仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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リゼのイベントでのシュガー登場ときららのセリフから、イベントがメインクエスト後と確定されましたね。なのでちょっと、独自設定のタグを追加させてもらいます。
そして、また長くなりました。書きたがり&文字数より話数で調整したいために、毎回こんなことに……お楽しみいただけたら幸いです。

p.s.今更ですが、きらファンキャラのビジュアルは、会話シーンの立ち絵がベースなので、☆4の進化前になります。でも専用武器も普通に使うので、ご了承ください。


第11話「出会う鬼」

山の中を散策する、一人のクリエメイトがいた。

彼女の名は千矢(ちや)。地面まで届きそうな長い銀髪をポニーテールに結い、白いマントを羽織っているのだが、その下は胸当てとショートパンツだけしか身につけてない、かなり露出の多い格好だ。元々、彼女は山育ちの野生児で衣服を着ることを嫌う傾向にあり、元の世界の普段着も、金太郎のような腹掛に腰巻だけという始末だ。それが反映されてこうなったようだ。

 

「紺、見つかった?」

「こっちもダメだわ。小梅は……」

「私も。ああ、なんで甘味を食べに来たのにこんなことになってるのよ……」

 

そんな中、千矢に合流する友人二人。狐耳を頭につけた巽紺(たつみこん)と、魔女の格好にペンデュラムを持った雪見小梅(ゆきみこうめ)だ。三人はまだ別行動中の友人二人と、とある町の名物甘味を食べにやって来たが、材料になる果物がない為に食べれなかった。しかし小梅が諦めきれず、その材料を探しに山へと乗り込んだというわけだ。

彼女達は元いた世界で"うらら"という女だけがなれる占い師の修行をしており、その技術で果物を見つけようとしたのだが……

 

「だいたい、その果物がどんなものか聞かずに来たんだから、見つからないわよ。手掛かりのない探し物は、一番占にも難しいんだから」

「異世界の常識に馴染みすぎて、根本的なとこを失念してたわ……」

 

紺に指摘された小梅が項垂れる。うららには位の高い順に一から十までの番位が存在し、彼女達の番位は現在八である。一番でも難しいことをやろうとしたのなら、失敗して当然であった。

 

「みみみみみみみみみみんなぁあああああ!!」

 

そんな中に大慌てで駆けつける、市松人形を抱えた金髪の少女がいた。それに遅れて、ツノ付きの帽子とマントを身につけた薄紫の髪の少女がやって来る。

彼女らが残りの二人の友人で、それぞれ(なつめ)ノノと二条臣(にじょうおみ)という。ちなみに、ノノが抱えている人形はマツコさんという名前があり、占いの力で擬似的な魂を宿している。つまり意思を持っているのだ。

 

「ノノ、血相変えてどうしたの?」

「紺ちゃん、向こうで大変なことが……」

「子供が崖から落ちそうなのよ! とにかく来て!!」

 

臣は普段、得意な占いの都合から野外でも寝落ちすることがあるほど、ボーッとしていることが多い。その彼女が鬼気迫る様子で言うので、ただ事ではない様子だった。

そのため、大急ぎで二人の後を追う千矢達は、たどり着いた先で状況を把握した。

 

「たすけてぇえええええええええええ!?」

「うわ、これはマズイわね……」

 

見た目5、6歳ほどの男の子が、崖から生えている木の枝に掴まったまま、助けを求めて叫んでいた。体重もそこまでなさそうだから枝が折れる心配はないが、先に疲労が来て落ちる可能性もある。そのため、一刻の猶予もない状態だ。この手の状況に疎い小梅でも、すぐにわかった。

 

「君、今から私がそっち行くよ! 待ってて!」

「千矢、気をつけてね」

 

野生児ゆえに身体能力が常人を超える千矢は、その身軽さを活かして崖を一気に降りて行く。このような状況でマントや長髪は動きを阻害しかねないが、日頃から魔物ともこの格好で戦っているので、さして問題もないようだ。

そしてすぐに、子供の捕まっている枝に到達した。

 

「助けに来たよ。君、早く私の背中におぶさって!」

「ごめん、おねえちゃん。ぼく、さっきからここにいたからもう、手が……」

 

子供は既に限界だったらしく、動ける様子ではなかっな。

 

「……それじゃあ私が」

 

少し考えた後、千矢は子供の方に近寄り、左腕で抱え込む。

 

「すぐに崖の上に戻るから、がんばって…」

「うん、おねえちゃん」

 

千矢はそのまま男の子を抱え、どうにか崖を登ろうとする。しかし片手がふさがっていることもあり、上手く登れない。

そして程なく、バランスを崩してしまった。

 

