仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア 作:玄武Σ
チノ「戦兎さん、妹じゃないです」
戦兎「そして超能力が個性と呼ばれるほど一般化した世界から来た、ヒーロー養成学校に通う緑谷出久と友人達だった」
お茶子「ちょ、ウチ等雑に紹介されてない!?」
戦兎「全員紹介してると長くなっちゃうから、仕方ないでしょ。しかしそんな中、突如として現れた筆頭神官アルシーヴに恨みを持つ女魔術師がテンペストという魔獣を呼び、街を強襲!」
焦凍「冗談抜きでマズいな……早くぶっ倒さねえと」
戦兎「そして桐生戦兎は、彼女たちの力となるべく仮面ライダービルドに変身し、立ち向かうのだった!」
出久「しかし、異世界のヒーローって、なかなかすごいですね」
ココア「うんうん! ウサギと戦車って、なんかリゼちゃんが喜びそうな組み合わせだし」
戦兎「…そのリゼって、どんな子なのよ?」
突如現れた魔獣テンペストと対峙し、仮面ライダービルドへと変身した戦兎。その様に驚きを隠せずにいる雄英高校一年A組と、ラビットハウス組。
「仮面ライダー、ビルド?」
「そそ。まあ、現役ヒーローってことでよろしく」
その名を反芻する出久に対して言いながらビルドは、ベルトから出現した刀身がドリルになっている剣・ドリルクラッシャーを手に、暴れているテンペストへと駆け出す。
「よっと!」
そして出久にも引けを取らない跳躍力で宙を舞い、ドリルクラッシャーをテンペストの角にたたきつける。高速回転するドリルとテンペストの角がぶつかり合い、火花を立てる。
「硬いな……これ、パワー押しじゃないと厳しいか?」
ひとり呟いたビルドは、ドリルクラッシャーを引いて角を蹴る。そしてその勢いで距離を取ると、新しいフルボトルを取り出し、それを振り始める。
ベルトに付け替え、再びハンドルを回し始める。するとまたスナップライドビルダーが展開され、新たなアーマーが形成された。
そしてビルドが叫ぶと、それが装着されてアーマーのデザインが一新した。今度は茶色と水色のストライプで、右腕だけが肥大化している。
最後にベルトが変身形態の口上を上げ、ビルドは再びテンペストに駆け出す。その一方で、焦凍が今の肩書について一つの考察を上げる。
「輝きはダイヤモンドを指すんだろうから、ゴリラがデストロイヤー…破壊者ってことかよ」
「あれ? ゴリラって森の賢人じゃなかったっけ?」
「
そしてその考察を聞いたココアが、ふと疑問に感じることとなった。同じく聞いていたチノも、別の世界から来たクリエメイトが名前から猿やゴリラを連想するため、その本人がいないことに安心していた。
「あらよっと!」
『ぎぃいいい!?』
一方、フォームチェンジしたビルドは肥大化した右腕でアッパーカットを叩き込み、テンペストをひっくり返す。
「テンペスト、逃げなさい! そいつ、なんかヤバい!!」
『ぎぇええええええええええ!!』
すると女魔術師が大声で指示を出すと、テンペストは咆哮を上げながら空へと逃げていく。
「空に逃げるか。なら、追いかけるまでだ」
しかしビルドは、新たなボトルを振って反撃に乗り出す。今度はオレンジとグレーだ。
そして再びドライバーのハンドルを回し、新たなアーマーを形成する。
今度はオレンジとグレーのストライプで、背中に翼を持っている。そして手には小型のガトリング銃・ホークガトリンガーが握られていた。
「じゃあ、ちょっと行ってくる」
ビルドは翼を広げて飛翔、上空へと逃げたテンペストを追いかけた。そしてその様を見ながら、呆然とする一同。
「すごいね、チノちゃん…」
「はい。ベストマッチという単語からして、たぶん一番相性がいい組み合わせなんでしょうね」
「ああ。さっきのゴリラとダイヤモンドはわかるが、他はどう言えばいいんだろうな?」
