仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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新元号の発表からは十日以上経過してしまいました……
引越しとかあってバタバタしてたんですよね。投稿遅れて失礼しました。

クロとGAのイベントでも、里にいるクリエメイトが8章で語られた"魂の写し身"って適用されているの明言されました。じゃあ、実装前のショートアニメで珠ちゃんがいつでも元の世界に帰れるって言ったの、何だったんだろう……?
独自設定は盛ってますが、ちゃんと違和感のないように努力したいと思います。

前回の後半とあとがきでジャンプ側は双星の陰陽師と明言しましたが、ライダーときららは何が来るか?
お楽しみに。


第14話「接触のN・前/夢魔と地球の記憶」

〜エトワリアのとある漁港〜

「コルク、これでいいのかしら?」

「うん、それで全部。メリーが来てくれて、助かった」

 

騎士のような格好をした、紫の髪にエルフ耳の少女が、ゴーグル付きの帽子を被ったクールな少女に話しかけている。しかしその少女は、人間の膂力では持てなさそうな大きさの木箱を、担いで来たのだ。

 

彼女はクリエメイトの一人でメリー・ナイトメアというのだが、なんとクリエメイトでは数少ない人外の存在なのだ。

メリーは夢魔と呼ばれる異種族で、元は夢魔達の住む幻界(ゆめ)と呼ばれる異界と、人間の住む現界(うつつ)の境界を守る門番だった。ある日を境に記憶を無くし、現界を彷徨っている最中で出会った仲間達のところに厄介になっていたのだが、そこを召喚されてきたのだった。

 

そして現在、メリーは他のクリエメイトと共に、このクールな少女コルクの手伝いに来ていた。コルクは里を拠点に活動する商人で、ポルカの幼馴染だ。そのコルクがこの漁港で今の時期が旬の魚を買い付けに向かい、メリーはその手伝いと護衛に同行していたというわけだ。

 

「この時期、ここで漁れる魚は絶品。各地の料理人達も、重宝している」

「なら、戻ったら早速ライネに料理して貰うわ。報酬から魚のお金の分、引いといて」

「了解。私達が戻るのと同じくらいに、里に帰っているはず。ちょうどいいタイミングだと思う」

 

メリーは好物がドーナツだが、基本食べるは好きなので、今からこの魚を使った食事が楽しみなようだ。

 

「戻ったよう」

「こっちも、ひとまずは終わったぞ」

「やすなもソーニャも、手伝い助かった。ありがとう」

 

そこに現れた、茶髪で他のクリエメイト達よりも頭身の低い少女"折部やすな"と、同じく低頭身の金髪ツインテール"ソーニャ"。二人は元々、メリーとも違う世界から召喚されてきたクリエメイトであったが、メリーと同じ世界から召喚されてきたのがあと1人しかいなかったため、同じく人数の少ないチームでかつ手の空いていたクリエメイトに手伝いを頼んだというわけだ。

 

「メリーもソーニャも、戦い慣れしていたから助かった。道中も魔物の襲撃に、楽に対応できた」

「私としては、コルクが戦い慣れている方が驚きだがな」

「旅商人として、自衛は当たり前。でもソーニャは戦闘が本職。私よりはずっと強い」

「まあ、ソーニャちゃんはプロの殺し…んぐぅ!?」

「バカ! 往来で堂々というやつがあるか!?」

 

ソーニャはコルクとの会話中、割って入ってきたやすなの言葉を途中で止めて怒鳴りつける。

実はソーニャは女子高生と、とある裏組織に属する殺し屋を兼業しているのだ。やすなはそれを知りつつ、彼女にちょっかいを出して打倒を目論んでいる。しかしいつも返り討ちに合っているという、変な日常を送っているのだ。

ちなみに、ソーニャと同じ組織に属する忍者の"呉織(ごしき)あぎり"というクリエメイトもいるのだが、今回は任務で元の世界に帰っている。

 

そんな中、近場の人々が二人の騒ぎを聞いて視線を向けてしまう。殺しというワードが出てしまったこともあり、非常にマズイ。

 

「騒ぎになる前に退散するのが吉。勇魚と合流したい」

「それもそうね……って、サナいないけど、何処に…」

 

そんな中、メリーと同じ世界から召喚されたサナこと橘勇魚(たちばないさな)がまだ戻らないことに気づいた。そして辺りを見回してみると……

 