「「え?」」

「「「千矢!?」」」

「千矢ちゃん!?」

 

千矢は手を離してしまい、子供と同時に呆けた声を出してしまう。そしてその様を見た紺達は、揃って千矢を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

しかしその時、誰かが崖から飛び降り、そのまま岩場に片手で掴まる。そしてもう片方の手で千矢の腕を掴んだ。

 

「大丈夫か、少年少女?」

 

千矢の腕を掴んだのは、サングラスをかけた壮年の男性だった。しかし片手で崖に掴まりながら、千矢を引き寄せるその膂力は、凄まじいものである。

 

「お、おじさん誰?」

「俺はヒビキ、ただの通りすがりだ。それより大丈夫か、少年少女?」

「……お、私か! うん、大丈夫。おじさん、ヒビキさんのおかげで」

「ぼくもだいじょうぶ。おじちゃん、ありがとう」

「よし。少年の方は、俺に任せておけ」

 

そのまま現れた男、ヒビキは千矢から子供の身柄を預かり、そのまま片手で抱えたまま崖をよじ登っていく。

 

「それじゃ、少女もここからずらかるぞ」

「おっしゃ!」

 

そしてヒビキと千矢は二人で崖を登って行き、数分後には無事に崖の上へとたどり着けたのだった。それを見守っていた紺達も、駆けつけてくる。

 

「千矢、大丈夫なの!?」

「うん。この人、ヒビキさんのおかげでね」

「それにしても、すっごい力持ちなおじ様なのね」

「鍛えてますから」シュッ

 

小梅の賞賛の言葉に、ヒビキは答えながら敬礼のような仕草から腕をスナップする。実際、片手が塞がったまま崖を登りきる膂力と技術は、かなりのものだ。鍛え具合はかなりのレベルだろう。

 

「友達みたいだな。それじゃ俺、急いでるからこの子のこと任せたぜ」

 

そう言い、ヒビキは千矢を任せて一人で走っていく。

 

「ヒビキさーん! ありがとーー!!」

 

それを見送りながら大声でお礼を言う千矢に、ヒビキは振り返って、再びシュッと先ほどのポーズを決めて去っていった。

 

「なんか、かっこいいおじさんだったね……」

「ノノ、ヒョットシテアアイウノガ好ミ?」

 

ノノがヒビキの去って行く姿に見惚れていると、不意にマツコさんが声をかけてくる。何処と無く機嫌が悪そうに見えた。

 

「ありゃりゃ。マツコさんが嫉妬してるわね」

「ピッ!? 小梅ちゃん!」

 

小梅のからかうような言葉に、驚いて変な声を出すノノであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「でも良かったね! あの子のお母さんが、お礼に探してた果物を分けてくれてさ」

「ようやくだわ。苦労した分、美味しい甘味が楽しめそうね」

 

あの後、助けた子供を母親の元に送り届けたら、なんと探してた果物を取っていた最中とのことで、千矢達もお礼にと手に入れられた。これで目当ての甘味を作ってもらえると、千矢と小梅はわかりやすくご機嫌で、そのまま街道を進んで行く。

 

「あれ?」

「臣、どうしたの?」

「いや、あそこに……」

 

そんな中、不意に臣の視線に何かが見えた。紺に声をかけられたので指をさすと、そこには一人の少年が平原で寝そべっている光景だった。

シャツのボタンを開け、履き物も便所サンダルというだらしない格好で、頭にはヘッドフォンをつけている。そして何故か、その傍らには刀と位牌が置かれていた。

 

「みんな、あんなあからさまに怪しい人、近づいたらダメよ。さっきのヒビキさんは咄嗟に助けてくれたけど、みんながそんないい人とは……」

「ねぇ! そこで何してるの?」

「って、千矢!」

 

紺が注意を呼びかけるが、千矢は気にせず駆け寄ってしまった。すると、少年の方も千矢に気づき、声をかけてくる。

 

「ん? どうした、アンタ?」

「アンタじゃなくて、千矢だよ。ねぇ、君なんでこんな所で寝てるの?」

 

少年は力の抜けた、眠たげな声であった。それもあり、千矢は臣の様な寝落ちしやすい体質ではないかと心配しながら、問いかけた。

しかし、その心配は杞憂であった。

 

「ああ、オイラ雲見ながら音楽聴いてたんよ。ボブって歌手なんだけど、いいんだぜコレが」

「こんな所で? 魔物も出てくるし、町に行った方がいいと思うよ。ここまっすぐ行くと、すぐに着くよ」

 