「ねえ、みんな…ちょっといいかしら?」
ココアやチノ、焦凍がビルドのさまを見て口々に漏らす。しかしその一方、千夜が珍しく不安そうな声で三人に声をかける。その先にいたのは…
「たぶん、最初のラビットタンクは兎のスピードと戦車の攻撃力を兼ね合わせてるんだろう…ゴリラモンドも見たまんま怪力と硬さの組み合わせ…となれば今のホークガトリングは、飛行能力と飛び道具の組み合わせで広域制圧特化になったんだと思う…他にどんなボトルがあるかはわかんないけど、相乗効果で戦闘力を跳ね上げるのがベストマッチなのか? うん、やっぱりその可能性が高そう。でも、もしかしたら暴走抑制とかそういう組み合わせのベストマッチも…」
「出久君が、さっきからこうなのだけど…」
出久が一人でビルドの各フォームの特性についての考察を、一人でボソボソと呟く姿があった。どうやら千夜はこの様に怯えているようだ。
「ごめんな。デク君、ヒーローオタクやから興味深いもの見るとすぐこうなるんだ」
「ああ。うちのクラスじゃ、お馴染みの光景だ」
そこにフォローを入れるお茶子と焦凍。
一方その頃…
「よっと!」
『ぎぃええええええ!!』
ビルドはホークガトリンガーの連射で、テンペストにダメージを与えていく。しかし意外とダメージが薄かったのか、そのまま持ち堪えてしまう。
『ぎしゃあああああああああ!!』
「うお!?」
そして銃撃を耐えながらテンペストはビルドに突撃、その一撃で体勢を崩して地上に降りてしまう。
「はははははははははは! やっぱりテンペストは最強の魔獣みたいだね。あんなもので倒せるわけないんだよ」
「ああ…それなりに準備しただけはあるな」
ビルドが不利になった様子から、高笑いを上げる女魔術師。しかしその時、ビルドに声をかける一人の少女がいた。
「テンペストは風属性の魔獣。故に、炎の力に弱い」
「成る程、いわゆる魔術の四大元素ってやつか」
「なら、こっちのほうがいいか」
ハッカからのアドバイスを聞き、納得する焦凍。そして同じくビルドも、新しいフルボトルを準備する。
「フェニックスと、ロボット?」
「不死鳥…空想上の動物まであるんだ」
まさかの組み合わせにココアと出久は再び困惑することとなった。しかし気にする様子もなく、ビルドは新しいアーマーを生成していく。
そしてアーマーが換装されると、赤と黒のストライプと化した。そして炎のような揺らめく翼と、万力型の左腕が目立つ。そして挙げられた口上が…
「不死身の…兵器?」
「なんですか、そのパワーワード?」
「…今更だけど、なかなかのネーミングセンスよね」
ココア達が予想外の口上に困惑してしまう。その一方で、千夜は独創的な名前の和スイーツを作ることから、一人感心していた。
「そうか。不死鳥の再生能力に兵器としてのロボットの力を組み合わせる、つまり相反する特性の両立っていうパターンもあるのか。でも、ロボットは今、実用的な物が殆ど…いや、不死鳥なんて出た時点でガン〇ムみたいなものをロボットに優先させたのは納得か? となると、他にどんな組み合わせが…」
「縁谷、流石にそろそろやめておけ。実戦の場だぞ」
一方、また出久のボソボソ考察が始まったため、状況的に止めに入る焦凍。すると、そこで女魔術師に動きが出た。
「隙だらけだよ、小僧ども!」
「しまっ…」
そして女魔術師は、ビルドの次に厄介なのが出久と焦凍だと察して飛び掛かってくる。絶体絶命……
「ぱへっ!?」
「みんな、大丈夫?」
にはならなかった。突然、エプロン姿の優しげな女性が割って入り、おたまで女魔術師の顔面を強打。そのまま撃破してしまったのだ。
「あ、ライネさん」
「さっき、街のはずれにミノタウロスが出てきてね。追い払っていたんだけど、彼女が犯人なようね」