「サナ!?」

「夢路!?」

「え? 子の声…」

 

不意に勇魚の声と、勇魚を呼ぶ男の声が聞こえた。しかし、メリーはこの声に聞き覚えがあるらしく、声のした方に走っていく。

 

「お、おい! メリー、どうした!?」

 

それにソーニャが慌てて後を追うのだが、メリーは気にも止めずに走り続ける。

そしてその先に、薄紫の髪をツインテールに結った少女"勇魚"と対面する一人の少年がいた。茶髪のアホ毛と、Tシャツとジーパンという現代ファッションで、かなり浮いている。

 

「え? マジで、夢路なの?」

「メリー……か? ていうか、サナといい、その格好なんだ? コスプレ??」

 

この少年の名は、藤原夢路(ふじわらゆめじ)。勇魚の幼馴染で、数少ない男の聖典の主要人物である。

しかし、クリエメイトに認定されていないのか、召喚されていない人物だったのだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「異世界エトワリアに、俺たちの世界の出来事が本になっている、ねぇ……」

 

その後、コルク行きつけのカフェで一度腰を落ち着けながら、夢路に事情を説明する。

 

「まあ、白昼夢(デイドリーム)に巻き込まれたのとは、何となく違う気がするけど…」

「とりあえず、信じてくれたようね」

 

ひとまず、夢路自身も納得しているようなので、メリーも案配する。

しかし問題は、”なぜ召喚された覚えの無い夢路がエトワリアにいるか”という点である。しかもこの世界基準の衣装や戦う力も、身についていない状態で。それがそもそもの謎だ。

 

「確か、きららが話していたアルシーヴっていうのが、同意なしの無理やり召喚をする手段を持っているらしいが…」

「もしそうなら、そのオーダーって魔法の影響が出てるはずなんだよね?」

「それに、数か月前からアルシーヴも動きがない。七賢者も、正規の公務で動いている情報しか無い」

 

さらっとコルクから重要なワードが飛び出すも、それを踏まえても夢路が今ここにいる理由がはっきりとしない。

そんな中で次に口を開いたのは、やすなだった。

 

「まあここに留まるのもアレだしさ、里に戻ってみようよ。クレアちゃんとかの方が、そういうの詳しいかもだし」

「「「「「………」」」」」

 

それを聞いた瞬間、一同は静まり返った。

 

「あれ? どうしたの?」

「いや…お前が理に適ったこと言うなんて、嵐でも来るのかと」

「ソーニャに同感」

「アタシも同感」

「ゴメン、私も…」

「初対面だけど、俺も…」

「みんな、ひどい!!」

 

実際、やすなはバカという認識で友人間でも里でも、共通だった。夢路も第一印象で、そう判断してしまうレベルだ。

 

「でも、賢明な判断。もともと、仕事が終わって里に戻る手はずだったから、ここで行こうと思う」

「じゃあ、しばらくお世話になろうかな」

 

結果、コルクも推して来たこともあり、夢路も里入りすることとなる。そして荷馬車を止めている場所に向かう矢先…

 

「ん?」

「夢路、どうしたの?」

「いや、あの人が気になってさ…」

 

夢路の視線に現れたのは一人の女性だった。

紫の髪にゴスロリファッションをしており、デコレーションしたコンパクトから何かを出して、食べながら歩いている。非っっ常に目立つ人物だ。

すると、女性がこちらに気づいて歩み寄ってきた。

 

「えっと……なんか、用ですか?」

 

ひとまず夢路は問いかける。すると…

 

「食べるぅ?」

 

そう言って、先ほどのコンパクトを開けて中身を見せてきた。しかし中身は、あまり食欲をそそらない代物だった。

 

「い、イナゴの佃煮?」

 

そう。ラメラメのデコデコなコンパクトに似合わない、イナゴの佃煮がギッシリと詰まっていた。

 

「あ、いや…結構です」

「あたしも、いい。そういう手のヤツ、苦手なんだ」

「そう。美味しいのに……」

 

夢路とソーニャに同時に断られ、落胆した様子の女。しかし……

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

「え!?」

 

なんと女は、いきなり2人に蹴りを入れてきた。あまりの自体に驚くも、咄嗟に二人はバラバラの方向に、飛び退いて回避する。

 

