第42話
「さてさて、お立会い。これから話すは春雪異変の話だぜ。」
魔理沙はいつものように博麗神社での宴会で羽目を外して騒いでいた。
そして霊夢と魔理沙と咲夜と青年による四人で異変を解決したことを有る事無い事誇張して話していた。
その会話を誰も聞いている事はいなかったがそれでも構わなかったらしい。皆はようやく幻想郷に咲いた桜を見ていた。その場には見知った顔や今回の異変の犯人まで混じっていた。その中での話である。
「今日は来てくれてありがとうな。」
青年は幽々子の隣に胡座ですわっていた。幽々子自身はその事は気にしていなかったが何とも異様な光景であるのは言うまでもない。解決した側と問題を起こした側がこのように話をしている。側から見れば可笑しな状況だった。
「いえいえ、山本さんが誘ってくれたから来ただけよ。」
くすくすと扇子で口を隠してながら見えている目が笑っている様子を青年はおおらかに見ていた。幽々子としては多少この騒がしさが楽しいのだろうか最初から上機嫌だった。
「そうか。理由なんてどうでも良い。また会えて良かった。」
青年はにこやかに笑った。幽々子はそんな様子を見ながら酒を汲む。返しとばかりに青年も酒を汲む。
それから同時に盃に入った酒を飲み干した。幽々子の頬が少しだけ紅潮していたが酒のせいだろうと青年は感じていた。青年は胡座も崩して左膝を立てて座っていた。
「しかし初めて宴会というものに参加したが幽々子はどう感じる。」
青年は上機嫌に聞いていた。幽々子は扇子をパタパタとしていた。少し暑いのだろう。
酒が入ってそうなったのかもしれないが白玉楼とは違いぽかぽかとした陽気な日なので慣れないのかもしれない。あまり深くは考えずに青年は幽々子の盃に酒を汲む。
「二人で静かに見るのも良いけれどこのような騒がしい席も良いものよ。」
幽々子は青年の盃にも酒を入れる。青年はどうも、と言ってだけだった。幽々子も微笑ましそうにしていた。
「馬鹿にしていない風でこの言葉は貰っておく。」
青年はその場から立ち上がるとまた別の場所へと向かった。そこでは咲夜が主人に日傘をさしていた。
それがどのような意味をしているのかは知らないがそこまでするなら来なければいいと青年は思った。
「主人には騒がしい席でしょう。」
青年は主人の横に座った。レミリアとしては何の事ない事なのであろう。酒などは飲まずに慣れない正座で紅茶を飲んでいた。これは咲夜に淹れてもらっていたのだろうが此処に火を付けるものがあったは不明である。
「良い勉強になるわ。貴女もそう思うでしょう。」
レミリアは咲夜にも話を振った。
「はい、お嬢様。紅魔館にも桜を植えようかと考えております。」
咲夜は静かに答えた。本当は嫌いだろうな、と青年は思っていた。明らかに不機嫌になっていた。他には小悪魔なんかも来ていてパチュリーは居なかった。紅魔館に行けば会えるだろうと思っている。
「それは良い案ね。美鈴、手配をお願い。」
レミリアは美鈴に軽くそう言っている。しかし、そのような桜というものを手に入れる事は出来るのだろうか。山にでも行けば掘り起こして持ち運べば出来なくもないが本当にそうしたら超人である。
「分かりました。」
美鈴は二つ返事でレミリアの要望に応える。何というカリスマ性と青年は思った。
「貴方はこれからどうするの?」
レミリアは青年に聞いた。青年は何も考えてはいなかったのだろう。少しだけ戸惑っていた。
「パチュリーに答え合せをしてもらうつもりだ。それから身体を浮かせる魔法でも教えてもらう。」
青年は短絡的に答えた。要はまた居候するという事なのだがレミリアには伝わっているのかどうかさえ分からなかった。
「ふーん、好きにしなさい。一応まだ備蓄はあったはずよ。ねぇ咲夜?」
咲夜は首で肯定の意を示した。それからその宴会は大いに盛り上がった。
ある者は今回の異変を面白く楽しく話す。
ある者は食事と酒を楽しんでいた。
またある者は場に関係なく自分のプライドを貫いた。
その中で妖気が高まりつつあるとも知らずに。
次回から萃夢想