかけていた。青年とは同じような服装をしていて金色に紫色のグラデーションを混ぜたような髪をしていてパサパサとしている。

 

尼剃りではないので何となく気にしても良いのだろうが気になるところもあるがあるのは確か。だがそれよりも気になることのある青年はそのことに構うような時間はなさそうに思える。

 

「ようこそ、いっらしゃいました。今日はどのような用件なのでしょう。」

 

「いや、小さな事だ。実は後ろに付いているこの白い玉の事について知りたい。」

青年は聖に背中を向けてその白い玉と呼んでいた神霊のような物について聞いてみることにした。その神霊は恥ずかしそうに青年からは離れようとはしていなかったが前にいる聖には姿を見せていた。

 

青年の左肩に乗り続けていた神霊は青年からは余り離れないようにしながらも聖の方へは近づいていくのです狭間で迷っているように見えるがどうも滑稽のように思えた。青年は別に時間を浪費しようと関係なかった。

 

「これは。偽物ですね。そう強い力は感じる事はできません。それとも何処かに持ち運ばれているようですね。」

 

「持ち運ばれているとなると気になることがあるのだが。ここの下には何が眠っている。」

青年は前に聞いたことのある話を思い出していた。その話というのはここに命蓮寺を建てた理由についてでナズーリンのダウジングによって此処に嫌なものが眠っていることが判明した。

 

その為には住職である聖 白蓮の力が必要不可欠であるらしくムラサ船長の船を大きく作り変えてこの場所に命蓮寺なるものを建立した。その結果、聖以外に三人が住んでいるはずだが思い思いの時間を過ごしているらしく姿はたまにしか見ない。それでムラサ船長が自由に行動できるようになっているのかはまた別の話になる。その経緯を聞いたことのある青年はそのことを疑問に思っていた。

 

「もしかしたらその事がこの現象の起因となっているのかもしれません。急ぎ、解決の手立てを考えておく必要がありますね。」

力強い口調で話している珍しい姿を見せた聖だが青年は一言だけ告げる事にした。

 

「いや、その必要はない。」

 

「如何してでしょうか。理由をお聞かせ願えますか。」

 

「簡単な話、この神霊らしきものがある。それによって何が起こるのか変化を見ている必要がある。それからでも遅くはないはずだ。」

青年は聖との真ん中で右往左往している神霊らしきものを眺めながらその事を話していた。此処まで付いてきていた神霊もここに来てからはどちらにもつかないような状態となっている。

 

それだけでも大きな発見であることには間違いないだろう。青年はそのことを念頭に置きながら聖とは話していた。

 

「そうですか。私は不本意ですが良く良く考えてみればその様です。ここは大きく出るのはやめておきましょう。」

青年はその聖の言葉を聞いてから首を一回縦に振った後で後ろを振り向いていた。体は動かすつもりはなさそうで代わりに頭だけを動かして視線を斜め下へと向けていた。その先には小傘がいる。その小傘は話について来ているような素振りはないのでその確認なのだろうと思う。

 

「して、ナズーリンは何処にいるのか知っているのか。」

青年は何処か厳つい口調で聖に当たり散らすように話していた。聖はその言葉を真摯に全身に受け止めていた。もう何が起こっているのかは小傘にはまるでよく分からない。二人の間には深い溝があるようだがそこに橋が掛けられていてお互いの事は何らかの形で思いがあるように見える。長年生きていた結果、付喪神となっていた小傘にはそのように見えていた。

 

「無縁塚に居るようです。結界の端とされているようで姿は容易に保つ事はできません。貴方の実力は私が知っていますが行くのはお勧めしません。」

 

「そうか。なら呼び寄せるなり、何らかの方法でこちらへと来てもらう他ないと言うことになるのか。」

 

「そうです。それで貴方はこれからどうなさますか。」

聖は日も少しだけ傾いてきていたこの時間にその事を話し始めた。別に居座るつもりはなかったがそのような話を振られると別に悪い気もしない、それが青年が考えているのであろうことだった。

 

「別に。寝泊まりは可能なら今日は居るかもしれない。」

青年は簡素に答えたが明確には答えは出していないのである意味ではどちらでもないような解答の仕方ではある。聖はそれでも優しそうな微笑みでその場に座っていた。青年はその様子を眺めながらガンを飛ばしていたと思われるほど見ていた。

 

「それは此方が用意します。これも何かの縁でしょう。是非この問題の解決に協力したいと考えています。」

 

「それは別に良い。だがその言葉も俺は肯定的に捉えておこう。だがいくつか条件がある。」

 

「それは何ですか?」

聖は神妙な面持ちをしている青年に問いを持ちかけた。

 

「この異変のようなものが解決するまでは居続ける、如何様な要件でも出るつもりはない。それともう一つ仏教修行に少しだけ参加させてほしい。」

 

「良いですよ。もう少し厳しい条件かと思ってみましたがそうではありませんね。」

 

「別に部屋が欲しいわけでもない。それに精神を鍛えるのには絶好の機会だと思っただけだ。」

青年はズバリと答えていた。別にその事は視界には入っていなさそうな青年だが確かな目つきはしている。

 

「良い行いです。では早速始めよう。」

 

「いや、一人忘れている。貴方はどうする、小傘。」

 

「私?私は適当に様子を見にくる程度にとどめておくよ。とても詰まらなそうだし。」

 

「仕方がない。なら今日のところは帰ると良い。」

小傘はうぬを言わずに踵を返して大きな傘を開いて命蓮寺の参道を歩いて妖怪の森のところへと歩いていく。青年はその背中を少しの間だけ見た後に視線を聖へと移した。

 

「今日から宜しく頼む。」

 

「こちらこそ。」

聖は母性のある笑みをこぼして青年を抱擁するかのようにしていた。青年は暫くここで暮らす、それがどれだけ厳しいのかはその年月に比例するのだろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。