「はぁああ!」

「うおっ!?」

 

すると女は、真っ先にソーニャの方に駆け寄り、再び蹴りを放つ。

 

「こいつ、まさか刺客か!」

 

ソーニャは剣を手にしながら、思わず叫ぶ。彼女は組織内でも腕が立つのか、よく敵対組織からの刺客に狙われていた。かつてエトワリアにも一度、刺客が召喚に巻き込まれて襲ってきたことがあったので、今回もその類と推測したのだ。

 

「はっ!」

 

女はスカート姿でも遠慮なく、蹴り主体の格闘戦でソーニャに挑んできた。しかもその蹴りは鋭く、風圧だけでソーニャの頬から出血するレベルだ。

 

「てめぇ!」

 

街頭でもお構いなしに襲い来るという、いつもの刺客とあからさまに違う様子に困惑するソーニャ。しかし負けじと剣を振るうと、女はその剣に向けて蹴りを放つ。ちょうど踵が刀身に触れたその時、それは起こった。

 

「グワァア!?」

「ソーニャちゃん!?」

 

いきなり剣と女の踵が光り出したかと思いきや、ソーニャが苦悶の声を上げて剣を落とす。

突然の事態にやすなが駆け寄ると、女も距離をとる。

 

「ソーニャちゃん、どうしたの?」

「あの女、靴にスタンガン仕込んでやがる」

 

ソーニャが指摘するので女に視線を向けると、踵から発せられた光は、まさに稲光のそれであった。

一方の女は、再びイナゴの佃煮を取り出し、ほくそ笑みながら堪能しだした。

 

「さすがはイナゴ先生。ソーニャと正面からやり合えるとは」

「な!? こいつら…」

 

突然、男の声と拍手の音が聞こえたのでソーニャが視線を向ける。するとそこには、かつてソーニャを襲った敵組織の刺客達の姿があった。

初めて見るモブっぽい刺客2人に、かつて対峙したナイフ使いに人形使いにデスコタツ、そして召喚に巻き込まれたヘル・ドーナッツ。何故か揃って、このエトワリアにいたのだ。

 

「お前ら、まさかまた召喚に巻き込まれたとか…」

「残念だが違う。オレ達は今回、協力者のおかげでこの異世界に乗り込めたのさ。様々な異世界を渡り歩く超巨大な組織の協力さ」

「そうとも。その組織オーバーヘブンショッカーと、出資している財団Xの技術の結晶ってわけよ」

 

ヘル・ドーナッツが話した直後、聞き覚えの無い男の声が響く。そして現れたそいつは、カウボーイのような格好のナイスガイという、妙に時代錯誤した男であった。

 

「俺の名はホル・ホース。お前達クリエメイトの首を、取ってこいと命令された賞金稼ぎさ」

「賞金稼ぎ……私らが狙いか!?」

 

ホル・ホース。承太郎のDIO打倒の旅で送り込まれたスタンド使いの一人だ。そんなこと知らない一同だが、今の一行は彼らが敵という事実、これだけで状況把握には十分だ。

 

「まず最初に言っておくが、俺は美人も不細工も関係なく、女性という存在のすべてを尊敬している。だから、クリエメイトが女ばかりって話を聞いて、あまり気乗りしなかったんだな」

 

突然のホル・ホースの宣言に、困惑の色が隠せない一同。しかし、彼にとっての本題はここからだった。

 

「そんな中に、その仲間っぽいそこのボーズがいた。というわけで、俺はお前を相手させてもらうぜ」

「……え、俺!?」

 

まさかの夢路への宣言、これは予想外だった。そして直後…

 

「エンペラー!」

メギャンッ

「うぐっ!?」

 

独特の音と同時にホル・ホースの手に突然、拳銃が出現。すかさず発砲すると、夢路の腕をかすって出血した。あまりの事態に、先ほどから野次馬根性で見ていた町の人々も、悲鳴を上げる。

 

「この銃はスタンド、俺の世界に存在する特殊能力だ。本当は同じスタンドを持つ人間にしか見えねぇんだが、この世界じゃ誰にでも見えるらしい」

「もともと、特殊能力持ち…だと?」

「夢路!?」

「おら! おめぇらは俺たちが相手だ!!」

 