チノに名を呼ばれた女性、彼女が同行していたライネであった。いわく、元冒険者で勇者とも呼ばれていた実力者らしい。実際にミノタウロスを迎撃してきたようで、疲労の色が見えている。
「その子達の保護者ってところだね。悪いけど、頼みますよ!」
そしてビルドはライネにココア達を任せ、自らは炎を纏って再び飛翔。テンペストへと突撃していく。
「ほらよ!」
『ぎしゃあああああああああああ!?』
そしてテンペストの頭部へと接近し、右腕から放つ炎で炙る。するとテンペストがここ一番の苦痛の声を上げ、ダメージが大きいというのが見て取れた。
「確かに効いているな……なら、もういっちょ!」
ダメージが通っていることを察したビルドは、再び炎でテンペストを炙る。
「そんでもって!」
『ぎしぇえええええええええええええ!?』
そしてその焼かれた顔面に、万力状の左腕を叩きつけると、そのまま地面へと落ちていく。
「よし、そろそろとどめと行くか」
【鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエーイ!!】
そしてビルドも地上へと向かいながら、再びラビットタンクフォームへと切り替わる。そして着地と同時に、再びビルドドライバーのハンドルを回す。
「ちょっと待ってね」
そしていきなり、ビルドは走り出した。しかもテンペストのいる方と、逆向きだ。
「え、いきなり逃げるんですか!?」
「逃げるんじゃなくて、距離とってんの」
驚く出久に返すビルドは、一定の距離を走ると地面を踏み抜き、その時に空いた穴に落ちるのだが……直後に驚くことが起こった。
「え、なにあれ!?」
「グラフ……かな?」
「……私も、見たことないわね」
どこからどう見ても、グラフにしか見えない物体がテンペストを拘束してしまったのだ。ココアと出久がそろって声を上げ、ライネも困惑気味だった。残りのメンバーも、大口を開けて呆然としてしまう。
そしてビルドが穴から飛び出すと、グラフの放物線に乗りかかった。
そしてベルトからの音声と同時にビルドは放物線を滑り、右足でテンペストの顔面にキックを叩き込む。右足の裏にキャタピラが敷かれており、それがテンペストの嘴を抉り、そしてついに頭部を貫いた。
ドォオオオオオオオオオオオオン!!
そしてテンペストは肉体を爆発四散させ、完全にその痕跡は残ってはいなかった。そしてその場には、ビルドが立っているのみ。
「す、すごい……」
「かっこいい……」
(強いんだな。経験も能力も、それなりに高いみてぇだ)
一同はビルドの強さに騒然とする。焦凍が一人で思案していたが。そんな中、ビルドがこちらに視線を向けてきた。
「なんとかなったな……みんな、大丈夫か?」
「ええ、おかげさまで」
「あの悪い人も、ライネさんが何とかしてましたので」
「戦兎さん、ありがとう」
「私からもお礼を言うわ。この子たちを守ってくれて、ありがとう」
そのままラビットハウス組とライネにお礼を言われるビルド。
「気にしないで。俺は、ラブ&ピースのためにヒーローやってるからね」
それに対し、自分の信念を語りながら答えるビルド。その一方で…
「そうか。ああやって固定すれば、衝撃の逃げ場が無くなって威力が大きくなるんだ。戦兎さん、物理学者って言っていたけど、それだけに理に適った攻撃をするんだな。となると他のベストマッチも…」
「デク君、いつもよりハッスルしてない?」
「異世界のヒーローだしな。案外、仕方ねえのかもしれねえ」
また出久が暴走を起こしていた。一応、今回は焦凍がフォローを入れていたが。しかし、そのとき一人の男に動きがあった。
「流石は地球外文明を解析したライダーシステム……この世界のお宝や聖なる遺体にも勝るお宝だ」
そう。先ほどハッカとともに現れた謎の男・海東大樹だった。
「そういえば忘れてたけど、あんたは?」
「僕は海東大樹。通りすがりのお宝ハンターで…」
