青年放浪記   作:mZu

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第72話

「異変だぁ?」

わざわざ足を運んだ金色の髪を月の光に透けさせている人形のようなアリスは黄色の髪のウェーブをかけている魔理沙の家の前で異変の事を伝えた。満月が浮き続けているのをアリスは知っていた。流石にそのような事はおかしいと思っているので魔理沙に一応話を聞きに来たらしいが当の本人が信じられないような反応をするのでアリスは困り果てているというわけである。

 

「そうなの、だから動かないのかな、って思ったから来たの。」

アリスには珍しく慌てている様子で魔理沙の方が落ち着いているかのように見えた。それだけ状況はよく分からないらしく、魔理沙も余計に分からないのでまずは話を聞くことにする。その為にどうするべきかを悩んだ魔理沙は思いついた事を早速試す事にする。

 

「落ち着けって。ほら、深呼吸してみろよ。」

魔理沙のリズムに合わせてアリスは息を吸って吐くというのを繰り返していた。魔理沙は数回か同じ事を繰り返してアリスを落ち着かせていた。魔理沙はそんなアリスの姿を見ていて今回の異変はとても大きいものであるらしいと思っていた。

 

「魔理沙、落ち着いたわ。ありがとう。えっと、それでね。満月が何日が続いているのは知っているかしら。」

 

「何も知らないぜ。」

 

「まるで記憶を喰われているようね。えっと、それでそんな日々が続いているのだけど私はこんな札を見つけたのよ。」

アリスは人形の持っていた刻と丸の中に書かれた札を見せていた。魔理沙は何の事やらさっぱりだが兎に角見てみようと触ろうとする。しかし人形を触らせないようにしていたので魔理沙は少し不機嫌になっていた。

 

「この札は私が触るとなぜか消えちゃうのよ。魔理沙が触っても同じになると思うのよ。」

少し慌てていて落ち着きのないアリスにトレンドマークとも言える黒のとんがり帽子を深くかぶる魔理沙。見ていられないというのか何かおかしいというのか。何が変わっているのかは魔理沙にはさっぱりであった。

 

「その札は何の効果があるんだぜ?」

 

「それはまだ分からないわ、でも何か異変の解決になると思うのよ。早速行きましょう。」

 

「まだ早いぜ。何の異変なのかは私はまだわかっていない。」

魔理沙は急いで向かおうとしているアリスを強く引き止めてもう少し話を聞こうとしている。アリスとしては早く行きたいらしく落ち着いた印象のアリスからは想像のつかない程の慌てようである。どうしてそこまで慌てているのかいざ知らず魔理沙はゆっくりと話を聞こうとしていた。

 

「そ、そうよね。少し落ち着いてみるわ。」

自分から呼吸をして整えようしているが実際にこうさせた方が良いように思える。魔理沙も少し気が荒ぶっていたようで自分で落ち着かせてみる。

 

「何故か時が止まっているかのように毎日満月で、私はこの札を見つけた。これが異変を解決手掛かりになると思うから探しながら犯人を見つけましょう。」

アリスは自分の知っている情報を整理するかのようにしていた。魔理沙はもう一度聞く羽目になったので少しだけ嫌そうな表情をしていたが何とか出さないようにしていた。どうなるのか分からない為である。

 

「それでその札なのだがそれが何の効果があるかだよな。」

魔理沙は不意に触れた。その時刻はもうすぐ日を終える一時間前であった。魔理沙はそれだけを確認すると目の前にあった札がすでに消えているということに気づいた。それこそアリスが体験していた事なので本人からしてみると手掛かりを失ったように思える。

 

「何しているのよ。」

アリスは声が高くあげていた。急な事で人形に指示を与えることができなかったのだろう。魔理沙に気軽く触られた札が無くなったのは魔理沙が急に声をあげたからである。

 

「済まないぜ。しかし使ってみないと分からない事もあるから少し待ってみようぜ。」

魔理沙はその時の静寂を忘れなかった。アリスは怒っていて黙ってしまい魔理沙も同じように申し訳なく思い口を開けるような事はなかった。その時間が長くなればなるほどその空気は重たくなるわけだがそれ以外の音は全くなかった。何分か経った頃だろうか。急に音がリズム良くなり始めたのである。二人はそのことに気づくと二人の顔を見合わせていた。魔理沙は得意げな顔をしており、アリスは感心したような嬉しそうな顔をしていた。

 

「時計の音が聞こえなかったのは時刻が止まっていたからだぜ。よし、この札を集めれば何か起こるかもしれないぜ。」

まるで子供かのようにはしゃいでいる魔理沙はようやく異変の解決の手がかりを掴めたと思い、アリスには後でお礼を貰おうと考えていた。そう考えていた魔理沙は早速身支度を始めた。とは言え、壁に立てかけてある箒を担ぐだけで終わる。それから直ぐに外に出ると一気に上空まで上がった。アリスもその魔理沙の後に続いていた。その先には何もないかのようだったが魔理沙はきっと何か視えているのだろうとアリスは感じた。魔理沙はその先に待っている冒険に心を躍らせていた。人間は魔を感じて幻を打ち破る。妖怪は魔を遣って幻を無効化した。魔理沙は何らかの札から感じる魔力を感じ取り、アリスはその札を人形に持たせて集め続けた。そして、二人は夜を止めた。

 

「ねぇ、魔理沙。何か当てはあるの?」

 

「アリスが案内してくれるんだろ。だから私は先行しているんだよ。」

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