幻想郷の何処か。それは何処なのかは分からない。ただし薄暗く湿っぽい所であるのはよく分かる。
「姫様、準備は完了していますか。」
誰なのかは分からないが何かを聞いているのはよくわかる。だが、なんの準備なのかは一切わからない為に断片的にしか情報を得る事はできない。
「うん、出来ているよ。」
小人の様だがお椀のようなものをかぶってまち針の様なものを腰に携えているまるで小人の様な人はその様に答えた。
薄紫色の髪をしていて同じ様な目の色をしている。赤い和服で黒い帯をしているが下駄は履いておらず裸足である。背はとても小さくて人の膝下ぐらいの背丈であるのは目で見ればよく分かる。左手には打ち出の小槌を持っていて銀色のもので何か魔法陣の様なものがある。ある伝説の中の願望を叶えるために使用したものと同じ様なものであるが同一のものであるのかはまた別の話になる。
「それでは姫様。これまでの辛い境遇の思い出す事にしましょう。」
その人は姫と呼んでいるだけで名前は語る事はなかった。何か企んでいる様だがそれとはまた違う事も考えている様だった。
「うん、分かったよ。」
姫と呼ばれている人は首を大きく振って応えていた。
「皆から語られる事もなくなった小人族の血筋を引いている貴女様は弱き者を助け強き者を打ち砕くためにその小槌を振るってくれると誓ってくれますか。」
その人はそれだけを言って首を垂れる様にしているが背丈の問題上視線を合わせている様でしかなかった。そして姫はうん、と答える。
「それでは小人族の様な弱き者を救う為にその小槌をお振りください。」
「分かったよ。」
姫は左手に持っていた小槌を振るう。その場では何が起こったのかは一切分からなかった。だが小槌をついていた魔法陣は強く光を放ち、何らかの力を持ち合わせているようだった。そして二人には何故か気になる事があった。
「姫様、力がみなぎっていますよ。これは英雄となるのですね。」
「うん、そうだね。このまま沢山の弱き者を救いましょう。」
姫は大きな声で宣言すると外の世界へと出ていく様にしていた。
幻想郷の人里の上では嵐が起こっていた。何かの巣窟の様なもので何かが潜んでいる様にも見えるが何かある様なものではなかった。まず入ることは許されない。それこそ何らかの結界でもあるかのようで入る事は全くもって許されなかった。
「世界を救った姫様、これからはどうなされますか。」
黒色の髪に白と赤のメッシュを前の方にそして左右異なる色で一部だけその様になっていて小さな二本の角を持っていた。何かの妖怪ではある様だがそれが何かはよく分からない。それこそ鬼なのか。それも分からない。
服装は白色で胸元には青色のリボンが上下逆さまの状態でつけられていてスカートの部分は上から水色、白色の向きの異なる矢印をつけていて黒色の矢印の様な尖ったものを下に向けていてその下にレースの様な白色のものをつけている。その下は姫と同じく裸足だ。
「とても楽しみにしているよ。これで皆が救われるんだね。」
姫は素直にその人の言う事を信じているらしく疑うことを知らない様な人であるのはそれだけでよく分かる。
「そうです。小人族の様な強き者から虐げられていた妖怪や人間に退治されていた妖怪がこれから反旗をひるがえすはずです。それを従えるのは何を言われようと貴方なんですよ。姫様。」
「そうだね。だったらもっと小槌の力を使って皆に使ってあげよう。」
姫はその場で立ち上がって左手に持っていた小槌を振るう。そこについている魔法陣が光り出して更なる力を振りまいていた。それを正座をしながら楽しそうに舐めているのが小槌の力を使う様に進めた人だ。
「でも、その城はどうやって作ったの。」
「これは昔、私達と同じ様に強き者に反旗を翻そうとしていた小人族の長が作り上げた城なんです。私が調べ上げたところその様でして丁度良いのでお借りしているというなんです。」
「そうなんだね。でも、小槌の力は使わなかったの。」
「それはより大きくの人を救い出すために姫がお使い下さい。」
「分かったよ。沢山の者を救う事が出来るなら私がやらないといけないわけだね。」
「そうですよ。」
姫にその様に伝えていた人は姫の行いに全て肯定してあげることにした。それからこの二人にはとても広い城にある程度の人を雇う為に人を集めてくるとその人は伝えてこの部屋から出ていた。
元々はちゃんとした城なのであるが欲望が大きくなり過ぎて小槌の魔力では作り出せなくなったのでその代償として鬼の世界へと落ちた事を知らない姫は先程この部屋を出た人に操られている様だった。
小槌には限界というものが存在しているがそれを伝えようとはしないのでこれからどうなるのかはさっぱりというものである。
「さぁ、弱き者が見捨てられない楽園を作るぞ。」
その声は孤独な広い部屋で反響する事もなく虚しく響いていた。天地逆転したこの城では天守閣の様な部屋がが一番広くなっている。
ただ広いだけの部屋で天井に座っている姫は上にある畳を見上げながらこれからの事について考えることにした。