事情を話しながら、お気に入りの歌手のCDを見せてくる少年。しかし千矢もエトワリアでの生活から、魔物との戦闘を危惧しているのであまり今の状況をお勧めできないと思い、町への道のりを教えてあげる。

 

「オイラ、めんどいのがキライだからさ、町とか煩わしい場所にいるより、こうやって自然と一体になる方が好きなんよ」

「町に行かない理由はわかんないけど、自然と一体にっていうのはわかるかも。私も山育ちだから」

「ウェッヘッヘッ。話がわかってくれて、オイラも嬉しいぜ」

 

少年は意見を言うと千矢から賛同の言葉が返って来て、気の抜けた笑い声で喜んだ。なんというか、一緒にいるだけでこちらもユルくなってしまいそうだ。

 

(よう)、アンタ人探しサボってこんな所で油売ってたのね」

 

すると不意に、少年を名と思しきもので呼ぶ声が聞こえた。その先にいたのは、黒いワンピースに赤いバンダナの美少女である。しかしほの手には、異様に長い数珠を持っており、何やら怒気の様なものを放っている。

 

「あ、アンナ……」

「しかもアタシという許嫁がいながら、見知らぬ女と仲良くしてるだなんて……覚悟できてるでしょうね?」

「……スマン」

 

アンナと呼ばれたその美少女は、少年とはただの友人どころではない関係の様だ。そのため、モノすげぇ申し訳なさそうな顔で謝罪する。

 

「……帰ったら来月のCD代抜きよ」

「……うい」

 

そして処罰を言い渡し、少年も同意する。その様子に、千矢は呆然とするしかなかった。そして、紺達が大慌てで駆けつけて来た。

 

「千矢、何か変なことされなかった?」

「ううん。この男の子が、私と喋ったからってそこの女の子に怒られた」

「「「「はい?」」」」

 

ありのまま起こったことを話すと、全員目が点になったままキョトンとしてしまう。すると、美少女が千矢達に声をかけて来た。

 

「ウチの旦那が迷惑かけたわね。こいつの分も謝っておくわ」

「いえ、こっちは別に……って、旦那?」

 

紺は少年を旦那と呼ぶ美少女の物言いが気になり、つい聞き返してしまう。

 

「まあ、こいつは親同士の決めた許嫁。つまり婚約者な訳よ」

「許嫁って……まさか結構な御曹司?」

「残念だけど、そんなんじゃないわ。アタシもこいつも、特殊な家柄だからその血を絶やさないためにやってるの」

 

臣が期待を寄せて問いかけると、否定の言葉が返って来てあからさまに落ち込む。臣の実家は没落貴族の家で、うららになったのも大金を稼いで家を立て直すためであった。そのため、彼女の好きな言葉は"富と名声と権力"だったりする。

 

「まあ、親の方も相性はちゃんと考えてあるし…」

「へ?」

 

その時、美少女の顔が若干赤らめたのを、千矢は見逃さなかった。先ほどのの物言いに対して、意外と乙女なところもある様だ。

 

「なんでもないわ。行くわよ、葉」

「おう。悪いな、オイラ達ちょっと待ち合わせしてるから、そろそろ行かねえと」

 

そして少年はそばに置いていた刀と位牌を回収し、美少女に連れられてその場を去っていく。何だかよくわからない状況だ。

 

「なんか、変な子達だったね……」

「千矢が言っても説得力無いわよ」

 

去っていった二人にコメントする千矢だが、人のこと言えんとばかりに紺にツッコまれる。

 

「まあ何にしても、町に戻って調理してもらいましょうよ。これ、果物なのに生じゃ食べられないらしいし」

「小梅ちゃんの言う通りだと、思うよ。そろそろ行かないと………ピィ!?」

 

そしてノノが町のある方に視線を向けると、また驚きで小さな悲鳴をあげる。

 

「どうしたの、ノノ?」

「み、みんな、あ、アレ……」

 

千矢の呼びかけに対して、怯えながら目の前を指差すノノ。すると、なんと町のある方に黒い煙が立て続けに上がっている光景が見えた。

 

「ま、まさか町が!?」

「火事か何かかしら? とにかく急がないと!」

「行こう、みんな!!」

 

そして一同は慌てて、町へと急いだ。千矢は元々の身体能力の高さもあり、いつのまにか先行してしまう。

 

「ちょ、千矢! 先に行ったら危ない……って」

「もうあんな距離を…」

 

紺と臣が止めようと声をかけるが、すでに何十メートルと言う距離を進んでいた。そのため、一同は慌てて千矢の後を追うこととなった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「な、何これ?」

