人里を中心とすれば更に南の奥へと二人は進み、そして変わらない木の間の風景を通り抜けていた。
冷たい風が吹き木の葉がカサカサと揺らされてる。まるで入ってはいけないような場所で追い返すための警戒を青年は何も気にすることなく平坦な道を歩いているかのようにスタスタと歩いていた。レミリアは吸血鬼の割に妙に雰囲気にやられているらしく小動物かのように震えていて青年の近くを離れようとしなかった。これでは親と子なのであるが二人はそれぞれ気にしていないか気にする余裕がなかった。
何か奇妙な二人が歩いてくる。その二人はまるで何処を見ているのかさっぱり分からず一人は適当に歩いている人間でこの薄暗い森でさえ何も気にしていなかった。もう一人はあまりにも怯えていて逆に可愛らしく見える妖怪でよく見れば吸血鬼かのような剣士が見えていた。人間は前を開けた真っ赤なものを着ていて中はこの暗さなのだからか黒いものを着ているのは分かった。
妖怪は白いナイトキャップで淡い青色の肩に当たらない程度の髪をしている。私は少しずつ移動しながら獲物を狙い続けていた。
「誰も居ないじゃない。何か当てはあるの?」
妖怪は恐る恐る人間に聞いていた。もしかして私の予想は間違えているのだろうか?そんな疑問が浮かんでくるほど人間は落ち着いていた。その理由で妖怪側がかなり怯えているのが際立っている結果となっていた。人間二人なら簡単に襲うんだけど妖怪が居るとなるとしっかりと見定めてからどれだけの力量なのか見ている必要がある。私が食に有り付くにはそれなりの時間が必要らしい。
「いや、何も。ゆっくりと歩いているだけだ。時が止まっている以外は何も手掛かりはないのだろう。手当たり次第に話を聞くしかなさそうだ。だからここを歩いているのは中々変な気はする。」
人間は天然なのだろうか、確かに最近変な時間を過ごしているかのようになっているがそれならこんな人がいるさえわからないような森ではなくても良いのではないだろうか?結局馬鹿なのだろうか。私には二人が何がしたいのか分からなかった。
「そう思うなら何とかしなさいよ。」
妖怪はなぜか騒いでいるのが私には何を考えているのか何も分からなかった。妖怪は此処から帰ろうとしている。理由としては何か怖いことでもあるのか、人間の手を引っ張って帰ろうとしている。人間はそれを振り払いながら何か確証があるのかは別だがこのまま進んで行こうとしている。その歩行速度は少しだけ遅いのは妖怪に袖を掴まれているからだろう。妖怪の力を何とも思っていない人間の方が此処では優位に立っているのだろうか?なんていう憶測が私の頭の中で完成していた。簡単な話、何方が力がが強いのか分かれば私はいつでも向かうことができる。人間は基本的に一人なら弱いが剣を持っている。武器を持っているのは鬱陶しいのはよく分かるが、妖怪がいるのでどういう風にすればいいのか頭で構築していよう。
「何とかしろ、か。このまま歩いていたらその内着くだろう。」
人間は本格的に馬鹿だと思えた。妖怪の方が正しい。私は人間についている妖怪など簡単に倒せると思った。その中では数に入れる必要もないだろう。人間はどれだけ力が強いのか測ることはできないが人間だろ、そんな強いとは思わないんだけれど。私は少しだけ観察してちゃんと手順を決めてからしっかりと仕留めよう。
「じゃあ、何とかしなさいよ。私は貴方に任せるわ。好きにやりなさい、もしもの時は私に頼ってもいいのよ。」
妖怪も本格的に馬鹿なのだろう。全くもって見えていないのか、この森の中にいることを。いつ何処から襲われるのかさえ分からなかった。私以外にもここまで騒いでいれば誰か襲ってきそうなものである。それまでには私が仕留めないとな。
しかし、どうする?人間から先に戦ってみるか、妖怪を一応潰しておくか。サシでなら私も一端の妖怪だから大丈夫だと思うけど。実際はどうなるのだろうか。まだ見ていよう。
「頼れる箇所があると思っているのか。もう少し場を弁えてみたらどうだ。」
人間には多分怯えると言うことはないのだろう。全てが興味と好奇心で全ての行動を決めている。人生に無駄にしていないのだろうか?
もう少し効率的に生きてみてはどうだろうか?私にはもう決めていることがある。人間から襲おう。
「何よ?私も貴方よりは上位の存在なのよ。せめて、」
私は一気に飛び出した。ここから近い妖怪の方を狙ってみる事にした。私は草むらから一気に飛び出した。ご自慢のナイフで肉を抉り取ろうと足を動かして奇襲をかける。
「此奴よりかはね。」
私には何があったのかわからなかった。胸の辺りが暖かくとても痛かった。そして意識の遠のいていく気がして私はその場所でフラッ、とし始めた。私は手や足にはもう力が入らずにその場で倒れてしまった。