ビルドの問いかけに答える大樹は、シアンカラーにバーコードの意匠があるマスクの戦士が描かれたカードを取り出す。
そして、あの名を名乗ったのだ。
「またの名を”仮面ライダーディエンド”さ」
「仮面ライダー……戦兎さんの仲間?」
そしてココアの疑問を余所に、手にした銃・ディエンドライバーを展開し、そこに例のカードをセットした。
そして海東は銃口を頭上へ向け、そのフレーズを口にした。そして発砲。
ライダー名を告げる電子音声とともにエネルギーが飛び上がり、ディケイドのものと似た残像が海東の体を覆う。そしてシアンを基調としたアーマーが体を覆うと、撃ちだされたエネルギーがバーコード上のパーツとなって、顔のマスクに装着された。
カードに描かれたあの戦士”仮面ライダーディエンド”が現れた。
「実は、俺には平行世界の知り合いがいてね。その世界には俺の装備と異なるシステムの仮面ライダーが何人もいるんだ」
「え? つまり、この人はその一人ってことですか?」
「まあ、ビルドともエグゼイドとも違う世界のシステムなんだけどね。というわけで……」
ビルドからの言葉に驚く出久と、それに対して答えるディエンド。しかし彼は少し間を置き…
「君達の力、お宝に値するかを確かめさせてもらうよ」
銃撃を仕掛けてきたのだ。
「ふっ」
しかし直後、ハッカが札を投げてバリアを発動する。それでどうにか銃撃は防げたようだ。
「ハッカちゃん、どういうつもりだい?」
「クリエメイトに傷をつけるのは、如何なる理由があろうと見過ごせぬ。アルシーヴ様のためにも、貴殿を排除する」
ディエンドとの問答の末、ハッカは札を投げて攻撃してきた。ディエンドの方も、銃撃で応戦してきた。
「アルシーヴって……確かきららさんが対立していた?」
「みたいね。クリエが狙いなら、確かに傷つける訳にもいかないだろうし」
「アルシーヴにクリエ? なんだ、それ?」
ハッカがこちらを守る行動をとったことに、困惑するチノとライネ。その時に会話に引っかかった焦凍が問い尋ねる。
「実はココアちゃん達のいた世界での出来事は、この世界を統治する女神ソラ様が観測して聖典に書き記している世界なの」
「なんでも、それを読むことでクリエという力を供給して、この世界の人たちは生きているそうです。で、アルシーヴというのは女神様に仕えている神官さんだそうです」
「……予想外すぎて、ぶったまげたな」
二人からの返答に、思わず驚く焦凍。相変わらず、無表情だが。
その頃、ハッカと交戦していたディエンドは…
「やれやれ。このままじゃビルドの力を試せないし、やるか」
すると、ディエンドは何枚かの仮面ライダーが描かれたカードを、ディエンドライバーにセットする。
【Kamen Ride Ryuuki!!】
【Kamen Ride Saiga!!】
【Kamen Ride Garren!!】
【Kamen Ride Ixa!!】
カードのセットを終えると、ディエンドライバーの引き金を引くディエンド。すると、それによって4人の仮面ライダーが召喚された。
「仮面ライダーを、召喚した?」
「な、なんかいっぱい出てきたよ!?」
「こ、今度はさっきよりマズそうな…」
ビルド達が驚いていると、仮面ライダー達に動きが出始める。
「しゃあ!!」
ディケイドがエトワリアでの初戦で変身した一人、”仮面ライダー龍騎”。
「It's showtime!」
ジェットパックを装備した、ギリシア文字の
「俺の体はボロボロだ!!」
赤いボディにトランプのダイヤマークを模した”仮面ライダーギャレン”。
「その命、神に返しなさい」
十字架の意匠をマスクに持つ白いボディの”仮面ライダーイクサ”。
そして四体の仮面ライダーを召還したディエンドは…
「行け」
その仮面ライダー達をこちらへとけしかけてきた。