勇魚が心配して夢路に駆け寄ろうとした時、モブっぽい刺客が襲ってきた。

 

「夢魔じゃないけど、ここから先は通行止めよ!」

「うおっと!?」

 

しかしメリーが割り込み、箒を模した形状のハンマーを振りかざす。襲ってきた刺客は、そのハンマーを咄嗟に蹴りを入れて衝撃を殺し、一気に距離をとった。

 

「へぇ、すっげぇパワー。クリエメイト唯一の人外ってだけはあるらしいな……仕方ねぇ、切り札使うか」

 

そしてそのモブっぽい刺客の言葉と同時に、懐からあるものを取り出して構えを取る。

 

「何だあれ? USBメモリか?」

「まさか、揃って電子機器使いとかいうわけわからん殺し屋に転向したのか?」

「でも、気味悪い見た目してるわね…」

 

取り出されたそれは、某チョコバー並みの大きなUSBメモリだ。ソーニャがまたわけのわからない道具を使う殺し屋に転向したのかと、しかしそれは、肋骨が巻き付いたような形状で、メリーの指摘通り不気味だった。

そして刺客一同は、メモリについていたスイッチを押し始める。

 

『アームズ!』

『アイスエイジ!』

『スイーツ!』

『パペティアー!』

『バイオレンス!』

『ゾーン!』

 

押した瞬間、低い男の音声でメモリから英単語が発せられる。そして刺客達は徐に衣服をめくり、首や手のひら、脇腹を露出する。そしてそこに刻まれたタトゥーに、何とメモリを差し込んだのだ。

 

すると刺客達は一人残らず、異形の怪物と化したのだ。

ナイフ使いが赤いボディに折れた剣を担いだ怪物、ヘル・ドーナッツが極彩色のエイリアン染みた怪物、人形使いが顔だけが異形化した白スーツの怪物、デスコタツはピラミッド状の体の一つ目お化け、へと変じた。

そしてモブっぽい刺客二人もそれぞれ、冷気を纏う白い体の怪物、右腕が鉄球になった筋肉お化けへと化したのだ。

そのどれもが、明らかに常軌を逸した怪物。町の人々もホル・ホースの銃撃時よりも大きな悲鳴を上げ、逃げ惑うこととなる

 

「な、なんだこいつら!?」

「人間が魔物に、化けた?」

 

資格たちのあまりの変貌に、ソーニャも驚愕する。コルクは現れたその偉業たちを、思わず魔物と呼んでしまう。しかし、それは魔物よりも質の悪い存在だった。

 

「どうだ、ソーニャ? これがお前を葬り去るための切り札・ガイアメモリの力だ」

「そしてその力で変じたこの姿が、ドーパントだぜ」

 

かつて、財団Xが出資していた巨大組織ミュージアムが製造販売していた、人間の悪意の象徴。ミュージアムが壊滅したことで一度は製造が止まり、財団Xも産業から撤退した。しかし一部勢力が極秘に開発ノウハウを吸収し、ついに量産へとこぎつけたのだ。

 

「ドーパント……ガイアメモリに込められた地球の記憶で、己をドーピングした超人」

 

するとイナゴの女がドーパントという単語について説明していると、なんと彼女もガイアメモリを取り出したのだ。

 

「あなた達全員、そのガイアメモリの力で食べてあげる」

『ホッパー!』

 

そしてイナゴの女も自身の太ももに刻まれた刻印に、ガイアメモリを差し込んだ。そして変じたのは、赤紫色の体色をしたイナゴの化け物だ。

 

「イナゴ喰う奴がイナゴの怪物になるのかよ…」

「うん。悪趣味だと思う」

 

ソーニャは再び剣を手に取り、コルクも危険と判断して二振りの短剣を抜き取る。揃って、臨戦態勢に入った。そして戦闘に入ろうとするも…

 

「喰らえ!」

ブォオオオオオオオオオオオオオオオン!

