青年放浪記   作:mZu

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第59話

吸血鬼の住む紅い壁で囲まれた紅魔館の中では二人の鬼がお互いを認めて握手を交わしていた。青年はその時にレミリアによって軽く呼び出されていた。それはやっと始まったテレビの途中で呼び出さたかのような喪失感のある表情を青年はしていた。

 

その不機嫌そうな表情にレミリアは主人としてはあるまじき恐れおののいた。青年はじっとレミリアを見ているだけなのだがそれでもそれなりに効いていると言うわけでもある。レミリアは近く付いてくる青年を自分が呼んだはずなのにその態度をとるので青年はどうしたら良いのかさえ分からなかった。

 

「で、どうした、レミリア。」

青年は上から視線を合わせようともせずに威圧的にレミリアを見ていた。その後ろで生還している咲夜が手を出すような事はしなかった。咲夜はそれなりに青年の性格を知っていた。お嬢様がそれを邪魔したのでこうなるのはよく分かっていた。レミリアの見えないところで咲夜は頭を下げて謝っていた。

 

「どうした、って貴方愚痴でも聞いてくるんじゃないの?」

青年はその発言に舌打ちで答えた。レミリアは頭を抱えてその場でうずくまって動かなくなってしまった。青年はそのナイトキャップを抑えて膝を抱えているレミリアなど気にする事なく、咲夜を向いていた。しかし咲夜は素早く青年に対応した。

 

「申し訳ありませんでした。用事を済ませたらまたお越しください。」

 

「分かった。」

青年は気楽に歩き始めると少し猫背でゆっくりと広間を歩き始めていた。どうやら二人の握手は終わってしまったらしく二人で楽しそうに話していた。青年にとっては予想した未来であるため何とも微笑ましいととか思わないがレミリアにより一部の記憶が抜き取られた青年にとってはそれ以上の侮辱はなかった。どれだけ苛立ちを抱えようとも青年はその怒りをぶつけようとは思わなかった。

 

「下準備してくれてありがとう。上手くいったから異変は解決しそうだ。二人は楽しそうにしているしな。」

青年はそれを霊夢と魔理沙の目の前で淡々と話した。霊夢と魔理沙は近くに来ていた事はわかっていたがあまり話そうとはしなかった。誰でも刺しそうな目つきが鋭い青年は二人にとっては見知った顔といえ少しだけ怖かった。

 

「おうよ。霊夢が居なくちゃこんな簡単に進まなかったがな。」

魔理沙はいつも通りの笑顔を見せていた。青年はその顔を見て少しだけ和やかな表情を見せていた。しかし霊夢が何も言わないので青年は今度はその人に不審そうな表情を見せる。無視ではないだろうが反応がないのはやはり不安ではある。

 

「そうね。あんたがこれを計画したのなら大分荒っぽいけど案外丸く収まっているのよね。誰にも被害に合わせてないわけだし少しだけ見直したわ。」

霊夢は少しだけ考え事をしていたのだろう、それなりに博麗の巫女として何かしら考えていたらしく青年には分からないところまで考えていたらしい。青年はそんな事を思いながら更に続けようとする。

 

「して、これからはどうするのだろうか。」

青年はその事が気になっていたのだろう。霊夢はお祓い棒をくるくると回していた。霊夢として何か考えたい事があるらしい。その事を知りつつ、魔理沙はゆっくりとした足取りで霊夢から離れた。

 

「ちょっと来て欲しいぜ。」

魔理沙は何か聞きたいらしく青年を呼びつけると耳打ちで話を進めてきた。青年はその様子を一瞬は通じなかったのか呆然としていたが魔理沙は必死に手を使って青年に知らせた。

 

「それで本当は伊吹萃香は前から知っていたのか。」

 

「いや、そのような事はない。鬼だと言うのを手に持っている瓢を見て聞いてみたら鬼だと話してくれた。」

 

「何か特別なものとは思えないが、鬼なんて居るのか。」

 

「目の前に二人、いや三人か。レミリアにフランドールも吸血鬼だ。」

 

「そう言われるとそうらしいが御伽噺でも出てくるかどうかみたいな種族をよく知っていたよな。」

 

「下にある図書室にそのような本があった。偶々見つけていたが功を奏したらしい。」

 

「興味が湧いた、少し行ってみようぜ。」

 

「なら、行くか。」

青年は先に歩き始めるとフランドールと萃香の後ろを通りレミリアを素通りして紅魔館の右側の館へと青年は入っていった。その先には紅いカーペットの廊下に蝋燭が並んでいる長い廊下が続いていた。魔理沙は異様な雰囲気というよりかは前に来た時に此処へと足を踏み入れたので嫌な思い出しかないとも言える。青年は勿論そんな事など知らないわけだが魔理沙のその微妙な変化に耳を澄ましてあまり気を配らないようなゆっくりとしたペースで歩いていた。

 

「それで此処だ。館の隅にあるこの階段を降りていけば自ずと着くはずだ。」

青年に勧められて魔理沙は後に続いていく。魔理沙は何処か見たことのあるような景色を見ながらゆっくりと階段を降りていく。

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