仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア 作:玄武Σ
そしていよいよ、みんな大好きごちうさ編に突入。合流前半もごちうさ編の3話で完了の予定なので、それが終われば一度里とディケイド&承太郎での合流と共闘のシナリオに入ります。
「しかし、なんだここ? 俺、タイムスリップでもしちまったのか?」
エトワリアのとある街を歩きながら、困惑気味で見まわす一人の青年がいた。ベージュのコートにジーパンの、準日本人な顔立ちの男だ。
男の名は
彼には
「万丈のバカが問題起こしてないかも気になるし…しかし腹減ったなぁ…ん?」
行方知らずの相棒の身を案じつつ、空腹に苛まれる戦兎。しかし、ふと気になる看板を見つけた。
「喫茶店ラビットハウス・出張店? この時代背景で喫茶店なんて概念あるのか?」
英字で書かれた看板と、その先にある市場の一角を借りたオープンカフェと思しき物を見て疑問に思いつつ、何か惹かれるものを感じる戦兎。そして…
「戦兎なだけにウサギの名を関した喫茶店……ベストマッチだな」
そんなこと言いながら、ポケットから出したウサギの絵が刻まれた、小さな赤いボトルを握りしめる。先刻、そのボトルに秘められた力で偶然、掏りの指名手配犯を捕らえて賞金を手に入れたので、食事くらいはできそうだ。そしてそのボトルをポケットに仕舞い、早速ラビットハウスへと足を踏み込む戦兎。
「すみません、一人なんですけどいけますか?」
「いらっしゃいませ! お一人様ですね、こちらへどうぞ!」
戦兎を出迎えたのは、十代ほどの少女だった。髪はセミロングのストロベリーブロンド、瞳の色は済んだ紫、服装はピンクのマントと羽付帽子、とかなり目立つ容姿だ。
(喫茶店員の格好じゃないな…どっちかというと三銃士とか、ああいうイメージのコスプレ、か?)
「あの、失礼ですけどお兄さんって日本人ですか?」
戦兎が少女の服装について思案していると、いきなりその少女に声をかけられる。
「え、はい。まさかとは思うけど、君も?」
「はい! 私、ココアっていいます。色々あって、この世界エトワリアに召喚されました! 同じ日本人のお客さんが来て、うれしいです」
そう、このココアこと
(召喚? まさかタイムスリップじゃなくて最近流行りの異世界召喚ってやつか? 仮面ライダーがか?)
予想だにしない返答が返ってきて顔を青くする戦兎。実は彼も仮面ライダーなのだが、永夢と同様に渡達とは全く接点がないようだ。
つまり、望まざる異世界への移動ということになる。
「……最悪だ」
「へ? 何がですか?」
「ああ、ゴメンゴメン! こっちの話だから…ブレンドコーヒーとホットサンドで!」
思わずついてしまった悪態にココアがきょとんとしてしまい、誤魔化すように慌てて注文をする戦兎。
「はい、かしこまりました! チノちゃん、ブレンドコーヒーお願い!」
しかし何事も無かったかのように他の店員に呼びかけるココア。結構マイペースなようだ。
(今、名前呼ばれてたあの子がコーヒー担当か? 美空より年下じゃねえか、アレ?)
