青年放浪記   作:mZu

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第60話

本棚が所狭しと並び、天井にさえ届きそうな棚の高さは自分たちの身長などゆうに軽く超えている。

 

そんな狭そうな場所で青年は慣れた足取りで本棚の間を軽々と歩いていた。その速さは異常にも見えた。魔理沙は特に辺りを見渡すこともなく素早く階段まで来ると青年に半ば強引に連れてこられたかたちとなっていた。その場所には青年には見慣れた場所がある。魔理沙にとっては一度だけ来た事のあるそんな記憶の曖昧な場所だった。

 

「此処が紅魔館にある図書館だ。前は毎日のように通い詰めていた。」

青年は魔理沙を先にソファーへ座らせると青年は横に座った。魔理沙は担いでいた箒をソファーに立てかけると目の前には戦った事のある人がいた。紅霧異変の時にあった事がある。

 

「そうなのか。もしかして紅霧異変の後にここに居たのか。結構みんな心配していたぞ。」

魔理沙はその気ままな行動を怒る事はしないが微妙な表情で何を言ったらいいのかわからなかった。青年は柔らかいソファーにゆったりと腰掛けていた。その優雅さや気楽さはそれだけ慣れているのだろうか。魔理沙には何があったのかは知らないが魔法を習っていたのかと考えていた。

 

「それは済まない。香霖堂で煙草を貰った帰りに門番に来て欲しいと頼まれてな。仕方がなく来てみた。そうしたらこの場所があったのでその後も通い詰めていただけだ。そうしたら春雪異変であんな感じになっていた。」

「門番には何故頼まれたんだ?」

魔理沙には何故昨日の敵に話しかけようとしていたのか、普通なら不思議に思うだろう。ある意味内部偵察されて何処かに流せば壊滅的なところまで追い込まれるかもしれないのに。

 

「人手が足りなくて何とかして欲しいと言われた。俺はご飯と寝る所があるならそれでも良いと言っておいた。」

 

「そういや、何処にも家を持っていなかったな。それなら仕方がないのか。」

魔理沙は少し諦めたようにゆっくりとソファーに腰掛けていた。それまでかなり緊張していたらしく背筋をピンとさせていたがもうその必要は無くなったらしい。青年はその事は気にしていたが相手に任せる事にしていた。相手がその方がいいと思うならそれでも良いし、此方が気にかける必要も全くない。青年にはそんな風に考えていた。

 

「ところでパチュリー、小悪魔に魔理沙を案内させてくれないか?」

パチュリーと呼ばれた机に座っている紫色のナイトキャップに腰ぐらいの長さの紫色の髪、そしてゆったりとした紫色の服装をしていた。そして眼鏡をかけて魔道書を読みあさっていた。

 

「あら、前のネズミじゃない。今日も退治されたいの?」

パチュリーにも覚えがあるらしく、魔理沙のことを睨みつけていた。メガネのレンズ越しだからかギョロとした目をしている。青年にはどうしてこの様になっていたのかは知らなかった。知っていたところで気にすることなく連れて来ていたのだろうが。

 

「いや、今日はここに来てみたかったらしいので連れてきた。」

青年は誰にもうぬを言わせない程素早く言い切った。パチュリーは仕方がなく小悪魔を呼んでくる。魔理沙はホッとしたかのようにその場でゆったりとしていると素早く小悪魔がきた。だいぶ近い所で待機していたのだろう。それに青年が来ていた事はお見通しらしい。

 

「はい、パチュリー様何か御用でしょうか?あ、魔道書持ってきましたよ。」

四冊ほどの魔道書をどんと置いてからパチュリーと此処では聞き取れないほどの声で話していた。青年はすぐに魔道書を開いて読み始めていた。既に紙とペンは宙に浮かせていた。魔理沙はその異様な青年の雰囲気に飲まれてその様子を見ていた。しかし無言で魔道書を読んで気になった事はすぐに紙に書き取るスタイルは何も変えようとしていないらしいがそれをどれだけ続けていたのか言われるともうそろそろ一年が経とうとしていた。魔理沙はその成長の早さに驚いたが霊夢のような元からの才能なのか、この一年間の努力の賜物なのか。魔理沙には判断しかねるところがあった。

 

