青年放浪記   作:mZu

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第67話

まるで何もないかのような森の中で一軒だけ光を灯している店があった。その店とは青年にとってよく通っている行きつけの雑貨屋である。度々現れるので此処にこればそのうち青年に会う事ができるのだろう。その看板にはこう書かれている。

 

「香霖堂?なんで此処に来たのかしら。」

レミリアは半信半疑とも言えるような表情を浮かべていた。異変の解決に何が必要なのかと言われると何も要らない。青年には何となく任せておきたいものがあるのだろう。青年は無言で中へと入り、レミリアも乗る気ではないが中へと入った。

 

「いっらしゃい、いつものあるよ。」

中にいた主人は白髪で眼鏡をかけており青と黒で奇抜なデザインの着物を着ていた。腰の辺りにはバックを提げている。この人が、とレミリアは思っていたが何も言わずに事が終わるのを待っていた。

 

「どうも。それで運動用の新しい服が欲しいんだが何かあるのか。」

青年はカウンターに置かれた煙草を貰って懐にしまっていた。その箱は赤色をしていていた。それ以外はレミリアの身長では見る事が出来なかった。青年は早速口に咥えていた。此処の主人はその様子を見てから裏へと探しにいった。

 

「して、レミリア。物色でもしてみるか。此処には色んなものがある。俺はよく見ているから何となく覚えている。」

青年は午前中は機会は少なくなっていたが偶に此処に来ていた。なので青年は新しい商品がない事を知っていて、特に物色する気は無いらしい。レミリアは自信がないようで店の中を適当に歩いていた。

 

「これなんてどうだい。運動にはとても良いと思うよ。ジャージというものらしいけど。」

出されたのは炎が燃えたような綺麗な真っ赤なジャージだった。青年は静かにその服をとる。青年はあまり暖色は好んでいなかった。あまりエネルギーを使いたくはないらしい。それと隠密行動するならとても目立つ。青年はゆっくりと見る暇もなく主人が次のものを取り出していた。

 

「次はこれだよ。スポーツ用らしいけどどうなんだろうね。ウィンドブレーカーと言うものらしいけど。」

確かに薄くて動く分にはとても重宝するものでは青年は今の時期には流石に暑いと思っていた。運動すれば爆発的に熱を放出する。冬場でもちゃんと動くにはそれぐらいのではないと困るが今はその時期ではない。特に何も見る事なく触って終わった。

 

「次にこれはどうだい?運動用ではないけど灰色の無地のものなんだ。好みはこのようなものではないかな。」

主人はよく青年の好みを知っていた。それだけ通っているのも承知しているが毎日変わらずに灰色の着物なのでその辺りはよく知っているのだろう。だからこそ、主人は敢えて最後に出したと思われる。

 

「確かに好みはそうだが。ジャージとシャツを貰えるか。」

青年は持ち金に手で触りながらどれぐらいか勘定していた。その目でしか見ることは出来ないがそれなりこれくらいかと握っていた。

 

「毎度。お代はツケで良いか。」

 

「それなら後で払ってくれたら良い。またその時には新しい煙草を用意しておくよ。」

主人は気前が良いのか、二人が何処かへ向かう事を察していたのかその様に言ってくれた青年は袋ごと置いて服を取っていく。主人は少し頭を悩ませていた。音でしか分からないがどれだけ大量に入っているかは分かっていた。それは本当に無駄に払っているようなものであり、主人にはとても受け取ることのできない金額だろうと想像できた。

 

「それは今回の支払いとこれからの支払いだ。また、優遇してくれたら良い。」

青年は灰色のシャツを着て赤いジャージの上下に着替えてから森の中を進んでいくことにした。着物の時に付けていた帯は剣を携えるためにシャツのところに付けていた。レミリアはこの暗さからでも何となく変な格好しているのはよく分かっていた。流石に隣は歩きたくはないらしい。

 

「何とかならなかったの。それだと完全に場違いじゃない。」

レミリアは少し不機嫌にしていたが青年は馬鹿にしたように笑うとそのまま森の中をゆっくりと進んでいた。夜という事もあり、暗かったが上からの満月の明かりがその辺りを照らしており所々で見えていた赤いジャージが先に行っているのが気に入らなかった。

 

「待ちなさい、私を置いていくな。」

レミリアは急いで追いつこうとする。二人は森を南へと進んでいた。

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