そして戦兎が視線を向けた先には、ココアに名を呼ばれた少女がコーヒー豆を挽く姿があった。
青みが買った長い銀髪の美少女で、頭に毛玉のような変な生き物を乗っけている。しかしそのチノこと
(異世界召喚で勇者にされた…いや、それじゃ喫茶店なんかやってる場合じゃないよな。もっと別の目的、何か功績を挙げたとかで客人に招かれたとかか? でも一介の喫茶店員、しかも女学生が何を…)
「お待たせしました! コーヒーとホットサンドになります!」
色々と思案していると、注文の品を運んできたココアの声が響く。元気のあふれる大きな声だったので、一瞬ビクッとしてしまう。
「あ、ごめん。ちょっと考え事してて…(まあ、俺が気にする問題でもないか。さっさと腹ごしらえして、あの筋肉バカを探さないと)」
ココアに愛想笑いでごまかしながら謝罪し、しばらく相棒捜索に専念することを決める戦兎。そしてコーヒーを一口飲んでみる。
「……あ、美味い」
丁寧にローストされた香ばしい風味と、すっきりした酸味、深みのあるコクと苦み。とてもバランスの取れた、実に美味な一品だった。
「ですよね! これ、自慢の妹が淹れたんですよ」
「へぇ、姉妹で店やってるんだ。スゴイね」
「お客さん、私たち姉妹じゃないです。姉という立場に憧れるココアさんが、勝手に言っているだけなので」
戦兎がココアの言葉に感心していると、件のチノからツッコミが返ってきた。その言葉に苦笑するココアの様子から、チノの言うことが本当らしい。
しかしその様子に、戦兎は思うところがあったのか、気づいたら声をかけていた。
「まあ、いいんじゃない? 姉妹だろうが友達だろうが、深い繋がりなら大事にしなよ」
「えへへ。お客さん、ありがとう。それじゃあ、仕事あるから失礼しますね」
そして笑顔で離れていくココアの様子に満足した戦兎は、ホットサンドにかぶりつく。しかしその直後、それは起こった。
「魔物だぁああああああああ! いきなり魔物が湧いてきたぞぉおおおおおおおおおお!」
その叫び声を聞いて食事を中断する戦兎。その先にいたのは、なんと斧を持った牛頭の怪物が数匹。まさに地球の神話に登場する、ミノタウロスそのものだ。
「え? ねぇ、異世界って普通に街中に魔物とか出てくるものなの?」
「そんなわけないです! 皆さん、逃げてください!!」
思わず呆けてしまう戦兎がチノに問いかけると、慌てた様子で否定する。そしてお客たちに呼びかけ、避難を促した。戦兎としても、自身の掲げる信念から放っておけないと感じて問いかける。
「中々にヤバそうだが、何か手伝おうか?」
「大丈夫です。ここに召喚されて魔法も使えるようになりましたから」
「うん。ライネさんもいるし、時間稼ぎできれば食い止められるかも」
そう言い、チノはティーポットのような何かを宙に浮かべる。ココアも、太陽のような形の鍔をした剣を取り出して店を出た。一応、戦兎も後を追っておく。
そんな中、ココアの視線にある者が引っかかる。それは、長い黒髪に豊満なスタイルの美少女で、白と緑を基調とした服装だ。それがミノタウロスから、息を切らしながら逃げている様子だった。
「千夜ちゃん!? まさか、逃げ遅れたの!?」
「まさか、友達か?」
「はい。ココアさんのクラスメイトの、
まさかのココアたちの友人ということだったが、なんと千夜は躓いてしまった。
「千夜ちゃん!?」
「くそ、最悪だ!」
戦兎は悪態をつきながら千夜の救出に乗り出そうとするも、直後に誰かが凄まじいスピードで千夜に駆け寄り、抱きかかえて一気に跳躍した。
「あれ?」
「もう大丈夫です。ケガはないですか?」
千夜を助けたのは、一人の少年だった。
緑っぽいボサボサの黒髪に楕円形の大きな目、そばかすといった冴えない感じの地味目な少年だった。それがすごい俊敏な動きで、千夜を救出したのであった。
「ええ、大丈夫よ。貴方は?」
「雄英高校ヒーロー科一年A組の
自己紹介する少年、出久はポケットから免許証を取り出して見せてくる。学校のヒーロー科という奇妙な単語に首を傾げる千夜だが、仮免と書かれていたそれを見るに本当のことらしい。
(また別のクリエメイトさんかしら? でも、男の子って聞いたことないわね…)
「千夜ちゃん! それとそこの君、危ない!!」
千夜が思案していると、ココアが叫ぶ声が聞こえたので見てみる。すると、いつの間にかミノタウロスが迫ってきており、手にした斧を振り下ろそうとしていた。
「緑谷、油断しすぎだぞ」
直後に響いた低めの少年の声と同時に、なんとミノタウロスの全身が氷漬けになった。すると一同の視界に、髪の色が左右で赤と白に分かれた少年がいる。声の主でこの攻撃を行った、張本人のようだ。
「ゴメン、轟君。それと、ありがとう」
「ったく…はじめまして。雄英高校ヒーロー科一年A組の
近寄ってきた少年も出久と同じ所属を名乗ってきたことから、仲間のようだ。一方、戦兎は現れた少年二人の言動から、思案に入ることとなる。
(また別の平行世界から、ここに飛ばされて来たっぽいな。しかも今の言動からして、ヒーローが職業化している……なんかとんでもねぇことに巻き込まれてねえか?)
