仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア 作:玄武Σ
W(フィリップ)『ぼくの体、暫くお願い』
夢路一行「「「「「え?」」」」」
仮面ライダーW、エトワリアの危機に駆け付ける。
夢路「借りるぜ、孤影!」
パペティアー「え? ……うげ!?」
藤原夢路覚醒
銀鏡「無駄だ。我らケガレには呪力による攻撃以外は効かんよ」
新たな敵、婆娑羅の襲来
ろくろ&紅緒「「共振!!」」
「「紅蓮流星拳!!!!!」」
同時に新たな戦士、双星の陰陽師の加勢!
ドーパントの強襲に対応した仮面ライダーW。
突如として夢路の特殊能力の発動。
新たな敵ケガレと、それに立ち向かう陰陽師の出現。
状況が二転三転と変わり続けるこの戦闘も、ようやく終わりが見えてきた。
「おのれ双星! 吾輩のささささささささ最高傑作を、よくも!!」
戻ってきた
「生憎、俺達もお前のやってきたことを許すつもりはねぇからな。おあいこみてぇなモンだろ!」
「
しかし、同種の敵との戦いに慣れていた二人は、屈することなく向かい合っていた。どうやらエトワリアへと乗り込む前にろくろ達の世界で戦闘を行っていたらしい。
「昨日、変態パンツ男が神託でお前の仲間の居所を掴んだんだが、まさかこんな異世界なんてモンに攻撃しかけるとはな!」
「あの…葛葉紘汰という人の…言う通り…だったみたい」
「葛葉紘汰……まさか、この二人が!?」
『紅渡の話していた協力者か! まさか、こんな若い人間だったとは』
紅緒の口から、まさかの葛葉紘汰の名が飛び出したことにWが反応する。どうやら、事前に協力者がいることだけは聞いていたらしい。
しかし不利になったにもかかわらず、銀鏡は退く様子が見えない。
「どどどどどうやら貴様らも、噂の超越者とやらに送り込まれた口か! ささささ策士気取りの闇無を止めたからといって、いい気になるなよ!」
「どうとでも…言いなさい。貴方はここで…私達に…祓われるのみ」
「おうよ。お前の罪もケガレも、全部まとめて祓ってやるから、大人しくしてろ!」
ろくろと紅緒は、揃って強い意志を見せながら銀鏡と対峙する。しかし銀鏡は、後ろにいるWと夢二たちに視線を向けた。
「きききき貴様らはいいが、呪力を持たん後ろの連中を守りながら、吾輩の本気を止められると思うな!」
激昂した銀鏡は、懐からろくろ達が使ったものに似た黒い符を取り出して構える。
「まままま
「な、なんだ!?」
「来やがるか!」
すると符からドス黒い瘴気のような物が噴き出し、翔太郎が動揺する。ろくろ達の警戒を強めたため、銀鏡が本気を出したというのが見て取れた。
「そこまでだ、銀鏡」
ドォオオオオオオオオオオオンッ
しかし直後、また新しい男の声が聞こえたと思いきや、いきなり落雷が生じた。それに銀鏡も攻撃の手を止め、他の全員も声のした方を向ける。
現れたのは、軍服を纏った薄紫の髪の偉丈夫だった。銀鏡と同じく褐色肌と片目だけが黒い色ということから、同じ婆娑羅というのが見て取れる。
「こいつ、新しい婆娑羅か!?」
「
そして紅緒はこの男の情報を知っていたようで、名前と素性を言いながら警戒を強める。同様に、新たな敵の出現に同じくWとメリー一行も警戒を強めた。
「事情は知らねぇが、オメェもそのシルクハットマンの仲間ってところか?」
「仲間…少し違うな」
翔太郎の問いかけに、含みのある様子で答える氷鉋だが…
「仲間というのはそもそも、一定以上の信頼関係を築いて初めて成立する関係だ。そういう意味では、俺はこいつをあまり信用していないから、仲間とは言えんな。貴様ら人間の言葉で言うなら、どちらかと言えば同僚の方がしっくりくる。アレなら同じグループの所属でそこそこ長い付き合いがあれば、一応は信頼関係がなくとも成立はするだろう。とはいえ、人間の社会はかなり複雑と聞いたから信頼関係も必要なのかもしれんが、人間の常識を俺達ケガレに当てはめるのも、そもそもおかしいか」
「煩いわ! たたたた助けに来たなら、黙って吾輩に手を貸すのが道理だろう!! まぁ、助けなどいらんが」
突然、氷鉋は講釈を垂れ始めた。あまりにも長いため、仲間のはずな銀鏡もキレ始める。
「な、なんだあの長ったらしい
