仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア 作:玄武Σ
メリー「え? マジで、夢路なの?」
夢路「メリー……か? ていうか、サナといい、その格好なんだ? コスプレ??」
藤原夢路inエトワリア
アームズ「どうだ、ソーニャ? これがお前を葬り去るための切り札・ガイアメモリの力だ」
スイーツ「そしてその力で変じたこの姿が、ドーパントだぜ」
イナゴの女「あなた達全員、そのガイアメモリの力で食べてあげる」
ドーパントとスタンド使いの強襲
フィリップ「ぼく達は、2人で1人の探偵さ」
翔太郎「ガイアメモリの生まれた街、風都の涙を拭う二色のハンカチ、それが俺達さ」
ホル・ホース「お前ら、その2人を優先して殺せ! そいつらは……」
最強のヒーロー、エトワリアに降臨
「「変身」」
仮面ライダーW「「さあ、お前達の罪を数えろ」」
突如として現れた二人組、左翔太郎とフィリップが変身した、仮面ライダーW。現れた二人を前に、ホル・ホースとドーパント軍団は警戒態勢に入る。
『ぼくの体、暫くお願い』
「「「「「え?」」」」」
Wに変身したのは翔太郎。しかし、何故か右の複眼が点滅すると同時に、何とフィリップの声で喋ったのだ。Wは変身している間、フィリップの意識が翔太郎の体に憑依しているのだ。
一同がそのことに驚いていると、Wは真っ先にアームズ・ドーパントに立ち向かっていく。
「オラァァ!」
「グォオ!?」
疾風の如きスピードで懐に飛び込み、鋭いパンチを叩き込むW。鳩尾に叩き込まれ、コルクの攻撃で微塵も答えていないアームズ・ドーパントが苦悶の声をあげる。
「ふっ! はっ! おりゃあ!」
「ぐぅ!? げぇえ!? がぁあ!!」
そして立て続けにパンチの二連撃、胴に打ち込む。そして疾風を纏った回し蹴りを、脇腹に放って吹っ飛ばした。
「くそ、銃撃で……」
「させるかよ!」
「ぐわぁ!?」
『アームズの取り柄は武器換装。なら、それをさせる隙を与えないのが戦う基本さ』
アームズは一度退治したことのあるドーパント。故に、ミュージアムを壊滅させて、その後も数多の戦いを乗り越えた今のWにとって、敵ではない。
「死ね、仮面ライダー!」
「うお!?」
そこにすかさず、バイオレンス・ドーパントが鉄球を叩きつけてくるので、咄嗟に回避する。
「行け、折部やすなよ!」
そして体制を立て直すも、パペティアーがやすなをコントロールし、Wに襲いくる。やすなは手にした槍でWに畳み掛け、Wの方も生身のやすなを攻撃するわけにいかないため、防御に徹する。
「くそ、人質なんて使いやがって……」
『翔太郎。ぼくの側、メモリ変えるよ』
「ああ。任せる」
そしてフィリップが翔太郎に呼びかけ、黄色いガイアメモリを取り出した。
【ルナ!】
そしてメモリを起動し、サイクロンとそのメモリを取り替え、再びベルトを展開する。
【ルナ! ジョーカー!】
すると新しくベルトから音声が流れ、Wの右半身が緑から黄色へと変わった。そしてその状態で右腕でパンチを放つと……
ビヨオオオオオオオン
「「「「「ええええええええ!?」」」」」
「ウソだろ…ぐは!?」
なんと腕が伸び、そのままやすなを通り過ぎて、パペティアーのみを攻撃したのだ。吹っ飛ばされたパペティアーは、やすなのコントロールを失って倒れる。
そしてWも、追撃に乗り出す。
「……う〜ん。あれ? 何事?」
やすなはすぐに目を冷ますが、先ほどのことは覚えていないらしい。そんな彼女に、ソーニャや夢路が駆け寄ってくる。
「二人とも、私どうしてたの?」
「あの刺客が変身したドーパントとかいう化け物に操られてたんだが…」