「デクくん! 避難誘導済ませてきたよ!!」
思案している傍で、突然ココアの声で誰かに呼びかける声がしたので問いかけるのだが…
「ココア、いつの間に避難誘導を?」
「え? 知らないです……っていうか、喋ってないよ?」
「あ、ごめんなさい!ウチです!!」
ココアも困惑気味な中で返してきたのは、丸顔丸目でショートボブの茶髪な少女だった。声色は非常に似ていたが、容姿は別物だ。
「あ、初めまして。雄英高校ヒーロー科一年A組の
「あ、どうも。私は保登心愛、そこでやってるラビットハウスって喫茶店でバイトしてるよ」
「あ、そうなん? じゃあ、この場片付いたらご飯でも…」
「いいよいいよ。私、あって3秒で友達がモットーだから、是非に!」
しかし件の少女お茶子は、あって早々にココアと名乗り合って、すぐに仲良さげにしていた。ココア自身も語ったモットーもありそうだが、何かシンパシーのようなものを感じたようだ。
「二人とも、雑談するのは後にしときなよ」
直後に戦兎の声が響くが、なんと彼がミノタウロスの顔面を殴り飛ばしている光景が、ココアとお茶子の視線に映った。左手には、あの赤いウサギが刻まれたボトルが握られていた。
「うへぇ、硬いな。あいつが筋肉バカなら、こいつは筋肉の塊だな……」
「そこの人、危ない!」
その直後、今度は出久が叫ぶ声が聞こえる。戦兎が振り返ると、そこには別のミノタウロスが迫ってきてるのが見えた。
「大丈夫大丈夫っと」
しかし戦兎は余裕の表情でボトルを振ると、なんと凄まじいスピードで走りだし、そのままミノタウロスの背後を取ってしまう。そして足払いしてミノタウロスを横転させた。
「今がチャンスだ、やれ!」
「あ、はい!」
そして戦兎の呼びかけに出久は答え、一気に跳躍。そしてそのままミノタウロスに飛び掛かり…
「セントルイススマッシュ!」
技名を叫んで必殺の蹴りを頭部に叩き込んだ。その衝撃でミノタウロスは角を折り、意識を闇の中へと沈めていく。見た目の反して、かなり高い身体能力だ。
「ごめんなさい、使わせてもらいます!!」
その一方で、お茶子が近くに置いてあった樽に指を当てたと思いきや、叫びながら思いっきり蹴飛ばした。すると樽はサッカーボールのように勢いよく飛んでいき、そのまま最後のミノタウロスにぶつかった。
「ココアちゃん、今だよ!!」
「オッケー、お茶子ちゃん!!」
そしてお茶子の呼びかけにココアが答え、剣でミノタウロスを切り伏せた。即興にしてはなかなかの連携だ。
「だったら私達も…」
「負けてらんねぇな」
そして最後の一体にチノが、あのティーポットのようなものを触媒に魔力弾を発射。それで怯んだ隙に焦凍が凍らせて無力化。見事に、ミノタウロス達は鎮圧されたのだった。
「揃って、戦い慣れてるんだな。結構やるじゃないか」
「まあ、こっちでも魔物退治はよくやっていますから」
「俺もヒーロー科の生徒なんで…魔物? 生物兵器じゃなくてか?」
戦兎が感心していると、チノと焦凍がそれぞれ返す。しかしその一方、焦凍はチノの口にした単語に引っかかる。
「ココアちゃんって、何処のヒーロー科に通ってるん? 剣なんて使うヒーロー、見ないけど…」
「ヒーロー? 違うけど、っていうかお茶子ちゃん。ここ異世界なんだよ」
「はい?」