『あの銀鏡という男といい、例の婆娑羅という連中には妙な性格のやつが多いのだろうか?』
「フィリップ、お前が言っても説得力ないからな」
((((((正直、二人ともそうだと思うけど……))))))
氷鉋のキャラに困惑気味なWだったが、同じく変わり者を見る目でそのWを見る、クリエメイト組。二人で合体する、半分こ怪人もといヒーローはそれだけのインパクトというわけだ。
「まあいい。俺は上からの命令で、銀鏡とホル・ホースの回収に赴いただけだ。この場で争う気はないし、例の遺体も譲ってやる」
「氷鉋! 吾輩はここでお前に従う義理など…がはっ!?」
そして撤退の意思を示す氷鉋に対し、反論しようとする銀鏡。しかしすぐに鳩尾に鋭い拳撃を叩き込んで黙らせてしまう。そして痛みのあまりに悶絶している銀鏡を抱え、ホル・ホースともども紫のオーラに包まれ、転移しようとする。
「ありがたいぜ、旦那。それじゃあ、俺はここで置賜させてもらうぜ!」
「調子のいい奴め……双星の陰陽師に仮面ライダー、それとクリエメイトども。一つ、いや二つ忠告しておこう」
ホル・ホースの様子に呆れていた氷鉋だが、ここでこちらに向き合いながら告げてきた。
「お前達人間は所詮、俺達ケガレの餌に過ぎないのだ。そして貴様らは、我が王たる
あからさまな宣戦布告の後、彼らは姿を消していた。
「行ったみたいだな…で、大丈夫か、あんたら?」
そして完全に撤退を確認したろくろは、Wとメリー達クリエメイトに声をかける。Wも変身を解いて翔太郎の姿に戻り、対応する。
「まあ、おかげさまでな。まさか、お前が話に聞いていた協力者だとはな…」
「あ、やっぱ思われてなかったか…高校入っても、身長170いってねぇし、無理ねえか……」
翔太郎の言葉を聞き、いきなり自虐的なこと言って落ち込むろくろ。どうやら、少なからずコンプレックスに思っているらしい。
「え、もう高校生なのか? すまん、素で気づかなかった」
「き、気にすんなよ! さすがに俺でも、あそこまで派手に戦えは…って、あれ?」
そのろくろの様子に対して、翔太郎と夢路が慰めようとするが、途中で夢路は何かを感じ取る。
「夢路、急にどうしたの?」
「いや。急に俺を呼ぶ声が、頭の中に…」
メリーが気になって夢路に問いかけると、それに対しての答えがこうだった。
「おそらく、聖なる遺体が君を呼んでいるんだろう」
そこに問いかけるのは、意識を取り戻したフィリップだった。先ほどまで保護していた勇魚が、心配そうについてきている。
「な、なんだそりゃ? 遺体って?」
「奴らの狙いで、異世界からここに飛ばされてきたらしい聖人のミイラだそうだ。九つのパーツに分断されて、その一つ一つに超常の力が宿っているらしい」
「呼びかけているってことは、たぶんあんたを持ち主に選んだんだと思う。早く探そうぜ」
フィリップとろくろが、それぞれ事前に聞いていた情報を夢路に伝える。するとそれを聞いて、コルクが何かに気づいた様子だった。
「まさか…その遺体とやらが、召喚されていない彼をエトワリアに?」
「! なるほど…じゃあとりあえず回収してみるか」
「君を持ち主に選んだのなら、自ずと場所はわかるだろう。この近くを探してみたまえ」
コルクの推察を聞いた夢路は、自分がエトワリアに来た原因=変えるための術に起因すると思い、フィリップに促されるまま探しに向かう。
そしてそのまま、荷馬車の置き場所に到着した一同は、そこで白い布に覆われた塊を発見する。
「どれどれ……うえ、グロ…」
夢路が確認のために布を剥がしてみると、そこにはミイラ化した人間の下半身がまるごとあった。
~夢路は聖なる遺体の両脚を手に入れた~
「気持ちはわかるが、お前を持ち主に選んだ以上は、お前がそれを守る義務があるんだ。我慢してくれ」
「その代わり、僕達も君を守るから心配はしないでくれたまえ」
「責任重大だな…まあ、厄介ごとには慣れているからいいけどさ」
ミイラのパーツを前に顔をしかめる夢路だったが、翔太郎とフィリップからのフォローもあって、遺体の所有を覚悟するのであった。
その後、翔太郎たちは最初に乗ってきた巨大装甲車”リボルギャリー”を町の外に出し、お互いに自己紹介を始める。