「「「イー! イー! イー!」」」

「「「イー! イー! イー!」」」

「「「イー! イー! イー!」」」

 

町に到着した千矢は、異常な光景を目の当たりにしていた。骸骨のような模様の入った黒タイツの集団、あのショッカー戦闘員が破壊活動を行っていた。戦闘員は士と承太郎がきらら達と出会った町と同様に、町の住人を追い立てては、老若男女問わずに暴行を振るう。

 

「「「イー!」」」

 

そして戦闘員の何人かが、千矢の存在に気づいて迫ってきた。得物のグルカナイフを手に襲い来るが、千矢は凄まじい跳躍力で宙へと舞う。

 

「うりゃー!」

「イー!?」

 

そしてどこから取り出した、柄に黒いうさぎのような顔が造形された剣を振るい、戦闘員を一人叩き切る。

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃー!!」

「「「イー!?」」」

 

そして連続突きで残りの戦闘員をまとめて攻撃。やはり戦闘員の宿命ゆえか、彼らはそのままダウンしてしまった。

 

「悪いことするなら、許さないんだから!」

「千矢、やっと追いつい……って、何これ?」

 

千矢はふくれっ面を見せながら倒れた戦闘員達に言うと、紺達がようやく追いついてきた。しかしやはりと言うべきか、町の惨状を見て唖然としてしまう。

 

「みんな、あの黒い人達と同じ格好の人達がやったみたい。なんか、嫌な感じがする」

「格好からして怪しいし、千矢の野生の勘なら信用できそうね」

 

倒したショッカー戦闘員を指差しながら、千矢が状況を説明する。小梅がそれを見ながら胡散臭げにしていると、それは起こった。

 

「……みんな、そうこうしているうちに、追加が来たわよ」

「臣、でもこれ…」

 

更に現れたショッカー戦闘員の行動に何かを感じた紺。なんと戦闘員の軍勢は、そのまま彼女達を包囲してしまった。

 

「オーホッホッホッホッホッホ! 飛んで火に入る夏の虫とは、このことを言うのね。まさかこんな簡単に、クリエメイトが釣られるなんてね」

 

直後に高笑いを上げる女の声が聞こえたと思いきや、ショッカー戦闘員達を掻き分けて、声の主と思しき人物が現れた。

褐色肌にグンバツな足のセクシー美女だが、この状況から彼らの統率者なのは明白だ。

 

「あ、あなたは?」

「私はオーバーヘブンショッカーのマライア。エジプト九栄神の一柱、バステト女神(じょしん)のスタンド使いさ」

 

マライア。かつてDIOからの刺客として、ジョセフとアヴドゥルに戦闘を仕掛けたスタンド使い。ンドゥールと同じく古代エジプトの神を暗示するスタンドの使い手、エジプト九栄神の一員である。

 

「スタンド? それが何かはわかんないけど、自分で神様を名乗るなんて、かなり図々しい女みたいね」

「小梅、それよりもこの人……私達がクリエメイトだって知ってるみたいよ」

「まさか、アルシーヴって人が味方になる人達を召喚したの?」

 

紺からの指摘を受けたノノは、真っ先にアルシーヴのことが頭に浮かんだので、マライアに問いかける。しかし、当然否定の声が帰って来た。

 

「残念ながら違うわ。私は敬愛する、オーバーヘブンショッカーの首領様に尽くすために、わざわざ組織立ってこんな田舎みたいな世界にやって来たのよ。光栄に思いなさい」

 

あからさまにエトワリア全体を馬鹿にする言動のマライア。千矢達は内心、怒りがこみ上げてきている。しかしそんな中、マライアはあることを問いかけてきた。

 

「まず駄目元で聞くけど、聖なる遺体っていうミイラの一部がこの辺りにあるらしいのよ。あんた達、聞いたことないかしら?」

「ミイラ? 何それ??」

「ミイラって確か、死体がお墓とかで腐らないように乾燥させた奴じゃ……死体なんて手に入れて何するかですか!?」

 

千矢は聞いたことのない単語なので聴き返すが、紺は怖がりなため自分で言って勝手に怯えてしまう。彼女もユー子の様に怖がりな様だ。

 

「知らないわよね……残念だけど、それを教えてやる義理は無いわ。あんた達はここで、私とコイツに倒される運命だから」

 

しかしマライアは紺の怯えながらの質問を答えず、別の人物を呼び出した。

 

「ほう。この嬢ちゃん達が、あのお方に楯突く存在というわけか」

 

現れたのは、また紫のオーラを纏う人物。白いスーツにチェック柄のシルクハットを身につけた、口髭の男だ。

 