一方、ココアとお茶子も会話に引っかかりが生じる。
「出久君って言ったかしら? スゴイいい動きしてたけど、どういう特訓したのかしら? それとも、魔法?」
「特訓っていうと、個性のコントロールを指南受けたり自分で研究したり…って、魔法?」
「個性? 性格の話じゃないと思うのだけど…」
やはり、千夜と出久も会話に引っかかりが生じる。少なくとも、このヒーロー予備軍の少年たちは、異世界にいるというのに気づいていないらしい。
そんな中、一人冷静なうえに年長者な戦兎が、提案をして皆を落ち着かせる。
「まあ、細かい事情の説明、いると思うけどな俺は。いったん、ラビットハウスに戻るのがいいと思うぞ」
「いいけど……あんたは?」
「そういえば……手伝ってもらいましたが、まだ名前も聞いてませんでしたね」
そんな戦兎の提案に乗る焦凍だが、まだ名も知らない不審人物という目で戦兎を見る。チノもそれを聞いて思い出したように、問いかける。
しかし戦兎は嫌な顔一つせず、おどけた様子で自己紹介を始めた。
「俺は桐生戦兎。てぇんっさい!物理学者さ」
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「まさか、異世界召喚なんてベタなファンタジー設定……ガチであるとはな」
「俺からしたら、そっちのいた世界の方がびっくりだよ。”個性=特殊能力”って認識がさ」
焦凍と話している戦兎は、彼らの世界がある意味じゃ仮面ライダーよりもとんでもないことになっている世界という認識だった。
人間が進化の果てに超能力の類に目覚める、それによるヒーローの職業化、これだけなら割とSFでありそうだった。問題はそれが世界人口の8割にまで発展し、能力を”個性”と称するほどに一般認知されているという件である。力の強弱に個人差はあれど、日常でいつ能力バトルが勃発するかわからないような状況である。
さらに深い話を聞いてみると、まだ個性が異能と称されていた最初期の頃”
「これココアちゃんの焼いたパンってほんま? めっちゃ美味しいんやけど!!」
「ありがとう、お茶子ちゃん。さっき手伝ったお礼だから、もっと食べていいよ」
その一方、お茶子がココアの自作だというパンを頬張りながら、目を輝かせている。話を聞くと、ココアは実家がパン屋とのことで、店を経営する姉や母の手伝いもあって腕前はかなりのものだ。
「はい、こちら黄金の鯱スペシャルになります。助けてもらったお礼だから、遠慮しないで食べてね」
「あ、ありがとう、ございます…(どうしよう。さっき、助けるためとはいえ…お、女の子を、お、おお、お姫様抱っこしちゃった…)」
千夜も出久に和スイーツを振舞っているが、一方でかなり赤面しながら視線を逸らす出久。彼は女子への免疫が低いヘタレ野郎なので、さっきの救出劇を思い出して心臓バクバクだった。
周囲のなごみ具合に反して、戦兎と焦凍は情報交換を繰り返している。
「そういえば、あんたどうやってあんな俊敏な動きしたんだ? 個性の発生していない世界での、特殊能力って見たが…」
「ああ。それはこいつのおかげさ」
そう言い、戦兎は焦凍にあの赤いボトルを見せ、その概要を説明し始める。
「俺の世界の、フルボトルって道具。起源は地球外文明って言われているけど、よくわかってない。そしてこれには、生物・無機物問わずにあらゆるものの成分が凝縮されている」