「じゃあ改めて……俺は左翔太郎。私立探偵やってる傍ら、仮面ライダーWとしてあのガイアメモリを使った犯罪と戦っているんだ」
「探偵…コートもパイプもないけど、本当?」
翔太郎の職業を聞き、怪しげな目で見るメリー。しかし、彼女の中の探偵像はえらく偏っていたようだ。
「おいおい、お嬢ちゃん。俺が尊敬する探偵はシャーロック・ホームズじゃなくてフィリップ・マーロウなんだよ。だから推理よりも、ハードボイルドなのが俺の持ち味なのさ」
「はい?」
しかし嫌な顔一つせず、メリーに対して自分のこだわりを述べる翔太郎。しかしそのこだわりがいまいち理解できなかったのか、メリーは困惑の表情を浮かべていた。
「気にしないでいいさ。翔太郎はハードボイルドになりきれない半熟君、つまりハーフボイルドだからね。単なる格好付けみたいなものだよ」
「おい相棒、初対面の女の子に何を教えてんだ」
そこにフィリップが寄ってきて、翔太郎について補足を入れる。彼の二枚目ながらどこか抜けている雰囲気は、そのハーフボイルドに由来しているのだ。そこから今度は、フィリップが自身の名を告げる。
「僕はフィリップ、翔太郎の相棒さ。昔は僕も、悪魔とか魔少年とか呼ばれててね。だからこの異世界にも、興味があったのさ」
「魔少年? 魔法使いのようなもの?」
するとフィリップが名乗った肩書に、コルクが反応する。魔法の存在する世界ゆえか、その発想が真っ先に出たようだ。なので正しく説明しなおす。
「いや、そういう意味での魔じゃないよ。昔、僕は過去の記憶をなくして、知識欲のためにあのガイアメモリを生み出した組織に協力する魔性の子供だったんだ。ゆえに、魔少年ってわけだよ」
「まあ今は違うから、あんまり警戒しないでも構わないぜ」
その説明の際に、フィリップの過去と業が明らかになり、警戒されないように翔太郎がフォローを入れる。
「これでも商人をやっているから、人を見る目に自信はある。貴方達は信用してもよさそう」
「そうか。助かったぜ、お嬢ちゃん」
「かまわない。それと、私にはコルクという名前がある」
コルクから好意的な答えが返ってきたことで、翔太郎も内心で安心する。そしてひと段落ついたところで、ろくろ達が自己紹介に入ることとなった。
「じゃあ今度は俺らの番…俺は焔魔堂ろくろ。そっちの翔太郎とは違う世界の日本で、陰陽師やってんだ。で、こっちは同じチームの仲間で……」
「化野紅緒……ろくろとは…将来を約束…した仲。よろしく」
その際、紅緒が爆弾発言をしたことで一同、特に翔太郎に衝撃が走った。
「え? 将来を約束? まだ高校生で? 俺はまだ碌に出会いもないのにか?」
女運がなく、かつてフィリップからも悪女に惹かれ、そのすべてが悲恋に終わるという恋愛の傾向を推察された翔太郎。そんな彼に、すでに将来を約束しているというろくろと紅緒の存在は、いろんな意味で衝撃を受けてしまう。
「そもそも、さっきあいつらが呼んだ双星の陰陽師ってのが、ケガレとの戦いを終わらせる神子を生む夫婦に与えられる称号ってことでな…」
「あ、うん。そういう系の話か(なんか少年漫画かライトノベルみてぇだな)」
そんな翔太郎は放っておいて、ろくろが双星の由来について説明し、夢路がそれを聞いている。一方、隣で聞いていた勇魚はそこまで深い男女の仲ということもあり、顔を赤らめている様子だ。
「あんた達が何者で、どういう存在かは分かった。だけど、そのあんた達のそれぞれの敵がどうして結託して、しかもこの世界にいるのか? わかる範囲でいいから聞かせてくれないか?」
「ソーニャに同意。自分達の危機なら、知る権利はあると思う」
すると今度は、さっきから聞く側に徹していたソーニャが質問してきて、コルクも同意してきた。
「まあ、道理だな。いいぜ、聞かせてやるよ」
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文字通り絶え間なく風が吹き続け、街の景観を風力発電の風車が彩る、風とエコの街。街に住む人々は、"我が街"を愛し、今日も街に生きている。
そんな街の一角、古びたビリヤード場の二階に居を構える"鳴海探偵事務所"。
(静かな午後。ハードボイルドな俺の心を、一杯のコーヒーが温める。依頼も来ていない、束の間の平和……果たして、いつまで続くのか?)