「「うわぁあ!?」」

「きゃあ!?」

「な、何この音……?」

 

人形使いが変身したパペティアー・ドーパント。そいつが巨大なクラリネットを取り出し、演奏するととんでもない騒音が響く。

あまりの音量に皆が耳を塞いでいると、パペティアーが指先から糸を伸ばす。そして、それがやすなに絡みついた。

 

「な、やすな!?」

「……」

 

直後、やすなの顔から感情が消えた。目も虚ろになっており、不気味な印象をソーニャに与える。しかし直後、それは起こった。

 

「……」

「な!?」

 

なんと無言のまま、やすながソーニャに槍を振るってきた。

 

「パペティアーは人形使いの記憶を宿したメモリ。俺の指先から伸びた糸は、捉えた相手を俺の意のままに操れる人形へと変える力があるのさ」

「おいおい。まさか、これでやすなを盾にするつもりか?」

 

パペティアーが能力を説明すると、ソーニャがやすなを狙った理由を口に出す。しかし、直後にドロップキックをやすなに叩き込んだ。

 

「私はこいつを、いつも遠慮なく叩きのめしている。盾にする相手を間違えたな」

 

吹っ飛ばされて倒れるやすなを見ながら、堂々と宣言するソーニャ。実際、いつもやすな自身がソーニャの打倒を狙っていた。しかし、直後にパペティアーが口を開くが…

 

「……お前、何か勘違いしてないか?」

「な!?」

 

しかし直後、やすなを操りながらパペティアーが、再びソーニャを攻撃してくる。

 

「お前らの関係なんて、招致済みだ。俺は折部やすなの不死身ボディで、お前を叩きのめすのさ」

「まじか…」

 

話しながらもやすなが槍を振り上げ、ソーニャに再び襲い掛かってきた。

 

「くそ……あ、お前倒したら、そのままソーニャも開放されねえか?」

「あ、やべ…」

 

直後、ソーニャが弱点に気づいてパペティアーを襲う。しかし、それをそうやすやすとはさせない敵たちだ。

 

「それじゃあ、いただきまーす」

「なに!?」

 

今度はイナゴの女が変じた、ホッパー・ドーパントが飛び蹴りを放ってきた。変身前と変わらず、蹴り主体の戦闘を取っているようだ。

 

「はぁあ!」

「なっ!?」

 

回避するとそのまま回し蹴りを放つホッパー。防御しようと剣を構えると、なんとその剣が折れてしまった。凄まじい威力の蹴りである。

 

「イナゴ先生。それじゃあ、やっちゃいましょうか」

「うふふ。そうね、クライアントからも協力しろって命令だったし」

「くそ……最悪だ」

 

そしてパペティアーとホッパーは、同時にソーニャへと襲い来るのだ。

 

~その頃、コルクは~

 

「むははははははっ! アームズは武器の記憶のドーパント、両腕を自在に換装出来るのさ!」

 

ナイフ使いが変じたアームズ・ドーパントが右腕をマシンガンに変化させて乱射してくる。コルクは疾走しながらそれを避け、懐で短剣を切りつける。

しかし……

 

「か、硬い…」

「ドーパントは人間の肉体を超越した存在だ。そんなちゃちなナイフが、効くかっての!」

 

そして左腕をアーミーナイフに変えて切り付けてきた。コルクは咄嗟に飛びのいて回避、腰に差していた薬瓶を投げつける。

 

「おっと!」

 

しかしアームズは背負っていた剣を手にして、それで防いでしまう。バカではあるが、本職の殺し屋であるため純粋な身体能力や動体視力は、高い水準に達してるのだ。

 

「すかさず、ドカーン!」

「くっ!?」

 

そこに、名もなき刺客の変身したバイオレンス・ドーパントが右腕の巨大鉄球を叩きつけてくる。これも避けることができたが、すさまじい破壊力によって石畳は広範囲にわたって破壊された。

 

 

「俺のバイオレンスは暴力、そんな抽象的な記憶を有している。でも、シンプルな破壊と闘争特化の力だぜ!」

「興味深い……でも、かなり恐ろしい」

 

コルクは旅商人としての高い好奇心を刺激されるも、これだけの力を人間に与えるガイアメモリの力に、戦慄することとなる。

 

~その頃のメリー~

 

「おりゃあ!」

 

メリーは得物をヘル・ドーナッツが変じた、スイーツ・ドーパントにハンマーを叩きつける。が、しかし…

 

「な、なにこれ!?」

 

スイーツ・ドーパントは、体を白いペースト状の何かに変化させた。それが、なんとハンマーの衝撃を吸収してしまうのだ。

 