「成分? ていうか、地球外文明って…」
「なんだか、皆さんとんでもない世界に暮らしてたんですね」
焦凍がフルボトルの話を聞き、無表情のままギョッとした様子を見せていた。そこにコーヒーのおかわりを運んできたチノも、会話に加わる。
実際、戦兎の地球外文明という説明は厳密には違うのだが、一から説明すると彼の宿敵との因縁なども話さないといけないため、伏せておくことにした。
「そしてボトルを振ると成分が活性化し、持っている人間に成分に由来する力を付与する。こいつの場合はラビットフルボトルだから、ウサギの俊敏さが見に付くってわけさ」
「なるほど(なぜそんなものが作られた、とか引っかかる物もあるが……掘り返すのも野暮か)」
フルボトルの解説を聞き終えた焦凍は、引っかかりを感じつつも聞き返すことはやめておいた。
そんな中、不意に戦兎は疑問に思ったことを口にしたのだった。
「そういえば話は変わるけど、この店ってなんでラビットハウスって名前なんだ?」
「……確かに、猫カフェならぬ兎カフェってわけでもなさそうだな」
「うちで飼っている、アンゴラウサギのティッピーがマスコットだからです」
そう言うチノは、頭に乗せている毛玉の生き物を撫でていた。つまり、こいつが兎なのだ。
「「……」」
一応、アンゴラウサギという品種は知っていた。しかしなぜそんな一般にウサギと聞いて浮かべないイメージの品種にしたのかわからず、フリーズしてしまうのだった。
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「くそ…アルシーヴか七賢者が来る前にあんなわけわからん連中に魔物どもを」
一方、物陰からラビットハウスにいる面々を不快な様子で見ている人物がいた。ローブで全身を覆っているが、声音から女性ということだけは察せられる。そして先ほどの魔物騒動の犯人のようだ。
「見つけた。情報提供、感謝する」
「気にしないで。この町が荒らされるのは、僕にとっても不都合だったからね」
その時、声がしたので女性が振り返ると、そこには二人組がいた。
片方は黒い和服とエプロンドレスを合わせたような服と、キツネの面をつけた少女。もう片方は、現代ファッションで青い銃を携えた胡散臭い青年。女性はこの内、前者の方の顔を知っていた。
「お前は七賢者……しかも確か、アルシーヴの秘蔵っ子!」
「肯定。我が名はハッカ、国勢調査で町を訪ねていた」
「そして僕は
まさかの七賢者出現に、慄く女性。女性はこの計画のため、誰にも悟られないように魔物召喚の魔法陣を仕掛けて回った。しかし、その海東と名乗る男に知られていた。かなり高いレベルの隠形術を持っているようだ。
「話を要約すると君は魔術師で、そのアルシーヴっていう一番偉い神官さんに牢屋に放り込まれた恨みがあった。その復讐のために町で騒ぎを起こし、本人をおびき寄せて始末しようとした。これでいいかい?」
「な……そこまで知って…」
「どちらにせよ、貴君はここで拘束する。抵抗するなら、容赦はせぬ」
大樹が女性、否・女魔術師の犯行動機などまで把握しており、当の本人は顔を青ざめる。しかもハッカは女性自身が秘蔵っ子と呼ぶだけあり、七賢者でも上位の使い手だ。そのハッカは得物と思しき札を手に、彼女を威圧してきた。
