嵐の中と言っても雲に覆われていて中へと吸い込まれるような風が吹いている。先ほどの人の話から推測するにこの中から下克上をさせるために道具へとなんらかの力を与えているものがあるらしい。そしてその力に今持ち合わせている道具達は何かを感じ取っているのだろうか。青年はなんとなくそう考えていた。
「ここに主犯がいるということか。妹にでも話を聞くことにしようか。」
先に向かっていた人が居るのだがここへと来ていると思うので居るかもしれないという不確実な証拠からここへと来ていた。
青年は考えていてここで立ち止まっていても何も変わらないので兎に角風に身を任せて中にいる人にでも会おうと身を任せた。
引き千切られるかのような速さのある風で手足は体の動きには合わせられずに中にある建物へと誘われた。その間に抵抗する余地はなくその中へと侵入する事になった。そもそも抵抗する理由もないのでこうなるのは仕方がないと思われる。
「大きい建物だな。」
青年はそう呟いた。別に引き千切られそうになるほどの風に体を流されていようと青年には余裕があるらしい。
その建物はどうやら城のようなものだが天守閣のようなものが下にあって石垣が上の方にある逆三角形のような形をしていて何があったのか分かったものではないがここにいる事には間違い無いと思われる。きっと色々とあるのかもしれないが楽しそうなので青年は気にしない事とした。
「姉さんはどうしたの。」
身を任せて引き込まれている青年に話しかけたのは必死に抵抗しているもあまり効果がないようである妹の方だった。青年は名はまだ知らない。
「少し休憩しているとの事だ。気にするような事はないだろう。」
青年はただ目の前を見て話していた。流されているだけでそうそう変わらないので並行している。
「そうなの。どっちでも良いけど。」
その人は少し不貞腐れたようだった。青年はそんな事は気にせずにその人の右手を引っ張りながら空に浮かんでいる逆さまの城へと向かっていた。
「してこれからどうする。」
「どうするって何を。」
その人は聞いていた。主語もなければそうなる。
「ここで姉を待つか俺についてくるか。」
「それを聞く前に名前ぐらい聞いたら。」
青年は少しだけ考えていた。本当に少しだけ。
「興味ない。皆平等に生き物だ。」
「はぁ、もう良いわ。一人で行きなさい。私は姉さんを待つ事にするわ。」
その人は青年に対して呆れているようでもう諦めていた。答えにもなっているのかどうかも怪しいのでもうその点は駄目だと直感したのだと思われる。
「そうか。なら行かせてもらおう。」
青年は単純に答えて上へと向かっていた。城の構造が逆になっているので階段の方向もおかしくなっていた。仕方がないので青年は剣を利用して飛んでから一気に穴へと入り込んだ。
朝、いつもとは違うその時間に博麗の巫女は外に出てきてから驚いていた。
空には大きな白い塊があり夏の夕暮れに出来る雲のように大きく膨れ上がっていた。それだけ済むのならそれでも良かったのだがその大きさは異変として扱っていても仕方がないものだった。
「何よ、あの雲。何が起こっているのよ。」
今までは想像も出来なかったことが起こっているという事がこの時点でやっと理解できていた。
これまでも起きていた事には起きていたがそれはたまに起こる事がたくさん起こっているだけで何も不思議なことではなかった。道具を持っている人も沢山いるようになったがそれの原因は解明できていないので何も話す事はなかった。それに何がしたいのかは一切分かっていない。
「これは異変ね。」
「よぉ、霊夢。行くのか。」
空には黒いとんがり帽子をかぶっている金色の髪をしたおさげのある髪型で全体的に黒色の服装をした魔法使いだった。
「何よ、アンタはさっさと行ったらどうなの。」
「つれないな。その事は置いておくとして楽しみだな。」
「アンタと青年だけでしょうね。そんな事を言うのは。」
「そうだな。もう行っているかもしれないぜ。」
魔法使いである霧雨 魔理沙はちょっと面白そうに答えていた。行くのは決まっているからもう何かするようなこともないのだろう。
「行っているかもしれないわね。楽しそうだからみたいな馬鹿げた理由を言っているのでしょうけど。」
「支度は済んだか?」
「まだよ。」
霊夢は不貞腐れた感じで魔理沙に対して悪態をついていた。された本人というのは別に興味がなさそうで早くしてほしそうにしていた。
「なら、早くしてこいよ。遅いと置いていくぜ。」
「少しぐらいは待ちなさいよ。すぐにするから。」
魔理沙としては別に遅くとも構わなかった。こちらでもやりたい事はないということではない。今回どうにも調子の悪い小さな八卦炉は置いてきた。その事は後々伝えておく必要がありそうだ。
「口よりも体を動かせ。」
魔理沙は笑っていた。