「スイーツは甘味のドーパント、体をクリーム化して衝撃吸収が可能だ。ドーナツ使いの俺に甘味とは、運命感じたね」

「あんた、現世の至宝のドーナツを殺しの道具に使うなんて、正直腹立つんだけど!!」

 

メリーは自身の好物を得物に使うヘル・ドーナッツに憤慨、わざわざ彼に戦いを挑んだのだ。しかし武器の特性上、スイーツ・ドーパントになったヘル・ドーナッツは相性最悪なようだ。

 

「しゃっはー!」

「冷たっ!?」

 

直後、もう一人のモブっぽい刺客の変じたアイスエイジ・ドーパントが高速接近、メリーに冷気を当てていく。あまりの冷たさに、思わず距離を取って体勢を立て直すのだった。

 

「アイスエイジは氷河期のドーパントだから、とにかく氷の力が強い! どうだ、怖気付いたか!」

「ったく、ユメもキボーもありゃしないわ」

 

アイスエイジの強力な冷気に、メリーはネガティブな時の口癖をつい言ってしまう。それだけ、敵の戦闘力が脅威というわけだ。

 

「おい、新人。俺まで巻き添え食らっちまったじゃねえか」

「す、すいません…」

「ま、今は気分がいいから許してやる。ほれ、これ頼むぜ」

「了解でさ!」

 

そして掛け合いの後、スイーツがクリーム化した片腕を成形して、アイスエイジが固める。それにより、片腕は硬く鋭いブレードへと早変わりだ。

 

「クリエメイトの首一つで、1億だ。財団様様ってとこだな!」

「よっしゃ、狩りの時間だぜ!」

 

そしてアイスエイジが地面を凍らせ、スイーツとともに高速で滑ってメリーへと迫っていく。

 

〜その頃、夢路と勇魚〜

 

「8×3」

「そらよ!」

「くっ!?」

「4×7」

 

ホル・ホースは、デスコタツの変身したゾーン・ドーパントがつぶやくと同時に、周囲の地面に浮かび上がった9×9のマス目の上を転移。そして夢路に発砲すると、さらに転移を繰り返して翻弄していく。

 

「夢路、大丈夫!?」

「ああ、なんとか……でも、これが長続きすると厳しいな」

 

傷の方は勇魚が治癒魔法で治してくれるが、ホル・ホースとゾーン・ドーパントのコンビネーション攻撃から逃れる術が見つからなかった。

 

「俺のエンペラーは弾道を変えられる銃ってだけの能力で、スタンド使い同士のタイマンには向かねぇんだな。故に、俺は誰かと組んで初めて強くなるってわけよ」

「そして俺のゾーンメモリは、9×9のマス目のフィールド内にある物や人を、自在に転移させられる。だが攻撃能力に乏しいんで、同様にホル・ホースの能力を借りてんのさ」

 

ホル・ホースもゾーンも、互いの能力のデメリットを嬉々として話しながら、強力なコンビネーションで襲い来る。かなり手強い。

 

「くそ、武装明晰夢(ルシッドガジェット)が使えりゃ、まだ戦えたのに…」

「夢路、無理しないで。なんとか隙をついて逃げないと…」

 

夢路は夢魔との戦いの中で編み出した技があるも、各夢魔の領域に入り込まないとその力を使えないので、今回は戦うことすらままならない状態だ。

そんな中

 

「おらよ!」

「う!?」

 

なんと、メリーの武器がスイーツの攻撃に弾き飛ばされる光景が、夢路の目に映った。凍った地面を滑る速さは、メリーの目では追いつけなかったようだ。

 

「そら、凍えろ!」

「うわぁ!?」

 

さらにアイスエイジが地面に冷気を放ち、それでメリーの動きを封じてしまう。凍えて身動きが取れなくなったメリーに、スイーツが近寄って来たのだが…

 

「さて、じゃあとりあえず…いただきまーす!