「翔太郎。格好つけてないで、たまには自分から仕事でも探してきたらどうだい?」
「……相棒、それやったらハードボイルドな探偵っぽくねえだろ? なんか、こう…貧乏臭ぇっつーかさ」
その事務所に属する私立探偵である、翔太郎とフィリップは事務所内で駄弁っていた。
現在は特に依頼は来ておらず、事務所の所長である翔太郎の師匠の娘”
今のところは探偵の仕事も仮面ライダーとして立ち向かう超常犯罪も、起こっていない平和な状態だ。しかし、それは突然に崩れ去ることとなる。
「な、何だここ!?」
「無地の白い空間……いろんな意味で興味深いね、ここは」
「フィリップ、落ち着いている場合か!?」
いきなり発生した転移現象に混乱する翔太郎。対してフィリップは落ち着いた様子だ。
そしてそこに、ある人物が現れた。ディケイドとも関わり深い、あの青年だ。
「初めまして、左翔太郎さんにフィリップ。僕は紅渡といいます。突然で申し訳ありませんが、あなた方に依頼があってお招きしました」
「依頼? ってことは、お前がここに俺らを呼んだわけか。で、わざわざこんな所に呼び出すってことは……」
「ドーパントや財団Xが絡んでいる依頼かい?」
「ええ。彼らが厄介なことを、やろうとしていましてね」
ドーパント。風都で起こる超常犯罪の元凶とされる怪人で、人間が意図して変身する特殊な存在だ。そして財団Xは、かつてそのドーパントに変身するためのアイテムを製造していた組織に、援助をしていた。財団Xやその援助していた組織"ミュージアム"と戦っていたこともあり、2人はこの異質な空間とそこに自分達を招いた渡に、すぐに対応出来たのだった。
そこに満足気な様子の渡は、早速説明を始める。
「お二人は、ディケイドのことはご存知ですよね?」
「あ? まあ、一応は共闘したし」
「ぼくもだ。ということは、別の世界が絡んだ依頼ということなのかい?」
ディケイドが大ショッカーと戦いを繰り広げていた時、2度ほど2人の変身した仮面ライダーと加勢と共闘を経験している。2人はその時のことを覚えていたようだ。
そして、それを確認した渡は説明を始めた。
「察しが良くて助かりました。しかし今回は平行世界ではなく、完全な異世界が目的地になります」
「か、完全な異世界?」
「ええ。仮面ライダーやそれに類した、スーパー戦隊といった戦士の住む別々の地球。それがディケイドの巡った世界でした。しかし今度、彼が戦う相手オーバーヘブンショッカーは財団Xと供に、地球から完全に乖離した異世界へと侵略を開始したのです」
渡は依頼を説明する。そしてその横で、フィリップが顎に指を添えながら思案する。
そして気になった単語を、自ら口にした。
「オーバーヘブン……直訳すると"天国を超える"か。中々に大仰な名前を付けているが、そいつらは一体?」
「ディケイドの宿敵”大ショッカー”。それがライダーと異なる能力者の世界から来た何者かに乗っ取られ、今の名前となりました。その名前についての詳細は不明です」
「おい、相棒。それ以前に異世界だぞ。並行世界じゃなくてだ。そんなところに行くって、前代未聞だろ?」
「すみません。続きをいいでしょうか?」
2人とも着眼点は異なるが、色々と異様な話になりつつある今回の依頼に、思うところあるのだけは共通していた。そして渡は話が途切れてしまったため、2人に呼びかけて話を戻そうとする。
「おっと、すまねえ。まだ途中だったな」
「まあ、混乱するのも無理はありません。それでその世界の名はエトワリアといい、平たく言えば剣と魔法のファンタジー世界になります」
「あ? んなもんが存在するのかよ」
「ほぅ、それは興味深いね」
まさかの単語につい反応する2人。そして、渡は続けて依頼の詳細を話す。