「あの半分こな変身ヒーローっぽいのに、助けられたんだよ」
そして夢路が指差す方をやすなが見てみると
「な、なにあれ……」
「ビックリするよな、お前も…あれも刺客と同じで、ガイアメモリとかいう道具を使っているらしい」
「しかも、この倒れている人の意識が憑りついてるみたいで…」
困惑するやすなの目に飛び込んだのは、Wが空中で身を捻りながら、右足を伸ばして鞭のようにして、パペティアーを攻撃している姿だ。絵面がシュールすぎたのだ。
ちなみに、勇魚がフィリップの体を保護している。
「デスコタツの旦那、反撃行くぞ!」
「ああ! このまま舐められてたまるか!」
「仮面ライダー。また私の食事を邪魔するつもり!?」
そこにホル・ホースとゾーン、ホッパーが総じて反撃に乗り込んでいく。しかしWもそれを察知して、パペティアーへの攻撃を中断した。
『翔太郎。生身のあの男は、おそらく紅渡の話していたスタンド能力者だ。警戒していこう』
「だな。それでいて、下手に攻撃はできないから…」
すでにWの二人もスタンドについて知っていたようで、警戒態勢に入る。そして新しく青いメモリを取り出し、起動スイッチを入れた。
【トリガー!】
そして今度は左側のジョーカーメモリと、その新しいメモリを入れ替える。
【ルナ! トリガー!】
それにより今度は、左半身が青に変わり、いつの間にか手には黄色くWの字が刻まれた青い銃"トリガーマグナム"が握られていた。
「1×9」
「エンペラー!」メギャンッ
「はぁあ!」
そしてゾーンの力で転移しながらの銃撃を、再び放つホル・ホース。そしてすかさず、ホッパーの飛び蹴りが放たれた。
「おっと」
しかし飛んできた弾丸をWは左手で払いながら、飛び蹴りも横っ飛びで一気に回避する。
「そらよ!」
そして右手のトリガーマグナムを発砲した。すると驚くことに、銃口から放たれたのは、弾道が曲がるビームだった。
「なにぃ!?」
「え、ちょ、……ぎゃは!?」
「ぐぉお!?」
ビームはホル・ホースをピンポイントで避け、そのままゾーンとホッパーにだけ命中する。なかなかにとんでもない光景だ。
『ゾーンは厄介だし、ホッパーもスピードがある。先にメモリブレイクしておこう』
「そうだな。異世界戦闘最初のマキシマム、いくぜ」
するとフィリップが翔太郎に対案を出すも、二人とも固有名詞だけなので夢路達一行は理解できていない。
しかしWとしてはドーパントを倒して彼らを守ることが優先のため、トリガーメモリをベルトから抜き取り、トリガーマグナムに装身した。
【トリガー! マキシマムドライブ!】
メモリの装身すると新しい音声が流れ、トリガーマグナムを簡単に変形させ、構える。
そして二人同時に技名を叫び、発砲。
放たれた無数の、黄色と青の二色の追尾ビームが、ゾーンとホッパーの二体のドーパントに浴びせられる。
「「ぎゃあああああああああああ!?」」
そして二体のドーパントは断末魔をあげながら爆散、その跡地にはデスコタツとイナゴの女が倒れており、すぐ側には破損したガイアメモリが落ちていた。
「す、すげぇ…」
「倒しても、元の人間は死なねえのか。それとも、あいつだけか?」
Wのあまりの強さに、夢路は感心する。その一方、ソーニャはドーパントが倒されても元になった人間が生きていることに気が行っていた。
「お次はあの甘味野郎と氷野郎だな」
『了解、熱いのを食らわせてあげよう』
【ヒート!】
するとWは、今度はスイーツに標的を切り替え、赤いガイアメモリのスイッチを入れる。
【ヒート! トリガー!】
そしてそれをルナメモリと入れ替え、赤い右半身にトリガーマグナムを構えた姿となる。
「そらよ!」
「「アチチチタチチチチ!?」」