「だ、誰?」

「私はツェペリ男爵。仙道波紋法の戦士にして、偉大なるオーバーヘブンショッカーの一員だ。そしてあのお方、オーバーヘブンショッカーの首領様に楯突く悪い子達に、お仕置きに来たのさ」

 

里できらら達にジョナサンとスピードワゴンが話していた、敵に操られた師匠。その師匠であるツェペリ男爵が、なんと千矢達に立ち塞がって来た。

 

「コイツの波紋法ってのが、中々に強力でね。うららとかいう、神から力借りるのに占い程度にしかそれを使わない馬鹿なあんたらに、力の本当の使い方を教えてやろうと思って、ここに送り込んだわけよ。ありがたく思いなさい」

 

マライアのあからさまに自分達を、ひいては全うららを馬鹿にしている言動。真面目に一人前のうららを目指している千矢達の怒りが頂点に達するのには、十分だった。

 

「私にはね、どうしても一番占を目指さないといけない理由があるの! それも知らないで、勝手なこと言わないで!!」

「千矢の言う通りよ。うららはね、私たちの世界じゃ国中の女の子の憧れなのよ! 私だって、母様のようなうららに憧れてるんだから!!」

「私も憧れの人に弟子入りするために、国一番になって仏蘭西に行くんだから! こんなところで負けたりしないわ!」

「お姉ちゃんもみんなも、馬鹿にしないで!? なんでそんなことが言えるか知らないけど、私も許せない!!」

「没落した二条家の立て直しのために、偉くなって大金をぶんどる。夢や野望があるなら、どんな風に力を使おうが勝手でしょ?」

 

千矢は行方不明の母を探すため。紺は憧れの母・時江に追いつくため。小梅は仏蘭西にいる憧れの人・魔女のマリに再び会うため。ノノは実家の茶屋で主人を務める姉・ニナを支えるため。臣は没落した家の再建のため。うららとして修行に励んで来た。

それを知ってか知らずか、馬鹿にしてくるマライアへ怒りをぶつけながら、千矢達は戦闘態勢に入っていく。

 

「一丁前に勇んじゃってるわねぇ。あんた達、包囲網は解かないようにしな!!」

「では私も、力の誤った使い方、今ここで正してくれよう!!」

 

しかしマライアもツェペリも、響いている様子はない。そしてマライアが戦闘員達に指示を送り、ツェペリが千矢達に向かって駆け出した。

 

「私もみんなを馬鹿にしたこと、町を壊したこと、全部許さないから!!」

 

そしてそれに合わせて千矢が駆け出し、ツェペリに突撃していく。そしてそのままツェペリに斬りかかった。

 

「こぉおおおおおお…」

「きゃああ! 何これ!?」

 

直後、ツェペリの口から独特な呼吸音が漏れると、彼の右腕に波紋のオーラが纏わる。そしてそれを剣脊にぶつかると、なんと剣からエネルギーが千矢の腕に伝わり、右腕が痺れて剣を落としてしまう。

 

銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)、金属に波紋エネルギーを伝える技だ。故に剣や盾による防御は、一切効かんのさ」

「よくわかんないけど、なんかまずい!?」

 

ツェペリが丁寧に説明すると、千矢は理屈こそわからなかったが、危険だとは理解した。なので早速、距離をとる。

だがツェペリは気にする様子もなく、ワインの入ったグラスを取り出し、それを飲みだした。

 

「波紋カッター!!」パパウパウパウッ

 

しかし直後、技名を叫ぶと同時に歯の隙間から波紋を纏ったワインを撃ち出してきた。ジョナサンがヒルカメレオン戦で披露した、ツェペリの得意技である。

 

「ウソ!?」

 

魔物やら魔法やらに慣れていた千矢も、これには流石に驚いた。しかし、咄嗟に持っていた盾でそれを防ぐと、盾はワインが付着した程度で傷一つ付いていなかったのだ。

 

「ほう。私の波紋カッターを受けても傷一つ付いてないとは、なかなか頑丈な盾だ」

「友達のポルカが、私のために作ってくれたんだよ! 強いに決まってるよ!!」

 

里に住む鍛治師の少女ポルカ。彼女がエトワリウムというレアメタルを使い制作、強化したこの剣と盾のセットは、おそらくエトワリアに置いて最高ランクの武器と思われる。ちなみに千矢以外にも、ゆずこのハンマーやトオルのバットなど、このエトワリウムの武器を有するクリエメイトが何人かいる。

 