「そしてオーバーヘブンショッカーと財団Xは、異世界平行世界問わず、様々な世界から悪意や憎悪に駆られたものをスカウトして手勢に加えました。超能力者や科学の発達した異世界の兵器、はたまた人外の種族。当然、ガイアメモリもその中に含まれています」
「そんな世界に侵攻した、そのオーバーヘブンショッカーの目的は何だい?」
「”聖なる遺体”。そのショッカーを乗っ取った首領が元居た世界にあった、実際に聖人となった人間のミイラ。それがそのエトワリアに転移してしまった結果、彼らが侵略を開始しました」
「ミイラだぁ? なんで、そんなもん狙ってんだ?」
当然だが、翔太郎が敵が聖なる遺体を狙う動機が読めない。そして、渡はスピードワゴン達から聞いた遺体の情報を、2人に話し始める。
「元あった世界から来た協力者によると、遺体そのものに超常の力が宿っているそうです。所持した人間に特殊な能力を覚醒させたり、半身不随者を回復させたり、といったことが可能らしいですね。そして九つに分断されたそれを集めると、強大な力が手に入るとか」
「な、なかなか突拍子もない話だな……」
「しかし、そんなものを財団Xやそのオーバーヘブンショッカーとやらが手に入れたら……」
「ええ。間違いなくこの世界にも災厄が訪れますね」
その話を聞いた2人の返事。それは
「わかった。世界の危機ってことは、風都も危ないんだろ? その依頼、受けるぜ」
「ああ。ぼく達の愛するこの街を守ることに通じるなら、ぼくも異世界に行こう」
翔太郎もフィリップも、最初から返事は決まっていた。愛する我が街を危機から守る、そのために2人は仮面ライダーとしての力を振るう。それは異世界だろうと平行世界だろうと関係ないことだ。
「それに、個人的にも異世界は興味深いからね」
「ありがとうございます。それでは、あなた達のマシンも一式、一緒に送らせてもらいますので、役立ててください」
「すまねえな。それで、亜希子や照井には…」
「ええ、こちらから話しておきますよ。この街を守護するもう一人の仮面ライダーですからね、事情の把握はしてもらわないと」
「おっし。なら留守中の風都は安泰だな」
「じゃあ、早速行かせてもらおうか」
照井竜も仮面ライダーであるため、翔太郎達が風都を空けるなら当然事情は話される。そういうこともあり、2人はエトワリアへと送り込まれるのであった。
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「いらっしゃい、待ってたよ二人とも」
「変態パンツ男、いきなり呼び出してなんだよ?」
「ろくろ、失礼…
ろくろ達を出迎えたのは、長身で腰まである長さの銀髪の美青年。狩衣に烏帽子と、絵にかいたような陰陽師の格好をしている。しかし彼の実年齢は、四十代半ばだったりする。変態パンツ男とは、ろくろが初対面の時にパンツ一丁で遭遇したための仇名だった。ちなみに、ナンパして大人のホテルに入ったらヤの付く職業の愛人だったため、その格好だったとか。
だがしかし、この男こそが陰陽連のトップである
「いや、先日にちょっと奇妙な神託が来てね。それが君達に関わる物だったから、こうして呼んだんだよ」
「神託…あれ? あんた、たしか呪力が闇無の事件の諸々で殆ど無くなったんじゃ…」
ろくろの指摘通り、有馬はかつて婆娑羅の最古参・闇無とその一味、そして紅緒の双子の兄でありながらケガレ側に就いた”
それがなぜか、神託という高位の術を使っていたのだ。驚きもあるだろう。
「うん。どういうわけか、一時的に力が戻ってね。で、内容としては…」
闇よりい出し汚れし魂、異郷の地に顕現せん
彼の者、異郷の邪悪と結びつき、世を破滅へと導かん
しかし双つ星、異郷の善なる意志と会合
さすれば彼の邪悪に打ち勝てるであろう
「まあ、ざっくりいうと『婆娑羅がどこか未知の領域で、別の悪者と結託した。そして君たち双星が、協力者を募れば勝てる』こんな感じだね」
「未知の領域? 日本の外にでも出ちまったのか?」