するとトリガーマグナムからはビームではなく、火炎弾が乱射された。それによりスイーツとアイスエイジはダメージを与えられている。
『翔太郎、接近戦で畳み掛けるよ』
「了解だぜ、相棒!」
【メタル!】
そして新しくグレーのメモリを取り出して起動、今度はトリガーメモリと取り替えた。
【ヒート! メタル!】
それにより今度は左半身がグレーになり、武器がトリガーマグナムから変化、赤いWの字が刻まれた棍"メタルシャフト"となる。
「オラァア!」
「ぐへぇ!?」
「うぐお!?」
メタルシャフトは炎を纏い、それをWが二体のドーパントにたたきつける。クリーム化による打撃を吸収するスイーツ、純粋に氷の力を持つアイスエイジ、いずれも炎と熱の力を持つヒートの力でダメージを与えていく。
初めて戦ったアイスエイジ・ドーパントはヒートの炎を寄せ付けない力だったが、刺客が変身したこの個体はうまく使いこなせないのかダメージを食らっていた。
「もういっちょ!」
「あっつ!?」
さらに右腕に炎を灯し、思い切りアイスエイジをぶん殴るW。武器を使う形態でも、肉体にその属性を付与可能なようだ。
「あの仮面ライダー、ダブルといった? 凄まじい」
「見た感じ、攻撃の属性と戦闘スタイルを、それぞれのメモリで切り替えているみたいだな」
「だな。で、今まで使った分で6個。それぞれ3個ずつだから、全部で9形態あるんだろうな」
「? 変身アイテムが6個あるのに9個しか姿無いの?」
コルクが感嘆している横で、ソーニャと夢路はWの戦闘形態について考察している。実は夢路は特撮ヒーロー好きなので、それを彷彿とさせる仮面ライダーについて一緒に考察できたようだ。横でやすながバカゆえについていけてないので、ひとまずスルーする一同。
すると、いつの間にかとどめを刺す寸前までドーパント二体が追い詰められていた。
「それじゃあ、こいつらもメモリブレイクだ」
【メタル! マキシマムドライブ!】
そしてメタルシャフトにメタルメモリを装身すると、両端から炎が噴き出す。そしてそれを構えて駆け出した。
そして炎を纏ったメタルシャフトによる一撃を叩き込まれ、ドーパント二体はまとめて爆散した。そして案の定、地面には気絶したヘル・ドーナッツとモブっぽい刺客の一人が倒れ、メモリも破損している。
「か、仮面ライダー……強すぎる」
「やばいやばい! このままじゃ金どころか俺らの命も危ういぞ!?」
アームズとパペティアーの二体が、惨敗寸前の状態で慄いている。すると、パペティアーの方が何となく視線を向けたのが…
「そうだ! あの私服っぽい男のクリエメイトを人質に!」
「おし、それに乗った!」
「また俺か!?」
そして再び夢路に襲い来るドーパントとホル・ホース。夢路もとっさに逃げ出した。
「あ、おまえら!」
「「行かせると思うか!」」
パペティアーを止めに入ろうとするも、アームズとバイオレンスの直接戦闘タイプ二体が妨害に入る。バイオレンスの方は左腕を除いて鉄球へと変化。腕を地面に叩き付けた衝撃で、飛び跳ねるようだ。
「くそ、邪魔すんな!」
『翔太郎、倒すにしろ振り切るにしろ、サイクロンのスピードの方が有利だ!』
「みたいだな……」
【サイクロン! ジョーカー!】
そして再び、最初と同じ形態へと移行する。そして抗戦するも、一方で夢路はパペティアーから逃げる。
「夢路!」
「行かせねえよ、嬢ちゃん方!」メギャンッ
メリーが咄嗟に夢路を守ろうとするも、ホル・ホースが妨害してくる。その一方で、パペティアーが糸を伸ばしながら夢路に迫っていく。
「戦う力がないってのは、こういう時みっともないな」
(くそ! 力が使えないのが、こんなもどかしいなんて……あれ?)