「しかし、君と私には戦闘経験という、明確な差がある。それを埋める何かを持ち合わせてない限り、君に勝機は来ないと言っておこう!!」

「よくわかんないけど、私も負ける気は無いから!」

 

そして千矢はツェペリとの対話を終えた後、腕の痺れが切れたのを確認。先ほど落とした剣を拾って、再び戦闘態勢に入った。

 

一方、残る紺達とマライアはというと

 

「さて、あっちの半裸娘はツェペリ男爵に任せておけばいいか。あんた達、纏めてかかって来な」

 

なんと、マライアから全員と戦うという大胆発言が成された。

 

「な、何言ってるのこの人?」

「あなた、この大人数を使わないってどういうことよ? 」

 

突然の発言にノノは困惑する。一方の小梅は、先ほどの怒りが嘘のように、胡散臭げな目でマライアを凝視する。

 

「そうは言っても………そこの狐のガキはもう術中にハマってるし」

「え?」

 

そんな中、マライアに指摘されたのは紺だった。どういうことかと思ったその時、紺自身が異変に気付いた。

 

「足元に……何これ?」

 

何故か足元にコンセントがあり、それを踏んでしまった紺。しかし、その直後にそれは起こった。

 

「え、痛っ!?」

「紺、どうしたの!?」

 

なんと、いきなり紺を目がけて釘が飛んできたのだ。豪快に曲がっていたそれは、おそらくは破壊された家の一部だろう。しかもそれが一本ではなく、何本も立て続けに飛んできたのだ。小梅もビックリしている。

 

「そのコンセントが、私のスタンド・バステト女神のヴィジョンよ。そしてその能力は、スタンドに触れたものを磁石に変える!」

 

マライアの説明通り、なんとかのコンセントこそが彼女のスタンドだったのだ。見た目に関しては、これまでに確認されているスタンドの中でも異質な部類に入るだろう。

そのこともあって、初見ではジョセフとアヴドゥルも術中にハマってしまったのだ。

 

「後は適当にナイフでもぶん投げりゃ、勝手に引き寄せて刺さっておしまいなんだけど……味気ないから使わないでやるわよ」

「あなた、幾ら何でも舐めすぎ……って、ええ!?」

 

マライアが余裕たっぷりな発言をしながら近寄ってくると、紺はまだ戦えるとアピールしようとする。

しかしその直後、なんと彼女の胸が膨らみだしたのでギョッとする。

 

「バステト女神の力で磁石になった人間は、スタンドの本体である私が近寄るとその磁力が強まるのよね」

 

そしてマライアが能力の補足説明をすると、胸からなんと大量のネジやら釘やらが飛び出してきた! どうやら大量に仕込んでいたようだ。

 

「ウソでしょ!?」

「紺、危ない!!」

 

まさかの攻撃に紺は仰天するが、小梅がとっさに前に躍り出て、魔法で飛んできたのだネジや釘を吹き飛ばした。

 

「へぇ、あんな細かいの全部撃ち落とすなんて、やるじゃないの。でも、それで済むって考え方が甘いわね」

 

しかしマライアの余裕は崩れず、直後に飛んで言ったネジと釘の全てが再び飛んできたのだ。磁力の大元である紺をどうにかする、もしくは目の前の鉄製品を塵にするレベルで破壊しないと、防御はできない。

 

「ウソ……って、きゃあ!? 紺、いきなりどうしたのよ!」

「わかんないわよ、私だって!」

 

なんと、今度は紺が小梅の体と引っ付いてしまう。二人とも困惑しているが、その原因に気づいたのは臣だった。

 

「小梅、あなたの足元見て!」

「これさっき紺が踏んだ……!」

 

そう、小梅までバステト女神の力で磁石にされてしまったのだ。磁石同士の引き合う特性により、

二人の体も引き合ってしまったわけである。

 

「癪だけど、ジョースターのジジイにしてやられた、磁石同士の特性を利用してやったよ。敗北から学ぶのは、味方だけじゃないってね」

 

彼女と交戦したジョセフは、マライアの磁力で車やら自転車やらと重量物を大量に引き寄せられるも、磁石の引き合う特性を活かし、挟み撃ちにしてその重量物で押しつぶすという方法で倒した。マライアはこれで、全身骨折で入院させられていたのだ。

 

「「きゃああああああ!?」」

「紺ちゃん! 小梅ちゃん!」

 

結果として、飛んできた金属は紺と小梅を同時に襲う。痛みで叫ぶ二人に、ノノが回復しようと駆け寄った。

 

「待って、ノノ! その調子だとあなたも…」

 

臣が危険を察知し、制止しようと呼びかけるが、遅かった。

 

「えぇっ!?」

「ノノ!」

 