「そういえば…銀鏡という婆娑羅が、東北の支部を…壊滅させたと、聞きました…関係が?」
「たぶんね。彼と合同で組んでいる聖丸と氷鉋という婆娑羅共々、その後で行方知れずとなった。そう見て間違いないと思うよ」
「なるほど。でも、問題もあるよな…」
そう。問題は、婆娑羅達が向かった異郷がどういうところなのか、であった。この時の彼らからすれば、異世界に侵略などという発想自体、浮かんでこないだろう。
しかし、翔太郎達の時と同様に、こちらにも協力者が現れることとなった。
「ちょっと、そのことで話があるんだ。いいか?」
「うぉ、なんだ!?」
直後にろくろ達に聞き覚えのない男の声が聞こえると、まばゆい光が部屋に迸る。そして光が晴れると、銀の鎧を纏った神秘的な青年が現れたのだ。鎧武こと葛葉紘汰である。
「突然押しかけてすまねぇ。俺は葛葉紘汰っていうんだが、その婆娑羅って連中の行方に心当たりがあるんだ。それで、少し協力して欲しいんだが…」
「な、な、な!?」
突然現れた謎の青年に、ろくろは動揺を隠せずにいた。口をあんぐりと開け、上手く話せないほどに驚いている。
「ろくろ…落ち着いて…!」
「ごふっ!?」
しかしそれを落ち着かせるべく、紅緒が思いっきりろくろの腹を殴る。
「いてぇよ! 紅緒、何するんだよ!?」
「落ち着いて…話を聞くべきと…判断した。だから…落ち着かせた」
「いや、そうだけどよ、他になかったのか?」
「ああ~…仲良さげにわちゃわちゃしてるみたいだが、そろそろいいか?」
「いや、ごめんね。ウチの若い衆が。僕が聞いておくから、かまわず話していいよ」
そんな二人の様子に困惑する紘汰だったが、有馬がおどけた様子で対応してきたのですぐに話に入る。ろくろ達もすぐに話を聞く側に回ったので、事情の説明にすぐ入れた。
「まず、その婆娑羅ってやつらと思しき連中は、異世界に侵略に向かっている。所謂、剣と魔法のファンタジー世界みたいなところだ」
「い、異世界? 何かの冗談だろ?」
「残念だが、ガチだ。そこに更に別の世界から、”聖なる遺体”っつう超パワーの宿ったミイラが飛ばされたらしくてな。それを狙った悪の組織と手を組んだんだ」
あまりに突拍子のない単語が飛び出したため、ろくろは信じられないといった様子だ。紅緒も表情にこそ出していないが、やはりすぐには信じられないだろう。
しかしその一方、有馬は一人で納得したような表情だ。
「なるほど。異郷というのは異世界を指す…婆娑羅をはじめとしたケガレ達の住む
「ボスっぽいあんたは理解してくれたか。で、連中が手を組んだオーバーヘブンショッカーっていう奴らは、異世界平行世界問わず、様々な悪意や憎悪の下で動く連中を仲間に引き込んでいるわけだ」
そして有馬にそのまま、敵に関する情報を聞かせていく。すると紅緒の方も、何か感づいた様子だ。
「まさか…先ほど話した遺体とやらの力…それを奴らも狙って?」
「察しが良くて助かるぜ。例の遺体に宿るパワーだが、手にした人間に特殊な力を付与したり、半身不随が回復したり、って物らしい。それを狙う奴らを上手く囲い込んでしまったらしい」
「ふむ…聖丸は闇無と別勢力で、禍野開放による
そして紘汰の話を聞き、有馬はろくろ達に話を振る。しかし、渡に同じ話を振られた翔太郎とフィリップ同様、返事は決まっていた。
「行くに決まっているだろ! 安倍晴明との約束『千年後には素晴らしい世界を』。この為にも、本当に悪意のある婆娑羅は倒さねえといけねえ。
罪もケガレも、全部まとめて祓ってやる!」
「ろくろに…同意、します。手を取り合える世界も…大事ですが…本当の悪意に…立ち向かえる強さも、素晴らしい世界のために…必要です」
「助かる。俺の仲間の仮面ライダーって呼ばれる戦士達も、何人か声をかけているからな。協力して奴等を止めてくれ」
そして、ろくろと紅緒もエトワリアへと送り込まれたのだ。
