青年放浪記   作:mZu

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第6話

人里からは少しだけ離れている場所へと向かった。ほんの少ししか離れていないが、急な雰囲気の変わりように怪しく思えた。

 

「さて、着いたぜ。」

魔理沙は深く被っていた帽子を上げて指を指した。見るからに怪しい店が一軒、木々に囲まれて存在していた。青年は少しだけ拒否反応を見せた。魔理沙は特に気にしないのか、アリスの家同様に、いやそれ以上に図々しく中へと入っていった。青年は仕方がなく付いていく。その行動には特に意思はないらしい。

 

「魔理沙か、今日は何の用かな?」

店主は物腰柔らかい声音で魔理沙を迎えた。そして後ろに知らない人がいることに気づく。

 

「おや、初めての人だね。何をご所望かな。」

その人は青と黒の非対称の衣服を着用している。霊夢や人里の人のような和服とアリスや魔理沙のような洋服を上手く合わせた奇妙な服装である。白髪で眼鏡をかけており、勝手な偏見なのかもしれないが博識そうである。

 

「紙を巻いた筒状のものでな、口に咥えられるものを探している。」

青年は魔理沙やアリスにも説明したことを話す。店主は一瞬不思議そうなよく分からないと言った顔をしたが、何かを閃いたのか箱状のものを取った。

 

「もしかして煙草と言うものかな。」

店主は周りが白で表が赤色で塗られており黄色の文字でSTARと書かれたパーケッジをしている箱を渡した。青年は慣れた手つきで箱を開けて一本取り出した。青年は細長い白い筒を見て箱の中にしまった。

 

「確かに探していたものだ。」

青年は店主に淡々とそれだけを伝えた。

 

「もしかして外から来た人かな。良かったら使い方を教えてくれないか。」

店主は少し興味があるのか、青年の話を聞こうと詰め寄る。

 

「ここに火をつける吸うものだ。」

青年はよく知らないと言わんばかりに短い説明をした。店主はそれでは不満なのか更に続ける。

 

「君はどのように使っているかな。」

「俺か?単純に咥えているだけだ。煙を吸うとむせるのでな。」

青年は実際に煙草を咥えていた。そして服の何処かにしまった。店主はそれは本来の使い方ではないのは察している。しかしそれ以上は聞く気はなさそうだった。魔理沙はそんな二人に似ているところを見ていた。

 

 

その後青年は代金を払おうと店主に聞くが、要らないと言われ貰う事にした。青年は細長い煙草を咥えて魔理沙の箒にまたがると何も感じないのか冷たい視線を下に送っていた。

 

「しかし、変な使い方をするんだな。」

魔理沙は空を飛んでいる最中に話しかけた。帰路に着いているためか、速度自体は遅いのでそのような余裕があるのかもしれない。

 

「使い方は人それぞれだ。何も気にすることはしないだろう。」

青年は声音を変えずに虚ろな感じで答えた。魔理沙はもうその様子になれたのかなんとも思ってはいなさそうだ。青年は咥えた煙草を上下にしていた。

 

「言う事はわからんでもないぜ。」

魔理沙は笑顔で答えていた。青年はその様子は直接見ていないがそのような感じは受け取っているらしい。青年はそれからは何も話さなかった。状況を把握するのに時間を要するだろうと魔理沙は気を遣って話しかけるような事はしなかった。何も起こる事はなく人里へと着いた。青年は地面に辿り着く前に箒から降りてしまった。乗り心地が悪いと言うわけではないが、不機嫌そうな顔を浮かべている。アリスはその様子を不審そうに見つめていた。

 

「どうしちゃったのよ。」

青年は確かにご所望のものを手にしているはずなのに、と考えていた。アリスの言いたい事を分からないと訳ではないらしいが、顔を変えるつもりはないらしい。

 

「思ったより細くてな。」

青年は怒っていると言うよりかは不満である事を気にしているようだった。アリスは興味があるようなそうでもないように口を動かしてから歩き始めた。

 

「今日はどうするつもりなの。」

「どうするって何がだ?」

青年は咥えた煙草がヒクヒク動いていることを気にしなかった。ここにいる二人もその事には言及するつもりはないらしい。

 

「住むところはあるのか、聞いているのよ。」

アリスはどうやら泊める気らしい。青年は少し考えてから口を動かし始める。

 

「帰り際までに決めさせてもらおう。」

青年は細くした瞼から黒い目を覗かせた。アリスはある事に気づいてからそう、とだけ答えた。察しが良いらしい。

 

「同じ空気が流れているから私にはよく分からんぜ。」

魔理沙は諦めたかのように箒を担いで歩きながら三人で人里を出た。

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