マライアはこの隙を予感し、ノノの足元にもバステト女神を発動、踏ませて磁石に変えてしまった。それにより、ついにノノまで引っ付いてしまった。

 

「あらあら。お友達の心配するあまり、悲惨なことになっちゃったわね」

「あなた……最低の戦い方するわね」

 

余りにも卑怯な手を使うマライアに、思わず罵倒の声が出てしまう紺。しかしマライアは気にも止めずに続けた。

 

「さて、もうそろそろ別働隊が下準備し終えた頃かしら?」

「別働隊? あんた、何する気?」

 

マライアの意味ありげな言葉に小梅が問いかけるが、すぐにわかった。

 

「あら。来たみたいね」

「え、ウソでしょ!?」

「流石にあれは……」

「あわ、あわわわ…」

 

紺達の視線に、その別働隊と思しきショッカー戦闘員の集団が何かを運んで来たのが見えた。それは巨大な鉄製の看板、それも自分達が町に来た目的の甘味処の宣伝用の物だった。

 

「町中探して、大型の金属があれだけしか無いってわけ……まあ、小娘数人ペシャンコにするには、十分か」

 

マライアはそう、はっきり言った。つまり、自分達は本気で殺されようとしていた。

 

「え? あの人達、何をするの?」

「どうやら、マライアは決着をつけるつもりのようだ。あれで嬢ちゃんの仲間を纏めて潰すかのようだ」

「え!?」

 

ツェペリと降参していた千矢も、突然のことに視線を向けてしまう。そしてツェペリの方から簡易的に真相を語られ、驚愕した。

そして、そんな中で紺から千矢へと呼び掛けられた。

 

「千矢、臣が一人だけ動けるから、一緒に逃げて!」

「このままじゃ、全員あの世行きよ! だから言う通りにして!」

「二人とも、何言ってるの!? 紺も小梅も、置いていけないよ!」

「お願い、逃げて千矢ちゃん!」

 

紺達の判断に対して、反対意見を出す千矢。しかし今度はノノからも逃げるように告げられてしまう。

 

「前にも言ったよね、私もみんなを守りたいって。たぶん、今がその時なんだと思う。だから……」

「そんな、嫌だよ!!」

「おしゃべりしている暇はないよ、嬢ちゃん!」

 

ノノの自己犠牲の言葉に否定意見を出す千矢だが、そこにツェペリがすかさず攻撃を繰り出す。オーバーヘブンショッカーの苛烈な行動、洗脳されたツェペリがそれに則るのも当然だった。

 

「さて。じゃあ、そろそろカウントダウンと行きましょうか。10…」

 

そしてそれは、かつてDIOに仕えていたマライアも同様だった。非常なカウントダウンが、とうとう始まってしまった。

 

「9…8…7…」

「みんな!?」

「「「イー! イー!」」」」

「くっ!?」

「あんたは後でじっくり処刑してあげるから、そこで待ってな」

 

一人身動きの取れた臣も、戦闘員達に拘束されてしまう。もはや、絶望しかなかった。

 

「じゃあカウントダウン、やり直しと。10…9…8…」

 

そしてカウントダウンが1からやり直しとなるが、依然としてピンチは変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、このやり直しを決行したマライアの隙が、ある者達からの攻撃を許すこととなってしまう。

 

「きゃあ!?」

「なんだ…むぐ!?」

 

突如として飛んできた何かが、マライアを攻撃。それにより、彼女はスタンドを解除してしまう。そしてツェペリにも攻撃がなされた。

 

「え? 何?」

「二人とも、動けるようになったわ!」

「え、どういうこと?」

 

紺達も突然の開放に、困惑している。しかしそれだけではなかった。

 

「真空仏陀切り!」

「「「イー!?」」」

 

突如として技名を叫ぶ声が聞こえ、臣を拘束していた戦闘員達がまとめて倒された。

 

「ふぅ……まさか、少女達がショッカーの攻撃を受けているとはな…」

「つまり、千矢とその友達がクリエメイトってことだったのか。全然気づかなかった」

「余計な仕事増やしたから、来月はおやつも抜きよ」

「いや、アンナだって気づかなかったろ?」

 

そんな中に話しながら現れたのは、先ほど会った三人の人物。ヒビキと謎の少年&美少女だった。しかも何やら余裕そうに喋っている。

 

「え? あなたさっきの…」

「おう、助けに来るのが遅れて悪かったな」

 

千矢の言葉に反応して返事をする少年。見てみると刀を抜いているため、これで先ほどの攻撃を放ったようだ。

 