「うそ、襲ってきた!?」
「仕方ねぇ、戦うぞ!」
そして一同は、否が応でもなく戦うことになってしまった。
「コールに似た技……不覚の極み」
「ハッカちゃん、よそ見している場合じゃないよ?」
その一方で、ハッカもディエンドとの戦闘を続けることとなる。
~ビルドVS龍騎~
「はぁあ!」
「うぉっと」
襲ってきた龍騎のパンチを、咄嗟にビルドは回避する。
「危ないな、おい!」
そして反撃にドリルクラッシャーを振るう。しかし龍騎もバックステップで回避してしまい、代わりに手に装備された東洋流の頭部を模した装備”ドラグバイザー”にカードをセットする。
【Sword bent】
無機質な電子音声とともに、龍騎の手に一振りの剣が握られる。柳葉刀のような形状の”ドラグセイバー”だ。
「カードで武装を呼び出すシステムか……なるほど」
「しゃあ!」
そしてビルドは龍騎のライダーシステムを分析しながら、回避に専念する。動きにどこか無機質な様子が見え、同時にビルドの中である仮説が立つ。
「みんな! おそらくこいつ等は、人形みたいなものだ! 本物の人間が変身したライダーじゃないから、遠慮なく戦え!」
「おらぁあ!!」
そして周りに呼びかけながら龍騎の剣戟を回避する。しかしその一方で、反撃の準備をしていた。
【オクトパス! ライト! ベストマッチ!】
新しいベストマッチに使うフルボトルをセットしたビルドは、ビルドドライバーのハンドルを回す。そして新しいアーマーがスナップライドビルダーに生成される。
【Are you Ready!?】
「ビルドアップ!」
【稲妻テクニシャン! オクトパスライト! イェーイ!】
新たなベストマッチは紫と黄色のストライプで、右左の肩にそれぞれ、タコの触手を模したパーツと電球上のパーツが装備されている。
「手数で翻弄してやるから、期待してろ……って、自我がないなら無理か」
「おらぁあ!」
ビルドの投げた言葉にも特に反応せず、剣を振り続ける龍騎。そんな相手に対して、ビルドは距離をとって左肩から電撃を放った。
「ぐぁあ、くぅう!?」
【Gurd Bent】
しかし電撃を食らいながらも、龍騎は新しいカードを使って巨大な盾を召還。それで残りを防いでしまう。
「厄介だな。武装のカード化でいくらでも手数を用意できるってのは」
その様子に悪態をつきながらも、今度はタコの触手を伸ばして龍騎から盾を奪いにかかるビルド。そのまま戦闘を続行するのであった。
~ライネとお茶子と千夜VSサイガ~
「
「妙にテンション高いわね、彼」
「でもさっきの戦兎さんの言葉が本当なら、遠慮なくやれる!」
英語でハイテンションなしゃべり方のサイガと対峙する、ライネとお茶子。
その二人だが、サイガの軽やかな蹴り主体の体術を慣れた様子でいなす。元腕利き冒険者のライネと、職業体験で武闘派ヒーロー”ガンヘッド”から戦闘指南を受けたお茶子。揃って戦闘慣れしているのだった。
「千夜ちゃんはあんま慣れてないから、そこに避難してて!」
「そうさせてもらうわ。代わりに、回復は任せて」
千夜を安全圏に逃がして、お茶子は近くの木箱に指先を当てる。すると、先ほどの樽同様に軽々と持ち上げてしまった。
「私たちの世界には個性って呼ばれる特殊な力があって、私のは指先で触れた物から重力を消すゼログラビティっていいます!」
「なるほど、使い勝手いい力ね」
「ただ、使いすぎると酔ってしまうんで多用はできませんが!」
そしてライネに自身の個性を説明するお茶子は、そのまま木箱をサイガにぶん投げる。しかしその直後、サイガが宙に舞った。背中のジェットパック”フライングアタッカー”を使用したのだ。
「Enjoy! Come on!」
そしてそのまま加速して突撃していった。
「うぇ、ちょ!?」
「隙が無いわね…」