逃げる最中、夢路は何かを感じ取る。そして何となく右手に力を入れてみると……
ズバババババッ
「なに!?」
「え? これって…」
その時、夢路の手に握られた何かで、迫ってきた糸を切り裂いてしまった。それは、元の世界で夢路に味方をしていた夢魔”ジョン・ドゥ”の使う鋸のような形の剣だった。
これこそ、夢路が夢魔と戦うために編み出した技
「何にしても、ありがてえ……借りるぜ、
「ぐぉお、なんだこれ!?」
戦う力に気づいた夢路はそのまま手のひらを向け、かつて対峙した夢魔の能力を行使する。それにより鎖が放たれ、パペティアーは拘束された。
「もういっちょ借りるぜ、
「え? ……うげ!?」
するとパペティアーの頭上に、人間大のこけしが落ちてきた。それにつぶされ、パペティアーも気絶する。
「き、きゅう~…」
「あれ? なんか、戻っちまったぞ」
しかもその影響で、ドーパント化も解除されてメモリも体内からはじき出された。ただし、破壊はされていない。
「なんか知らねえが、向こうは片付いたみたいだな」
『それじゃあ、こっちもメモリブレイクと行こうか』
そして夢路の方が心配ないと判断し、そのまま残り二体のドーパントを倒すために必殺技の準備をする。
【ジョーカー! マキシマムドライブ!】
素手で戦うジョーカーメモリの必殺技は、ベルトの腰部分にあるスロットにメモリを装身して発動するようだ。そしてサイクロンの力で起こったつむじ風に持ち上げられたWは、一定高度に達したところでベルトのボタンを押す。
技名を叫ぶと同時に、Wが縦に真っ二つに割れた。大事なことなのでもう一回言うが
そしてその割れたWがそれぞれ、アームズとバイオレンスに飛び蹴りを叩き込み、この二体のドーパントも倒された。
そして人の姿に戻った二人の刺客のそばに着地したWは、いつの間にか元に戻っている。
「さて。それじゃあ、こいつのメモリも…」
そしてWは気絶している人形近いに近づき、落ちていたガイアメモリを拾った。
バキッ
そして、握りつぶした。
「か、仮面ライダー……よくも…」
「え? あの人の体が、崩れて…」
すると、イナゴの女が恨みの念を込めてWを見るのだが、勇魚の指摘通りその体が崩れている。
「やっぱり、あの女”NEVER”だったんだな」
「ね、ネバー?」
『ああ。僕らの世界で、死体をベースに開発された改造兵士だ。彼女は昔に死んだ人間だったんだけど…』
「死体の改造…闇が深すぎてついて行けないな…」
まさかの事実に、青ざめる一同。ソーニャも裏稼業者としては、聞いたことがない闇の深さだった。
「あ…おの…れ……」
そして、倒れ伏したイナゴの女は恨み言を呟く。そして、完全に崩壊した。
「……哀れだが、感傷に浸っているわけにもいかねえ」
『次は、スタンド使いの君だね』
「……」
そしてWは、気持ちを切り替えてホル・ホースを睨む。当のホル・ホース本人は額に冷や汗を流し、険しい表情となった。
(おいおい。仮面ライダーがここまで強ぇのは、想定外だな。ドーパントも殆ど一人で倒しちまったが、タイマン向きじゃない俺のスタンドで勝てるはずがねえ。となれば…)
そして思案を始めたホル・ホース。彼の出した答えは……
「おっし、逃げちまおう」
「あ、待ちやがれ!!」
全力疾走で、その場を去っていくホル・ホース。それを必死になって追いかけるWとクリエメイト組。
「俺は能力がタイマンには向かねえ! 誰かと組んで初めて力を発揮するんだよ! 一番より№2がホル・ホースの人生哲学ってわけだ!モンクあっか!」
「だからって、ここで逃げるのは往生際わりぃだろ!!」