もう後がない。しかし…
「ここで捕まるわけにいくか! いでよ!!」
女魔術師は最後の手段とし、新たな魔法を発動した。その時、町の上空に巨大な魔法陣が展開される。そして、その魔法陣からヤバい奴が出てきた。
「ぎしゃああああああああああああああああああ!!」
現れたのは巨大な鳥型の魔物だった。鋭い目つきと頭頂部の角が目立ち、なんと竜巻を纏っているのだ。超凶暴そうだ。
「なんだ、アレ? 新手のミラーモンスターか?」
「否。それが何かは知らぬが、あれはテンペストという魔獣。竜巻を起こす力を持ち、非常に凶暴」
「なるほど……ありがとう、ハッカちゃん」
大樹は落ち着いた様子で魔物を観察していると、ハッカがその詳細を告げた。そしてそのことにお礼を言うと、大樹はテンペストに発砲する。
しかし宙を舞うテンペストは非常に素早く、たやすく回避してしまった。
「デカいわりに素早いんだね」
「本当ならアルシーヴとこいつを戦わせる予定だったんだが、計画を止められた以上は仕方ない! 部下の貴様やこの街を潰して、間接的な復讐にしてやる!」
そして自棄を起こした女魔術師は、大樹とハッカに対してテンペストを嗾けてきた。
しかし直後…
「デラウェアスマッシュ・エアフォース!」
『ギェエエエエエエエエエエエエエエエエエ!?』
出久の叫び声と同時に、空気弾がテンペストに目掛けて飛んできた。それを食らい、テンペストは広間へと落下していく。
「まさか、また魔物が出てくるなんて…」
「しかも、かなりデカい奴みたいだな」
すると戦兎と出久を先頭に、一同がこちらへと駆け付けてくるのが大樹たちの視線に入った。
「しかし、なんでサポートアイテム持っている状態でこっちに来たんだろう?」
「ファンタジー世界なら、科学的な理屈は通じそうにねぇし……妥当なところで俺達を呼んだ誰かがそう仕向けたとかか?」
「どちらにしても、こっちとしては都合がいいがな」
移動しながら会話する戦兎と出久、焦凍の三人。話している出久の手には、先ほどの攻撃に用いたと思しきガントレットを装着していた。出久達は学生寮で寝ていたところ、目覚めたらエトワリアにいたらしい。普通なら着の身着のままいるはずなので、これはあり得ないはずだった。
「いい所に増援が来たね。クリエメイト一同に雄英高校の生徒、そして仮面ライダービルド」
「な!? なんで俺達の素性を…」
「仮面ライダービルド? 戦兎さんのこと?」
大樹の言葉を聞き、動揺する一同。初対面の筈なのに、自分たちの素性について知っていたのだ。そしてその時、仮面ライダーという聞き覚えのない単語に、ココアも困惑してしまう。
「お前、なんで俺のことを知っている? 何者だ?」
「僕のことは後でね。それより、このローブのお姉さんが魔物を呼び出した犯人さ。同機は、アルシーヴってえらい神官さんへの復讐だとか」
「な、こいつ……ああ、そうだよ! 私が犯人さ!」
大樹にばらされた女魔術師は、開き直って怒鳴り散らしてしまう。
「奴に敗れ、牢屋にぶち込まれた私は、釈放されてからもアルシーヴへの復讐のために研究を重ねた。そのために魔物の使役術、魔獣テンペストの召喚とあれこれ調べてやったが、お前らに魔物を倒され、そいつらにバレてしまった!