二人はぎりぎりで回避することができたが、そのままヒット&アウェイ戦法で再び突撃していくサイガ。反撃のチャンスが見えず、膠着状態となってしまう。
~焦凍とチノVSイクサ~
「その命、神に返しなさい」
「こいつ、さっきからこればっかりだな」
「人形という戦兎さんの言葉、間違いなさそうですね」
焦凍とチノは目の前で同じセリフを繰り返すイクサに、構えを取る。するとイクサが拳を振りかぶって来た。
「だったら、遠慮はいらねえな!」
すると焦凍が回避すると、直後に掌から炎が凄まじい勢いで放たれ、それにイクサも飲まれた。しかしそれでチノは疑問が生じてしまう。
「あれ? 焦凍さんの個性って、氷の力じゃ…」
「そういえば、説明してなかったな。俺の個性の正式名称は”半冷半燃”。右手から冷気を、左手から炎を発するって代物だ」
「な、なんかすごいの来ました……」
予想外の強力な個性に、思わず驚いてしまうチノ。しかも説明中も炎を放ったままで、イクサが完全に倒されるのを確認するまで油断しない、というのが見て取れた。
「ひざまずきなさい」
「何!?」
しかし炎の中から、剣を手にしたイクサが飛び出してきたのだ。思わず、驚いて攻撃を中断してしまう。
「焦凍さん!」
咄嗟にチノが放った魔法が命中し、イクサは体勢を崩す。
「その命、神に返しなさい」
だがすぐに体勢を立て直し、再びこちらに向き合ってくる。そして手にした剣・イクサカリバーを向けてきた。
「あんまり堪えてねぇな」
「しかもさっきからこの言動……宗教家なんでしょうか?」
「モデルがいんのかもしれねえな」
イクサの言動に思わず場違いな疑問を浮かべてしまう二人。しかしその時、イクサが攻撃に乗り出そうとする。ベルトの腰部から、何か小さなパーツを取り出し、ベルト正面にセットする。
【イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ】
すると、イクサのベルトから電子音声が流れ、イクサカリバーの刀身にエネルギーが間と割っていく。
「まずい!」
しかし焦凍が咄嗟にイクサを氷漬けにしようと地面に冷気を放つ。しかしイクサはバックステップで回避すると、先ほどまで立っていた場所に巨大な氷柱が生える。
「なら、このまま…!」
そしてそのまま冷気を放出し続け、巨大な氷の壁を生成する。即席の防壁を築き上げてしまったのだ。凄まじいパワーである。
「焦凍さん、いろんな意味ですごいです…」
あまりのパワーに驚くチノだが、直後にイクサが仕掛けた。
「ふん!」
ズバッ!
「なに!?」
「切……った?」
なんとイクサの必殺の斬撃は、巨大な氷柱も氷壁も切り裂いてしまったのだ。必殺技そのものは防げたが、防壁は一瞬で破壊されてしまった。
「ひざまずきなさい」
「仮面ライダー……マジで何なんだ?」
思わず悪態をつく焦凍だが、それで状況が好転するとは考えづらい。
~出久とココアVSギャレン~
「俺の体はボロボロだ!」
「じゃあ、戦わないでくださいよ!」
「そうだよ! 無理して怪我でもしたら……」
「俺の体はボロボロだぁあああ!」
ひたすらそのセリフを叫びながら突撃していくギャレンに、思わず心配してしまう出久とココア。しかし言っている割には戦闘の意思は強い様子だ。
これは一重に、オリジナルのギャレン変身者”橘朔也”がライダーシステムの不備で、実際に体がボロボロになってしまったことに起因していると思われる。
「オデノカラドハボドボドダぁあああ!」
段々と呂律が回らなくなり、ものすごく聞き取りづらい。しかしそれに合わせてギャレンのパンチラッシュが激しくなっていく。
「ココアさん、ごめんなさい!」
「へ? きゃあ!?」
そんな中、出久は思わずココアを先ほどの千夜同様にお姫様抱っこ。そしてそのまま、個性を発動した。
(ワン・フォー・オール、フルカウル!!)
