その時から数時間が経っていた。紫色の長い髪をした少女はフカフカのソファーから半身だけを起き上がらせていた。しばらくはどのような状況になってしまったのかは全く理解出来なかった。しかし遠くから聞こえる物音に耳を澄ませていたがすぐに誰であるのは分かってしまった。
「目を覚ましたか、パチュリー様。随分とお疲れのようですね。」
「小悪魔ね、青年は何処かしら。」
パチュリーはまずは状況を確認するためにきいてみることにした。
「魔道書の片付けをしています。棚を直せば元通りですね。」
小悪魔は主人であるパチュリーに丁寧に教えていた。そして誰かとそのような事をしているのはわかったが肝心な誰なのかは分かっていなかった。
「そうなのね。分かったわ。それは直しておくから青年を呼んできなさい。」
パチュリーは一つ大きな息を吐いていた。それがどれだけ疲れるようなものであるのかは分からないがどっ、とくる重みというものはあった。そして小悪魔は青年を呼びに何処かへ行ってしまった。
「呼んだか。」
少し魔力の残った棒をズボンのポケットに入れている青年はパチュリーの横になっているソファーの上に浮かんでいた。
「何が起こったのか確かめたかったんだけど。もう何となく察したわ。」
パチュリーは半ば諦めているようであまり大きな反応というのは見せようとはしていなかった。
「そうか。しかし、魔法鋼というのは少しの間だけ魔力を残しておけるらしい。それも一時間かそこら辺だったはずだ。」
青年は構う事なく説明していた。何処か得意げである子供のようにはしゃいでいる青年。それをパチュリーはいつも通りの感覚であやすようにしていた。
「で、一応聞いておくわ。」
「本棚の下のところに釘を刺していた。其処から少しずつ分けてもらっていつもよりも強い魔法を扱えるというものだ。だが新たな発見があった。それはもうメモしてあるから安心しろ。」
「そうね。今日は休ませてもらうわ。」
「そうか。なら俺は自分の部屋で休む事にする。一つ調べてほしいことがあるんだ。人の魔法を俺が陰の元素で包みこむ方法というのを知りたい。」
一瞬だけ何をしたいのか分からなかったパチュリーは熱意のある青年の目に負けた。
だが、ふと冷静に考えているとどうする気なのかはパチュリーでも分かっていなかった。どうしてそれをしようと思い立ったのか、どういう形にするのか。兎に角青年に聞きたいことはあったが今はそれよりも体の方から悲鳴が聞こえている。