持論を吐き捨てながらも全力疾走を続けるホル・ホース。地味に、仮面ライダーに匹敵する身体能力を発揮している。
そしてそうこうしているうちに、町の外にやって来たのだが……
ぐぉおおおおおおおおおおお………
「な、なんだこりゃ…」
「まさか、魔物?」
そこに突如、巨大なグロテスクな風貌の巨人。明らかに敵意を持っているようだ。
「おいおい、幾ら何でも遅すぎだろ。旦那」
「だだだだ黙るが良い! 吾輩達が人間如きに協力すること自体が、本来ならばありえんことなのだ。だからきききき貴様は、むしろ感謝すべきである!」
すると現れた異形の巨人に声をかけるホル・ホース。すると何かがその頭上から飛び降りて、ホル・ホースに話しかけてきた。
「では改めて…
お初にお目にかかる! かかかか仮面ライダーと、くくくくクリエメイトの諸君! 吾輩、
現れたのは、吃る様に単語の最初の文字を繰り返す、奇妙な喋り方の男であった。見た目は更に異質で、褐色肌の人間のそれだが、髪と目の色が左右で別々になっている。右側は黒髪と金色の瞳、左側は白髪に黒い目と紫の瞳だ。
服装も、目と口の意匠があるシルクハットに白い燕尾服、そして何故かボトムスが袴と、グロテスクとアンバランスが合わさった異質なものである。
「な、なんだこいつ?」
「何? まさか新手の夢魔? ユメもキボーもありゃしないわ……」
「いや、なんとなくだけど夢魔と違くねぇか?」
現れたそいつにソーニャは疑問を浮かべ、メリーは過去に対立したリシュカという人物と同じ、エトワリアに干渉した夢魔ではと推察する。しかし、夢路だけは何か違うものを直感で感じ取っていた。
すると、その男がみずから自己紹介を始める。
「吾輩はむむむむ夢魔などてはなくケガレという存在、その最上位の
ホル・ホースと知り合いな様子から、この男もオーバーヘブン・ショッカーの協力者のようだ。この百々々々々目鬼と呼ばれた巨人も、自分たちを倒すべく生み出されたようである。
「さあ、蹂躙の時間だ! 百々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々目鬼ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
百々々々々目鬼は、こちらを潰そうと巨大な手を叩き付けてくる。デカい分動きが鈍く、おかげで勇魚も含めて全員が回避に成功した。
『翔太郎、あの図体じゃ接近戦は危険だ!』
「だな。もう一回トリガーで行くか」
【サイクロン! トリガー!】
そしてまた変身を重ねるW。今度は緑と青の形態となり、トリガーマグナムから風の弾丸を乱射する。
「的がデカいから、当てやすいな」
「俺も援護します。
翔太郎は攻撃を重ね、夢路も武装明晰夢で作った、宙に浮かぶ拳を乱射していく。連続で攻撃を食らっていく百々々々々目鬼だが…
「無駄だ。我らケガレには呪力による攻撃以外は効かんよ」
「ぐわぁああ!?」
「う!?」
いつの間にかこちらの懐に、銀鏡が飛び込んできて攻撃してきたのだ。銀鏡は両腕を触手のような形状へと変化させ、Wを締め上げながら夢路の脇腹を貫通した。
しかも、百々々々々目鬼にはダメージが行っている様子が見当たらなかった。
「夢路!?」
「あんた、よくもやったわね!!」
「これ以上、見てるだけはうんざりだっての!」
勇魚が激しく動揺し、そこにメリーとソーニャが激高しながら銀鏡に飛び掛かる。そしてそれぞれの得物で切りかかるが…
「なななな何度も言わせるな! ケガレにはしゅしゅしゅしゅ呪力以外の攻撃は効かんと!」
「「うぐ!?」」
