青年放浪記   作:mZu

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第62話

静寂を保つこの図書館で大きな音が響いた。その音は何かが爆発したような音で小悪魔はもちろん、魔理沙も下手したら上にいる人たちにも聞こえたのかもしれない。

 

その静寂を破った音にも小悪魔は少し顔を動かしただけで平然としていた。魔理沙はその音には驚いてていて、その慌て方は何とも滑稽とも言える。小悪魔は魔理沙の気遣いの為に膝を曲げていた。

 

「大丈夫です?魔理沙さん。」

小悪魔はこのような惨事など偶にあるかの様に日常の一つかのようにしていた。魔理沙にとってはこの空間が謎めいたものでしかなかった。魔法に失敗が付き物なのは魔理沙もよく知っていることではあるが閉鎖的な空間で出して良いようなものではなかった。

 

「気にするな、私は大丈夫だぜ。しかし、日常的にこのような事があるのか?」

魔理沙にも流石に危ない事ではあるのは分かっていた。マスタースパークなどの高威力の魔法を扱うのに家の中では絶対にしようとしなかった。

 

「はい、よくあの青年が魔法を練習しているんです。私も偶に掃除をしていますよ。」

小悪魔は平然とした表情で魔理沙に返答をする。魔理沙としてはそうか、とばかりに大雑把な表情を浮かべていた。軽くあしらったという訳ではなくてその行動力を何か違うところに使った方が良いと考えていた。

 

「そうなのか。私も暇があったら来てみようか。此処なら沢山の魔道書があるからもっと魔法を扱えるかもしれない。」

満足そうな表情を浮かべている魔理沙を小悪魔は微笑ましそうに見ていた。小悪魔にとってはパチュリーに仕えるだけの身分だが青年はそれを弁えた立場をとっている。その人の友達なので少しは分かってくれると思っている。

 

「そうですね、もう少し回ってから戻ってみましょう。得意な魔法はありますか?」

小悪魔はこの図書館の全てを知っている。それは頭で覚えているのではなく、体が自然と動いてしまうのだ。パチュリーに頼まれた物も青年に頼まれた物もその要望は人それぞれだが体が勝手にそこまで導いてくれる。意識の外で全てを把握している自分がいるようなものだった。

 

「得意な魔法?私は道具に頼っているから何もないぜ。」

魔理沙はポケットから八卦炉を取り出した。青年は前に美鈴に不意打ちに撃ち込んだ物である。卑怯ではあるが勝てばよかろうという決闘のスタイルで良かったと思っている。

 

「そうですか、では失礼かと思われますがどのような魔法があるか見てみるところから始めましょう。」

小悪魔はそう言うとパタパタ動かしていた黒い羽を使ってその方向へと向かった。魔理沙はその方向へと向かっていた。そんな時だった。何か足音が此処で響き渡った。硬めの靴で踏み鳴らすように歩くので賊と言うわけではないらしいが誰なのかは此処からは分からなかった。こう言う時の魔理沙は行動が早かった。

 

「行ってみようぜ、」

小悪魔の先を行く魔理沙はその足音を頼りに向かっていた。その後を小悪魔が飛んで追いかけた。足音は本棚に反射して聞き取りづらかったがそれでも魔理沙の耳を誤魔化す事はできそうになかった。小悪魔がなんとかついて行き、その賊の正体を突き止めた。その姿は白いナイトキャップに淡い青色の髪をなびかせていた。その姿は青年には何とも思われていないが高貴さを感じる振る舞いをしている。一挙手一投足全てを真似したくなる。

 

「レミリア様でしたか。今日はどのような要件ですか?」

レミリアは小悪魔に気がつくともう一人居ることに気付いた。兎に角一礼だけはしてから小悪魔との会話を続ける。

 

「パチュリーに青年を見かけなかったか聞いてみようと思ったけど大きな音がしたから見にきたのよ。今日は一段と大きいわね。」

レミリアは主人にしては冷静に事態を把握していた。そしてついではあるが一応様子を見にきたらしい。小悪魔にはあまりその様に思えなかったがそれでもパチュリーに用があるのなら通さない理由は存在しない。それに古くからの友人であるので止める理由もない。

 

「後で紅茶をお持ちしましょうか?」

 

「いいえ、短く終わるからその必要はないわ。」

 

「そうですか、分かりました。」

小悪魔は飛ぶのをやめて一礼した後にレミリアはこの図書室の一階へと向かった。魔理沙はそんな姿を関係なさそうな目をしていたがひしひしと感じる怒気に目を細めていた。広間の時にあの冷遇では流石に此処から何とも出来るとは思えなかった。

 

魔理沙は箒を担ぎながら小悪魔に案内をしてもらうことにした。答えは単純だ、青年と同様に魔法には興味のある魔理沙だからこそ早く見たいのである。歩いている途中にもその節々は感じ取れるがそれ以上の興奮を見たかったのは魔理沙の本音であった。

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