「それでは魔理沙さん、この場所を案内しますね。」

魔理沙は小悪魔に呼び出されてソファーを立ち上がると左側には誰も居なかった。青年は既に宙に浮いて魔理沙が小悪魔の所へ行きやすいように道を開けていた。魔理沙はそそくさとその下を通ると青年は再度ソファーに座っていた。もはや何をしているのか、青年の集中力と言うのは音も遮断し始めているのだろう。魔理沙はそこ魔法使いとして負けたような気分になっていた。

 

「それで今日は何の用で此処にきたかしら?」

パチュリーは小悪魔と魔理沙が本の森の中にさまよい始めたところで青年に話しかけていた。青年は魔道書を閉じてパチュリーの方を見ていた。青年はキョトンした顔で身の入らない間抜けた顔をしている。パチュリーは何か感じたが口には出さなかった。

 

「何となくだ、上でフランドールと鬼が戦っていたがもう終わっている。そのついでとでも言っておこう。」

青年にはあまり興味が無いように思われていた。パチュリーでさえも困り果てるほど適当に自分の流れを崩さない様は頭を悩ませる種になりやもしれない。青年としては単純に気を紛らわせに来ただけかも知れない。そんな事になった経緯などパチュリーは知るはずもなくパチュリーには少しだけうっとうしく感じていた。

 

「そして魔理沙も連れてきたのね。貴方の気紛れは猫よりも扱いづらいわね。」

パチュリーも少しは頭に来ているのだろう。あまりその様な事は感じさせないが青年は確実に伝わっていた。青年にも確かに自分の考えが固まっていないのにもかかわらず身勝手な発言が多ような気がした。別に気にしないつもりだがそれでも気になる事は気になるものだ。

 

「褒め言葉にしか聞こえないからやめてくれ。後、確実にパチュリーには反抗するつもりはない。」

青年は魔道者に目を通しながらも淡々と話していた。パチュリーも同じような事をしているのは自覚はないのでやはり気分が悪いものではなかった。それでも青年はそれなりに会話を続けている。パチュリーには何となく文句は言えないと思っていた。

 

「そのようね。今日は好きにしていなさい。」

パチュリーももうあまり気にしないようにしたらしい。青年にはその人だけの世界がある。午前中は何をしているのかは知らないが午後はここに来てからずっと魔道書を読んでいる姿はパチュリーも羨ましいと思えるほど熱心にしていた。偶に大きな音を出してしまう事もあるが失敗も魔法には大切な事を知っているのであまり怒るような事はしなかった。それに青年は失敗をすぐに直そうとしていた。紙を取り出して思った事、その途中で思いついた事をパチュリーにも感心するような事から意味不明な事を書き連ねてパチュリーに見せてきていた。

 

その姿は小学生が宿題を出すかのようである。それから掃除に取り掛かるのだ。もちろん小悪魔の手伝い程度ではあるが。ここまでそのような所を見ているので何か言うことも出来なかった。それにその速さも異常とも言える。書き殴った文字でこの本から得た知識と今までの本を組み合わせて書かれていた魔法の出し方と何が出ると思われるかを予想して書いていた。

 

「パチュリー、少し危険な魔法をするから魔法をかけて守っていてくれ。」

青年は既に一冊を読み終えていた。要所しかとらえないその読み方から引き出される魔法にパチュリーも今日がないわけでもなかった。

 

「かけないわ。貴方が上手く制御してちょうだい。」

パチュリーはあえて手厳しい方を選択した。此処で青年の言われた通りにしてあげるのも良いだろう。しかし何をするかによっては制御をさせるのもこの際良いと思われる。パチュリーは更なる成長を促そうとしていた。

 

「なら、パチュリーに向けて撃てるものにするからちゃんと守っていてくれ。」

パチュリーには何も理解出来なかった。このあと起こる現象に。青年は左腰から刀を引き抜いて自分の腰に持っていた。大きく身体を仰け反らせている。

 

「準備は良いか?」

 

「ええ、」

パチュリーは何もしていなかった。対して威力など出ないだろうとたかをくくっていた。青年は思い切り刀を振っていた。刀から出されている炎が陰の魔力により押さえ込まれて細長い地面を這うようは薄い炎を出していた。青年は右から刀を抜いて其処へ風を送ってから陰の魔法を外した。それから放たれる大きな竜がパチュリーの元へも向かった。

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