二人は南側に広がる魔法の森と呼ばれる場所を進んでいた。何となくだが段々と近くなっているだろうと感じていた。
それはアリスや魔理沙の家である。少しだけ力を得たいと考えていた。青年には物騒だが見慣れた景色が、咲夜には知らない場所に連れてこられて気味悪そうに進んでいた。
「やはり慣れないか。」
青年は妙に静かに聞いていた。咲夜はどうしてそこまで落ち着いている理由を知らなかったがその事は聞こうとはしなかった。
どちらでも良い。誰かに会えれば話を聞いてみることにしようと軽い気持ちでいた。
「そうね。薄気味悪いわ。」
咲夜はよく周りを見るがそれでも頭が理解出来ないらしい。青年は静かにその様子を見ていた。沈黙の時の中で一人だけ関係なそうにしている人がいた。
「少し聞いてみるか。」
青年は咲夜に同意を得ようとする。本当は別に居るものではないが何となくのその場の気分である。少しだけ話をしたかっただけなのかもしれない。
「ええ、そのつもりだったんでしょう。」
薄紫色の髪を白のターバンが覆い隠していた。
余裕のある服装で紫色の上下一式の服装でその下に下に白のシャツを着ている。その寒さだと言うのにあまり防寒をしていそうには見えなかった。自分の大概だとは感じている。
「銀か。」
青年はひっそりと呟いた。何が、と咲夜は聞きたいがあまりその機会でもないか、と思い聞かなさそうだった。青年はその場から雪を踏み潰しながらザクザクと進んだ。
「少し話を聞いてもいいか?」
「何ー?」
その人はおっとりとしていてゆっくりとした空気が流れていた。青年は少し戸惑ってから話を進める。
「今起きている冬が異様に長い異変について何か知っていないか。」
青年は真面目に聞いてみた。寒いのが苦手らしい青年はいち早く終わらせたいような焦燥を感じる。それは相手にも伝わらないわけではない。
「それは知らないー。でも私この季節が好きなんだ。」
そのままくるくると回りそうにはしゃいでいる彼女は青年には慣れないタイプらしくどうにもならなかった。青年は後ろを向いて目で訴えてきた。
「そうなんですか。それでこの異変の黒幕だったりしますか?」
咲夜は実直に応答を開始する。其処は流石は紅魔館と言えるかもしれない。彼処は咲夜がいない限り正確に回せそうに感じない。青年はどうしようもないことを考えていた。
「くろまくー。」
ヘラヘラとしていた少女はそれだけでも面倒くさくなるような性格をしていたが咲夜は其処は臨機応変に答える。
「では、貴方がこの冬を長引かせている黒幕なんですね。」
咲夜はナイフを片手に構えていた。正確にはまだ持っていない。いつでも持てるように構えていた。青年は近くの木に背をもたれてその様子を静観するらしい。
「そうそう。」
ヘラヘラとした表情や態度をやめようとしない少女は軽くナイフの餌食になる。とは思ったが妖怪としての身体能力が上回ったらしい。咲夜は軽くかわされたナイフを見ながら次の一手を考えていた。
「やはり貴方、冬の妖怪なんですか?」
咲夜はこんな状況になっても情報を集めようとしている。戦闘において相手の出方を知るのはよくある事である。その手法として時間稼ぎや先に切り込むなんて言う方法があるとは思うが咲夜は遅延行為をしていた。
「それとも何も関係ない冷気を扱う能力なんでしょうか。」
咲夜はさらに二本投げた。それ何もしていなければ当たる事はない、相手からすればどこに投げているような状態である。それでもそれが作戦だと感じる場面がある。瞬時に場所を移動させた。少女の後ろに居た咲夜は自分の投げたナイフを取ると後ろから刺しにいく。
「寒気だよ。」
少女は戦闘中だと言うのに笑いの絶やさなかった人であった。マイペースというの自己中というか掴み取りにくい性格をしている。
相手の方が一枚上らしい。少女は拳を握ってそれ以上は先に行かないようにしていた。咲夜のナイフは何処にも当てることができずにその場から退く。
「強いわ。」
咲夜は素直に感嘆の言葉をもらしていた。それもそうだろう、と青年は感じていたがそれだけ終わらないのは咲夜だけである。咲夜の攻撃をノールックで受け止めるだけの勘があるのは妖怪として普通らしい。
人間よりも長く生きる妖怪は確かに多くの経験をしている。
「それならこれは?」
咲夜は一瞬のうちにナイフを全方向から当てに行く。どこかに集中すればどれかは当たる。それはドームかのように逃げ場はなかった。
少女はこの攻撃に合わせて能力を使っているだけらしい。白い雪が巻き取られてからその風が舞い上がるの風がナイフの動きを止める。咲夜は軽く舌打ちをしてから青年に変わる。此処で、と背年は感じたがなんとなく面白そうに感じて受けて立つ事にした。
「その避け方があるとはな。」
青年は周りに散らばっているナイフを見てから話し始める。風を起こしてナイフの動きを取るといのが流石に感じれた。
「ええへ、そうかなー。」
少女はあまり褒められるような事は嫌いらしい。終わりは一撃で決まる。どこかにそれを決めることがでそれなりに実力はありこの幻想郷にもそのような人に会う機会も増えるだろう。青年は静かにそう思っていた。彼女の話を少し聞いてみてもいいかもしれない。
「そうだろう。少し聞きたいが何か能力を見せてもらえないだろうか。」
青年は少女のその風起こせた理由が気になり、戦闘には関係ないような事を話す。せめて後で話してほしいと咲夜は思った。
「冷気を操る能力だよー。」
少女は軽快に飛び上がりながら答えた。その事は承知の上であるらしい。青年は咲夜と少女の間にいたが少女の方に移動した。真新しい雪なのか誰にも踏まれておらずザクザクと楽しい音が辺りに響き渡る。
何かを感じたのか青年はまた同じく木にもたれかかる。その様子を身体を動かしていて見ていた少女は思わぬところからの襲撃に膝をついた。
「奇襲なんて性に合わないけれど。許してちょうだい。」
咲夜はナイフを投げて少女に当てていた。本当に性に合っていないらしくまともにとどめはさせていなかった。青年はその事にため息をついて怖がらせないようにゆっくりと少女に近づく。
「異変の張本人ってわけでもなさそうだな。名は何と言う。」
青年はゆっくりと近づいていく。そして優しく抱き寄せて身体をいたわっているように見えた。
「レティ・ホワイトロックだよ。冬に現れる妖怪で人に会わないから君たちとちょっと遊びたかったんだよね。」
あはは、と返すレティに青年は静かに頷いた。
「寂しかったんだな。季節は春になるが大丈夫なのか?」
青年は冬の妖怪である事を考慮してそれで良いのか、と聞いてみる。無理なのは承知しているがそれで何とかなるのかは知らない。
「それは仕方がない事だよ。季節は移り変わってこそ儚いものだからね。頑張ってね。」
レティはヒョコと立ち上がるとそれから魔法の森の何処かへ消えていった。去り際まで鮮やかな妖怪は青年にさらに前へと進む力を与えた。
「咲夜、早めに終わらせよう。冬がなくなる寂しさも合わせてな。」
青年は呟く、抗えぬ時間と共に。