そして全身の身体能力を満遍なく強化し、一気に跳躍してギャレンをかく乱し始める。
「あのままじゃあ、場慣れしてないココアさんは厳しいと思ったんで……だからかく乱したらココアさんを安全圏に置くんで、一対一で行こうかと」
「ええ……でも、それだと出久君が危ないような…」
「ヒーロー志望なんで格好つけさせて……ぐ!?」
「出久君!?」
移動中、会話しているといきなり出久が苦悶の表情を浮かべだす。いったん静止し、二人が振り返ると…
「オデノカラダハボドボドダァアアアアア!」
「銃!?」
なんとギャレンが銃を片手にこちらへ駆けてくる姿が見えた。これがギャレン専用武器”ギャレンラウザー”だ。すると迫ってきたギャレンを見据えたココアが、剣を抜いて構える。
「出久君、逃げられそうにないしこのまま迎え撃つね!」
「え、ココアさん!? 一応、金属仕込んでた床に当たったから平気なんだけど…」
出久が説明する一方、ギャレンラウザーに付けられたカードの束を広げ、その中から三枚抜き取る。
【ドロップ! ファイヤー! ジェミニ!】
そしてそのカードをラウザー側部のカードリーダーにスキャンすると、カードの絵柄が浮き出てギャレンの体に重なった。描かれていたのはクジラ、尻に火のついた虫、シマウマの動物三種だ。
【バーニングディバイド!】
するとギャレンラウザーから技名と思しき電子音声が流れ……
「小夜子ぉおおおおおおおお!」
「「誰!?」」
聞き覚えのない名前を叫びながら飛び上がる。すると、なんと空中でギャレンが二人に分身したのだ。そして二人のギャレンは両足に炎を纏わせ、出久達に襲い来る。
「やばい! 避けられ……」
そして二人に必殺技が迫る。
いきなり誰かが割って入り、キックで二体のギャレンをまとめてぶっ飛ばしたのだ。そしてそのまま、ギャレンは二人とも消滅する。
出久とココアの二人、そして今の声を聴いたビルドがその人物を見る。
「え?」
「仮面、ライダー?」
現れたのはドラゴンを模した仮面ライダー、それもビルドと同じビルドドライバーで変身するタイプだ。しかしデザインはビルドと異なり左右対称、同じドラゴンモチーフの龍騎が赤と銀なのに対し、こちらは青と金だ。
「おいおい……遅いんだよ、万丈!!」
「戦兎、元気そうじゃねえか」
この仮面ライダーに変身する人物こそ、行方不明の万丈龍我である。
「えっと、戦兎さんのお仲間…ですか?」
「ああ、俺の名は万丈龍我。またの名を……」
そして出久の問いかけに答える龍我、改め……
クローズは、そのままビルドと対峙する龍騎へと突撃していったのだった。
ようやく書けた……で、今回はビルド編なので、前書きにあのやり取り入れてみたんですが、どうでしょう? フェニックスロボが必殺技以外で普通に飛んでますが、ご都合主義ということでよろしくお願いします。
次回は万丈の側の話に触れてから決着の予定なので、どうぞお楽しみに。
P.S.ケボーンダンスをPetit Rabbit'sに踊ってほしいと思う今日この頃。