手ごたえがなく、しかも銀鏡の体から新たに細い触手が生え、それによってメリーとソーニャも攻撃を食らう。メリーは夢路同様に脇腹を貫通していた。
「ソーニャちゃん!」
「メリー…まずい!」
やすなとコルクも、慌てて二人を回収しに行く。ソーニャは放り投げられるも、メリーはWと夢路と一緒に、捕まってしまった。事態は最悪だ。
「むははははははは! 呪力が使えないとはいえ、聞いていたほど強くはないな。かかかか仮面ライダーとやら!」
「ぐぁ…くそ、こんなやつがいるなんて…」
『呪力とやらが何かわからないが、魔力しか効かないファントムのようなものか?』
「れ、冷静にしている場合じゃ…がはっ!?」
「夢路…ごほっ!?」
メリ-と夢路は、人体貫通してしまい吐血。
(くそ……どうする!? 今の俺たちじゃこの男に勝てない! どうすりゃ…)
「さて。こここここの場が貴様らの墓場なのだ! 百々々々々目鬼、残りのクリエメイト共を叩き潰せ!!」
翔太郎が思案する中、銀鏡は百々々々々目鬼に指示を出す。それに合わせて百々々々々目鬼が、勇魚達を潰そうと腕を振りかざす。絶体絶命の事態……
「裂空魔弾! 救急如律令!!」
「むぐぉおおおおお!?」
すると何処からか技名を叫ぶ声が聞こえ、それが銀鏡の顔面に命中した。ダメージが通ったのか、銀鏡は苦悶の声を上げてWとメリー、夢路を離してしまう。
「今だ、撤退するぞ!」
そしてそのすきに、Wはメリー達を担いで離れる。
「夢路! メリー! すぐに治すから!」
そして勇魚が、負傷した二人に治癒魔法を行使し、どうにか事なきを得る。
さらにその直後、何かがとびかかって百々々々々目鬼に攻撃を仕掛けた。その衝撃は思いの外強く、百々々々々目鬼はその巨体を地面に伏せることとなる。
「よっと。あんたら、大丈夫か?」
「奴らは…私達の専売特許…任せておいて」
「え? あんたら、誰?」
現れたのは、二人組の少年少女であった。少年は夢路より若干背が低く、ギザギザの歯が目立つ。少女は黒髪ロングのスレンダーな美少女で、クールな雰囲気と喋り方も相まって、大和撫子という言葉がよく似合う。
しかし服装は、黒をベースにした、狩衣を近未来風にアレンジしたような奇妙な物を着ている。
そして2人は、夢路の問いかけに対して名乗りを上げた。
「俺は
「同じく…
二人組、ろくろと紅緒は確かに、陰陽師と名乗った。
「なにぃいいいいい…そそそそ双星だと…そそそそそそそそそそそそそ双星ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
「確か陰陽師って、旦那たちの仲間の天敵じゃ……」
その二人の肩書を聞いた瞬間、銀鏡が恨めしそうにする。ホル・ホースも顔を青ざめている。
そしてその際、ろくろと紅緒は戦闘態勢に入る。
「
「…」
ろくろは懐から赤い札を一枚、紅緒は黒い札と複数枚の白い札を取り出す。そして紅緒は腰に差していた石造りの剣を構え、白い無地の仮面をかぶる。
「「祓へ給へ、清へ給へ……」」
「守り給へ、
二人は呪文のようなものを唱え始め、途中からろくろだけがその続きを唱える。
その時、ろくろの右腕が赤く刺々しい見た目の、顔のような意匠が浮かんだ不気味な形状へと変化した。さらにその上から、赤く熱を帯びた装甲のようなもので覆われていく。
そして紅緒は両足に白く美しい装甲が纏わり、手にした二振りの剣とかぶっていた仮面も、何かの力を帯びて不思議な文様が浮かび上がった。仮面の方は形状も相まって、まるで狐のようである。
そして叫ぶと同時に、二人は白銀と百々々々々目鬼へと向かっていく。