「え?」

 

なんと、スイーツ・ドーパントは大口を開けてメリーに迫りながらそう言った。明らかに、彼女を食おうとしているのだ。

メリー・ナイトメア、絶体絶命。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、巨大な装甲車が現れた。

 

「ぶべら!?」

「へ?」

 

なんとそれがスイーツ・ドーパントを跳ね飛ばしたのである。突然の事態にメリーも困惑、周囲のドーパント達もホル・ホースも攻撃の手を止めてしまう。

 

「ふぅ……異世界に来て早々に、ドーパントと会うとはな」

「ということは、彼女達が話に聞いたクリエメイトだね。早速会えたのは、幸運だ」

 

そしてその中から二人の男が現れる。

ソフト帽の似合うクールそうな外見だが、どこか締まらない雰囲気の美男子。

ロングパーカーに髪を文具のクリップで留めた、だらしない服装の若者。

奇妙な二人組であった。

 

「あ、あんたら何者だ?」

「俺は左翔太郎(ひだりしょうたろう)、こっちは相棒のフィリップ。お前らを助けに来た、安心しろ」

 

翔太郎は警戒しながら問いかける夢路に、安心させるように言う。そんな中、ドーパント達は二人に対して警戒を強める。

 

「てめぇ、ドーパントのことを知ってて、そんなごついマシン持ってるってことは……」

「向こうの世界の、同じ裏の人間か?」

「いや、ICPOとかFBIみたいな連中の可能性もあるぞ」

 

しかし、そんなドーパント達の言葉を否定しながら、2人は告げる。

 

「生憎、俺達はそんな大層なもんじゃねえ」

「そうとも。ぼく達は、2人で1人の探偵さ」

「ガイアメモリの生まれた街、風都の涙を拭う二色のハンカチ、それが俺達さ」

 

フィリップのその名乗りに対し、格好をつけながら付け足す翔太郎。

 

「あははははははは! 何言ってんだ、このキザ男は!」

「探偵如きがドーパント、それもプロの殺し屋の俺達が変身した奴らに勝てるわけが……」

 

ドーパント達は2人の物言いに爆笑するも、ホル・ホースはあることを思い出して警戒心を強める。

 

(2人で1人……このフレーズになんか警戒対象がいたんじゃ……そうだ、思い出した!)

「お前ら、その2人を優先して殺せ! そいつらは……」

 

しかしホル・ホースの呼びかけが遅く、翔太郎とフィリップはいつのまにかお揃いの赤いベルトを腹部につけている。

そして懐からある物を取り出し、スイッチを押した。

 

『サイクロン!』

『ジョーカー!』

 

フィリップは緑でCと書かれ、翔太郎は黒でJと書かれたガイアメモリを持っていたのだ。そして2人は肩を合わせて、メモリを持った手でアルファベットのWを思わせる形を作る。

 

「「変身」」

 

そしてフィリップがメモリをベルトの右側に差し込むと、その場で意識を失い、メモリは翔太郎のベルトに転送された。そして翔太郎も左側に自身のメモリを差し込み、左右の差込口を展開してこちらもWを彷彿をさせる形となった。

 

『サイクロン! ジョーカー!』

 

そしてメモリの名称を電子音声が繋げて復唱すると、翔太郎の姿が変わった。

体が左右で綺麗に色が分かれ、右半身が緑、左半身が黒いボディをしている。そして赤い複眼に風になびくマフラー、これまたWの形をした角、まさに仮面ライダーだと主張する容姿をしていたのだ。

そして変身が完了すると合わせて、彼らの体を中心に竜巻が起こる。

 

「え? その姿、ブラックリストの!?」

「遅かった……」

 

彼らこそ、風都の守護者である2人の仮面ライダー……否! "2人で1人の仮面ライダー"! その名を…

 

「仮面ライダーW(ダブル)

 

そして名乗ったWは左手でドーパント達を指差し、言い放つ。彼らの街、風都を泣かせる悪党達に永遠に投げかけ続けるあの言葉を。

 

 

 

 

 

「「さあ、お前達の罪を数えろ」」




今回の参戦作品の組み合わせ
Wがライダー好きになるキッカケなのでどうしても出したかった。そこでコンビ主人公、二人セットで初めて成立するキャラという意図で、メリーと双星をチョイスしました。

もともとはキルミーとコブラでやろうと思ったんですが、ギャグ作品を仮面ライダーと組ませるのは難しいと踏んでサブに回した次第です。刺客がドーパントに変身したのも、その名残になります。
コブラは翔太郎に真のハードボイルドを見てもらおうかと思ったのですが、平成の終わりに企画したから、平成ジェネレーションズにして昭和作品を廃そうと路線変更、双星の陰陽師をハーメルンに布教すべくチョイスした次第です。
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