「ヒビキさん、なんで…」

「いや。俺、君らが狙われているって仲間から聞いたから、助けに来てさ。そこの少年少女が協力者ってことで、落合に来たんだよ。悪いな、君らがクリエメイトってわかってたら、一緒に連れて行ってたのに」

 

紺の問いかけに説明すると、ヒビキの手に何かが飛んできた。それは鳥のような姿をしていたが、ヒビキの手に収まると同時に、なんとディスク状に変形したのだ。

 

「こいつはディスクアニマルっつって、まあ式神みたいなものだ。俺の仕事道具の一つ」

「いやぁ。オイラのじいちゃんも陰陽師だけど、そんな式神がいるって、異世界やら平行世界やらは、すげぇんだな」

 

ヒビキの説明を聞いて、少年が感心する。式神やら陰陽師やら、普通に生活していたら聞かない単語が飛び出してきたので、思わず千矢は問いかける。

 

「あなた達、何者なの?」

「ああ。オイラは麻倉葉(あさくらよう)

 

まず最初に名乗ったのは、少年だった。そして次に来た肩書は……

 

 

 

 

 

「あの世とこの世を結ぶ者・シャーマンさ!」

 

そして直後、その背後に偉丈夫に銀髪の男が現れる。突如出現したその人物に、思わず驚く千矢達。

 

「そしてこっちは、持ち霊の阿弥陀丸。侍で、この刀”春雨”の持ち主だ」

「この世界はどうやら、霊の拙者も見えるようなのでござるよ。よろしく願おう」

「侍の……霊!?」

 

現れた人物の正体に、仰天してしまう紺。しかし葉は気にせず、行動に出た。

 

「阿弥陀丸・人魂モード!!」

 

すると阿弥陀丸の姿が崩れ、見る見るうちに刀を持った顔つきの人魂へと変化した。

そして葉は、その阿弥陀丸をなんと春雨に叩き込んだ。

 

憑依合体・in春雨

「オーバーソウル!!

 

それにより春雨から侍、というか武者の甲冑を思わせる装甲を纏ったオーラが現れた。憑依ということから、阿弥陀丸が刀に宿ったようだ。

そしてそれに続き、ヒビキが行動に出る。

 

「俺も実はさ、ヒビキって本名じゃなくて仕事上の肩書きみたいなものなんだよね」

 

言いながらヒビキは、上着のポケットから何かを取り出す。鬼の顔が彫られた、それから突起が生えた。

 

「で、漢字で書くとそれが……

 

 

 

 

 

 

 

響く鬼で響鬼なんだ」

「お、鬼?」

「鬼って、あのツノ生やして金棒振り回す!?」

 

幽霊に続いて、鬼という単語にまた紺が怯える。しかし、あまり気にせずヒビキは行動をとった。

 

「そしてまたの名を……」

キィイイイイン

 

ヒビキがその道具の突起を、近くの岩に軽くぶつけると、共鳴音が響く。どうやらあれは音叉のようだ。そしてその音叉をヒビキが顔の前に持っていくと、ヒビキの全身が紫の炎に包まれる。

 

「「「「「!?」」」」」

「はぁああ!」

 

炎が弾け飛ぶと同時に、ヒビキの姿は激変していた。

黒寄りの紫を基調とした体に、体の各所にある金属製の装飾、腰には勾玉が三つ合わさったような模様"巴紋"が刻まれたベルト。そして頭部を覆う仮面は、眼鼻が無く赤い縁取りがあり、額には先程の音叉と同じ鬼の顔の装飾、更に二本の角、鬼を連想する様相をしていた。

 

仮面ライダー響鬼、参上。なんてね」シュッ

 

名乗りながらお決まりのポーズを決めるヒビキ、否・響鬼。彼のいた世界での鬼とは、仮面ライダーのことであった。エグゼイド同様、マスクの目が複眼でない例外の存在である。

かくして、新たな戦士たちがエトワリアしたのであった。




今回の参戦策の組み合わせ。
ぶっちゃけ、うららは和風&スピリチュアルなので、ライダーは響鬼で確定でした。ただジャンプは意外とモチーフ多いので、悩みましたね。ジャンプ側の協力者になる超越者としてハオを充てるということでマンキンになりましたが、他にもこんな候補が。
・るろうに剣心
・鬼神童子ZENKI
・陰陽大戦記
・ぬらりひょんの孫
・鬼滅の刃
・ゆらぎ荘の幽奈さん
他にもう一個候補はありましたが、別の作品と組み合わせることにしたので外しました。鬼滅とか大正つながりでうららと相性よさそうでしたが、パワーバランスを理由に外しました。
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