「紅緒、俺がまずデカブツをどうにかする。紅緒は婆娑羅を頼む!」
「…心得た」
そしてろくろは、立ち上がろうとする百々々々々目鬼へと向かっていく。
「奇一奇一たちまち雲霞を結ぶ 宇内八方ごほうちょうなん たちまちきゅうせんを貫き 玄都に達し太一真君に感ず」
ろくろは百々々々々目鬼の周囲をかけながら、呪文を詠唱していく。するとその周囲に印ようなものが浮かび上がってくる。そして…
「ぐわぁあおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
技名を叫びながら印を殴ると、全ての印からビームのようなものが放たれ、それを食らって苦悶の声を上げる百々々々々目鬼。どうやら、ケガレに陰陽師の力が有効というのは事実のようだ。
「なななななんというざまだ、百々々々々目鬼! 双星の呪力を奪えば、わわわわ我らの悲願に近づけるはず…」
「させるはずが…ない!」
憤慨する銀鏡の懐に、紅緒が飛び込んできた。そして剣を交差させて技の準備に入る。
「
そして剣を交差させたまま突撃し、銀鏡を吹き飛ばした。そして飛んで行った銀鏡を追って飛翔する。
そして白い装甲を纏った脚による、必殺の蹴りを叩き込まれる銀鏡。断末魔を上げて、大きく吹き飛ばされることとなった。
「すげぇな、おい……」
『翔太郎、最近の陰陽師ってああいう物なのかい?』
「知らねえよ、異世界の戦闘事情なんて……ガイアメモリで手一杯だってのに」
「アタシらよりずっと強いわね…やっぱ、ユメもキボーもありゃしないわ」
「メリー、久しぶりな上に普段より多く言ってるな…」
あまりにもぶっ飛んだ陰陽師の戦闘スタイルに、Wとメリー一行は何も言えなかった。
やすなとソーニャ、果てはコルクまで呆然としてしまうのだった。
「紅緒、やったみたいだな……俺も負けて乱ねえな!」
その一方で、ろくろは紅緒の奮戦ぶりに気合が入ったようだ。右腕に力を貯めながら再び呪文を詠唱し始める。
「東海の神・名を
南海の神・名を
四海の大神 百鬼を退けを凶災を祓い給えっ!!」
呪文に合わせて、ろくろの右腕に凄まじい焔が纏わっていく。そして拳を構え、百々々々々目鬼の顔面へととびかかる。
顔面に凄まじい衝撃を受けた百々々々々目鬼だが、こらえて何とか倒れないように踏ん張ってしまう。しかしそこに、紅緒が駆けつけてきた。
「遅くなった…ごめん」
「いいさ。でも、おかげで婆娑羅はしばらく動けねえんだろ。ありがとう」
「…うん。このまま…とどめに入ろう」
そして二人が並ぶと、手をつなぐ。そして…
叫ぶと同時に、なんと二人の体が同時に光りだす。そして構えを取ると、ろくろの右腕の装甲が展開し始めた。
そして同時に技名を叫ぶと、先ほどの物とは桁違いの、それこそ数倍から数十倍の威力はあろう衝撃と焔が放たれた。
「おいおい、うそだろ…」
『凄まじいとは、こういうことを言うんだね…彼らの世界の陰陽師に、更に興味がわいたよ』
翔太郎とフィリップがかろうじて口を利けたが、目の前の光景を見たら黙り込んでしまうのは仕方がなかった。
そして、それは吹き飛ばされた銀鏡も同様だったようだ。
「おのれ、双星ども……な!? 百々々々々目鬼の頭が…」
なんと、百々々々々目鬼は頭が丸ごと消し飛んでいたのだ。
双星の陰陽師とは、彼らのいた世界で
W編ということで、Wっぽい前回のあらすじを入れてみました。いかがでしたか?
あと、ベルトや武器の音声を今回から【】に変更することにしました。こっちの方が読みやすかったので。
ほかの話も少しずつ修正していくので、少々お待ちください。