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「っつーわけだな」
「夢魔ならともかく、異世界から悪の組織の侵略か……ヤバすぎやしねぇか、おい?」」
「本当……ユメもキボーもありゃしないわ」
話を聞いた夢路とメリーは、予想外の敵に気が重くなってしまう。しかし、そんな中でフィリップは夢路の口にしたある単語に引っかかる。
「夢魔? 人間の夢の中に現れる悪魔で、淫魔とも称される…」
「フィリップ、変な知識を口に出して言うんじゃねえ」
フィリップの言動に待ったをかける翔太郎。すると、二人は事情を説明し始める。
「いや、そっちじゃなくて俺達の世界に出てくる、人外の存在なんですよ」
「夢の世界の住人なんだけど、ある日を境に人間の夢に寄生して、現世に干渉できるようになったのよ」
そしてメリー達の世界の夢魔の話を聞き、フィリップが反応する。しかし、それがまずかった。
「人間の夢に寄生する……君たちの世界にはそんな生物がいるのかい?」
「ええ。まあ、アタシもその夢魔なんだけど」
「興味深い! 今すぐ、その夢魔について君自身でわかることを全て! ぼくに教えてくれたまえ!!」
目を輝かせながら、メリーに詰め寄るフィリップ。これが彼の知識欲が暴走した結果だ。
「これが…魔少年」
「知識欲の暴走、よく言ったものだな」
「なんか、怖いんだけど…」
やすなですらフィリップにドン引き状態である。ソーニャをからかう時以外なので、中々に珍しい状態だ。
すると、勇魚があることに気づいた。
「あの、まさか夢路が力を使えたのって、その遺体の力なのかな?」
「! 持ち主に特殊能力を開花させるとか、言ってたよな。なら、納得できるな」
しかし、おかげでこの世界でも戦える。夢路は内心でありがたいと思いつつ、翔太郎達への協力を決めるのだった。
「一騒動会ったけど、いったん里に戻るほうがいいと思う。他の仮面ライダーとやらも、向かっているかもしれない」
「お、コルクちゃんの言うとおりだな。移動の足はあるし、行ってみるか」
そして一同はフィリップを落ち着かせ、そのままリボルギャリーで里に移動するのであった。
「これが異世界の乗り物…とても興味深い」
「まさかファンタジーの世界で、こんなハイテクマシンに乗るとはな」
「ねぇねぇ夢路君、あのパーツなんだろう?」
「たぶん、翔太郎さん達が乗ってるバイクのパーツだろうな。じゃなきゃ、前後であからさまな色分けなんてしねぇだろ」
リボルギャリーの中で男子二人と、コルク&やすなが興味深そうにしている。中々に楽しそうだ。
ちなみに、夢路の指摘通り翔太郎とフィリップは、外でハードボイルダーというバイクに二人乗りしている。夢路の指摘通り、リボルギャリーにはハードボイルダーの後部パーツを換装できる仕様だ。
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次なる仮面ライダーと異世界の戦士、そしてクリエメイトの接触が近づきつつあった。
「チノちゃん、探してたコーヒー豆あそこにあったよ!」
「本当ですか? 似た名前の別物じゃないですよね?」
「な、なんだここ? ていうか、万丈どこ行った?」
「あれ? 僕、確か寮で寝てた筈…って、麗日さん!?」
「むにゃむに…もう食べられないよ~zzz」
平成最後の投稿に間に合った…次回は令和最初になりますが、平成ジェネレーションズHeaven、今後も楽しんでいただけたら幸いです。
そしてとうとう千夜とシャロの参戦イベントが開始。ごちうさメイン五人が気兼ねなく出せるぜ! 次回いよいよごちうさ編なので、お楽しみに。
P.S.架空の町で行ってみたい場所。学園都市にネオ・ヴェネツィア、木組みの町にヘルサレムズ・ロット…色々ありますが、風都が自分の中で不動の1位です。