だから、もうここから逃げるついでに町をぶっ壊して間接的な復讐に切り替えてやったわけさ!!」
「こいつ……!」
余りにも傍若無人な女魔術師の物言いに、一同は怒りの色を見せる。
「……最悪だ。どこの世界にも、碌でもない悪党ってのはいるもんだ」
一人、呆れながら呟く戦兎を除いて。
「え? せ、戦兎さん?」
「俺は許せないっていうより、哀れでなんないよ」
「えっと…どう哀れなんですか?」
ココアも出久も困惑の色を浮かべ、問いかけてしまう。
「科学の進歩と同時に兵器が発展して、戦争で多くの人が傷つく。でも、そこから過ちに気づいて、人は科学を平和に使うように努力していく。俺たち人類は、その繰り返しで発展を続けた。でも、個人単位ではその過ちを認めない、もしくは気づかないで同じことを繰り返す。それで結果、多くの人が傷ついちまう。そういう奴が何人もいて、彼女もその一人だ」
そして今度は、女魔術師を見てはっきり告げた。
「わかるか? あんたは自分で世界の敵になっちまってんだよ、哀れ以外の何だってんだ?」
「こいつ、言わせておけば!」
『ギァアアアアアアアアアアアアアアアア!』
ハッキリと告げられた女魔術師は、怒りで戦兎に対して敵意を向けた。そしてそれに合わせるように、テンペストも咆哮を上げる。しかし、戦兎自身は怯むことなく、目の色を憐れみから覚悟のそれへと変えた。
「そして俺は、そういう奴から人を守る。正義のために戦うって決めたんだ」
言いながら腹部に手回しハンドルの付いたベルト、”ビルドドライバー”を装着した。そして、二つのフルボトルを取り出して構える。一つは赤いラビットだが、もう一つは初めて見る青いフルボトルだ。
「さぁ、実験を始めよう」
そう言い、戦兎は二つのフルボトルを高速で振り始める。シャカシャカと耳に心地の良い音が鳴り響くが、戦兎の周囲で信じられないことが起こっていた。
「え、ええ!? 何これ、なんなの!?」
「数式が浮いている…こんなの個性でも見たことない」
「魔法準基で見ても、これはないですね…」
「どこから突っ込んだらいいのかしら?」
無数の数式が実際に戦兎の周囲に浮き上がる怪現象に、一同は困惑してしまう。千夜が一人だけ、的外れなことを言っていたが。
しかし戦兎は気にせず、振り終わったフルボトルの先端を回すと、ビルドドライバーにそれをセットした。
【ラビット! タンク! ベストマッチ!!】
フルボトルを差し込むと、ビルドドライバーから高らかに掛け声が上がる。しかし、そのフレーズに一同が引っかかってしまう。
「うさぎと戦車で……何がベストマッチ?」
「さ、さあ?」
「リゼちゃんが好きそうな組み合わせだね」
「ココアちゃん、その子変わった趣味やね…」
ココアが訳あって別行動中の友人で同じラビットハウスの従業員”
だがここでも戦兎は動きを止めず、ドライバーのハンドルを回し始めた。
「な、なんだコレ!?」
「プラモか何か、でしょうか?」
直後、なんとプラモのランナーのような装置、”スナップライドビルダー”が生成されて戦兎の体を前後で挟み込むように配置される。そして、それがアーマーのようなものを生成していく。黙り込んでいた焦凍とチノも声を上げて驚くこととなる。
【Are You Leady!?】
アーマーが完成した直後、覚悟はいいか? そう問いかけるベルトからの音声とともに、戦兎はボクシングのような構えを取ってあの言葉を叫んだ。戦う意思を体現する、あの言葉を。
そして直後に、生成されたアーマーが戦兎の体を挟み込み、装着された。
赤と青のストライプボディに、複眼は右に戦車の砲身、左は兎の横顔を模したデザインである。そして腰に左手を添え、右手をフレミングの法則に似た形にして複眼の先端部に近づける。
そして奇妙な口上をドライバーが叫び、変身は完全に完了した。余りの出来事に一同騒然、女魔術師も思わず叫んでしまった。
「姿が変わった……何者だお前!?」
「"仮面ライダービルド"。作る、形成するという意味のビルドだ。以後、お見知り置きを」
そしてかつてこのライダーシステムを開発した、悪魔の科学者と同じことを言ってのける。そして女魔術師とテンペストに向き合い、物理学者で仮面ライダーな彼を象徴する決め台詞を、ビルドは言ってのけた。
組み合わせた理由
ごちうさは兎繋がりでビルドしかありえないと思ってたので、逆にごちうさが平ジェネForever公開までに参戦しなかったら、ビルドの参戦もありませんでした。
そしてヒロアカは原作者の過去作品”逢魔ヶ刻動物園”でギリ兎繋がり&職業ヒーローの認められた世界とヒーローとしての在り方を語る戦兎は合わせるべき、という考えのもと組み合わせた次第です。
後者の理由でキン肉マンシリーズも考えましたが、戦い方がレスリング一辺倒になってしまうため没にしました。